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一列にメンバーが並んで握手会、愛理が離れてて見えない。

もちろん仕事中なんだし、横に居たって見るわけにはいかないワケだけど
ただ自分から離れた場所で誰かと会話して、スラスラとかわしてる愛理を見てると『不安』になる。
愛理もいつの間にか凄く大人っぽくなって、女性らしく成長して
たくさんの仕事を一人で色んな場所で、色んな顔でしている。
色んな人と出逢って愛理は私の知らないところで変わっていく。

『不安』ていうのは別に誰かに愛理を取られるとか・・・そんなんじゃなくて
なんだろ、、子供のころ旅行先でお母さんが駅の階段を先に登って、ホームに取り残された時のような
姿は見えてるんだけどいつの間にか遠くにいる、子供心の不安感。
それに凄く似ている。

『いつか愛理は自分の事なんて忘れてどこかに行ってしまうんじゃないか?』

バカな思い込みなのかな、最近の大人に近づく愛理をみるとそんな事考えちゃうんだ。








握手会が終わった。
楽屋から離れた小さな控え室。今日は取材の為、愛理と私だけが残っている。
このあと愛理が帰ってきたら自分の番までおそらく20~30分時間があるハズ。
最近二人だけの時間なんてなかった、舞台・リハ・ロケ。お互い忙しくバラバラの現場。
だから今日は滅多にないチャンスなのに、今なにを話していいのかなんて声をかけていいのかわからない。
二人きりになれるのは喜ばなきゃいけない場面なのに、何故かただただ緊張する。

なんなんだこの感覚は。



「あ、おつかれ」
当たり前だけど普通に愛理は入って来た。
でもなんだろ以前なら顔を見ただけで、緩い気持ちになって暖かな感情が持てたのに
今は変わらないハズの愛理の存在が、自分の中で凄く張り詰め息苦しくなる。

「おつかれ!どうだった?」
中身のない質問を投げかける。なんでもいい会話をしていればそれでこの変な感情はなくなるハズだ。
「う~んとね、新曲やツアーの事はいつも通りのありきたりな質問だったからいつもと同じような答えだったけどね」
「うん、それでそれで」
「最近難しかったお仕事は?て聞かれたから後半はその話ばっかりだったな」
「へえ・・・どんな?」
「えっとね、大阪でお父さんの記者会見乱入した時とか、ボウリングした時の事とか、あとグラビアのお仕事とかね」


自分のしらない仕事ばかりだ。
あたりまえだよね、私は℃-uteの仕事では一緒だけどそれ意外の愛理をしらないもん。

「あっ今日もう行くね。じゃあ舞美ちゃんも頑張ってね。」
「えっ・・・」

突然愛理が荷物をまとめはじめる。
もっと色んな話をするハズだったのに、自分で勝手に思っただけだけど・・・でもそんなに急いで帰らなくても。

「もう行っちゃうの?」
「うん・・・ごめんね今日はスタッフさんに舞台われてるんだ」

何それ?・・・

「あっ!もちろん一人じゃないよ。事務所の人とかも行くし舞とも」

舞ちゃんとは行くんだ・・まぁ、私は仕事あるから誘われないのわかるけど
でもなくたって多分私には話はこなかったよ。なんかそんな気がする。


涙が溢れそうになる。なんだかカラダがあつい
でも泣いちゃダメだ、だって泣く要素ないし愛理に心配かけちゃう
迷惑はかけちゃイケナイ。

「じゃあ着替えてくるね」
愛理がドアのノブに手をかける


部屋を出ようとする愛理の腕を、無意識に掴んでいた。
「ふえ?なに?」
振り返った時、丁度もたれやすくなった肩に顎を置き愛理の首筋に顔をうずめた。
「ねえ?舞美ちゃんコレ何?」
「・・・・・・・・・・もう少し話しよ」
「ややや、でも今日は時間ないし」
「少しだけ」
「ダメだよ、今日はダメな日。ね」
「ううん」

首を横に振る私に、困り顔になる愛理

「どうしたの?ほんとに」

そんなの自分だってわからない。
ただ愛理がどんどん遠くに行く気がする。
だから、愛理ともう少し話していたい、感じていたい。
言えるワケないけど、カラダだけが正直に愛理を引き止めてしまった。
このままもし愛理が離れてしまうなら、自分なんて消えて愛理の一部になってしまいたい
そのくらい・・・・愛理が好きだ。


「好き・・・」
「・・・・・・・?」

埋めたままの状態でその言葉だけが出た。

数秒して愛理が私の肩を掴んで、そっとカラダから引き離す。

「舞美ちゃん、もうお姉ちゃんなんだからワガママ言わないの」
「・・・・・うー、年下の癖にえらそうにぃ」
「今度二人でゆっくり過そう・・だからね」

愛理がやさしく私のおでこにキスした。
まるで愛理がお姉ちゃんになったみたい。

「じゃあね」

そう言いながら部屋を出ると、バタンと扉が閉まった。

なんだかわからないけどそのまま床に倒れ込んで泣いてしまった。
二人でゆっくりなんて過ごせるわけないよ。
そんな時間多分ないよ。
わかってる癖に、そんな事言うようになったんだ。

愛理は変わった、どんどん知らない愛理になっていく。


愛理のすべてが欲しい、でも私は愛理の一部もしらない
愛理の一部にもなれない。
最終更新:2010年11月01日 08:08