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なんか、今日、舞美ちゃんが少しそっけない・・・。

私、何かしちゃったかな。
舞台の間は電話もメールだって我慢してた。
その代わりブログにけっこうたくさん書いてしまったけど書きすぎた?
本当はもっともっと書きたかったけど控えめにしたのにな。

近くに行っても、すっとどこかに行っちゃう。
リハーサルの最中も目をそらされちゃう。
舞台の感想たくさんあったから直接伝えたかったのに。
気になって気になってリハに集中出来ないよ・・・。

休憩時間になってトイレに行こうとする舞美ちゃんを追いかけた。

廊下を歩いている舞美ちゃんに後ろから腕を絡める。

「ねえ舞美ちゃん
わたしなんかした?」

すっと腕を解かれる。

「ううん、何もしてないよ?」

「でもおかしいよ、なんかわたしを避けてる気がする・・・」

「ぜんぜんそんなことないって
ちょっと、疲れたかな。それだけだよ?」



トイレには誰もいなかったけど、
誰が来てもおかしくない。

なのに・・・涙がポロポロこぼれる。

「えっ、あっ、愛理ごめんっ、
泣かないで、ごめんごめん、あーどうしよ、
誰か来ちゃうかも・・・」

手をひかれて1番奥の個室に入る。
舞美ちゃんが後ろ手で鍵をかけた。

Tシャツの裾をぎゅっと掴んだ。
我慢していたものが涙と一緒に溢れ出す。

「わたし、なんかしちゃった?
今日は久しぶりに一緒にお仕事だし、お話出来ると思ってたのに・・・」

私の涙を優しく舞美ちゃんが指で拭ってくれる。
さっきまでとは違う、とても優しい顔。そしてほっぺの涙のあとにちゅって。

「ごめんね・・・、泣かせちゃって。あーもう私のバカバカ、
あのね、うーん、愛理の顔見るとね・・・集中出来なくなっちゃうから・・・」

「1人だけ練習期間が少ないからって迷惑かけたくないし。
それに、愛理がせっかくかっこいいっていってくれたから、
みっともないところ、見せたくなかったの・・・」

最後の方はすっごく小さい声になって、
下を向いちゃった舞美ちゃんの顔は見えないけど耳が赤い。


足音がして、誰かがトイレに入った。

舞美ちゃんが顔をあげておどおどしだした。
可愛いくってぎゅっとくっつく。

調子に乗って舞美ちゃんの白い首をぺろっと舐めた。

「ちょっ、えっ」

しかめつらで頭をコツんとされるけど、こういうの、にやにやが止まらない。

隣の誰かさんがいなくなった。
舞美ちゃんがドアを少しだけ空けて誰もいないことを確認して、
外に出る。

「ドキドキしたね」

「ね」

ふふふと楽しそうに笑う舞美ちゃん。

「初日、来てくれてありがとうね。
心強かった・・・」

「うん、本当に本当におつかれさまでした。」

じっと私の顔を見つめて、

「やっぱりやーめた」

「ん??えっ何何??言いかけなしだよっ!」



舞美ちゃんにつめよる。

「・・・ここで抱きつくよ?いいの??」

「えっダメダメ、また誰かくるかもだからダメダメっ」

「じゃあー言ってよぅ」

「その日のブログ、保存しちゃった」

「なんでなんで??」

「かっこいいって、舞美ちゃんしか見れないって書いてくれたから・・・」

こういうの、反則だと思う。
かっこよくて、可愛い舞美ちゃん。
くっつきたいけど。
今は指を絡めるだけ。

さって、照れ隠しみたいに背筋を伸ばして

「そろそろ戻ろ、あと少しだけど練習しなくちゃいけないし。」

「ね、今日終わったら、家で練習しない?」

また少し難しい顔。



あれれ?

舞美ちゃんは少し迷った顔をしてたけど、携帯をポケットから出して

「もしもしお母さん?
今日リハ終わったあと、愛理のおうちによって練習したいんだけど・・・
え?泊まり?うーん」

時間はもう夜の九時を回っている。
舞美ちゃんがが私をチラリと見たから必死に首をぶんぶんたてにふった。

「うん。遅くなりそうだから、そうなると思う。
うん、またかけるね。」

舞美ちゃんは軽く溜息をついて。


「本当に練習、しようね???」

「うん、練習も、しようねっ!!」


えっとか、ちょっととかぶつぶつ言っている舞美ちゃんの手を握って、

勢いよく廊下を走ってみんなが待っている練習場まで戻った。
最終更新:2010年11月01日 07:52