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下のパジャマに手をかけてあたしを見上げる。
恥ずかしさと緊張の中あたしは腰を上げて、それに合わせて愛理がパジャマと下着を脱がせた。
暗いとは言ってももう目が慣れて多分見えてしまう。
恥ずかしくて愛理の顔を見れない。
愛理が簡単に服をたたむ間どこを見ていいかわからなくなった。
ふらふら視線をさまよわせているうちに愛理があたしの方に戻ってくる。
上のパジャマだけが取り残されて、他の場所がすうすうする。
と思っていたら、上のパジャマも脱がされて、身を包むものが無くなる。
裸がこんなに心許ないものだったのか初めて気がついた。
体が温かい分肌寒く感じる、のを愛理は察して、敷かれている布団にあたしを招き入れた。
素肌にさらさらのシーツが気持ちいい、けど、あまり楽しむ余裕もなかった。
だいぶ緊張している。と同時に早く触れられたい。
愛理が入ってきて肌を寄せ合うとあたしだけが服を脱いでいて変な感じがする。
布一枚隔てているだけでも今は耐え難かった。
愛理の肌に触れたい、触れ合いたい、できるなら溶けあえたらいいとすら思う。
「お願いがあるんだけど。」
肩がくっつくと、やっぱり違うと思った。
こうじゃない。愛理の体はすべすべして柔らかいはずだ。
ふざけて抱いた肩の細さと骨の感じとか、愛理の柔らかさとか、知っているからもっと知りたい。
何?と愛理は穏やかな声で答えた。
「愛理も脱いで。」
言ってみると思った通り恥ずかしかったけれど既にいろんなことが恥ずかしいのだから、
これくらいなら大丈夫になった。
暗闇の中で愛理は目を丸くして、それから恥ずかしそうに笑った。
どこからかあたしの手を探し出して握り、愛理のパジャマの胸元に引き寄せた。
それはつまり。
「舞美ちゃんが脱がせて。」
照れて囁いた言葉に頭の奥ががんと殴られたような衝撃を受ける。
初めてのことに手が震えそうになりながらも、ゆっくり一つずつ外していく。

愛理みたいにあたしは器用ではないのはわかっているのに焦ってしまう。
気付けば自然に深呼吸していて、それに合わせて手が動く。
一つ、また一つと外す度に重力でパジャマがはだけていく。
白い肌が露わになる。暗くてもわかるくらいの光を持った肌の色だ。
愛理はあたしの手を見つめていて顔が見えない。
全て外し、上のパジャマを脱がせて抱き寄せた。
肌の感触は、自分の体で触れてみると、思ったよりずっと柔らかくて、力を込めるとより一層隙間が無くなる。
密着している。距離はない。
凹凸が無くなって、これがあるべき状態のような感覚に陥りそうになるけれど、まだ下が残っている。
あたしが愛理のズボンに手をかけて下していく間、愛理はあたしの腰に手をまわしてしがみつく。
接しているところは全部何にも覆われていなくて特別な感覚が新鮮で、嬉しい。
奪い取った服を布団の外に追い出して抱きしめる。
上質の絹にくるまれるよりきっと気持ちがいい。
肌同士が吸いついて隙間なく埋めていく。
愛理もあたしの腰に手をまわして力を込めた。
「気持ちいいね。」
「うん。」
低い静かな声で呟いて、もっと身を寄せ合う。
これ以上はもう近づけなくても体の弾力の分、少しだけ縮んだような気がした。
愛理は腰にまわした手を動かしてあたしの背中や腰を撫でる。
あたしの顔より低い位置にある唇を肩や鎖骨の辺りに寄せる。
ずっと動かないでいると触覚は消えてしまう。
だから、もっと知るために、感じているために愛理は手や唇を動かしてあたしを確かめる。
今愛理から与えられる刺激は全部あたしには強烈過ぎて、いったん冷めかけた熱は簡単に上昇する。
横並びになっていている状態から愛理は再びあたしの上に乗りキスを降らせる。
裸になるとさっきまでとは意識が変わって開放的になる。
そのせいか感覚は敏感なり、理性を抑える力も弱くなった。
愛理の動きにあたしの体は正直に反応する。
全身、どうにかなってしまったみたいだ。
自分の意志どおりにはもう動かない。

熱に浮かされて体全体がくたくたになって力が入らない。
愛理はいつの間にか下の方に移動して、あたしの足を持ち上げて、その間に入ろうとする。
多分何回こういうことをしても恥ずかしいことだと思う。
少し抵抗するのだけど、愛理はあたしの太ももや膝に口づけて、何も言わずにあたしを動かす。
されるとおりに足を開くと愛理がちらりとあたしの顔を見て微笑んだ。
いつもより心なしか柔らかい顔に見える。
意外な表情に気をとられている間に愛理はあたしの太ももに顔を埋めてキスを落とした。
噛みつくようではなく、大事に大事に扱われているのがわかった。
乱暴にされるより気持ちが焦れて与えられるより求めるように神経が過敏になる。
愛理のいるあたりにじわじわと熱が集まっていくのがはっきりと意識できた。
次第に愛理は中心に近づいて、指であたしの大事なところに、そろりと触れた。
「あ。」
自分で、そこがどうなってるのかわかって、思わず声が出る。
愛理が指を動かすと、鋭く電気が走る。
水の音が聞こえる。
腰が自分の意志とは関係なく跳ねる。
ゆっくりとした刺激ですら耐えきれなくて逃げだしそうに腰が動くのだけど、もっと触ってほしい気持ちもあって、
逃げたいのかほしいのか、どっちでこうなっているのかわからない。
「可愛い。」
愛理はそこがどうなってるかなんて野暮なことは何一つ言わない。
主導権が完全に握られているような、それでも構わなかった。
実質そうなのだ。あたしは愛理の思う通りに動かされている。
愛理が指揮する通りに、体はうごくし、声が抑えられない。
呼吸困難になりそうになりながらも感覚をそこに集中させる。
お腹のあたりにあった熱がぐんぐん上がって切ない痛みに変わる。
愛理が触れれば触れるほどもっとほしくなる。
指からの刺激は舌に変わり、今までとは異質な感覚に包まれて、限界に近づいた。
突起だけではなくて入口の方まで舌が伸びて、あたしからでている蜜を舐めているのがわかる。
それが丁寧であればあるほど辛くて苦しい。

言葉にならない声が漏れる。
苦しくて苦しくて、救われたくて愛理の名前を呼んだら情けなく声がかすれた。
頭の方まで熱に侵されている。
思考がままならなくなる。
そうなると、どうして、こんなに好きがあふれてくるのだろう。
愛理が好きでしょうがなくなって、愛理と繋がりたい気持ちでいっぱいになる。
愛理で満たされたかった。
あたしのそんな様子を察したのか、愛理は入れるね、と一言、それから異質な圧迫感が中に入ってくる。
熟れて熱を持ったそこは切ない痛みで満たされていたから、愛理の指が入り込んでくることでまた痛みが増える。
その間も愛理はあたしのことを丹念に舐めて、そのおかげか痛みすら快感に変わっていく。
初めはゆっくりと動かされる。
愛理の指があたしの中をこすって、確かにある一点が熱い。
そこを何度も触れられると、たまらなく切なくなって、
今までたまっていたお腹の熱の出所がそこだと知ることになった。
舐められる刺激と指の刺激が強すぎて、わけがわからなくなる、けど、気持ちいい。
愛理の指があたしに埋まって満たされているのが嬉しかった。
愛理と繋がっている今が、嬉しくて、嬉しくてそれでいっぱいになる。
指の動きが速くなり、あたしは昇りつめそうになる。
「あ、あ、あいりっ、あいりっ。」
切羽詰まって名前を呼ぶと、繋がったまま愛理が近づいて、あたしはしがみついた。
微かに見えた愛理の表情で、余裕がないのはあたしだけじゃないとわかった。
耳元で、好き、と囁かれると、何かのリミッターが壊されて、あたしの体は大きく跳ねた。

乱れた呼吸を、抱きしめあいながら整える。
密着しているから熱いのだけど、離れたいとは思わなかった。
濃密な愛理の匂いが、あたしが呼吸するたびに入り込んでくる。
シャンプーとは違う愛理の汗の匂いだった。
ダンスレッスンやライブの時とは同じ汗でも今の方が甘い気がする。
あたしの呼吸が整うと、指がずるりと引き抜かれる。
入れたときは圧迫感があったのに抜かれると寂しい気持ちになる。
そして、そういう行為をしたんだな、と実感する。
さっきまでしていたことや、自分の言葉、声を思い出すと恥ずかしくていたたまれない。
そんなあたしには気付かず愛理は体を離して口づけをしてきた。
しっとりとしている優しいキスはあたしを追うのではなく労わるようなキスだった。
行為の後でまだぼんやりした意識だから、唇の柔らかさしかわからない。
このまま泥に沈んでいってしまいそうなくらい心地よくて目が開かなくなりそうだった。
愛理が離れて、目を開くと愛理の目もとろんとしている。
あたしの上から横に移動して寝転がって、すぐに距離を埋める。
背中に腕をまわしてじゃれる猫みたいに擦り寄って、あたしの胸のあたりに顔を埋めた。
背中も胸も、くすぐったいけれど、幸せそうに笑っている愛理を見たら我慢しようと思った。
可愛くてたまらない。
あたしも腕をまわして愛理を抱きしめた。
体温が直接伝わる。心臓の音も聞こえてきそうだった。
「あのね。」
穏やかな呼吸に乗せて愛理は言った。
「うん?」
あたしは髪を撫でながら答える。
「えりかちゃん、卒業のほんと、直前くらいに、告白してたんだ。」
「そうなんだ。」
興味がないとか、知ってたとか、そういうわけではなかった。
ただなんとなくそうでもおかしくないな、と思った。
そして不思議なことに、嫉妬やらの黒い感情は湧かなかった。
髪を撫でる速さを変えずに愛理の言葉を待つ。

「あの時ふられてよかった。」
愛理は腕に力をこめてあたしをぎゅ、と抱きしめた。
「舞美ちゃんと繋がれて、よかった。」
その姿は、幼い子供が大事なぬいぐるみをとられないようにしがみついている様子とよく似ている。
普段大人びた考えと行動をする愛理なのに、と思うと、嬉しくて微笑ましくて、つい頬が緩む。
本当は、あたしがいいたいくらいの言葉だった。
愛理を好きでいてよかった。
こうやって愛理を腕に収めている日が来るなんて思ってもみなかった。
そしてその日がこんなに、こんなにも幸せだとは、予想もできなかった。
生まれてきて、オーディションを受けて、選抜から外れて同じグループになって、よかった。
愛理と出会えて、本当によかった。
神様はいるんじゃないかって思う。
心の中でこっそりと神様にお礼を言った。
そして、腕の中の愛理にも。
「ありがとう。」
愛理が顔を上げる。すごく、幸せそうな顔をしてる。
きっとあたしもおんなじ顔してる。
同じ気持ちで一緒にいる。声が重なる。
「大好き。」
最終更新:2010年04月28日 18:51