「ねぇ、私なんか最近ヘンなんだ。」
ライブの帰り、新幹線の座席の隣の舞美ちゃんは、すごく大真面目な顔して急にそう言い出した。
少しだけ首を横にかしげてて。それがすごくかわいい。
いつもヘンだよ、なんて言ったら傷つくだろうから言わないけど。
でも、舞美ちゃんはいつもヘンだ。愛おしい天然だと思ってるけど。
「どんな風にヘンなの?」
そう言うと「うーん・・・。」ってまた首をかしげる。
「なんか、たまに愛理見てるとイライラするの。」
「イライラ・・・。」
あれ、私ダジャレ言い過ぎたかな。それで舞美ちゃん、イライラしてる?
でも、いつもなんだかんだ笑ってくれるのになぁ。
…なんかちょっと、いや、かなりショック。
「ごめんなさい。」
「あっ、違うの。なんだろう、えっと・・・今はイライラしないし、でもイライラする時もあって・・・。」
「ダジャレ言った時とか?」
「ううん。違う。」
あれ?じゃあ、何がイライラするんだろう?
考えてみるも・・・思い当たる事がない。
っていう事は、もしかして?
…私の事、嫌いになっちゃった、の?
そうだとしたら・・・どうしよう、泣いちゃうかもしれない。
胸の奥がぎゅーって苦しくなる。
「あの、ね。この前、愛理とちっさーが楽しそうに笑ってる時に・・・イライラした。」
「えっ?」
「あとね、いつの撮影かわかんないけど、舞ちゃんが愛理にべたべた触ってるの見て、イライラしたりとか・・・。」
…それって、それって?
あれ?舞美ちゃん、それに気づいてないの?それが何かわかんないの?
「イライラして、ムカムカした。」
今度はふてくされたような、子供みたいな顔をしてる。
ふふ。舞美ちゃん、かわいいなぁ。
でも、これって天然っていうレベルなのかな?普通、わかるよね。
天然で鈍感にも程があるよ・・・。
「ねぇ、舞美ちゃん。私見てイライラするのって、私が嫌いになったからじゃないの?」
そんな意地悪な質問をすると、舞美ちゃんはすごい勢いで首を横にぶんぶん振って否定する。
「だって今、愛理といて嬉しいし・・・それに今はイライラしないもん。」
いじけたような、そんな顔されるとなんていうか。
あんまりにもかわいくって、我慢できなくなる。
それにさえも気づいてないんだろうなぁ。
キョロキョロとあたりを見回す。みんな疲れて寝てる。
私は舞美ちゃんの顔を両手ですばやく包む。
すぐ目の前に、舞美ちゃんの顔。きょとんとして私を見てる。
かわいいなぁ、もう。我慢できないよ。
そっと唇を寄せる。予期せぬ行動に舞美ちゃんは目を閉じない。
掠めるように唇に触れて離れると、遅れて舞美ちゃんの顔が真っ赤に染まる。
「あ、愛理っ。」
「舞美ちゃんがかわいいから。」
そう言うと、もっと顔が赤くなっていく。
それをじっくり観察して・・・やっぱりこれだけじゃ終われない。
「舞美ちゃん、今日家に来て?」
その意味がわかったのか、顔を赤くしたまま、ぶんぶんと首を縦に振る。
たまに困っちゃう時もあるけど、そういう真っ直ぐで不器用で鈍感な天然なところ、大好き。
「いっぱいしようね。」
舞美ちゃんの耳元でそっと囁いて、耳に音を立てて口づけた。
いっぱいいっぱい愛してあげる。
舞美ちゃんのカラダも心も、全部をじっくりと。
最終更新:2010年05月10日 21:23