旧約・女神転生
【きゅうやくめがみてんせい】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売元
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アトラス
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開発元
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オペラハウス
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発売日
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1995年3月31日
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定価
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10,800円
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配信
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【Wii】バーチャルコンソール 2012年7月3日/900Wiiポイント
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書換
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ニンテンドウパワー 1997年12月1日/1,000円/F×4・B×4
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判定
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なし
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女神転生シリーズ
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概要
ファミコンにて発売された『デジタル・デビル物語 女神転生』『デジタル・デビル物語 女神転生II』を、同時収録して移植した作品。
IIは比較的オリジナル版に近い作りだが、Iは大幅に内容が変更されリメイク作に近い作りである。
開発はアトラスではなくオペラハウス(他参考: GDRI)が担当している。同名の声優プロダクションやBLゲームブランドなどは関係ないので注意。
変更点
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共通の変更点として『真・女神転生if...』の後に発売されたためか、グラフィックなどは真シリーズ風のものに書き直されている。
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『I』は悪魔のグラフィックも金子一馬風のグラフィックにリニューアルされている(『II』にも登場している悪魔は、『II』の使い回しなことも多い)。
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ただし、ケルベロスやロキ(I)等はオリジナル準拠のグラフィックで原作の雰囲気を損なわないように配慮されている。
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本作のパッケージ裏・説明書内に描かれている主人公・ヒロインのキャラデザインも金子氏によるもの(FC版『I』は北爪宏幸氏)。
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オートマッピング機能追加。ダンジョン内でマップを見ることができるようになった。
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メッセージ表記に漢字も用いられるようになり、読みやすくなった。
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悪魔の種族名や魔法名は真シリーズをベースに大きく変更されている。
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『I』の主人公とヒロインの名前を変更できるようになった。
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カップリング作ということで、『I』をクリアするとそのまま『II』が始まったり、継続プレイの際に『I』で発生させたイベントが『II』に影響を及ぼすといった連動要素が追加された。
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FC版の『I』では、エンドタイトル後五分間待つと「しかし・・・」とメッセージが表示され裏面がスタートするようになっていたが、今作では『II』がスタートするというにくい演出になっている。
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イベントの追加
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上記のI・II連動イベントのほか、主に『I』で『II』に繋がる伏線となるイベントやメッセージ、ジャックフロスト一家のイベントが追加されている。
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また、『I』では元々イベントが少なかったため、各ダンジョンにいくつか小イベントが追加されている。
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追加イベントのひとつで『冥府』という新マップへ行くことができる。マップそのものは小さいがアンデッド系の悪魔ばかり登場したり、会話イベントもあるためそれなりの密度がある。侵入できる条件は『冥府の番人(?)』が仲魔にいること。
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メディナイトという傷ついて倒れているキャラは、回復魔法をかけてやるとお礼にこちらのパーティ全員を回復してくれるのだが、
FC版では
お前自分で回復できなかったのか
というツッコミどころのあるイベントは、麻痺したために動けなくなったという違和感のないものに修正されている。
評価点
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『I』がプレイしやすくなった
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FC版は非常に難易度が高かったが、今作はセーブポイントの増設や一部の極悪な技(エナジードレインなど)が調整されるなどプレイしやすくなっている。
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登場悪魔の能力が敵味方時共に一律となった。デビルアナライズが初期装備された事で能力の把握もしやすい。
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ダンジョンのマップもむやみに広大だったFC版から縮小され、オートマッピングもあるためかなり歩きやすい。
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FC版では使用アイテムはHPを回復させる「宝玉」しか無かったが、状態異常回復やMP回復アイテムなどが追加され、仲魔の魔法も移動中に使えるようになった。
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パラメーターの最高値が増やされたり、一部IIの仕様に変更されたシステムなどもあり、ゲームバランスも変化しているため、経験者も新鮮な気持ちでプレイできる。
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『II』の部分はゲームバランスなどには大きな手を加えられていないため、そういった面ではちゃんと移植されている。
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改善点として「剣が(比較的)手に入りやすくなった」「三身合体がどの邪教の館でも可能」などがある。
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使いにくかったオートパイロットは廃止された。デビルアナライズも記録できる悪魔が増えてより便利になった、ただし入手方法はオリジナルと同じの為序盤は使えないが。
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新規悪魔として、ギリシャ神話の魔神4体が追加された。
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これらの魔神はオリジナルのある分岐点での行動次第で仲魔になった悪魔と対になっており、分岐間の格差が若干緩和されている。
問題点
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細かい劣化点
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音楽、効果音
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特に『II』が特殊チップを使ったことで、ファミコンとは思えない良質な音楽を再生していたが、今作はFC版と比べて迫力が非常に薄くなるなど劣化している。
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効果音も真シリーズ基準でFC版と比べると地味になっており、こうした面が特に経験者からの評価低くしている。
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サウンド全般はオペラハウス繋がりで『FFXII』などで有名な崎元仁氏がアレンジを担当している。ただ同氏が同じSFCでアレンジを担当した『ボンバーマン ぱにっくボンバーW』などは概ね好評価である。
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移動速度、戦闘テンポ低下
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真シリーズ風になったためなのか、移動速度が遅くなり、戦闘も地味にFC版『II』と比べテンポが悪くなっている。
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とはいえFC版『II』と比べてであり、真シリーズからのプレイヤーならそれほど気にせずプレイできると思われる。
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ただFC版『I』はメッセージ送りが遅く、オート戦闘も一行動ごとに長めのウェイトがかかるなどしていたが、流石にそれよりは旧約のほうがマシである。
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『I』の仲魔システム、能力が『II』準拠に変更
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オリジナルではある程度Lvが高い悪魔でも仲魔にできて合体も可能だったが、今作では同Lvまでの悪魔しか仲魔にできず、合体も行えない。
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能力も全体的に下がっており弱体化されたものもある。特にオリジナルではその時点の悪魔を大きく引き離すほどのHPを持ち、使い勝手の良かったケルベロスは特技などが真シリーズの物に統一され、能力値も弱体化された。一応その時点では十分強く、使い勝手は悪くないのだが……。
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『II』の一部要素の削除
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会話時の「ネェ」といったプレイヤーのメッセージの削除、セーブポイントに存在したチェックマンというキャラクターが無機質なコンピューターに差し替えられているなどで味気なくなっている部分がある。
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会心の一撃の単純化。FC版では痛烈な一撃、会心の一撃、必殺の一撃と3種類が存在し、それぞれダメージが2倍、3倍、4倍と変化し必殺を連続で出すなどした仲魔はそれで印象が変わったりもしていたが、全てダメージ2倍の会心に統一されてしまった。会心時のメッセージもそれぞれ若干の違いがあったがそれらもすべて「会心!」の一言に置き換えられた。
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ボスとして登場する魔王はなぜかFC版からHPがほぼ半減されており、肩書ほどの強さは感じなくなってしまった。おそらく会心の一撃を2倍ダメージに統一したことによる調整と思われるが、雑魚として登場する悪魔は変わっていないためチグハグな印象である。
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上野サバトイベントの簡略化。上野では満月の時だけ行われるサバトという夜宴に殴り込みレオナルドというボスと戦う。このボス本体は弱いのだが速さが高くサバトマという魔法で雑魚敵を呼び出し戦闘を仕切り直しにさせる。呼び出された雑魚を倒したら再びレオナルド戦に戻り、サバトマを一定回数使われる前に倒さなければ逃げてしまい再びイベントポイントに入らなければならないという異色のボス戦であった。本作ではイベント上の流れでサバトマを使い、雑魚との連戦を経てレオナルドと戦うだけのものになっており、強さは変わっていないのでアッサリ終わってしまうものになってしまった。
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終盤のルートの1つではイベントの選択肢により最強の魔神が仲間になり、FC版はLv100で加入し唯一無二の存在感を発揮していた。しかし旧約ではLv99と1下がっており、仲魔の攻撃力がLv×強さで算出されている『II』ではこれが単純に弱体化になってしまっている。微々たる差ではあるのだが…
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宝箱のフラグ管理バグ
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序盤の宝箱の開けたというフラグが後半の宝箱と共有されているものがある。このため序盤から宝箱をとりまくっていると、後半のダンジョンの宝箱に空のものが多くなってしまう。
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これも特に『II』で多く見られる。宝箱の回収を細かくするプレイヤーにはキツイバグである。ただクリアに影響が無いのが救いか……。
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このバグは後期ROMとWiiのバーチャルコンソールでは修正され、問題なく宝箱を入手できるようになっている。
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デビルバスターについて
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『II』冒頭でプレイするデビルバスターは、『I』のダイダロスの塔と同じ構造を2Dで再現していた。
……のだが、今作では『I』のマップが大幅に変更された為、『I(旧約版)』と構造が違うという事に。台詞などは変わっていないので違和感が拭えない。
総評
『I』がプレイしやすくなっており悪いリメイクではないのだが、『II』の部分の細かい劣化部分や宝箱バグが目立ってしまい、特にFC版経験者からの評価を下げている部分もある。
ただ真·女神転生からのプレイヤーの評判はそれほど悪くなく、気軽にシリーズの原点を楽しむことができる作品である。
その後の展開
2012年7月3日にはWiiにおけるバーチャルコンソールに配信されたが、Wiiショッピングチャンネルが終了し、本作の配信も終了したため、現在では入手困難になっている。
最終更新:2023年12月01日 05:15