全長:58 m
重量:600 t
動力:原子力エンジン
エネルギー:超電磁エネルギー
最高飛行速度:マッハ16→マッハ20
「ブイ、トゥーギャザー!!」
「レェェッツ!ボルト!」「「「「イィィィィン!!」」」」
「ボォォルテェェス、ファァァァイブ!!」
東映ビデオ企画・
サンライズ制作のロボットアニメにして、長浜忠夫氏が監督した「長浜ロマンロボシリーズ」第2作『超電磁マシーン ボルテスV』の主人公機。
それまでのロボットアニメとは一線を画した高いドラマ性から「ロボットアニメ版大河ドラマ」と呼ばれたことも。
前作『超電磁ロボ コン・バトラーV』の「V」は「
ブイ」と読むのに対し、こちらはローマ数字に倣って「
ファイブ」と読む
(ただし合体前に組む
隊列「Vトゥギャザー」は「ブイ」読み)。
デザインしたのは
ガンダムや
レイズナー等も手掛けた大河原邦男氏(当時はデザインオフィスメカマンの社員だったため、メカマン名義)。
なお、スポンサーの意向(玩具化のし易さ)が優先されたデザインだったため、スタッフからは「烏天狗」と評判が悪かったらしい
「角を持つ者が貴族で持たない者は奴隷」と言うボアザン星人(ボアザン星人も半数以上は角を持たない)の侵略に対抗すべく、
剛健太郎博士及び彼の妻・光代主導の下で建造されたスーパーロボット。
「ボルトマシン」と呼ばれるメカ5機で構成される。
同じ5体合体のコン・バトラーVと異なり、
分離が自由で戦術に幅が広がっている反面、
いざという時に気持ちの甘えが出ない様に合体後は
脱出装置が無い。
『スパロボ』では普通にあるが
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ボルトマシン及び各パイロット詳細 |
各パイロットは全員開発者及び後援者の血縁者である
(前作『コン・バトラーV』にはなかった特徴。一応紅一点だけ開発者の娘だったが)。
頭部を構成する戦闘機。マッハ20という超高速で飛行可能。
合体時には全動作を統括するため、ボルテスの頭脳と呼べる。
パイロットは剛健太郎博士の長男である剛健一(トップ画像中央。声:白石ゆきなが(現・白石幸長))。
射撃を特技としているが、(スポンサーの要求により)ボルテスの必殺技が剣技だった事や下記の余談の通り獣士の必殺剣の前に一度破れた為、
リベンジの為に大次郎と特訓に励んだことも。
てか、ガンマンだとカウボーイの一平とある意味被るし…まぁそれ故に一平の特技が銃ではなく鞭や投げ縄になったのだろうが
腕部を構成する重爆撃機。リモコンによる誘導も可能。
合体時には武器系統を制御する。
パイロットは剛健太郎博士の師・浜口博士の孫である峰一平(トップ画像左上。声:
曽我部和行(現・曽我部和恭)
)。
カウボーイで鞭捌きや乗馬に長けており、全米ロデオ選手権3年連続優勝の実績を上げている。
斜に構えたクールで皮肉屋な性格で健一と衝突することも多い この当時のお約束的な二号機乗り。
胴体を構成する重戦車。
戦車ではあるが、前作のバトルタンクとは違いマッハ15で飛行も可能(バトルタンクはバトルマリンに運搬してもらっていた)。
合体時にはエネルギー制御を行う。
パイロットは剛健太郎博士の次男である剛大次郎(トップ画像右上。声:
玄田哲章
)。
様々な武道に秀でた巨漢であり、前述の通り健一の剣術の特訓にも付き合うほどで、実際に白羽取りの極意を授けもした。
西郷隆盛に憧れているため 兄弟一人だけ鹿児島弁で喋る。 つまりエセ九州男児。いくら前作の該当キャラが熊本出身だったからって…
腰と脚部を構成する潜水艦。
水中戦を意識した設計がされており、潜水可能で水中戦用の武器を多数装備する他、修理装置も備わっている。
パイロットは剛健太郎博士の三男である剛日吉(トップ画像左下。声:
小原乃梨子
)。
若干8歳ながらロボットを自作できるほど機械工作に精通しており、実際にタッコちゃんをも製作した。
足首を構成する万能装甲車。
コン・バトラーVのバトルクラフト同様、2つに分離して合体する。
索敵・偵察に長け、飛行は勿論、格納されている4基の「ランダードリル」で地中潜行も可能。
パイロットに合わせて手裏剣や煙幕も装備している。
パイロットは地球防衛軍長官の娘で 甲賀流十八代目の岡めぐみ(トップ画像右下。声:上田みゆき)。
本作の実質的なヒロインは剛健太郎博士な為、紅一点ではあってもヒロインとは言い辛いキャラであり、健一とのロマンスも皆無。
なお父親である岡防衛長官も その恰幅の良さに見合わず甲賀流十七代目である。
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武装・特殊装備 |
胸の赤い部分から放たれる光線。主に牽制に使う。
回によって名称や光線の色が異なり、ボルトレーザーだったり超電磁ウェーブだったりする。
スパロボでは全部まとめて採用されている作品もある。
腰のベルトを引き抜くと鞭になる。ただしメインの使用法は超電磁コマを操る為の紐。
パイロットの健一は超電磁ストリングと呼称。
腹から射出される コマ。 胡麻ではない(一応ヘソのゴマにかけたシャレだとは思われるが)。あとこの時の描写から腹部は空洞
側面に4本の刃が付き、上下の芯は針状に尖っている。前述の通り超電磁ストリングスを巻き付けて操る。
ぶっちゃけ前作の超電磁ヨーヨーの焼き直し
手首を格納して放つ鎖付きの分胴。
右手首を90度曲げると砲身が出てくるバズーカ。折れた右手首は銃のグリップの様に左手で握る。
パイロットの健一の特技である射撃を最大限に活かせる武装。
他にも健一が「ボルテスバズーカー!」と語尾を伸ばして発声することでも印象深い。
スパロボでも弾数制で天空剣に割くENを温存しつつ雑魚戦をこなせることもあって重宝する。
手首を格納して発射するミサイル。
上記と併せて手首から出てくる武装が3つも被っているが格納場所についてツッコんではいけない。前作もそうだったし
これまた健一の「ガトリングミサイール!」と、妙な所で伸ばした発声が耳に残る。
後述の『スパロボDD』では『フルメタル・パニック!』とのコラボで同作品の超高速ミサイルが弾頭として装填されていた。
腰のバックルを開いて使う火炎放射器。火球を撃つ事もできる。
グランドファイヤーと同じ場所から発射するミサイル。
ボルテスVを象徴する大剣。
胸の赤いパーツからグリップが伸び、両手で掴んで赤いパーツを胸から外すと刀身が生えて剣になる。
刀身に帯びた超電磁フィールドで 対象の分子結合を破壊するというメカニズムの為、理論上 切断出来ない物はほぼ存在しない。
この剣で放つ必殺技の代表格が「天空剣・Vの字斬り」で、他に「一文字斬り」「十文字斬り」「二段斬り」も披露した。
Vの字斬りは「振り下ろしが直撃した瞬間BGMストップ」→「胴中央で剣先を捻る手元をアップに」→「切り上げと共に離脱、爆発」という、
必殺シリーズもかくやな 殺意と外連味が満点で、ロボットアニメや スーパー戦隊における「〇〇剣××斬り」と言う必殺技の元祖だとされている。
刃が食い込んだ剣をあんなひねり方しても折れない理由については、上記の超電磁フィールドで説明出来る。 実体剣に見えて実質ほぼビームサーベルとか、実はレーザーブレードのご先祖様にもあたるのでは?
また、後述するボアザンの守護神ゴードルも「 神空剣」という大剣を持っており、互角の鍔迫り合いを繰り広げた点から、
そもそもボルテス自体がゴードルを元に設計された可能性も考えられる(理由はネタバレになるが)。
ちなみにボアザン側に脅されたビッグファルコンの整備員によって胸部パーツが溶接されてしまい使用できず、窮地に陥ったエピソードもある。
獣士ナマズンゴの反超電磁ビームを受けて合体を強制解除されたボルテスVの再合体に用いられた新型超電磁エネルギー発生装置。
元々はビッグファルコンに積まれており、大きさもボルトマシン並な上に人体への悪影響を解決出来ずにいたのだが、
ボルテスの窮地を前にぶっつけ本番で使った事で再合体に成功。
その後は制御回路の完成及びボルトマシンに搭載可能なまでの小型化に成功した。
ボアザンの科学者にして将軍ド・ベルガンの齎した「マキシンガル合金」により、
超電磁フィールド対策がされた為天空剣が効かない鎧獣士の登場でピンチに陥った際、
突如援護に現れマキシンガル合金の装甲を劣化させた謎の「鷹メカ」の光線を参考にした超電磁加重砲。
超電磁粒子による凄まじい超電磁加重圧をかけ防御力を低下させた後に天空剣に繋げる新必殺技「天空剣・超電磁ボールVの字斬り」が生み出された。
また、これらのデータからマキシンガル合金対策を強く推し進めた結果、ド・ベルガンの纏った同合金製の甲冑を貫く手裏剣の開発に成功している。
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日本のアニメでありながら、フィリピンでは
国民的アニメとして扱われている。
最高視聴率58%を記録したり、本作のOPを歌った堀江美都子女史が国賓待遇を受けたり、
2006年度には安倍晋三総理夫妻がある施設を訪問した際に、現地の若者達から本作のEDを歌って歓迎されたり、
フィリピン人の大半は「ボルテスVの歌」を日本語で歌えたり、それはフィリピン陸軍の軍歌にも採用されたり、
2023年に
実写+CGでリメイクされたりと、伝説に事欠かない。
後、足の太いバンブルビーや人間の顔が出てるダンガードAの立像がある遊園地に、ガチなクオリティのボルテスVが置かれている
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フィリピンと『ボルテスV』との関係性 |
そして本作の最終回が間近に迫る1979年8月、当時のフェルディナンド・マルコス大統領が名指しで放映禁止の命令を下し、大騒ぎとなるのであった。 *1
その後、1986年のエドゥサ革命によりマルコス政権が倒され、残りの回も晴れて放映されるに至った。
この辺りの出来事から 「本作の最終回が見たいが為に革命を起こした」というジョークまで存在するが、
前述のNHKの取材によると、既にブームは過ぎていたとか。一方で1999年に再放送された事で再びブームを起こしている。
なお、エドゥサ革命直後に大統領の座に就いたのはマルコス大統領に敵視され国外追放されたベニグノ上院議員の妻、コラソン女史である
(世界的にはエドゥサ革命が起きた原因は、マルコス大統領(の命令を受けた兵士)によるベニグノ氏暗殺が原因とされている)。
また「マルコス大統領とコネが無かったから(コネのある局が『 ゲッターロボ』等を放送するも視聴率で負けたから)」と言う証言も存在する。
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外部出演 |
『スーパーロボット大戦』シリーズでは『新』で初参戦。
当時既に引退していた健一役の白石氏を 原作通りキャスティングしており、
出演名義も放送当時の芸名であった「白石ゆきなが」が一貫して使用されている。
『α』シリーズ以降は『コン・バトラーV』との共演が多く、合体技も実装されている。
大抵の場合はコン・バトラーとは開発者同士に交流があり兄弟機のような扱いなのだが、
携帯機シリーズの『L』では相次ぐワープ事故の結果として、『マクロスF』における民間軍事会社「S.M.S」に拾われ、
さらに平行世界から来たという設定になっている。
おかげで小説版マクロスFのライターは危うくボルテスチームが居る事前提で書きそうになったとか
他にも、DLCで参戦した『30』でも 他のDLC参戦作品同様に別世界から飛ばされてきた設定であり
(ご丁寧にも飛ばされてきた場所がフィリピンのマニラである)、
これらでは無関係なのに何故かそっくりロボ同士になってしまったコンV陣営と多少の衝突もあったりする。
コンVのメインパイロットに「反骨心」があるのはこっちに向けたものじゃないだろうな?
元不良少年で喧嘩っ早い豹馬と、 真面目で長男気質の健一では性格が水と油なので、クロスの際は大体反りが合わない所から始まるが、
どちらも仲間との友情とチームワークを大切にしている点で通い合う物があるとして和解するのがお約束となっている。
まあ、豹馬は獣戦機隊(『 超獣機神ダンクーガ』の主役チーム)等とも似たようなトラブルを起こしがちなので、
元々トラブルメーカー扱いされてる気がするが…。
なお本作の重要人物では、岡防衛長官もガンダムシリーズ以外では希少になりがちな司令官クラスの軍人であることも相まって、
スパロボ時空では ブライト・ノアや 車弁慶(『 チェンゲ』)の上司である事や、
それ故か ジャミトフ・ハイマンやバスク・オムといったティターンズ陣営には真っ向から対峙する度量をも見せている。
スマホゲーム『DD』では本機の開発の参考にジェガンが用いられており、原作通りボルテスVの窮地を前に、
剛三兄弟の母光代が敵獣士に特攻するのだが、その際にもジェガンを用いている。
他にはクロッシングパイロットでは 相良宗介らミスリルチームが乗り込んだりもした。
なお、宗介役の関智一氏はボルテス直撃世代だったため、 台本では語尾を伸ばしていなかったのに
「超電磁ゴマァァァ!!」「ボルテスバズーカー!!」「天空ぅぅぅ剣!!」と健一のイントネーションを再現する宗介を自然に演技していたとのこと。
まあ、関氏は『新』で共演した ドモン・カッシュでもあったわけだし多少はね?
ちなみにスパロボ民的にはボルテスはさらでも敵のボアザン軍が母艦として使用する、
頭に城を乗せた角付ドクロ型空中要塞「スカールーク」の外見のインパクトの方が印象が強いかも知れない。
しかもこの要塞、 口から巨大ドリル衝角を突き出して衝角戦を挑んでくるのである。
昭和のスーパーロボット物の敵はインパクト勝負とはいえ、 発想のスケールで…ま、負けた…。
どこにあんなデカブツを格納しているのかとツッコむのは野暮。昔のアニメだし。え、ギガドリルブレイク?聞こえんな
ちなみに初出の『新』では主役機が同じく角ドクロモチーフの外見をした『大空魔竜ガイキング』が味方におり、
仕舞にはドリルまで使い始めるので「あれ、こいつどっちの作品のメカだったっけ…?」と惑わされかねない状況であった。
なお、スカールークのせいで 大空魔竜はスパロボでは純地球産なのに異星人の戦艦とよく勘違いされる
(『ボルテス』『ガイキング』の初参戦の『新』のシナリオライター曰く、
「スカールーク見た後に大空魔竜見たら、異星人の戦艦にしか見えないだろう」。さもありなん)。
ライバルのプリンス・ハイネル( 演:市川治)は「敵の前線指揮官として何度もぶつかった美形のライバル」
「実はメインキャラの兄」「 最後は和解しながらも悲劇的な最期を遂げる」といった内容から当時の 腐女子お姉様方から 大きな人気を集めた。
そのため所謂「 美形悪役」の先駆けとされ、「美形悪役といえば市川治氏」という評判にも繋がった。
(前作の大将軍ガルーダも美形であり相応の悲劇的背景もあったが、単なる悪役に過ぎなかった)。
そして次作『闘将ダイモス』のリヒテル提督も多くの共通点を持つためか、
両作品が共演する『第2次α』では条件を満たすと最終決戦の援軍に兄貴タッグで現れる上、
『第3次α』でも生存ルートが正史として扱われ、互いの母星の為に協力し合う姿が見られた。
ついでに、バーム星人は有翼だから暗黒ホラー軍団(ガイキングの敵)の一般兵士「暗黒鳥人」に似てて紛らわしいなあと思ってたら、 本当に暗黒ホラー軍団がバーム星人を洗脳して兵士にしていたという酷いクロスオーバーもした
『ダイモス』関連では他にも、同作での極端で横暴なタカ派軍人として悪名高い三輪防人長官が、
『第2次α』において横暴の限りを尽くした末、岡長官が逮捕状を突きつけるという美味しい所を頂く形にもなった。
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戦闘デモまとめ |
『新』版
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『α外伝』版
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『第3次α版』
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『AP』版
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『L』版
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『DD』版。パイロットはミスリルの皆さん
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『30』版
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長谷川裕一氏が描いた、長浜ロマンロボが 共演する漫画『ビクトリーファイブ』シリーズ及びその派生作品では、
強化パーツに変形する追加マシーン二機を加えた「ボルテスVII(セブン)」という強化形態が登場した他、
『勇者ライディーン』と共闘したシリーズ『ゴッドバード』では、
国連軍主導による量産型超電磁マシーン「マグネスファイブ」が 建造されたものの敵の陰謀により敵に回ってしまうという展開がなされた
(外観と能力はコン・バトラーとボルテスの相の子。ちなみにマグネスファイブの名前はコン・バトラーの名称の没案である)。
一方で原作最終回で宮殿の崩壊に巻き込まれて死んだと思われていたプリンス・ハイネルは生きており、
過去の自分への戒めの為に2本生えていた角の内1本を折った上で、「仮面の騎士モノホーン」として陰ながらビクトリーファイブを支援していた
(ハイネルはボアザン貴族として育った故に差別主義者だったが、根は真面目な善人と言うのが原作時点からの設定である)。
もしかしたら火消しの風の元ネタかもしれない
また、原作で我が身を捨てて起動した守護神ゴードル像の別個体を史跡から発見して愛機にしており、こちらの頭部も片角に改装している。
なお、こちらは 紅蓮の業火に身を投じさせる試練は未実装……取り外したのだろうか? 単に旧ゴードルがキ〇ガイ仕様だっただけかもしれないが
また前述のリヒテル提督も『ゴッドバード』では『勇者ライディーン』の魔王バラオに利用されたふりをして復活、陰ながら活躍するという好待遇を受けた。
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(以上、スーパーロボット大戦Wikiより引用・改変)
MUGENにおけるボルテスV
Spinicci Giacomo氏によるDOSMUGEN専用キャラが公開されている。
手描きの一枚絵を使った
スプライトで構成されている。
一部スプライトに抜けがあり、
投げ技を食らうと姿が消えてしまう。
操作性は2ボタン方式。ジャンプして天空剣で攻撃する
必殺技がある。
AIは搭載されていない。
出場大会
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フィリピンでの放映禁止に関する噂とそれにまつわる『ボルテスV』終盤の展開(ネタバレ注意) |
フィリピンでマルコス大統領(当時)が『ボルテスV』の放映禁止命令を下した理由について、
終盤の「剛健太郎の正体は地球に亡命したボアザン星人で、ボアザン星に帰還して改革派の将軍達と共に革命を起こす」という内容から、
「マルコス大統領が『皇帝ズ・ザンバジル=マルコス、健太郎=ベニグノ・アキノ』と見做される事を危険視したから」
と言う話が日本では有名だが、これは元ガイナックス代表の岡田斗司夫氏による仮説に過ぎない事には注意されたし。
そもそも、ズ・ザンバジルとラ・ゴール(健太郎)は従兄弟である(ザンバジルの父親は先代皇帝で、ラ・ゴールの父は皇弟)。
ズ・ザンバジルは妾腹だったが、(皇太子が病弱だった事により)皇位継承者となったラ・ゴールの角が偽物である事を突き止めて労奴に堕とす事に成功。
代わって自らが皇帝の座に就いた。
更に言うとプリンス・ハイネルと剛三兄弟も異母兄弟である
(ハイネルは皇族時代の子(生まれたのは奴隷になった後)、三兄弟は前述の通り地球人・光代との子)。
ちなみにハイネルがラ・ゴールの子として生まれたように、角の無い者から角のある者が生まれるというケースも存在するが、
誰もがハイネルのように貴族入りする事は出来ず、闘奴や兵卒が関の山とされていた
(まぁハイネルの母・ロザリアの実家も名門貴族だったのが大きかったのだろう。
後年の『 ゾイド』にも きれいなプー様バトスト版プロイツェン(アニメ版とは別人)と言う同類が居るし)。
その為、ボアザン帝国の侵略兵器である獣士の頭脳に選ばれる事は、彼らにとっては栄誉とも言えた
(実際、達人級の武芸者がハイネルから角を受け賜り貴族入りし、必殺剣を以ってボルテスVを一度は敗退させた事もある)。
そしてラ・ゴールは、労奴達の余りの過酷な環境故に一度彼らを率いて反乱を起こしたのだが、失敗した事で地球に亡命
(なお、ラ・ゴールは角を持たずに生まれた為か、皇族時代から差別に疑問を持っていた)。
この事からハイネルは 「逆賊の子」というレッテルを貼られ迫害され続けてきた。
転機となったのはハイネルがズ・ザンバジルの眼に留まり、地球征服軍の司令官に任命された事であり、
この事により「自分を引き立ててくれた叔父上」であるザンバジルに忠誠を誓っていたのだが、
ザンバジル自身は自分より血筋の良いハイネルによって皇帝の座から引きずり落とされる可能性を危険視していた。
その為、地球征服軍司令官という辺境の最前線送りにする事であわよくば戦死してくれる事を期待しており、
彼の動向の把握の為にド・ズールやド・ベルガン等の間者を送り込み、直接暗殺する事さえも目論んでいた。
なお、当のザンバジルは「妾腹の子」として周囲から白眼視され続けた事により鬱屈した性格を形成。
ラ・ゴールを追い落として皇帝の座に就いた後も周囲への怨念は晴れる事は無く、
労奴を酷使して搾り取った税により建立された黄金城に居を構えて贅沢三昧の生活を送っており、
その後も「高貴なボアザン文明を宇宙へ広げる」という美辞麗句のもと、周囲の惑星に対しても侵略戦争を仕掛け労働力を確保し、
ついにその魔の手を地球に伸ばす事となった。
そして作中終盤においてボルテスチームに追い詰められた事や、ラ・ゴールに率いられた労奴達による革命の足音が迫る事態を前に狼狽える事しか出来ず、
他の貴族達も保身の為に我先にと逃げ出し続け、ザンバジルも財宝の数々を可能な限り抱え込んで脱出しようとした矢先にボルテスチームと遭遇。
命惜しさに「一連の侵略はハイネルによるものだ」と責任転嫁をされたハイネルは、その皇帝らしからぬ醜態に激怒して彼を誅殺。
「余はこんな蛆虫の為に戦い続けてきたのか…」と慟哭、ザンバジルが落とした爆弾と宮殿の崩壊に巻き込まれて消えていった。
なおハイネルはこの直前までラ・ゴールの事を知らなかった(母はハイネルを産むと同時に死去。育てた祖父母は父は死刑になったと伝えていたらしい)。
と、このようにザンバジルを含めてボアザン星の貴族達は腐敗の極みといえる俗物ばかりだったが、
その一方で先述の改革派の将軍(改革派の証として自ら角を折っており、後の仮面の騎士モノホーンの元ネタとも言える)が居たり、
ハイネルにもルイ・ジャンギャルやリー・カザリーンのような忠臣達が居たり(尤もカザリーンは忠臣と言うよりは色恋の方だが)、
ロザリアのようにラ・ゴールの秘密を打ち明けられても尚、変わらず彼に愛情を示した者等、良識的な人物も存在する。
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最終更新:2023年04月11日 21:43