オセチなる物が日本にはあるらしい。
文句を言いに立ち寄った弁護士事務所に居た、小さな霊媒師の知り合いが、味見をさせてくれた。
甘い栗、ホクホクの豆、じんわり染み入る昆布。
玉子やらは今から焼きます、と言いながら、いくつかをお土産にもらった。
自慢をしようと、仕事納めの後ではあったが、検事局に寄る。
予想通り、居た。
「見なさい!御剣怜侍!これがオセチよ!!」
書類に埋もれていたレイジが顔を上げる。
そして、私の手にする包みをみて、何故か苦笑した。
「何がオカシイの?」
「いや、それは春美君の作った物だろう?先ほど私ももらったのだ。」
なんて事!
私は罰の悪い思いを噛み締めながらも、このまま食い下がるのも悔しくて、私の方が良いものをもらったと主張した。
「ほら見なさい!こんなにたくさんの栗!私の方が多いに決まってるわ!それに豆!私の方が黒いはずよ!昆布だって、巻き数を比べれば、私の勝ちは歴然とするはずよ!!!」
すると、レイジは驚いた表情。
フン、やっぱり私の勝ちね!、と思ったら。
「私がもらった品とは違うようだ。」
「・・・?オセチが違うのかしら?」
「いや、オセチに違うも何も無いのだが・・・。」
「いいから見せなさい!」
レイジが取り出したケースにも、綺麗な金色の模様が付いていた。
そして確かに、中身が違う。
ツブツブな玉子の塊に、ピンクと白の蒲鉾。赤と白の野菜もあるし、煮物らしき物まで入っている。
品数で負けた・・・。
何とか挽回しようと私のオセチの素晴らしさをまくし立てるが、レイジはケースを観察しては唸っている。
「ちょっとレイジ!聞いているのかしら!?」
レイジは腕組みをしながら唸る。
「・・・ひょっとしてこれは・・・。」
トントン。
可愛らしいノックと共に現れたのは、ピョコンと髪を結わえたこの度のコックさん。
「あ、やっぱりこちらにいらしたんですね。ようやく三段目も出来上がりました。お二人のお口に合うか分かりませんが、どうぞお召し上がり下さい。」
そう言いながら、レイジのオセチの上に私のオセチを乗せ、その上に新たに持ってきたケースを重ねた。
ケースの横の模様がぴったり合っている。
呆気に取られる私達をしりめに、小さなコックさんは髪をピョコピョコ揺らしながら、「それでは良いお年を。」と帰っていった。
「・・・オセチが合体したわ!」
私は日本の料理に驚きを隠せない。
レイジは苦笑して言った。
「どうやら新年は君と一緒に過ごさねばならないようだ。それから、春美君にお年玉も用意しないといけないな。」
よく解らなかったけど、私のオセチがレイジよりも上になったので、とりあえず許してあげる事にしよう。
最終更新:2010年02月01日 18:18