二人は無言のまま、事の余韻に身を委ねていた。
先ほどの激しさはなんだったのだろうか。
御剣は目を閉じて耽っていた。
浮かぶは先ほど目の前で見た女性の恥態。
なまめかしく濡れた唇からは絶えず御剣を欲しがる音を出し、くびれた腰を無意識に振ってはその刺激に嬌声をあげる。
ふいに意識が戻れば、逃げないように、何処にも行かないようにと、御剣をきつく抱き寄せ口付ける。
そして御剣の口内を余すところなく吸いあげて、結局自分が溶ろけてしまい、また、理性は放たれる。
まさに身体を求めてくるその様に、御剣は本能を射ぬかれ、彼女の欲求を満たすだけだった。
獣の戯れとはこのようなものかもしれない。
御剣はそう思った。
しかし、おそらく先ほどつけられたものだろう、じわりと痛む背中の傷は、言い換えれば彼女からの愛の証。
思い出せば、さらに痛む背中に、御剣は苦笑した。
確かに愛ゆえの傷なのだが、ならば彼女はなぜ、いつも情事の後で離れて眠るのか。
御剣の苦笑は止まらない。
身体一つ分離れて背中を向けていた彼女も、御剣の笑いに気付いたようだ。
「何を馬鹿みたいに笑っているのよ。」
理由が分からないとするすねた顔は、昔から変わっていない。
先ほど見た淫らな女性と同一人物だとは到底思えないぐらい、幼い表情。
さらに笑う御剣にカチンときたのだろう、シーツの中ズリズリとにじり寄ってきて、御剣の胸をポカポカ叩いた。
「何なのよ!教えなさい!レイジだけ笑うなんて生意気よ!」
この意味もなく負けず嫌いなところも、あれだけの事をしようとも正気に戻ると顔も見られなくなるぐらいの恥ずかしがり屋なところも、本当に昔から変わらない。
だが、あの妖艶な表情はいつ憶えたのだろうか。
御剣の笑いがふと止まった時、気がすんだのか胸を叩くのをやめて彼女は言った。
「しょ、しょうがないわね。どうしてもって言うなら・・・もう一回しても、いいわよ。」
どんなに強気に言おうが、顔を真っ赤にしていては心は読めたもの。
御剣は優しく微笑んで、彼女の期待に応える事にした。
夜は長い。
後どれぐらい彼女を満足させればよいのかを考える。
…多少、頑張れ自分、と下半身を励ましながら。
なぜなら、それが、彼女をここまで淫乱に仕上げた自分の勤めだから。
明らかに自分が教えた快楽に洸惚の表情を見せる彼女への愛の証だから。
最終更新:2010年02月01日 21:52