子育て中ミツメイ
「さ、今日の食事は南瓜の牛乳煮だ。沢山食べるのだぞ」
たまの休みには子供に離乳食を食べさせたり、散歩に連れて行ったりする。
御剣は良い父親と言えそうだった。
「うー、まんま、まんま」
「そう、まんまだな。いい子だ、あーん」
バンバンと机を叩いて催促する赤子にスプーンを向ける。
が、子供はぷいっと顔を背けてしまった。
「どうした?まんまだぞ」
何度スプーンを向けてもイヤイヤと首を振る我が子に、御剣は少しばかり苛立ちを感じてしまった。
「好き嫌いはよくない。食べるんだ!」
半ば無理矢理、口にスプーンをねじ込ませる。
「いい子だ、さあもう一口…」
「ぶーー!!」
二口目を掬おうとした御剣に子供の反撃が降りかかった。
「まんま!まんま!」
「レイジ大丈夫?……ふふっやられたわね」
子供の声が気になってやってきた冥が目撃したのは、むずがる子供の前で離乳食まみれになってブルブルと震える御剣の姿だった。
「まんまんま!」
「はいはいママですよ。ご飯は嫌なのね」
冥が抱き上げると赤ん坊は大人しくなる。
「何故だ!先週は美味そうに食べて、おかわりまでしていたではないか!」
「最近はご飯よりミルクがいいみたいなのよ。そういう時もあるの」
片手で器用にボタンを外し、顔を拭く御剣を横目に授乳を始める。
「イタッ…もう」
「どうした?」
「噛まれたのよ。歯が生えてきたから…イッたい!めっ!」
「んまー…」
額を寄せて子供を叱る冥。胸元はノーガードだ。
「ふむ、血が滲んでいるではないか。随分きつく噛まれたな」
「ちょっ…レイジ!」
「只の消毒だ」
ぺろりと乳頭を舐め、ソフトに吸う。
「痛かったろう…イダダダダ!」
「まー!んま!まんま!」
髪をむしられる勢いで引っ張られて堪らず口を離した。
「レイジ、だっこしてて。ミルク作ってくるわ」
赤ん坊を御剣に預けると冥はキッチンへ走っていく。
「まーんま!んま!」
「…君に一つ忠告しておこう」
額に皺を刻み、母親かミルクかを要求する赤ん坊に通達した。
「冥は私の妻だ。従って冥のバストは私のものだ。
君には一時貸しているに過ぎん。取り扱いに充分注意を払えないなら、君の賃借権を取り消さしてもらう。
いいか、これは威しではないぞ。君が人工乳育ちになりたくなかったら以降は態度を改めてあの胸を血が出るまで噛むなどという愚行は慎んで貰いたいものだ」
「…何バカな事言ってるの」
「ぬぅ!?は、早かったな」
「まーんま!」
「はいミルク。飲ませて頂戴」
暴れる子供に補乳瓶をやるとヂュウヂュウと勢いよく吸って中身がドンドン減っていく。
それに比例して御剣の眉間から皺が消え、口許はだらしなく弛み目がやに下がる。
「ぷぁー」
「おお、もう飲んだのか。よい飲みっぷりだ。沢山飲んで早く大きくなるのだぞ。
どうした?眠くなったのか?そうかそうかそんなに目を擦らずともよいぞ寝る子は育つのだ寝付くまで父が揺すってやるからな…」
補乳瓶を御剣の手から盗み、冥は苦笑した。
だが冥は知らない。
今は子供に夢中な夫が、三十分としない内に‘消毒の続き’の名目で胸を食み、激しく冥を求めてくる事を…
最終更新:2010年03月17日 15:25