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ミツメイ/デキ婚

  • 冥妊娠ネタ。HRネタ苦手な人は注意
  • エロまで長い&エロが少なくてすまん。
  • 逆転検事の少し後くらいの話


「レイジ、ちょっと」
「?」
ぐい、と袖を引っ張られて、その先を見遣ると。メイ―――この場所では同僚の「狩魔検事」と言ったほうが相応しいか―――
御剣の同僚である狩魔冥が、珍しく俯きがちに佇んでいた。今日は、新人検事の研修に向けて、講義内容の打ち合わせが行われていた。
上級検事である御剣や冥も、講師として参加する予定だからである。
1時間の休憩を、と室内にいた関係者たちが一様に部屋を出ようと席を立つ中、御剣は呼び止められたのだった。
「………」
「どうした、狩魔検事」
御剣の袖を掴んだまま発言を躊躇っているような冥に、御剣は軽く微笑んで先を促した。
「狩魔検事に限って、口ごもるなんて珍しい―――」彼女の表面しか知らない人間は、そう言うだろう。
しかし、御剣は知っている。彼女だって、恥ずかしいことや気まずいことがあれば、こうして口ごもることだってある、と。
「………ちょっと、二人になれないかしら」
「ああ、ちょうど休憩時間だ。構わない」
何か話があるようだ。御剣は快く頷いて、空きになっている別室へ向かった。

「………」
「で、どうしたというのだ」
普段は重要な会議に使用されるであろう、広い室内。そこにぽつんと二人、向き合って座る。
冥はなかなか切り出さない。さすがにおかしいと思い、御剣は言った。
「何か悩みでもあるのか?先ほどの会議で言い出せなかったことでも?」
それはないだろうと思いつつも一応尋ねてみる。彼女は、仕事上のことで御剣を一切頼らない。私から言えないからあなたが言って、
なんてことは、これまではおろかこれから先もないだろう。
「……………なの」
「?」
小さく、呟くようにして冥は言った。よく聞き取れず、御剣は無意識に身を乗り出す。
「キミらしくないな。どうした?よく聞こえなかったのだが」
「妊娠したみたいなの」
「……………。なにッ………?!」
まるで、ギリギリまで追い詰めていた被告の罪を、あの忌まわしいともいえる執念を持った弁護士に逆転されたような衝撃が、
御剣の頭にがつんと響いた。

冥は俯きがちのまま、目だけを上げて御剣を見つめている。まるで、いたずらがバレた子供のように。
「………」
「………」
「………なんとか言いなさいよ!」
「うグッ!」
怒号と共に鞭が飛んでくることを予感し、御剣は身構えた。………が、鞭は飛んでこなかった。
こほん、とひとつ咳ばらいをして、御剣は言う。
「………そ、その。びょ、病院には…」
「まだ行ってないわ。でも、検査薬が陽性だったの。…生理もきていない」
「う、うム………」
交際相手を持つ男なら一度は考える(と思う)「カノジョの妊娠」。
御剣も、そういった関係の相手が存在するからには、何度か想像したりはしていたが。
まさか、こんなに早いとは。
パートナーの妊娠を聞いた時はきっと、「ありがとう」などと言って恋人を抱きしめるなんて絵面を想像していたのに…現実に直面してみると、頭が真っ白になって、言うべき言葉も考えるべきことも浮かばない。
嬉しいとか、嬉しくないとか、そんな次元の問題ではない。法廷では、「コンキョのないことは言わない」などと鼻で笑っている御剣だが―――
もともと不器用な彼のこと。コンキョを用意できていない状態では、それこそ一発で地雷を踏むような発言をしてしまうことが多い。
「い…いつ、しくじったのだろうか。わ、私は、いつもしっかりと避妊を」
「私が他の男と寝たとでもいうの?!」
「むッ!」
きーんとした怒号に、御剣は今度こそ鞭が飛んでくることを予感して身構えた。
しかし、鞭は飛んでこない。
「………」
冥は、がっくりと肩を落としていた。
「ち、違う。そういった意味ではない。言い方が悪かった、しくじったというのも」
「………覚えていないのね、あなたは」
「………む?」
「避妊はしている、ですって?ならばあの時のことをどう説明するつもり?!」
「あ、あの時………?」
「あれは…、そう。3ヶ月ほど前のことよ。あなたが、泥酔して帰ってきた夜のこと」
「………あぁッ?!」
御剣は思い返していた。3ヶ月ほど前の、あの夜のことを。



二人は恋人同士であったが、仕事柄一所に落ち着けることがない。
それは、二人が同じ時間を、同じ場所で過ごすことが少ないことも示していた。
「一年のうち、半年もいられるわけじゃないのに家賃を払うのなんてバカバカしいわ」なんて愚痴る冥の言葉の裏に、「同棲したい」という意味を読み取った御剣は、日本で二人一緒のマンションで暮らそう、と持ち掛けた。
冥は、「あなたがどうしてもそうしたいと言うなら」なんて言いながら、嬉しそうに頷いた。
…とまあ、こんな経緯で同棲することになり、やがて二人一緒にしばらく日本で暮らせる機会が巡ってきた、あの時。
その日、御剣は珍しく「飲み会」なるものに招かれた。せっかく冥と長くいられる期間だというのに冗談じゃない、と思いつつ、なんだかんだで仕事仲間を大切にしている御剣に、飲み会の誘いを断ることはできなかった。
帰宅したのは、深夜2時。
「………おかえりなさい、レイジ。あんまり遅いから、もう寝ようと思っていたところよ」
ふん、とちょっとむくれた顔をした冥は、明らかに寝る様子もなく、むしろ玄関で帰りを待っていました、と言わんばかりに御剣を出迎えた。
「………」
「『トノサマン・辰!』ちゃんとDVDに録画しておいたのよ。あなたがどうしてもって言うから…」
「………」
「レイジ?」
返事のない御剣を不思議に思い、冥は眉をしかめながら彼を振り向いた。途端、重くのしかかってきた「何か」。
「ちょ………、レイジ?!」
それは、御剣の体そのものだった。ぷーん、と鼻につく濃厚なアルコールの匂い。
冥は思わずよろめきそうになったが、危うく態勢を立て直し、御剣の体を支えた。
「レイジ!あなた、こんなにお酒を飲む人だった?!」
御剣の顔は普段のまま。赤くも青くもなっていない。だからこそ、気づかなかったのだ。彼が泥酔していることに。
しかし、やはり目が違う。こう、「いつもより鋭い」というか。
大方、珍しく飲み会に顔を見せた御剣に、仕事仲間たちが浴びるほどの酒を勧めたのだろう。
断るに断れない御剣の姿が目に浮かぶ。
「レイジ、っ!」
とにかくリビングへ連れていこうと、御剣の体を支えたまま後ずさりしていた冥の体が、がっしりと包まれる。
御剣が、冥の体を抱きしめたのだ。
「………レイジ、」
「メイ」
こんな風にまともに抱きしめられるのは、いつぶりだろう。いや、されたことがなかったかもしれない。

ベッドの上で抱きしめられることはあっても、こうして互いに立ち尽くしたまま、ただ抱きしめられたことはなかったかもしれない。
まるで映画のワンシーンの中にほうり込まれたようで、冥は心なしか嬉しい気分になっていた。
「メイ」
耳元で囁かれながら、更に強く抱きしめられる。二人きりの時は妙に照れて、まともに名前なんか呼んでくれないくせに。
泥酔しているわりには落ち着いた低い声で、御剣は冥の名を呼ぶ。
「………メイ」
「な、何よ」
「愛している」
「………な、なッ?!」
火がついたように、冥の顔が赤くなった。そりゃ、冥だって御剣のことを心から愛している。けれど、言葉にはしない。
互いに照れ屋で、恥ずかしがり屋なことは承知しているから、たまに言葉が欲しいと思っても、ねだることなんてなかった。
「メイ…。キミが愛しい」
「れ、レイジっ!な、何言ってるのよっ!」
普段の彼とはあまりに異なる、ストレートすぎるほどの愛の囁き。冥の羞恥心は限界を超えた。
「も…もう、くだらないこと言ってないで!と、とりあえずリビングに行くわよ、この酔っ払い!」
御剣の胸をどんどんと叩いて、冥は渾身の力をもって彼をリビングへと引きずっていった。
「(とりあえず…水、よね)」
御剣をソファーに座らせると、冥はキッチンでグラスに水を注いでいた。御剣は泥のようにソファーに沈んでいる。
「ほら。飲みなさい」
「……………」
無理矢理顔を上げさせて、ゆっくりとその口元に水を含ませる。
だー…
しかし、虚しくも口内に含ませたはずの水は、嚥下されることなく皮張りのソファーへと滴り落ちていった。
「だらしないわね、もう!」
手近にあったタオルで、御剣の口元を拭う。まるで赤ん坊じゃない、と冥の言葉は呆れと怒りを表すものだったが…
実際、彼女の顔には微笑みが浮かんでいた。天才検事・御剣怜侍が、こんな失態を見せるのは自分だけということ。
それに、この上ない喜びと愛しさを感じていた。検事としては、いつもいつも私の一歩先を行くくせに…プライベートの、なんと情けないこと。
彼と交際する前までは、優越感しか感じなかったかもしれない。
でも、兄妹(冥的には姉弟)の関係から脱した後からは、こんな彼の一面を「可愛い」なんて思うようになった。
冷徹な検事・狩魔冥が穏やかな微笑みを見せるのも、彼と二人きりの時だけ。

「ほら、レイジ。とりあえず酔いを覚ましなさい」
もう一度水を飲ませようと、冥は御剣の顎を持ち、顔を上げさせた。
「………えっ」
腕を掴まれた。その腕が、確かな力をもって掴まれていることに、冥はきょとんと動きを止めてしまう。
それから、御剣の顔を見遣ると。…彼は、不敵な笑みを浮かべて、冥を見つめていた。
「きゃあっ!」
くるりと視界が反転する。鮮やかすぎるほど鮮やかに、冥はソファーに組み敷かれてしまった。
さっきまでソファーに溶けていた泥とは思えないほどの身のこなしで、御剣は早速冥の衣服に手をかけていた。
「い…いやッ、ちょっと、レイジっ………ん」
噛み付くような口づけで冥の言葉は遮られた。御剣の舌は無遠慮に冥の口内を支配し、彼女のそれを絡め取る。
強いアルコールの味。冥は、その深いキスだけで酔ってしまいそうだった。
「………や、待って、レイジ」
冥の乳房は早くも露出し、御剣の大きな手によって揉みしだかれている。
せめてベッドで、とじたばたしてみるが、圧倒的な体格差ゆえにその試みも無駄に終わった。
基本的に「完璧」を好む二人のこと。セックスまでの行程も暗黙の順序がある。
まず、仕事も食事も風呂も済ませ、あとは寝るだけ、の時にようやく始める。
…そんなことから、こんな明るいリビングの、しかもソファーの上でセックスをするなんて初めてのことだった。
「あ、レイジ、ちょっと」
するすると簡単に脱がされていく冥の衣服。気がつけば、残すは下半身の下着のみ。
「(レイジってこんなに器用だったかしら?)」
折り紙も満足に折れないくせに、などと頭の隅っこの冷静な部分で考える。
…なんて気を抜いていると、御剣もいつの間にかボクサーパンツ一枚になっていた。
酔うと人格が変わる人間もいるというが、不器用な人間が器用な人間に変わったりもするものなのだろうか。
「………メイ。メイ」
首筋や胸元にちくんと小さな痛みが走る。顎を引いて見てみると、真っ赤なキスマークが浮かんでいた。

「っあ、」
ちゅう、と乳首を強く吸われて、冥は体をのけぞらせた。
こんなところで、こんな状態でするのはイヤ、と考えながらも、やはり体は反応してしまう。「レイジとセックスする」自体はイヤでもなんでもないのだから。
かなり興奮しているのか、御剣は荒くなった呼吸を隠そうとも整えようともしないまま、冥を愛撫する。
「(まるで…獣だわ…)」
眼前の野獣を、冥は冷静な思考でそう称していた。乳房を痛いほど掴まれ、先端の尖った部分を吸われると、下半身がじくじくと熱くなっていく。
ベッドの上では、不器用なりに優しく愛してくれるはずの彼は、ここにはいなかった。
その荒々しさが、冥の興奮までをもかきたてる。
「あ、んっ、レイジ、お願い、だから」
懸命に御剣の胸を押してなんとか行為を止めようとするが、彼は何かに取り付かれたように愛撫に没頭している。
さすがにカチンときて、冥は叫んだ。
「御剣怜侍!婦女暴行の罪で起訴するわよ!」
「…異議なし」
「ないの?!」
聞き慣れた言葉で理性を呼び戻そうとした冥だったが、現在の御剣に検事の面影はなかった。
「れ、レイジ!」
「少しうるさいぞ、メイ」
「っ!」
するり、と足の間をすり抜けていく薄い布。とうとう全裸に剥かれてしまった。
「んッ!」
ずぷ、と鈍い感触がした。御剣の指が、冥の膣へ入り込んだ。いつもは一言あってからされる行為なだけあって、冥は驚きと衝撃で体を強張らせてしまう。
「何が婦女暴行だ。合意の上ではないか。ほら、こんなに濡れている」
ぐちゅぐちゅと膣内を引っ掻くように指を動かされ、冥は悔しくも快感を得てしまった。
更に悔しいことに、先ほどの荒々しい愛撫により、冥の体は御剣を受け入れる気マンマンで、ソコを濡らしていたらしい。
…自分が濡れていることなど、薄々気づいてはいたが、認めたくなかった。
「あっ、んんっ、やっ、れ、レイジっ、だめっ!」
「何がだめなものか。こんなにいやらしい音をたてて」
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ!と激しく指を動かされて、早くも絶頂が近づく。
こんなに激しく指を使われたのは初めてだ。

クリトリスや御剣自身で絶頂を迎えるのとはまた異なる感覚が、冥の下半身で競り上がってくる。
「い、いや、いく、いっちゃう、だめ、レイジ、あ、あ、あん!」
いやいやと首を振りながら、目尻に涙を浮かべる冥。その姿が男の加虐心を煽るとも知らずに。
御剣の指はいつの間にか2本に増やされていた。
「い、い…やぁ、いっ、いくううう!」
ぴゅ、ぴゅっ………
「え…」
何かが、自分の中から飛び出した気がした。絶頂の余韻に浸りつつ、御剣を見上げる。
「驚いた。メイ、キミが潮を噴くだなんて思わなかったぞ」
御剣の腕には、今しがた冥が吹き出したであろう液体が付着していた。
潮…とは。
聞いたことはあるが、まさか自分が噴くなんて思わなかった。今までの彼とのセックスでも、もちろんそんな現象は起こらなかった。
今更、「潮を噴いた」という事実に、かあと顔を赤くする。
「………んくッ!」
初めての経験に呆然としていた冥に、休む暇など与えられなかった。いきなり、大きな質量のモノが、まだヒクついて狭くなっている膣内部に侵入してきたのだ。
大きな影が覆いかぶさってきて、挿入されたのだと理解する。
「はぁっ、や、やぁん、レイ…ジっ」
あまりに強引な彼の行為に、もう抗う気すら起きなかった。もうこのまま快感を貪ってしまえばいいや、なんて惰性が冥を侵食する。
御剣は冥の背中にがっちりと腕を回し、1ミリも隙がない程体を密着させていた。
彼の腰だけが、冥の下半身をソファーに押し付けるように器用に動いている。
「はぁん…っ、レイジ…」
「メイ、………キツい」
達したばかりの彼女の膣内はかなりの狭さだ。冥にも、いつも以上に御剣のペニスの形、硬さ、熱さなどが如実に伝わってきていた。
「ん、く…あん、ああ、い、イイっ…」
内臓を押し上げられるような感覚も、彼に全てを支配されているようで心地良い。
御剣の広い背中にぎゅっと腕を回して、彼の荒い息遣いに集中する。

アルコールと、彼がつけている香水と、少しの汗の匂い。きっちりとシャワーを浴びた後では嗅ぐことのできない雄の匂いに、冥の雌の本能が刺激されていた。
「ああ…。メイ、………メイ!」
「レイジぃ…。あっ、あっ、ああん!」
ぐちゃっ、ぐちゃっ、と粘着質な体液の音が、リビングを支配する。
「(なんて…いやらしいの…!)」
こんな場所で、こんな状態で。けだもののようにセックスをする自分たちに、二人は今まで味わったことのない快感を得ていた。
少しばかりの背徳感が、普段は真面目な彼らにとって絶妙な刺激となったのだろう。
「………あ!いや、いやぁ、いっちゃうぅ、いきそう、レイジぃ…っ!」
ぎゅう、と冥の膣が収縮してゆく。御剣は、う、と小さく呻いた。
ふっ、ふっ、と息を逃しながら、彼は上半身を起こし、行き場を無くした冥の手を自身のそれで握った。
「い、いくぞ、メイ…っ」
「レイジ…っ」
額に汗を滲ませた彼の顔を見つめて、冥はふと思った。
「(レイジ…。そういえば、コンドームはつけていたかしら…?)」
そう考えてから、いや、つけていないはず、とすぐに答えを導き出した。
いつもと何か感覚が違うのは、コンドームをつけずに生のまま挿入しているからだ。
快感にのまれそうになる中、冥はひとかけらの理性をつなぎ止める。
「れ、レイジっ、中は…中に出したらだめよ?!………あ!」
弱々しく御剣の胸を押し、なんとか自分の中から出ていかせようとした冥だったが、ずく、と最奥を突かれて、呆気なく達してしまった。

「あ…あ」
力の抜けた冥の体を、御剣はまだ揺さぶっている。絶頂の余韻に流されそうになりながら、冥は譫言のように繰り返した。
「レイジ…、中は…だめぇ…!に、妊娠、しちゃ、………!」
「………っく」
「あ………ああッ!」
どくん…
一際深く腰を突き入れたままの状態で、御剣は動きをぴたりと止めた。
膣の奥で、御剣の亀頭からびくびくと生暖かい液体が吐き出されているのがわかる。
「レイジ…っ」
出されてしまった。避妊を怠ることがない二人にとって、膣内射精は初めての経験だった。
温かい精を胎内に吐き出される感覚は、正直悪くなかった。
しかし今は体の快感に浸るよりやらなくてはならないことがある。
「(洗わないと…!)」
膣内の洗浄を行ったところでなんの意味もないということくらい、冥にもわかっている。
しかし、気休めにやっておかなければ自分の気が済まない。
射精し、力の抜けた御剣の体は、ずっしりと冥の上に倒れ込んでいた。その体を押しのけるようにして冥が動く。
「ちょ…っと、レイジ、どきなさい!」
「……………」
少し体を動かしただけで、今だ繋がっている二人の結合部から御剣が放った液体が漏れ出してくるのがわかり、冥は赤面した。
それでもなんとか御剣の体を押しやった。
「んっ」
ずるりと膣内から御剣自身が抜け落ちていく感覚に体が震える。
「(………。と、とにかく)」
バスルームへ向かわなければ。立ち上がる際に体の奥から生温いものが流れてくる感覚に、冥は一瞬怯んだ。

その一瞬に、御剣はまたしても油断している冥の腕を掴む。
「きゃっ!れ、レイジ!」
「まだ終わっていないぞ、メイ」
冥は呆気なくソファーに沈まされ、矢継ぎ早にまだじんじんとしている膣内へペニスを挿入されてしまった。
射精して力を失ったと思っていた御剣のペニスは、まだ硬さを保ち、冥の体を快感で支配してゆく。
「ちょ、っと、やめ、て、レイジ、あんっ!」
ぐしゅぐしゅと先ほど膣内に放たれた精液を更に奥へと押し込めるように動かれる。
もうこれでは、洗浄をしても気休めにすらならないだろう。
「あっ、いやぁ、やめてっ、レイ…ジ…!」
冥は半泣きで懇願するが、御剣は聞き入れようともせず腰を動かしていた。
―――結局、3回目の射精が終わるまで、冥の体が解放されることはなかった―――



「……………」
「どうやら、思い出したようね」
御剣は顔面蒼白のまま冷や汗をだらだらと流していた。これではまるで窮地に追い込まれた青いスーツのトンガリ頭だ。
「(メイは…。なぜか私が酔って帰った後、3日間口をきいてくれなかった…)」
それは、酔って帰ったから冥を怒らせたのだとばかり思っていたが。実際は、酔っ払うよりもっと酷いことをしていたのだった。
なぜ今まで忘れていたのか…。
「まさにあの時、よ。あなたが私の上で眠りこけてから急いでバスルームに行ったけれど…後の祭」
「うム…。そ、それは…。す、すまなかった…」
しかし、今でも薄ぼんやりと覚えている。本能のまま乱暴に冥の体を蹂躙する快感。
それによって喘ぐ冥の恥態。射精感の赴くまま冥の内部に射精する支配感。
あまりはっきり思い出してしまうと、こんなところで勃起してしまいそうだ。
「…署名はしてもらうわよ」
「………署名?」
腕を組んでため息をついている冥を見遣る。
「堕ろすにも相手のサインが必要なの。近いうちオフがあるから、その時にでも書類をもらってくるわ」

“待った!”御剣の叫びがこだました。
「堕ろ………?ちょ、ちょっと待て、メイ!」
ガン!と机を叩く。何よ、と冥は何事もなかったかのように御剣を一瞥した。
「め…メイ!キミは堕ろすつもりなのか?!そ、その、私たちの子供を!」
「私たちの子供って…大袈裟ね。だって、そうするほかないじゃない」
冷静に話している冥が信じられなかった。まだ御剣の言葉も聞いていないというのに、冥は堕胎するつもりでいる。
「し、しかしッ…」
「私たち、今が大事な時でしょう?それに、結婚もしていないのよ。…堕ろすほかに、何か方法があって?」
“異議あり!”いつの間にか、二人は法廷に立つ時のように立ち上がり、互いに指を突き付けていた。
「そんなことはどうにでもなる!結婚なんて、それこそ書類の一つにサインでもすれば簡単に成し得るではないか!」
“異議あり!”「仕事はどうするの?計画性のない妊娠で周りを巻き込んで、ぬくぬくと産休を取れというの?!」
“異議あり!”「そのための産休・育休制度だろう!キミの枠は私がカバーすればよい話だ!」
“異議あり!”「……………」
冥はぎゅっと唇を噛み締め、御剣を睨んでいる。
「…異議を聞こう」
「…あなた、さっき結婚なんて簡単に成し得る、なんて言ったわよね」
「あ…ああ。あれは」
「妊娠させた責任を取る…。私は、そんなお情けをもらいたい女じゃないわ!」
「…えっ?」
冥は瞳に涙を滲ませ、それでも泣き出さないように耐えている。
「キミが何をどう考えているのか知らんが…。お情け、とは聞き捨てならないな」
「だってそうでしょう!」
「なぜそうなるのだ。私はキミを愛しているから、結婚したい。子供もできて良い機会だ。それがお情けになるのか?」
確かに、妊娠したと聞いた時は戸惑った。しかし、あまりに冷静な冥の姿を見ていて、御剣もようやく冷静に考えられるようになったのだった。
愛する女性が、自分の子を身篭った。喜び以外のなにものでもない。それなのに、冥は「堕ろす」と言う。
それだけはだめだ。絶対に。
「…私がキミの夫となるに足らない人間だと言うなら、今からどんな努力でもしよう。それでもだめなら、結婚は諦める。しかし、子供は産んでほしい」
「っ………」
「………。この際、はっきりさせようではないか。私は、キミを愛している。キミとの間に宿った命は、私にとって尊いものだ。だから…結婚してほしい。キミは?」
「っ、」

「キミは、私のことを愛していないのか?私の子供など、いらぬと言うのか?」
「………」
冥は俯き、黙り込んでしまった。御剣は冥の傍らに寄り、言葉の続かない冥の代わりに言った。
「…キミは、堕ろすつもりなどないのだろう?」
「っ!な、何を根拠に!私は本気よ!」
「それはウソだ」
「な…、それなら証拠を見せてみなさい!」
「わかった」
てっきり押し黙ると思っていた御剣が自信たっぷりに頷いたのを見て、冥は怯んだ。御剣は、冥の腰に差してある「それ」を手に取る。
「これだ」
「そ、それは…。鞭…」
「ああ。ここ最近、キミのトレードマークとも言うべきこの鞭が振るわれているのを、見たことがない」
「………!」
「先ほどの会議でも、何か妙だと思っていたのだ。キミが鞭を振るっているような場面で、こいつは出てこなかった」
御剣と話を始めた時もそうだ。冥は、腰に差しているにも関わらず、この鞭を使わなかった。
「こんなものを使ったら胎教に悪いからな。キミの体に当たる可能性もある。…本当に堕胎するつもりなら、そんなことを気にするだろうか?」
「………うっ」
冥は耐え切れず泣き出した。御剣は、彼女の体を抱き寄せる。
「キミのことだ。妊娠に気づいたのは最近のことではなかろう。一人で悩ませてしまって、気づいてやれなくてすまなかった」
御剣には、わかっていた。どんなことでも、冥自身が納得したことなら、御剣に相談などせずほいほい物事を進めてしまう彼女の性格。本当に堕胎することを考えていたなら、御剣に相談することなく実行してしまうなんて恐ろしいことになっていたはずだ。
しかし、彼女は話をしてきた。それは、彼女に迷いがあるということ。本心ではないということなのだ。
「う…っ。わ、私は…。あなたに、迷惑をかけたくなくて…。あなたのお荷物になるなんて、ごめんだと思ったわ…」
「お荷物なものか。キミとあと一人分くらい、私なら悠々と抱えられる」
生理が遅れた時、やっぱりと思った。…嬉しかった。計画してなかったとはいえ、愛する男の分身が、この身に宿っているその事実が。
同時に、悩んだ。御剣は、今やどこの法廷でも引っ張りだこの天才検事。自分のことで足を引っ張るなんてこと、考えられなかった。
だから、「堕ろす」なんて心にもないことを、簡単に口に出してしまったのだ。
「メイ…」
「…答えるわ。さっきの、質問に」

「ああ、そうしてくれ」
「私は…。私も、あなたを愛している。この子を…私とレイジの子を、産みたいわ」
冥は無意識に下腹にそっと手を置いた。
「了解した」
下腹に置かれた冥の手に、御剣も手を重ねる。二人はキスを交わして、しばらくその場で抱き合っていた。

「えー、では。休憩も終わりましたので、先ほどの続きを…」“待った!”
「………は」
亜内検事の司会進行を妨げたのは、御剣の一声だった。
「な、なんでしょうか、御剣検事」
「………うム。会議の前に、皆さんに報告したいことがある」
人差し指をゆらゆらと揺らしながら、御剣は法廷の時より頼りなく、ぎこちない声で言った。冥はなんだかイヤな予感がしたが、黙ってその成り行きを見ていた。
「あー、その。私事で申し訳ないのだが」
こほん、と咳ばらいひとつ。
「私、御剣怜侍はッ!」
室内にいる全員が呆気にとられた顔で御剣に注目していた。
「そ…そこの、狩魔検事…狩魔冥と、結婚することが決まったッ!」
「………」
「………」
「……………」
しん、と静まり返った室内。冥は真っ赤になった顔を見られないように俯いていた。
「(れ、レイジ…!なんでこんなところでそんなことをッ…)」
「そ…それはおめでたいことですな、御剣検事に狩魔検事」
「やぁ、めでたい。しかし、いつの間に」
ようやく御剣の発言の衝撃が緩和されたのか、室内はにわか祝福の言葉で溢れかえる。
「し、しかも!既に狩魔検事の腹には私の子供ぐはッッッ!」
御剣の額にカラの灰皿(ガラス製)がヒットした。
「御剣怜侍ィィィ………!」
冥は限界を超えた羞恥に涙を滲ませ、憎々しげな声で言った。
鞭の方がまだ安全だったかもしれない…あまりの痛みに卒倒しそうになる中、御剣はそんなことを考えていた。
【終わり】
最終更新:2010年02月02日 06:07