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「なんなのよコレは!」
 メイはピンクのパジャマに身を包み、怒り肩でリビングに乗り込んでくる。
「ふむ、思った通りだ。よく似合っている」
「私のネグリジェはドコ!? しっかりバスローブまで隠しているし!」
「キミのために買ってきたのだが、気に入らなかっただろうか」
 メイは片眉を上げてコチラを見る。
「あなたも同じデザインのものを着ているようだけど」
「コレを買おうと思ったら女性物もあったので、キミにどうかと思ったのだが」
「ペ、ペアルックだなんて、バカがバカだと主張するだけのバカなコトだわ!」
「たまには、そのバカなこともしてみたくなったのだ。私と同じ格好はイヤか?」
「そんな恥ずかしいコトできるわけないでしょう!」
「パジャマならダレにも見られることはあるまい」
「だって……」
「そうか、気に入ってもらえないようだな」
 素直に受け取ってはもらえないだろうとは思ったが、反発ばかりするのでちょっとイジワルをしてみたくなった。
「ちょ、ちょっとナニしてるのよ!」
 ボタンをはずしていくと、その手を払ってカラダを退く。
「いらないようだから、返してもらおうかと思ったのだが」
「い、いらないなんて言ってないでしょう!」
 はだけた前を隠して背中を向けた。
「ペアが気に入らないなら、私が着ていないときに着ればいい」
「……こんな色、私には似合わないわ」
「そんなことはない」
「ピンクなんて、かわいい女の子が着るものよ」
「……私も着ているのだが」
「レイジはバカの一つ覚えの赤ばかりだから、それが薄まったぐらいで大差はないでしょう」
 なんだかヒドい言われようだ。 
「キミだって『かわいい』、『女の子』、だ」
「よして頂戴。自分がかわいくない女だってのは分かっているし、そんな風に言われたくもないわ」
 後からそっと抱きしめると、洗った髪の香りがした。
「そうして恥じらっているところがたまらなくかわいい、と言ったら怒るのだろうか」
「……バカ」

「キミはいつも黒や落ち着いた色の服しか着ないが、もっと明るい色も着てもいいと思うのだが」
「黒はなににも染まらない色だわ」
 裁判官の法衣と同じだと言う。
「法廷ならそれでもいい。だが普段の……ふたりきりの時ぐらいは、私の色に染まってくれてもいいではないか」
「あ、あなたが私に染められればいいのよ!」
 そう言いながらも、うなじまで赤く染まっていく。
「それで結局、このパジャマは受け取ってもらえるのだろうか」
「……しかたがないわね、せっかくレイジがくれたのだからもらってあげるわ」
 相変わらず素直じゃないが、なんとか受け取ってもらえそうだ。
「そうか、それはよかった」
 ボタンに手をかけながら首筋にキスを落とす。
「ちょっ……どうして脱がすのよ! もらうって言ってるでしょう!」
「男から女性に服を贈るのは、脱がすためだと聞いたことはないか」
「なっ……」
 するり、とみずからの重みでパジャマが落ちる。
「やっ……もう……ッ!」
 どんなに否定しようとも、湯上がりで色づいた肌も耳まで赤くなった顔も、私のものだと言わんばかりに染まっている。
「んっ……」
 そこに唇を落とし、もっと赤く、もっと私の色に染め上げていった。
最終更新:2010年03月17日 15:31