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街がイルミネーションに彩られ陽気なアメリカン達が浮かれる中をショートブーツは靴音高らかに検察局に向かった。
何がクリスマスよ、何がサンタクロースよ。私は日本人よ、仏教徒なんだから。
キリストの生誕祭なんて関係なく犯罪は発生するし、公判の予定も詰まっている。
年末年始休みに日本に帰省する為には、この時期に休みを取りたがる同僚検事達の分も働いて、恩を売りつける必要があった。
今年こそ二人で初詣に行きたい。振袖を着て。その為にはクリスマスは犠牲にすると決めたのだ。


12月22日、今日もマンションに帰り着いたのは日付も変わろうとする頃で。
タクシーを降りると底冷えするマンションのエントランスに向かいながら寝るまでの予定を考える。
明日の朝も早い。「冥」でも裁判資料にもう一度目を通しておかないと…「おい冥」お風呂につかりながらならなんとかいけるかしら…
「冥!無視をするんじゃない!」
「え?」
オートロックのドアを開鍵してくぐりぬけようとした所で肩を捕まれた。

「ど、どうして?」
鼻を赤くしてコート姿で立っているのは日本にいる筈の御剣だった。
「少し早いがクリスマスパーティをしようと思ってな」
両手に掲げているのはケーキにターキーだろうか。
アメリカで仕事をする予定は当分ないと言っていたのに、訳がわからない。
「早く中に入れてくれ。ずっとここで君の帰りを待っていたんだ」

「何で?どうして?今日は平日よ、日本だって」
ヒーターの前に陣取る御剣に問う。
「日本は今12月23日、ありがたくも天皇誕生日で休みなのだ」
「だからって、すぐ私が行く予定だったじゃない。ゆっくりする暇もないのに」
かけたコートのポケットからジュエリーらしきプレゼントを出して御剣は笑った。
「メリークリスマス、冥」
「……メリークリスマス。私はプレゼントなんて用意してないわよ」
「構わない。君の貴重な時間を私にくれるのだからな」


予定が狂っちゃう、と言いつつ冷えた体を暖めるのに一緒に湯につかる。
夜中に食べたら美容に悪いと愚痴りながらターキーとケーキを食べる。
サプライズに素直に喜べない恋人が愛しくて、ベッドの中でも随分盛り上がった。


冥が眠ってから片付けをしていると、ダイニングテーブルのクリスマスカードに気が付いた。
‘多額の寄付を感謝します’と書かれたものが2つ。親を亡くした子供の学資金を援助する団体と、犯罪被害者の支援団体から。

‘犯罪に傷ついた子供達が少しでも悲しい過去を忘れて楽しいクリスマスを過ごせるよう寄付金を使わせて頂きます’

冥が今でもDL6号事件の事を気にしているのは知っていた。
その事に心を傷めてはいたが、昔の自分と同じような境遇の子供達にプレゼントをあげたのかと思うと恋人の事が一層誇らしくなった。

明日の朝は早いそうだし、冥を見送ったらチャーター便に乗るべく空港に直行しなければならない。
朝食の支度をするために、カードを元あった場所に戻した。
最終更新:2010年02月02日 02:49