節分
「ねえ、今日は節分だったわよね」
メイに言われてカレンダーを見る。
「2月3日、か」
忙殺されてすっかり忘れていた。
いや、そもそも一人で暮らし始めて以来、季節の行事など気にしたことはなかった。
「いけないわね、日本人のくせに季節の移り変わりをソマツにするなんて。私がちゃんと用意しておいたから、感謝しなさい」
メイはいそいそとキッチンへ消える。
……仕方がない、おとなしくぶつけられるとするか。そうカクゴして待っていると、メイが手にしてきたのは豆ではなかった。
「……太巻?」
「恵方巻よ。この国ではエンギの良い方角を向いてコレを食べるのでしょう」
「そういえば、関西でそんな風習があるらしいな」
「違う、の? レイジはやったことないの?」
メイは眉を寄せる。
相変わらず偏っているというか、中途半端に詳しい知識はドコからしいれてくるのだろうか。
「……そうだな、やるとするか。せっかくだから、な」
パアアッ、と嬉しそうに笑う。
可愛いな、メイは。
「いい? 恵方に向かって丸のままかぶりつくのよ。その間、しゃべっちゃいけないの」
得意げに説明している姿がムジャキでまた可愛い。
「今年の方角は西南西だったわね。どっちかしら?」
「たしか、コチラだな」
部屋のスミを向くと、太巻を渡される。
「ひとり1本なのか? 多くはないか」
「そういうキマリよ。ほら、つべこべ言わずにさっさと食べる!」
ふたりして部屋のスミを見つめ黙々と食べる姿は、ある種イヨウだった。
まあ、豆をぶつけられるよりはいいか、と思いつつとなりで必死に太巻にかぶりついている冥を見ていたら……もうひとつの欲求がムクムクとふくらんできた。
一足先に食べ終えると、となりに目をやる。
メイはまだ、黒くて、太くて、長いモノをくわえていた。
「その……メイ、お願いがあるのだが、私のモノも食べてはくれないだろうか」
横目でこちら見ると、私の手元になにもないことに不思議がる。
「そうではなく、その、…………私のコレをくわえてほしいのだが」
すでにふくらんでいる股間に指をさすと、メイは口の中身をぶちまけた。
「なっ……なにを言っているの!? ……って、しゃべっちゃったじゃない!!」
「む……そんなものをくわえこめるのなら、私のを少しほおばってくれても良いではないか。それに、今しゃべってしまった代わりに、私のを無言でくわえるのはどうだろう」
「ナニその『うまいこと言ってまとめた』みたいな顔は! ダレがそんなことで納得するものですか!!」
メイは真っ赤になって怒っている。
……ダメ、か。
「仕方がない。食べてもらえないなら、私がいただくとしよう」
メイの右手をつかみ、まだ少し残っていた太巻をいただく。
「あ……ちょっと! ……な……なにをして……やめて……ッ」
指についていた飯粒をなめ取り、ちゅぱちゅぱと音を立てて指をしゃぶる。
「ふむ……なかなか旨い太巻だったな。ドコで買ったのだ?今度また買ってくるとしよう。……おっと、まだコチラに残っていたな」
先ほどメイが噴き出した飯粒やら太巻の中身が、点々と服についていた。
「ちょ、ちょっと、やめて!」
「食べ物をソマツにしてはいけないだろう」
スカーフに、胸に、脚に飛んでいたものをなめ取る。
「や、やめてと言ってるでしょう……ッ……ダメ……」
「……おや、こんなトコロにまで飛んでいたな」
ベストのボタンをはずし、ブラウスについていたカンピョウをすくい取った。
ついでに胸の下から舌をすべらす。
「…………ッ」
そうして太巻の残りをひとつひとついただいた後に、ゆっくりとメイを味わうことにした。
最終更新:2010年02月01日 21:55