現存する最も古く、強力で、気まぐれなクリーチャーの1つであるドラゴンは、時に疑りもしていない定命の者と逢い引きを交わしたり、人並みはずれた者とまじわって子をなしたりする。同様に、この種のクリーチャーが有する強大なパワーは長らく、己が身体にドラゴンのパワーを取り込まんとしてさまざまな魔法的手段を探し求めてきたウィザードや錬金術師の陰謀の的となっていた。結果として、ドラゴンの血は多くの種族の血筋に流れている。一部の者では、この血統はソーサラーの血脈と魔法の偏愛として顕現する。しかし他の者にとっては、ドラゴンの先祖のパワーは妄執と化す。
ドラゴンの血統にいだかれ自分の能力を引き出す術を学んだ呪文の使い手は、熟練のソーサラーのレパートリーだけでなく敵にドラゴンの猛烈なるパワーを食らわせる能力を有するおそるべき戦士たるドラゴン・ディサイプル(ドラゴンの徒弟)となることができる。ドラゴン・ディサイプルが祖先のパワーを見出していくにつれて、ドラゴン・ディサイプルは火のブレスを吐き、皮の翼で空を飛び、そしてその能力の頂点たるドラゴンの姿をとる術を修得することができる。数こそ少ないが、ドラゴン・ディサイプルはドラゴンが定命の者と関わりを持つ土地であればどんなところででも見かけられる。
役割:思い通りの呪文を発動するクラスの魔法を用いて、ドラゴン・ディサイプルは魔法使いの典型的な役割を果たすことができ、敵の移動を妨げたり、相手にダメージを与える呪文を投げつけたりする。しかし、ブレス攻撃や飛行能力を使用して敵を直接打ち倒さんとする、ドラゴン・ディサイプルの竜のごとき能力は、この多芸な呪文の使い手をよりいっそう手強くする。
属性:ドラゴン・ディサイプルはどのような属性でもありうるが、秩序属性よりは混沌属性に偏りがちである。獣のごときホワイト・ドラゴンやおそるべきレッド・ドラゴンなどのクロマティック・ドラゴンの特性を採るドラゴン・ディサイプルは悪属性の気質を持つ。対照的に、禁欲的なブラス・ドラゴンや騎士道精神を持つゴールド・ドラゴンなどのメタリック・ドラゴンに似るドラゴン・ディサイプルはしばしば善属性である。
ヒット・ダイスの種類:d12。
必要条件
ドラゴン・ディサイプルになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
属性:竜でない種族。
技能:
〈知識:神秘学〉5ランク。
言語:竜語。
呪文:準備なしに1レベルの秘術呪文を発動する能力。キャラクターがソーサラー・レベルを持っていたら、竜の血脈を持っていなければならない。このクラスを取った後でソーサラーのレベルを得たら、そのキャラクターは竜の血脈を取らなければならない。
クラス技能
表:ドラゴン・ディサイプル
レベル |
基本攻撃 ボーナス |
頑健 セーヴ |
反応 セーヴ |
意志 セーヴ |
特殊 |
1日の呪文数 |
1 |
+0 |
+1 |
+0 |
+1 |
竜の血、外皮上昇(+1) |
― |
2 |
+1 |
+1 |
+1 |
+1 |
能力値向上(【筋】+2)、血脈特技、竜の噛みつき |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
3 |
+2 |
+2 |
+1 |
+2 |
ブレス攻撃 |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
4 |
+3 |
+2 |
+1 |
+2 |
能力値向上(【筋】+2)、外皮上昇(+1) |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
5 |
+3 |
+3 |
+2 |
+3 |
非視覚的感知30フィート、血脈特技 |
― |
6 |
+4 |
+3 |
+2 |
+3 |
能力値向上(【耐】+2) |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
7 |
+5 |
+4 |
+2 |
+4 |
ドラゴン形態(1回/日)、外皮上昇(+1) |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
8 |
+6 |
+4 |
+3 |
+4 |
能力値向上(【知】+2)、血脈特技 |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
9 |
+6 |
+5 |
+3 |
+5 |
翼 |
― |
10 |
+7 |
+5 |
+3 |
+5 |
非視覚的感知60フィート、ドラゴン形態(2回/日) |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
クラスの特徴
以下のすべてがドラゴン・ディサイプル上級クラスの特徴である。
武器と防具の習熟:ドラゴン・ディサイプルはどんな武器にも防具にも習熟していない。
1日の呪文数:指示されたレベルの時点で、ドラゴン・ディサイプルはこの上級クラスに就く前に属していた秘術呪文発動能力のあるクラスのレベルが上がったかのように、1日に使える呪文数が増える。しかし、追加の1日の呪文数、追加修得呪文数(準備しない呪文の使い手の場合)、呪文を発動する際の有効レベルの上昇以外に、そのクラスのレベルが上がっていたなら得られたはずの他の利益を得ることはない。キャラクターがドラゴン・ディサイプルになる前に複数の呪文発動能力のあるクラスをとっていたなら、レベルの上昇があるたび、その新たなレベルをどのクラスに、1日の呪文数を決定するために適用するか決めなければならない。
竜の血:ドラゴン・ディサイプルは、自分の血脈から得るパワーを決定する際に、ドラゴン・ディサイプル・レベルをソーサラー・レベルに加える。ドラゴン・ディサイプルがソーサラー・レベルを持っていなければ、ドラゴン・ディサイプルは代わりに自分のドラゴン・ディサイプル・レベルをソーサラー・レベルとして使用してどのボーナスが得られるか決定して、竜の血脈の血脈パワーを獲得する。ドラゴン・ディサイプルはこのクラスの最初のレベルを得る際にドラゴンの種類を選択しなければならず、かつその種類は自分のソーサラーの種類と同じでなければならない。この能力は、ドラゴン・ディサイプルが適切なレベルの呪文スロットを持っていない限り、ソーサラーへのボーナス呪文を授けることはない。得られなかったボーナス呪文は、ソーサラーがその呪文の呪文スロットを得た場合、自動的に授けられる。
外皮上昇(変則):その肌が厚くなっていくにつれて、ドラゴン・ディサイプルはますます自分の先祖の外見に近づいていく。1、4、7レベルに達するたびに、ドラゴン・ディサイプルはキャラクターの既存の外皮ボーナス(あれば)を『ドラゴン・ディサイプル』表に示されたように上昇させる。この外皮ボーナスは累積する。
能力値向上(変則):ドラゴン・ディサイプルは、この上級クラスのレベルを得ていくにつれ『ドラゴン・ディサイプル』表に示したとおり、能力値が向上する。この向上する数値は累積し、レベル上昇によって得られる数値と同様に得られる。
血脈特技:2レベルに到達した際、および以降の3レベルごとに、ドラゴン・ディサイプルは竜の血脈のボーナス特技リストから選択したボーナス特技を得る。
竜の噛みつき Dragon Bite(変則):2レベルに達すると、ドラゴン・ディサイプルが自分の血脈を使用して爪を伸ばす場合はいつでも、ドラゴン・ディサイプルは噛みつき攻撃も得る。これは主要肉体武器で、1d6(ドラゴン・ディサイプルが小型だったら 1d4)+【筋力】修正値の 1.5 倍のダメージを与える。 6レベルに到達した際、この噛みつきは1d6ポイントのエネルギー・ダメージも与える。与えるダメージの種類はドラゴン・ディサイプルの血脈によって決まる。
ブレス攻撃(超常):3レベルに達したドラゴン・ディサイプルは、たとえ自分のレベルがこのパワーをまだ授けない場合であっても、ブレス攻撃の血脈パワーを得る。ドラゴン・ディサイプルのレベルが血脈を通じてこのパワーを得られるほどに高くなったら、ドラゴン・ディサイプルは1日ごとのブレス攻撃使用回数を追加で1回ぶん得る。ブレス攻撃の種類および形状は、竜のソーサラーの血脈の解説の記述通り、ドラゴン・ディサイプルが選んだドラゴンの種類に応じる。
非視覚的感知(変則):5レベルに達したドラゴン・ディサイプルは範囲30フィートの非視覚的感知を得る。視覚によらない感覚により、ドラゴン・ディサイプルは見ることのできないものの存在に気付くことができる。ドラゴン・ディサイプルは通常、
〈知覚〉判定を行なわなくても、この特殊能力の有効距離内にいて効果線が通っているクリーチャーに気付き、位置を特定することができる。
ドラゴン・ディサイプルが非視覚的感知を持っていたとしても、ドラゴン・ディサイプルが見ることのできない敵は、やはりそのドラゴン・ディサイプルに対して完全視認困難(50%の失敗確率)を持つ。そのため視認困難を持つ敵を攻撃する場合には、通常通りの失敗確率を被る。非視覚的感知を持っていても、移動に際してはやはり視界の状態の作用を受ける。非視覚的感知を持つドラゴン・ディサイプルもやはり、見ることのできない敵からの攻撃に関しては、アーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスを失う。10レベルに達すると非視覚的感知の範囲は60フィートに向上する。
ドラゴン形態(擬呪):7レベルに達したドラゴン・ディサイプルはドラゴンの姿をとることができる。この能力は
フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンIのように働く。10レベルに達すると、この能力は
フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンIIのように働き、かつドラゴン・ディサイプルはこの能力を1日に2回使用できる。この効果に関するドラゴン・ディサイプルの術者レベルは、竜の血脈におけるドラゴン・ディサイプルの有効ソーサラー・レベルに等しい。ドラゴン・ディサイプルが
フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンを発動した場合はいつでも、ドラゴン・ディサイプルは自分の血脈と同じ種類のドラゴンの姿をとらなければならない。
翼(超常):9レベルに達したドラゴン・ディサイプルは、たとえ自分のレベルがこのパワーをまだ授けない場合であっても、翼の血脈パワーを得る。ドラゴン・ディサイプルのレベルが血脈を通じてこのパワーを得られるほどに高くなったら、ドラゴン・ディサイプルの移動速度は90フィートに上昇する。
デュエリスト(決闘者)は優雅なる剣術の頂点を体現する。デュエリストはほとんどの敵とは比べものにならないほど優雅に動き、打撃を受け流し目にも止まらぬ刃の猛攻で反撃する。デュエリストは鎧を着ることもあるが、その優雅さで相手を容易に回避できるよう、一般にあまりにかさばる防護は避ける。他の者が不安定な地形にまごついている間に、デュエリストは戦場を軽やかに横切って突撃し、乱闘に飛び込んでいくのだ。デュエリストは、その剣技でぶざまな敵に不意討ちを食らわせことのほかよく狙いを定めた刃の猛攻で相手を無力化できる、近接戦闘でこそ栄える。
デュエリストへの道は、防御が鎧頼りではないローグやバードといったクラスにうってつけだが、ほとんどのデュエリストはファイターやレンジャーといった兵士上がりである。デュエリストは戦闘に関して手の込んだルールや作法を有する国々にてしばしば見かけられる。
役割:デュエリストの能力は、戦闘能力を抜きん出させたいが重い鎧を着用しないために怖くて戦闘に身を投じられないローグやバードの能力を補足する。デュエリストはファイターやバーバリアンなどの近接戦闘クラスの横に立ち、敵の弱点をうまく捉えつつ相手の刃を巧みに回避して、前線で戦う。
属性:デュエリストはどんな属性でもありうるが、ほとんどの者がローグやバードの経歴出身であるため、デュエリストは秩序あるふるまいを避ける傾向にある。秩序属性のデュエリストも聞かないではないが、そういったデュエリストはしばしば厳格な行動規範を堅持しており、非武装の者や明らかに劣る相手を攻撃することを拒む。
ヒット・ダイスの種類:d10。
必要条件
クラス技能
表:デュエリスト
レベル |
基本攻撃 ボーナス |
頑健 セーヴ |
反応 セーヴ |
意志 セーヴ |
特殊 |
1 |
+1 |
+0 |
+1 |
+0 |
抜け目なき守り、精密打撃 |
2 |
+2 |
+1 |
+1 |
+1 |
先手必勝+2、受け流し |
3 |
+3 |
+1 |
+2 |
+1 |
強行突破強化 |
4 |
+4 |
+1 |
+2 |
+1 |
《迎え討ち》、優雅なる反応 |
5 |
+5 |
+2 |
+3 |
+2 |
突き返し |
6 |
+6 |
+2 |
+3 |
+2 |
曲技突撃 |
7 |
+7 |
+2 |
+4 |
+2 |
巧みな防御 |
8 |
+8 |
+3 |
+4 |
+3 |
先手必勝+4 |
9 |
+9 |
+3 |
+5 |
+3 |
《矢止め》、逃れること能わず |
10 |
+10 |
+3 |
+5 |
+3 |
弱体化クリティカル |
クラスの特徴
以下のすべてがデュエリスト上級クラスの特徴である。
武器と防具の習熟:デュエリストはすべての単純武器、軍用武器に習熟している。デュエリストは軽装鎧に習熟しているが、盾には習熟していない。
抜け目なき守り(変則):デュエリストは軽装鎧を着用しているか鎧を着ておらず、かつ盾を使用していなければ、近接武器を使用している間、アーマー・クラスへの回避ボーナスとして【知力】ボーナス(あれば)をデュエリストのクラス・レベルごとに1ポイントまで加えることができる。デュエリストが
立ちすくみ状態であったり、何か他の理由で【敏捷力】ボーナスを失うような場合にはこのボーナスも失われる。
精密打撃(変則):デュエリストは軽い刺突武器か片手刺突武器を使って精密な打撃を行ない、自分のデュエリスト・レベルをダメージ・ロールに追加する能力を得る。精密打撃を行なう際デュエリストは、別の手で持った武器で攻撃することや盾を使うことができない。デュエリストの精密打撃は認識可能な解剖学的組織構造を有する、生きているクリーチャーに対してしか効果がない。クリティカル・ヒットに完全耐性を持つクリーチャーには精密打撃は効果がない。また、クリーチャーをクリティカル・ヒットから守るアイテムや能力は精密打撃に対しても防護を提供する。
先手必勝(変則):2レベルに到達したデュエリストはイニシアチブ判定に+2のボーナスを得る。8レベルに到達すると、このボーナスは+4に上昇する。このボーナスは
《イニシアチブ強化》特技による利益と累積する。
受け流し(変則):クラス・レベルが2レベルになると、デュエリストは他のクリーチャーの攻撃を受け流して攻撃を外させる術を修得する。デュエリストが軽い刺突武器か片手刺突武器を使って全力攻撃アクションを取る場合はいつでも、自分の攻撃の内の1つを行なわないことにできる。デュエリストの次のターンより前の任意の時点で、デュエリストは割り込みアクションとして自分もしくは隣接する仲間に対する攻撃を受け流すことを試みることができる。攻撃を受け流すためには、デュエリストは前のアクションで行なわずにすませることにした攻撃と同じボーナスを用いて攻撃ロールを行なう。デュエリストの攻撃ロールが攻撃側クリーチャーのロールよりも高ければ、その攻撃は自動的に失敗する。攻撃側クリーチャーのサイズ分類がデュエリストよりも1段階大きいごとに、デュエリストは攻撃ロールに-4のペナルティを受ける。デュエリストは隣接する仲間に対して行なわれた攻撃を受け流そうと試みる際にも-4のペナルティを受ける。デュエリストはこの能力の使用を、攻撃が宣言された後だがロールが行なわれる前に宣言しなければならない。
強行突破強化(変則):クラス・レベル3レベル以降、軽装鎧を着用しているか鎧を着ておらず、かつ盾を使用していないとき、デュエリストは機会攻撃範囲内にあるマス目から離れる時に誘発する機会攻撃に対して、ACに追加の+4ボーナスを得る。
《迎え討ち》:クラス・レベルが4レベルになると、デュエリストは軽い刺突武器か片手刺突武器を使用している際、
《迎え討ち》特技の利益を得る。
優雅なる反応(変則):4レベルに到達したデュエリストはすべての反応セーヴに追加で+2の技量ボーナスを得る。この能力はデュエリストが軽装鎧を着用しているか鎧を着ておらず、かつ盾を使用していないときにのみ機能する。
突き返し(変則):クラス・レベル5の時点で、デュエリストは自分が攻撃を受け流すことに成功したクリーチャーに対して、そのクリーチャーがデュエリストの間合い内にいれば、機会攻撃を行なうことができる。
曲技突撃(変則):6レベルに到達したデュエリストは他の者では不可能な状況でも突撃を行なう能力を得る。デュエリストは、通常なら移動速度が低下する、移動困難な地形の上でも突撃を行なえる。状況に応じて、デュエリストはそうした地形をうまく乗り越えるため、適当な判定に成功する必要がある。
巧みな防御(変則):クラス・レベル7以上のデュエリストは、近接戦闘時に、防御的戦闘を選択したり、防御専念アクションを取った際、自分のデュエリストのクラス・レベル3レベルごとにACに+1ポイントの追加の回避ボーナスを得る。
《矢止め》:9レベルに到達したデュエリストは、軽い刺突武器か片手刺突武器を使用している際、
《矢止め》特技の利益を得る。デュエリストはこの特技を使用するのに片手が自由である必要はない。
逃れること能わず(変則):クラス・レベルが9レベルになると、デュエリストに隣接していて撤退アクションを取る敵は、デュエリストからの機会攻撃を誘発する。
弱体化クリティカル(変則):軽い刺突武器か片手刺突武器を使用していてクリティカル・ロールに成功した際、デュエリストは与えたダメージに加えて以下のペナルティの内の1つを適用できる:目標の持つすべての移動速度を10フィートぶん低下させる(最低で5フィートまで)、1d4ポイントの【筋力】ダメージか【敏捷力】ダメージ、すべてのセーヴィング・スローに-4のペナルティ、アーマー・クラスに-4のペナルティ、2d6ポイントの出血ダメージ。上記のペナルティは1分間持続するが、通常通りに治療されなければならない能力値ダメージと、目標が魔法の治療を受けるかDC15の
〈治療〉判定に成功するまで継続する出血ダメージは除く。
おそるべき戦士にして呪文の使い手たるエルドリッチ・ナイト(秘術騎士)は、魔法使いには珍しいその能力で、ファイターやバーバリアンなどの戦闘クラスの者の横に立って戦闘に身を投じていく。戦闘でエルドリッチ・ナイトと相対しなければならない者たちは、戦場においてその多才さはとてつもない優位を持つがために、エルドリッチ・ナイトを大いに恐れる。重武装の相手に対しては弱体化呪文を向ければよく、相対する呪文の使い手はエルドリッチ・ナイトの刃の前に最期を迎えるのだ。
エルドリッチ・ナイトとなる道は武勇と秘術のパワーの双方を要求するため、エルドリッチ・ナイトは大抵がその道を、ウィザード/ファイターやソーサラー/レンジャーなど、マルチクラスのキャラクターとして歩み始める。エルドリッチ・ナイトは秘術の研究が戦闘訓練と同じくらい広く行なわれている所ならどこででも見かけられる。
役割:エルドリッチ・ナイトは戦闘クラスと呪文の使い手の能力を融合し、ある時は敵に魔法を投じ、またある時は鋼で相手を叩き伏せる。エルドリッチ・ナイトは、戦闘のまっただ中で戦うことにも、同胞らの後ろで安全なまま敵に向けて呪文を発動することにも、まったく同じように慣れ親しんでいる。その多才さは、来るべき戦いの状況が見通せぬ時に、エルドリッチ・ナイトを価値ある仲間たらしめる。
属性:エルドリッチ・ナイトとなる道は、ウィザードの下での見習い期間や兵士としての経歴につながる道と同じくらいさまざまであり、それゆえにエルドリッチ・ナイトはどのような属性でもありうる。しかしながら、秘術知識の研究と戦闘技術のバランスを維持するのにはたいへんな自制心が要求され、その理由から多くの者は秩序属性を好む。
ヒット・ダイスの種類:d10。
必要条件
エルドリッチ・ナイトになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
武器の習熟:すべての軍用武器に習熟していること。
呪文:3レベルの秘術呪文を発動できる能力。
クラス技能
表:エルドリッチ・ナイト
レベル |
基本攻撃 ボーナス |
頑健 セーヴ |
反応 セーヴ |
意志 セーヴ |
特殊 |
1日の呪文数 |
1 |
+1 |
+1 |
+0 |
+0 |
ボーナス戦闘特技、多角的訓練 |
― |
2 |
+2 |
+1 |
+1 |
+1 |
― |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
3 |
+3 |
+2 |
+1 |
+1 |
― |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
4 |
+4 |
+2 |
+1 |
+1 |
― |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
5 |
+5 |
+3 |
+2 |
+2 |
ボーナス戦闘特技 |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
6 |
+6 |
+3 |
+2 |
+2 |
― |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
7 |
+7 |
+4 |
+2 |
+2 |
― |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
8 |
+8 |
+4 |
+3 |
+3 |
― |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
9 |
+9 |
+5 |
+3 |
+3 |
ボーナス戦闘特技 |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
10 |
+10 |
+5 |
+3 |
+3 |
呪文クリティカル |
既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル |
クラスの特徴
以下のすべてがエルドリッチ・ナイト上級クラスの特徴である。
武器と防具の習熟:エルドリッチ・ナイトはどんな武器にも防具にも習熟していない。
ボーナス特技:1レベルにおいて、エルドリッチ・ナイトはボーナス戦闘特技1つを選んでよい。これはすべてのキャラクターがレベルの上昇により通常獲得する特技とは別に追加で得られる特技である。キャラクターはやはりこのボーナス特技の前提条件を満たしていなければならない。エルドリッチ・ナイトはクラス・レベル5および9の時点で追加の戦闘特技を獲得する。
多角的訓練:エルドリッチ・ナイトは、特技の前提条件を満たす用途において、自分の持つファイター・レベルにエルドリッチ・ナイト・レベルを加えることができる。ファイター・レベルを持っていない場合は、エルドリッチ・ナイト・レベルをファイター・レベルとして扱うこと。エルドリッチ・ナイトは、特技の前提条件を満たす用途において、秘術呪文が発動できるクラスのレベルにエルドリッチ・ナイト・レベルを加えることもできる。
1日の呪文数:指示されたレベルの時点で、エルドリッチ・ナイトはこの上級クラスに就く前に属していた秘術呪文が発動できるクラスのレベルが上がったかのように、1日に使える呪文数が増える。しかし、追加の1日の呪文数、追加修得呪文数(準備しない呪文の使い手の場合)、呪文を発動する際の有効レベルの上昇以外に、そのクラスのレベルが上がっていたなら得られたはずの他の利益を得ることはない。キャラクターがエルドリッチ・ナイトになる前に複数の呪文発動能力のあるクラスをとっていたなら、レベルの上昇があるたび、その新たなレベルをどのクラスに、1日の呪文数を決定するために適用するか決めなければならない。
呪文クリティカル(超常):クラス・レベルが10レベルに達したエルドリッチ・ナイトがクリティカル・ロールに成功した場合はいつでも、即行アクションとして呪文1つを発動できる。この呪文は先の攻撃の目標を、目標の内の1体とするか、効果範囲内に収めるかしていなければならない。この呪文を発動することで機会攻撃を誘発することはない。術者はやはり呪文の構成要素すべてを満たしていなければならず、必要なら秘術呪文失敗率をロールしなければならない。
ローアマスター(学匠)は秘密の収集家にして管理者である。ローアマスターはしばしば、熱愛する貴婦人に仕えるかのように、暗号めいた秘術の知識が記された文書にとりつかれている。「知は力なり」とのことわざを胸に、ローアマスターはしばしば、稀少な情報やめずらしい情報のために、到達不可能なゴールたる“啓発を通じた完成”へ自分を少しでも近づけんとする終わりなき探求のために、物質的な富や個人的な栄誉を捨て去る。しばしば視野の狭い隣人たちの無意味なかっこつけや一時の快楽と見なしたものを排斥して、ローアマスターは人生におけるただ1つのやりがいのあるゴールは知的な力の獲得であると信じ込む。結局のところ、富はなくなり、情熱は冷め、肉体の力は年齢と共に衰えるが、時が経つにつれて増大していく精神の許容量は無限なのだ。
ローアマスター・クラスは魔法を発動できない者にはさしたる魅力がない。実際、ローアマスターの学習と流儀に人生を捧げる前に、キャラクターはまず最初に占術系統の呪文をいくつか修得しなければならない。ほとんどのローアマスターはクレリックないしウィザードとしてこの道を歩み始めるが、最終的には、十分な占術呪文を発動できるならどんなキャラクターであってもローアマスターとなりうる。
役割:ローアマスターの人生は勉学、研究、実地調査に費やされる。前者2つは学者めいた世捨て人というローアマスターの評判にローアマスターを沿わせるが、後者の1つはしばしばローアマスターに、自分が何らかの知識を探している間、互いに利のある取り決めを交わした上でこの学者にある程度の防護を提供できる冒険者たちの助けを、求めさせることになる。冒険者側からすれば、ローアマスターはパーティーに豊富な情報と秘術の火力を提供する。ローアマスターの中には、寺院や図書館といった安全な場所から離れることを恐れる同類を盛んにあざ笑い、書物の中からは古い伝承しか見つからないと指摘するものもいる。新たな伝承は世に出て探さなければならないのだと。この種のより行動的なローアマスターは旅の都合上冒険者のパーティーに加わることもあり、途中で手に入れるどのような知識にも満足をおぼえる。
属性:ほとんどのローアマスターは倫理学などの気が散って要領を得ない哲学に思い悩むことなどないため、真なる中立、中立にして善、中立にして悪に偏りがちである。
ヒット・ダイスの種類:d6。
必要条件
ローアマスターになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
技能:どれでもよいから2つの
〈知識〉技能を各7ランク。
特技:呪文修正特技かアイテム作成特技をどれでも3つ、
〈知識〉技能のいずれかに対する
《技能熟練》。
呪文:異なる7つの占術呪文を発動する能力。そのうち1つは3レベル以上でなければならない。
クラス技能
表:ローアマスター
レベル |
基本攻撃 ボーナス |
頑健 セーヴ |
反応 セーヴ |
意志 セーヴ |
特殊 |
1日の呪文数 |
1 |
+0 |
+0 |
+0 |
+1 |
極意 |
既存のクラスに+1レベル |
2 |
+1 |
+1 |
+1 |
+1 |
伝承知識 |
既存のクラスに+1レベル |
3 |
+1 |
+1 |
+1 |
+2 |
極意 |
既存のクラスに+1レベル |
4 |
+2 |
+1 |
+1 |
+2 |
ボーナス言語 |
既存のクラスに+1レベル |
5 |
+2 |
+2 |
+2 |
+3 |
極意 |
既存のクラスに+1レベル |
6 |
+3 |
+2 |
+2 |
+3 |
秘伝知識 |
既存のクラスに+1レベル |
7 |
+3 |
+2 |
+2 |
+4 |
極意 |
既存のクラスに+1レベル |
8 |
+4 |
+3 |
+3 |
+4 |
ボーナス言語 |
既存のクラスに+1レベル |
9 |
+4 |
+3 |
+3 |
+5 |
極意 |
既存のクラスに+1レベル |
10 |
+5 |
+3 |
+3 |
+5 |
真伝知識 |
既存のクラスに+1レベル |
クラスの特徴
以下のすべてがローアマスター上級クラスの特徴である。
武器と防具の習熟:ローアマスターはどんな武器にも防具にも習熟していない。
1日の呪文数/修得呪文数:ローアマスターはレベルを得た時に、自分がこの上級クラスに就く前に属していた呪文発動能力のあるクラスのレベルが上がったかのように、1日に使える呪文数が増える。しかし、追加の1日の呪文数、追加修得呪文数(準備しない呪文の使い手の場合)、呪文を発動する際の有効レベルの上昇以外に、そのクラスのレベルが上がっていたなら得られたはずの他の利益を得ることはない。キャラクターがローアマスターになる前に複数の呪文発動能力のあるクラスをとっていたなら、レベルの上昇があるたび、その新たなレベルをどのクラスに、1日の呪文数を決定するために適用するか決めなければならない。
極意:クラス・レベルが1レベルと、以後2レベル成長するごと(3、5、7、9レベル)に、ローアマスターは『ローアマスターの極意』表から1つの極意を選ぶ。(ローアマスター・レベル+【知力】修正値)でどの極意を選べるかが決まる。同じ極意を2度選ぶことはできない。
ローアマスターの極意
クラス・レベル+【知】修正値 |
極意 |
効果 |
1 |
速習 |
キャラクターがランクを持たない技能1つに4ランク |
2 |
健康の極意 |
《追加hp》ボーナス特技 |
3 |
内面強化の極意 |
+2意志セーヴ |
4 |
忍耐力の極意 |
+2頑健セーヴ |
5 |
逃げ足の極意 |
+2反応セーヴ |
6 |
武技のコツ |
+1攻撃ロール |
7 |
回避のコツ |
ACに+1回避ボーナス |
8 |
応用できる知識 |
特技いずれか1つ |
9 |
魔術の新発見 |
1レベルにボーナス呪文1つ* |
10 |
魔術のさらなる新発見 |
2レベルにボーナス呪文1つ* |
*能力値が高いために得られたかのようにボーナス呪文を得る。
伝承知識:クラス・レベルが2レベルの時、ローアマスターはすべての
〈知識〉判定に自分のローアマスター・レベルの半分を加え、かつ未修得でも技能判定を行なってよい。この能力によって得られるボーナスはバードの知識によって得られるボーナスと累積する。
ボーナス言語:ローアマスターはクラス・レベル4レベルと8レベルの時に新しい言語をどれでも1つ選ぶことができる。
秘伝知識(変則):クラス・レベルが6レベルで、ローアマスターは魔法のアイテムを理解する能力を得る。ローアマスターが魔法のアイテムの特殊能力を判断するためにそのアイテムを検分する場合はいつでも、ローアマスターは
〈呪文学〉判定に+10の状況ボーナスを得る。
真伝知識(変則):クラス・レベルが10レベルで、ローアマスターの知識は実に莫大なものとなる。ローアマスターは1日1回、自分の知識を用いて
レジェンド・ローア呪文か
アナライズ・ドゥウェオマー呪文の効果を得ることができる。レジェンド・ローアの効果を生み出すために使われたら、当該の対象についてどれだけ多くの情報をすでに知っているかに関わらず、この能力の発動時間は1分である。