下級アーティファクトは必ずしも唯一無二のアイテムではないが、(少なくとも定命のものたちが一般的に行なう手段では)もはや作成することのできない魔法のアイテムである。
ブック・オヴ・インフィニット・スペルズ
解説
この書物は、どんなクラスのどんなキャラクターにも、この書物のページから呪文を使う能力を与えてくれる。しかし、すでに呪文使用能力を持っているのでなければ、そのキャラクターはこの書物を所有しているかこの書物のパワーを使っている間、負の1レベルを得る。
ブック・オヴ・インフィニット・スペルズは1d8+22ページある。それぞれのページに何が書かれているかはダイス・ロールで決定する:01~50の場合、秘術呪文;51~100の場合、信仰呪文。
具体的な呪文はランダムに決定すること。
ページを一度めくってしまったら、元のページに戻ることはできない――
ブック・オヴ・インフィニット・スペルズのページをめくるのは一方通行の作業なのだ。この書物を閉じて再び開くと、いつでも閉じた時のページが開く。最後のページをめくると、この書物は消えてしまう。
1日に1回、この書物の持ち主は開いたページにある呪文を発動することができる。その呪文がそのキャラクターの
クラスの
呪文リストにある呪文であれば、その呪文は1日に4回まで発動することができる。ページを切り離せば、書物も破壊されてしまう。同様に、この種の呪文を巻物に書き込まれた呪文のように(この書から直接)発動することはできないし、ここから呪文書へ書き写すこともできない――この書物の魔法は永久的に書物の内部に縛り付けられているのだ。
この書物のパワーを使うためには、持ち主がこの書物を肌身離さず持っている必要はない。冒険中は安全な場所にしまっておいても、持ち主はこの書物のパワーを用いて呪文を発動することができるのである。
呪文を発動するたびに、魔力を使用する際のエネルギーによって(どんなに予防措置をとっても)魔法的にページがめくれてしまう可能性がある。ページがめくれてしまう確率は、そのページにある呪文と、持ち主がどんな種類の呪文の使い手であるかによって決まる。
条件 |
ページのめくれる確率 |
術者が自分のクラスやレベルで使用できる呪文を使う |
10% |
術者が自分のクラスやレベルでは使用できない呪文を使う |
20% |
呪文の使い手でない者が信仰呪文を使う |
25% |
呪文の使い手でない者が秘術呪文を使う |
30% |
発動時間、呪文失敗確率などを求める際には、この書物からの呪文使用は巻物を使用したものとして扱うこと。
破壊方法
ブック・オヴ・インフィニット・スペルズは、現在のページに
イレイズ呪文が載っている時に
ブック・オヴ・インフィニット・スペルズ自身に対してその呪文を発動することによって、破壊できる。
デック・オヴ・メニー・シングズ
解説
デック・オヴ・メニー・シングズは通常、(有益なものも有害なものもいっしょくたに)箱や皮製のポーチに入っている。このデックには象牙や子牛皮紙でできたカードか札が1組入っている。それぞれのカードや札には、刻印や文字、印形が描かれている。入れ物からカードを1枚引くと、引いた人物にカードの魔力が(良かれ悪しかれ)影響を及ぼす。
デック・オヴ・メニー・シングズを持ち、そこからカードを引こうとするキャラクターは、引く前にまず何枚のカードを引くか宣言しなければならない。複数枚のカードを引く場合、前のカードを引いてから次のカードを引くまでの間は1時間までしかあけられず、また、このデックから最初に宣言した枚数より多くの枚数を後から引くこともできない。そのキャラクターが意図的に宣言した枚数を引かなかった場合(あるいは何らかの理由で引けなかった場合)、カードはひとりでにデックから出てくる。例外:道化のカードを引いた場合、デックの持ち主はさらに2枚のカードを引いてもよい。
カード1枚がデックから引かれるたびに、そのカードは入れなおされる(従って、同じカードを2回引くこともあり得る)。ただし、道化や愚者を引いた場合は別で、その場合、そのカードはデックから捨てられる。デック・オヴ・メニー・シングズには22枚のカードがある。このデックを再現するため、君は(表の2列めにあるように)タロット・カードを使おうとするかもしれない。タロットがなければ、(表の3列めにあるように)普通のトランプを使うこと。カード1枚1枚の効果は表にも略記してあるが、詳しくは以下のとおり。
デック・オヴ・メニー・シングズ
札 |
タロット・カード |
トランプ |
効果の概略 |
天秤 |
XI. 正義 |
スペードの2 |
即座に属性を変更する。 |
彗星 |
剣の2 |
ダイヤの2 |
次に出会ったモンスターを倒せば1レベル上がる。 |
天守閣 |
剣の4 |
スペードのエース |
君は幽閉される。 |
エウリュアレー |
剣の10 |
スペードのクイーン |
以降、すべてのセーヴィング・スローに-1のペナルティ。 |
運命の三女神 |
聖杯の3 |
ハートのエース |
君の選んだどんな状況でも回避できる……一度だけだが。 |
火炎 |
XV. 悪魔 |
クラブのクイーン |
君と1体の来訪者の間に敵意が生まれる。 |
愚者 |
0. 愚者 |
ジョーカー(商標あり) |
10,000経験点を失い、もう1枚引かねばならない。 |
宝石 |
聖杯の7 |
ハートの2 |
君の選択で装身具を25個か宝石を50個手に入れる。 |
白痴 |
金貨の2 |
クラブの2 |
1d4+1ポイントの【知力】を失う。もう一度カードを引いてもよい。 |
道化 |
XII. 吊られた男 |
ジョーカー(商標なし) |
10,000経験点を得るか、デックからもう2枚引くかできる。 |
鍵 |
V. 法王 |
ハートのクイーン |
上級の魔法の武器を1つ得る。 |
騎士 |
剣の小姓 |
ハートのジャック |
4レベル・ファイターが仕えてくれる。 |
月 |
XVIII. 月 |
ダイヤのクイーン |
1d4回のウィッシュが使える。 |
悪党 |
剣の5 |
スペードのジャック |
君の友人の1人が君に敵対する。 |
破産 |
XVI. 塔 |
スペードのキング |
すべての財産と不動産を即座に失う。 |
ドクロ |
XIII. 死神 |
クラブのジャック |
ドレッド・レイスを倒さなければ、永遠の破滅が待っている。 |
星 |
XVII. 星 |
ダイヤのジャック |
即座に1つの能力値に対して+2の体得ボーナスを得る。 |
太陽 |
XIX. 太陽 |
ダイヤのキング |
有益な中級のその他の魔法のアイテムを1つと、50,000経験点を得る。 |
鉤爪 |
金貨の女王 |
クラブのエース |
君の所有していたすべての魔法のアイテムは永久に消え失せる。 |
玉座 |
棒の4 |
ハートのキング |
〈交渉〉判定に+6のボーナスと、小さな城塞を得る。 |
大臣 |
IX. 隠者 |
ダイヤのエース |
君が次にかかえる問題の回答を知ることができる。 |
虚無 |
剣の8 |
クラブのキング |
肉体は機能しているが、魂はどこかに閉じ込められる。 |
天秤(Balance):キャラクターは正反対の属性に変更しなければならない。この新たな属性に従って行動できなければ、そのキャラクターは負の1レベルを得る。
彗星(Comet):キャラクターは次に遭遇した(1体あるいは複数体の)敵対的なモンスターと自分1人で戦って勝たなければならない。そうでなければ、この利益は失われる。成功すれば、そのキャラクターは次の経験レベルになるのに充分な経験点を得る。
天守閣(Donjon):このカードは幽閉を意味する――
インプリズンメント呪文によるものだったり、強力な存在によるものだったりする。どちらの場合でも、すべての装備と呪文は奪われる。これ以上カードを引くことはできない。
エウリュアレー(Euryale):このカードにはメドゥサのものに似た顔が描かれており(訳注:エウリュアレーはギリシア神話に登場するメドゥサの姉妹)、キャラクターは呪われてしまう。この呪いは“運命の三姉妹”のカードか神格でなければ取り除くことはできない。取り除かねば、すべてのセーヴィング・スローに対し永続的に-1のペナルティがつく。
運命の三女神(The Fates):このカードの力によって、キャラクターは望めば瞬間的なできごとさえ回避することができる。現実を織り成す繊維がほどかれ、編みなおされるのである。これで何かを起こすことができるわけではない。何かが起こるのを妨げたり、過去に起こったことをなかったことにしたりするだけである。この逆転現象はこのカードを引いたキャラクターに対してだけ生じる。パーティの他の者たちは起こったことを甘受しなければならない。
火炎(Flames):激怒、嫉妬、ねたみは敵意の原因の一部でしかない。パーティの1人が殺されるまで、来訪者の敵意が消えることはない。来訪者の種類をランダムに決定すること。その来訪者は1d20日以内にキャラクターを攻撃する(あるいはそのキャラクターを何らかの方法で苦しめる)。
愚者(Fool):経験点を支払い、もう1枚引かなければならない。このカードは(道化を除くほかのカードと違って)引いた後に必ず捨てられる。
宝石(Gem):このカードは富を表す。これによって手に入る装身具はいずれも宝石のついた黄金製のもので、どれも2,000GPの価値がある。宝石の場合、いずれも1,000GPの価値がある。
白痴(Idiot):このカードを引くと、即座に1d4+1ポイントの【知力】を吸収される。カードをもう1枚引いてもよい。
道化(Jester): このカードを引いた場合、このカードは(愚者を除く他のカードとは違って)必ず捨てられる。カードをもう1枚引いてもよい。
鍵(Key):このカードによって手に入る魔法の武器は、キャラクターの使えるものでなくてはならない。この武器は突然、どこからともなく、そのキャラクターの手の中に現れる。
騎士(Knight):どこからともなくファイターが1人現れ、死ぬまで忠実に仕える。このファイターはキャラクターと同じ種族(あるいは種)・性別である。このファイターをキャラクターが
《統率力》特技で得る腹心としてもよい。
月(Moon):このカードは、かなえてくれる願いの数だけ中にきらめきがあるムーンストーンや、かなえてくれる願いの数を表す満ち欠け状態の月(満月=4つ、凸月=3つ、半月=2つ、三日月=1つ)が描かれている。このカードのかなえてくれる願いは、9レベル・ウィザード呪文の
ウィッシュで与えられるものに等しく、その数に等しい分数の間に使ってしまわなければならない。
悪党(Rogue):このカードを引いてしまった場合、そのキャラクターの友人であるNPCの1人(できれば腹心)が心変わりをし、それ以降、永久に敵対的となる。そのキャラクターに腹心がいない場合、いずれかの強力な人物(あるいは共同体や宗教組織)からの敵意で代用してもよい。この敵意は、破滅的な効果を与えられるように機が熟すまでは暴露せず伏せられる。
廃墟(Ruin):その名が示すように、このカードを引いてしまうと、引いた者の所有する魔法の力のないすべての物が消え失せる。
ドクロ(Skull):ドレッド・レイスが現れる。そのキャラクターはこのドレッド・レイスと1対1で戦わなければならない――助けようとする者には、別のドレッド・レイスが現れて相手をする。これに殺されてしまうと、キャラクターは永久に死んだままとなり、
ウィッシュや
ミラクルでも生き返らせることはできない。
星(Star):キャラクターの選んだ能力値が2ポイント上がる。2つの能力値に1ポイントずつ割り振ることはできない。
太陽(Sun):使えるアイテムが出るまで、中級のその他の魔法のアイテムでロールする。
鉤爪(Talons):このカードを引いてしまうと、そのキャラクターが所持あるいは所有するすべての魔法のアイテムが即座に失われ、デックを使わなければ二度と取り戻すことはできなくなる。
玉座(Throne):そのキャラクターは、人々の目に真の指導者として映る。このカードによって得られる城は、キャラクターの望む開けた場所ならどこにでも現れる(ただし、どこに設置するかは1時間以内に決定しなければならない)。
大臣(Vizier):このカードはこのカードを引いたキャラクターに、1つの問題を解決する知恵の源泉を呼び起こしたり、キャラクターの望む1つの質問に完全な回答をしたりする1回限りの能力を与える。質問や要求は1年以内に行なわなければならない。与えられた情報に基づいてうまく行動できるかどうかは、また別の問題である。
虚無(The Void):この黒いカードは速やかな破滅を意味する。キャラクターの肉体は機能したままだが、昏睡状態に陥った場合のように、精神はどこか――遥か彼方の次元界か惑星にある物体、恐らくは来訪者の所有物の中――に閉じ込められてしまう。
ウィッシュや
ミラクルでキャラクターを呼び戻すことはできない。ただ、閉じ込められている次元界が判るだけである。これ以上カードを引くことはできない。
破壊方法
デック・オヴ・メニー・シングズは、秩序属性の神格との賭け事の間にこれを失うことによって、破壊できる。神格がデックの素性に気づいていてはならない。
フィロソファーズ・ストーン
解説
この希少な物質は何の変哲もない煤けた黒い石のように見える。この石を割ると(DC20)、中心部には空洞がある。この空洞には魔法の水銀が並んでおり、
〈製作:錬金術〉が少なくとも10ランクあるキャラクターがこれを使えば、卑金属(鉄や鉛)を金や銀に変えることができる。
フィロソファーズ・ストーン1つで5,000ポンドまでの鉄を銀(25,000GPの価値)に、1,000ポンドまでの鉛を金(50,000GPの価値)に変えることができる。しかし、一度石を割ってしまうと、魔法の水銀は不安定となり、24時間で効力を失ってしまう。そのため、物質転換はすべてその間に行なってしまわなければならない。
石の中に見つかる水銀には別の使用法もある。水銀の効力がまだある間に、どのキュア呪文のものでもよいが、キュアのポーションと混ぜ合わせると、特殊なオイル・オヴ・ライフ(生命のオイル)ができる。どんな死体でも、上にこのオイルを振り撒けば、
トゥルー・リザレクション呪文と同様に機能する。
破壊方法
フィロソファーズ・ストーンは、少なくとも丸1週間、ティタンズ・ブーツ(ティタン族のブーツ)のかかとの下に置いておくことによって、破壊できる。
スフィアー・オヴ・アニヒレイション
解説
スフィアー・オヴ・アニヒレイションは直径2フィートの漆黒の球体である。球体に触れた物体は何であれ、即座に虚無の中へと吸い込まれ、完全に破壊されてしまう。これによって消滅してしまったキャラクターをよみがえらせることは神格の直接介入を除いては不可能である。
スフィアー・オヴ・アニヒレイションは普通の穴のようにどこかの場所に静止している。しかし、精神的な働きかけにより移動させることができる(これは魔法の力によらないテレキネシスのようなもの――実際の物体を動かすには弱すぎるが、重さを持たないこの球体ならば影響を受けてしまうような力だと考えればよい)。キャラクターがスフィアー・オヴ・アニヒレイションの制御を確立(し、それを維持)する能力はDC30に対する制御判定の結果に基づく(1移動アクション)。制御判定は1d20+キャラクター・レベル+キャラクターの【知力】修正値である。この判定に成功すると、そのキャラクターはフリー・アクションでこの球体を移動させることができる(恐らく、この球体を敵に接触させようとするだろう)。
この球の制御は40フィート離れたところからでも確立させることができる(そのキャラクターがあまり近くに近づく必要はない)。制御を確立した後は、毎ラウンド、制御判定(すべてDC30)を続けることで維持しなければならない。それ以降のラウンドにおいて制御を維持している(判定に失敗しない)限り、キャラクターは40フィート+キャラクター・レベルごとに10フィート離れた距離から球を制御することができる。この球の1ラウンドあたりの移動速度は、10フィート+そのラウンドのキャラクターの制御判定で30を上回る5ポイントごとに5フィートである。
制御判定に失敗すれば、球はそれを動かそうとしたキャラクターの方向に10フィートすべってくる。2体以上のクリーチャーがスフィアー・オヴ・アニヒレイションの制御を奪い合った場合、ロールは対抗判定となる。誰も成功しなかった場合、球体は最も低い目を出した者の方にすべってくる。
タリスマン・オヴ・ザ・スフィアー(球体制御の護符)も参照すること。
破壊方法
ゲート呪文を
スフィアー・オヴ・アニヒレイションに対して発動した場合、50%の確率(d%の01~50)で
ゲート呪文が
スフィアー・オヴ・アニヒレイションを破壊し、35%の確率(51~85)で呪文は何の効果もなく、15%の確率(86~100)で空間構造に裂け目が生じ、半径180フィート(約55m)以内のすべてのものを他の次元界に放り出す。
ロッド・オヴ・キャンセレイション(アイテム無力化のロッド)がこの球に触れた場合、大爆発とともに互いを打ち消し合う。半径60フィート以内のすべてのものは2d6×10ポイントのダメージを被る。
ディスペル・マジックと
メイジズ・ディスジャンクションはこの球に対してまったく効果がない。
スタッフ・オヴ・ザ・マギ
解説
長い木製のスタッフで、石突きは鉄製、あらゆる種類の印形とルーンが彫り込まれている。この強力なアーティファクトは多彩な呪文パワーを有しており、それ以外にも多くの機能がある。普通のスタッフと違って、スタッフ・オヴ・ザ・マギは50チャージを有するが、通常通りに再チャージすることはできない。チャージを消費するパワーもあれば、消費しないパワーもある。スタッフ・オヴ・ザ・マギはチャージを使い切ってもパワーを失わない。以下の能力は使用してもチャージを消費しない。
以下のパワーは使うたびに1チャージを消費する。
以下のパワーは使うたびに2チャージを消費する。
スタッフ・オヴ・ザ・マギの使用者は呪文抵抗23を得る。しかし、呪文抵抗を意図的に取り下げれば、まるで
ロッド・オヴ・アブソープション(吸収のロッド)のように、使用者に向けられた秘術呪文のエネルギーを吸収するために使うこともできる。
ロッド・オヴ・アブソープションと違うところは、このようにして吸収された呪文レベルを呪文の使い手が呪文のエネルギーとして使用することはできず、杖がチャージに変換するという点である。杖がチャージ限界(50)を超えて呪文レベルを吸収してしまった場合、あたかも“応報の一撃”(下記参照)が発生したかのように爆発してしまう。使用者は自分に対して何レベルぶんの呪文が発動されたか知ることはできない。
ロッド・オヴ・アブソープションと違って、この杖はそうした情報を伝えてくれないからである(従って、呪文を吸収する行為は危険なものとなりかねない)。
破壊方法
スタッフ・オヴ・ザ・マギは応報の一撃によって壊れる。このような行為は意図的に行なうもので、使用者が宣言しなければならない。杖の中にあった全チャージが30フィートの拡散範囲に解放される。折られた杖から10フィート以内のすべてのものは、杖の中にあったチャージ数の8倍に等しいダメージをヒット・ポイントに被る。11~20フィート離れていたものはチャージ数の6倍に等しいダメージを被る。21~30フィート離れていたものはチャージ数の4倍に等しいダメージを被る。DC23の反応セーヴに成功すれば、ダメージを半減させることができる。
杖を破壊したキャラクターは50%の確率(d%の01~50)で他の次元界に飛ばされるが、そうならなかった場合(51~100)、呪文のエネルギーの爆発的な解放によって滅ぼされてしまう(セーヴィング・スローなし)。
タリスマン・オヴ・ピュア・グッド
解説
このアイテムを所持する善の信仰呪文の使い手は、100フィートまで離れたところにいる悪の信仰呪文の使い手の足元に燃えあがる地割れを作り出すことができる。対象は永久的にこれに呑み込まれ、大地の中心に送り込まれる。この護符の使用者は善の属性でなければならず、その思考や行為がひときわ純粋なものでなければ、悪のキャラクターはDC19の反応セーヴィング・スローを行なうことができ、成功すれば地割れから跳び退ける。当然ながら、このアイテムが機能するためには、目標は固い地面の上に立っていなければならない。
タリスマン・オヴ・ピュア・グッドには6チャージある。中立(秩序にして中立、真なる中立、混沌にして中立)の信仰呪文の使い手は、このアイテムに触れると、触れている間はラウンドごとに6d6ポイントのダメージを被る。悪の信仰呪文の使い手は、このアイテムに触れると、触れている間はラウンドごとに8d6ポイントのダメージを被る。それ以外のキャラクターには、このアイテムは作用しない。
破壊方法
タリスマン・オヴ・ピュア・グッドは、当人の自由意志にて実に極悪な行ないをなしている間に死んだ聖人の口の中に置くことで、破壊できる。
タリスマン・オヴ・ザ・スフィアー
解説
取っ手つきの、この小さなアダマティン製の輪は、ふつうはネックレスとして身につけられるように上等なアダマティン製の鎖に取り付けられている。タリスマン・オヴ・ザ・スフィアーは、秘術呪文を発動できない者が持っても役に立たない。秘術呪文を発動できないキャラクターは、この種の護符を拾って手に持つだけで5d6ポイントのダメージを被る。しかし、スフィアー・オヴ・アニヒレイション(虚無の球)の制御に精神を集中する秘術呪文の使い手が持てば、タリスマン・オヴ・ザ・スフィアーは制御判定に対するそのキャラクターの修正値を2倍にする(修正値の計算に際して、そのキャラクターの【知力】ボーナスとキャラクター・レベルを2倍と換算する)。
護符の使用者が制御を確立したら、それ以降、制御を続けるための判定を1ラウンドおきに行なえばよい。制御が確立しなければ、スフィアーは護符の持ち主に向かって移動する。魔力を打ち消す呪文や効果のほとんどはスフィアー・オヴ・アニヒレイションには効果がないが、この護符の制御能力は抑止されたり打ち消されたりし得ることに注意。
破壊方法
タリスマン・オヴ・ザ・スフィアーは、このアイテムをスフィアー・オヴ・アニヒレイションの中に投げ込むことによってのみ、破壊できる。
タリスマン・オヴ・アルティメット・イーヴル
解説
このアイテムを所持する悪の信仰呪文の使い手は、100フィートまで離れたところにいる善の信仰呪文の使い手の足元に燃えあがる地割れを作り出すことができる。対象は永久的にこれに呑み込まれ、大地の中心に送り込まれる。この護符の使用者は悪の属性でなければならず、信仰する悪の神格から見てひときわ卑劣で邪なものでなければ、善のキャラクターはDC19の反応セーヴィング・スローを行なうことができ、成功すれば地割れから跳び退ける。当然ながら、このアイテムが機能するためには、目標は固い地面の上に立っていなければならない。
タリスマン・オヴ・アルティメット・イーヴルには6チャージある。中立(秩序にして中立、真なる中立、混沌にして中立)の信仰呪文の使い手は、このアイテムに触れると、触れている間はラウンドごとに6d6ポイントのダメージを被る。善の信仰呪文の使い手は、このアイテムに触れると、触れている間はラウンドごとに8d6ポイントのダメージを被る。それ以外のキャラクターには、このアイテムは作用しない。
破壊方法
タリスマン・オヴ・アルティメット・イーヴルが贖罪を果たした悪漢の生まれたばかりの赤子に手渡されると、タリスマン・オヴ・アルティメット・イーヴルは即座に塵となる。
上級アーティファクトは唯一無二のアイテムである――ここに挙げるどのアイテムも、それぞれ1つしか存在しない。これらは最も強力な魔法のアイテムであり、キャンペーンのバランスを変えてしまう力がある。他の魔法のアイテムと違って、上級アーティファクトは簡単には破壊できない。どの上級アーティファクトにもたった1つの、特別の破壊方法があるのだ。
アックス・オヴ・ドワーヴィッシュ・ローズ
解説
これは
+6キーン・スローイング・ゴブリノイド・ベイン・ドワーヴン・ウォーアックスである。これを手にしたドワーフは暗視能力の有効距離が2倍になる。この斧を掴んだドワーフでない者は4ポイントの一時的【魅力】ダメージを受ける。この斧を手にしている限り、この【魅力】ダメージはいかなる方法によっても決して回復できないし治癒することもできない。この斧の現在の持ち主は
〈製作〉(防具、宝石加工、石工、罠つくり、および武器)判定に+10のボーナスを得る。この斧の使用者は、1週間に1回、エルダー・アース・エレメンタル(
サモン・モンスターIXと同様、持続時間20ラウンド)を招来できる。
破壊方法
アックス・オヴ・ドワーヴィッシュ・ローズがゴブリンに使われてドワーフ族の王の首がはねられるようなことがあったら、アックス・オヴ・ドワーヴィッシュ・ローズは錆びついて無に帰す。
コデックス・オヴ・ジ・インフィニット・プレインズ
解説
この古写本はとてつもなく大きい――おそらく、持ち上げるのは力持ちの男が2人がかりでとなる。どれだけ多くのページをめくろうと、常にページが残っている。この古写本を初めて開いた者は完膚なきまでに消滅してしまう(
ディストラクション呪文と同様、頑健・無効、DC30)。これを生き延びた者はそのページを熟読し、古写本のパワーを修得するが、危険がないわけではない。この古写本の学習に費やした1日ごとに、読み手は
〈呪文学〉判定(DC50)を行なって、成功すれば古写本のパワーの内の1つを修得することができる(修得したパワーはランダムに選択すること;パワーを修得するまでに1日余分に読書に費やすごとに、この判定に+1の状況ボーナスがつく)。しかし、学習に使った1日ごとに、読み手は狂気に陥る(
インサニティ呪文と同様)のを避けるために意志セーヴ(DC30+学習した日数)も行なわなければならない。
コデックス・オヴ・ジ・インフィニット・プレインズのパワーは以下の通り:
アストラル・プロジェクション、
バニッシュメント、
エレメンタル・スウォーム、
ゲート、
グレーター・プレイナー・アライ、
グレーター・プレイナー・バインディング、
プレイン・シフト、
ソウル・バインド。以上の擬似呪文能力はどれも、古写本の持ち主なら(パワーの使い方を修得していさえすれば)回数無制限で使用できる。
コデックス・オヴ・ジ・インフィニット・プレインズは、すべてのパワーと大惨事に関して
術者レベル 30レベルを持ち、セーヴDCはすべて(20+呪文レベル)である。パワーを起動するのには
〈呪文学〉判定(DC40+パワーの呪文レベルの2倍;キャラクターはこの判定で出目10できない)がいる。いずれかの判定に失敗すると、使用者に大惨事が降りかかることになる(効果については下の表でロールすること)。キャラクターはパワーを使うたびに一度しか大惨事に遭わない。
d% |
大惨事 |
01~25 |
自然の怒り:読み手を中心としたアースクウェイク呪文が1分の間の毎ラウンド巻き起こり、さらに読み手を中心としかつ目標とした激烈なストーム・オヴ・ヴェンジャンス呪文が吹き荒れる。 |
26~50 |
フィーンドの復讐:ゲートが開き、バロールかピット・フィーンドかそれに類する悪の来訪者が1d3+1体歩み出て、古写本の持ち主を破壊しようと試みる。 |
51~75 |
究極の幽閉:読み手の魂は同一次元界内のどこかにあるランダムな宝石の中に閉じ込められる(トラップ・ザ・ソウル呪文と同様;セーヴ不可)。読み手の肉体は地下深くに葬られる(インプリズンメント呪文と同様)。 |
76~100 |
死:読み手はウェイル・オヴ・ザ・バンシーを発する。その後さらに、ディストラクション呪文の対象となる。読み手が死亡するまで、10ラウンドの間の毎ラウンド、これをくり返す。 |
破壊方法
コデックス・オヴ・ジ・インフィニット・プレインズは、既存の各次元界ごとに1ページを切り離して置き捨てると、破壊される。ページを切り離すと即座に大惨事が引き起こされることに注意すること。
ザ・シャドウスタッフ
解説
このアーティファクトは何百年もの昔に、か細い影の繊維を寄り合わせ、黒くて捻れた杖にしたものである。ザ・シャドウスタッフは使用者を何やら影のような非実体の状態にし、ACと反応セーヴに+4のボーナスを与える(これは他のいかなるボーナスとも累積する)。しかし、明るい光(太陽光などはそうだが、松明の明かりはそうではない)や完全な暗闇の中では、使用者はすべての攻撃ロール、セーヴ、判定に-2のペナルティを被る。ザ・シャドウスタッフには、以下のようなパワーもある。
- シャドウ招来:1日に3回、この杖は2d4体のシャドウを招来することができる。このシャドウはアンデッド退散に完全耐性があり、術者レベル 20レベルで発動されたサモン・モンスターV呪文で招来されたかのように杖の使用者に従う。
- ナイトシェイド招来:1月に1回、この杖は1体のアドヴァンスト・シャドウ・デーモンを招来することができる。このシャドウ・デーモンは術者レベル 20レベルで発動されたサモン・モンスターIX呪文で招来されたかのように杖の使用者に従う。
- 影変異:1日に3回、杖の使用者は生きた影になることができ、ガシアス・フォーム呪文によるものとまったく同じ移動能力を得る。
- 影の矢:1日に3回、この杖は1体の目標に対して10d6ポイントの[冷気]ダメージを与える光線を発射することができる。“影の矢”は距離100フィートである。
破壊方法
シャドウスタッフは、途切れることなく24時間に渡って混じり気なしの太陽光にさらされると、何一つ残すことなく消滅する。
ジ・オーブズ・オヴ・ドラゴンカインド
解説
これら名高い
オーブはどれも古代の各種ドラゴンのエッセンスと人格が封じられている(主要なクロマティック・ドラゴンとメタリック・ドラゴン10種類について1つずつ存在する)。
オーブの持ち主は、1標準アクションとして、500フィート以内にいる該当する種のドラゴンを支配(
ドミネイト・モンスター呪文と同様)することができ、効果を受けたドラゴンはDC25の意志セーヴに成功するとこの効果に抵抗することができる(この効果に対して呪文抵抗は役に立たない)。どの
オーブ・オヴ・ドラゴンカインドも、中に封じられたドラゴンのACとセーヴィング・スロー・ボーナスを使用者に与える。この値は、そのキャラクターが持っていた値と(それより高かろうと低かろうと)置き換わってしまう。この値は、
オーブを持ち主から引き剥がす以外のいかなる方法でも変更することはできない。さらに、
オーブ・オヴ・ドラゴンカインドを所持するキャラクターは、その
オーブに封じられた種類のドラゴンからのブレス攻撃に対する完全耐性――ただし、ブレス攻撃のみ――を得る。最後に、
オーブを所持するキャラクター自身も1日に3回、その
オーブに封じられた種類のドラゴンのブレス攻撃を行なうことができるようになる。
どの
オーブ・オヴ・ドラゴンカインドでも、他のオーブの持ち主と音声と映像によって意思疎通することができる。
オーブの持ち主はいつでも、10マイル以内にドラゴンがいるかどうか知ることができる。その
オーブの種類のドラゴンであれば、この距離は100マイルとなる。その
オーブの種類のドラゴンが1マイル以内にいれば、その正確な位置とそのドラゴンの年齢が判る。
オーブのうち1つであっても使用した者は、たとえ後で手放したとしても、それ以降永遠にすべての竜族から――同族を奴隷にすることで利益を得たということで――敵意を受ける。それぞれの
オーブには独特のパワーもあり、これは毎ラウンド1回、
術者レベル 10レベルで使用できる。
- カッパー・ドラゴン・オーブ:サジェスチョン(意志・無効、DC17)。
- グリーン・ドラゴン・オーブ:スペクトラル・ハンド。
- ゴールド・ドラゴン・オーブ:この金色のオーブの持ち主は他のオーブのいずれかが持っているパワーを使用できる――これにはドミネイト能力とブレス攻撃能力も含まれるが、AC、セーヴ、ブレスに対する完全耐性は含まれない――が、それぞれのパワーは1日に1回ずつである。さらに、持ち主は1マイル以内にいる他のオーブの持ち主をドミネイトすることができる(意志・無効、DC23)。
- シルヴァー・ドラゴン・オーブ:キュア・クリティカル・ウーンズ(意志・半減、DC18)。
- ブラス・ドラゴン・オーブ:テレポート。
- ブラック・ドラゴン・オーブ:フライ。
- ブルー・ドラゴン・オーブ:ヘイスト。
- ブロンズ・ドラゴン・オーブ:スクライング(意志・無効、DC18)。
- ホワイト・ドラゴン・オーブ:プロテクション・フロム・エナジー[冷気](頑健・無効、DC17)。
- レッド・ドラゴン・オーブ:ウォール・オヴ・ファイアー。
破壊方法
内部に捕らわれたドラゴンと血縁関係にあるドラゴンのブレス攻撃にさらされると、オーブ・オヴ・ドラゴンカインドは即座に粉々になる。この場合、90フィート以内のすべてのものは、オーブが爆発した際に放出された、前述のドラゴンのブレス攻撃を受ける。