上級クラス
出典 Adventurer's Guide 57ページ、
Inner Sea Magic 44ページ
海賊都市リドルポートを拠点としたサイファーメイジ(符号魔導師)は、古代の歴史やルーン文字の伝承の学徒であり、特にサーシロンの遺跡や魔法に重きをおいている。この地域の歴史に関するその知識の深さはある意味で尊敬に値するが、一方で失われたままにしておくことが好ましい知識を追求したり、少しでもルーンと思えるものなら残骸のかけらや断片に執着するなど、危険なほど頑迷である、と感じる人もいる。伝説の符号門そのもの(リドルポートの港の入り口にかかる、ルーン文字を刻まれた巨大なアーチ)のように、サイファーメイジの労力の多くは、もはや存在しないかもしれない、隠された意味や崇高な意義を考えたり探したりするために浪費されているように見える。それにも拘らず、サイファーメイジらは知識の追求に余念がない。そしてそれを外部だけでなく、お互いに秘密にしていることが多い。それぞれが忘れられた伝説の断片を発掘したり、サーシロンの建築物を掘り起こしたり、論文をサイファーメイジや世界の裏側にいる学者たちに誇らしげに発表したりするために、日夜努力を続けている。
必要条件
サイファーメイジになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
クラス技能
レベル毎の技能ランク:4+【知力】修正値。
ヒット・ダイス:d6。
クラス能力
レベル |
基本攻撃 ボーナス |
頑健 セーヴ |
反応 セーヴ |
意志 セーヴ |
特殊 |
1日の呪文数 |
1 |
+0 |
+0 |
+0 |
+1 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
2 |
+1 |
+1 |
+1 |
+1 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
3 |
+1 |
+1 |
+1 |
+2 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
4 |
+2 |
+1 |
+1 |
+2 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
5 |
+2 |
+2 |
+2 |
+3 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
6 |
+3 |
+2 |
+2 |
+3 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
7 |
+3 |
+2 |
+2 |
+4 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
8 |
+4 |
+3 |
+3 |
+4 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
9 |
+4 |
+3 |
+3 |
+5 |
符号知識 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
10 |
+5 |
+3 |
+3 |
+5 |
符号の王 |
秘術呪文発動クラスに+1レベル |
符号知識/Cypher Lore:サイファーメイジがレベルを得るたび、巻物、グリフ、シンボルのような筆記魔法を体得していく。また、サイファーメイジはその力を強化することになる古代サーシロン魔法を発見し始める。これらの発見はまとめて符号知識として知られる。10レベルを除く各レベルで、サイファーメイジは以下に示す符号知識の発見の一覧から、魔法を強化する新しい手法を1つ身につける。
巻物解析(超常)/Analyze Scroll:フリー・アクションとして、サイファーメイジは自動的に魔法の巻物に書かれた内容を明らかにする。これは
リード・マジックを使用したかのように扱う。サイファーメイジは巻物から呪文を発動する際、
〈魔法装置使用〉判定にサイファーメイジ・レベルに等しい洞察ボーナスを得る。
シンボル通過(超常)/Bypass Symbol:サイファーメイジが魔法のグリフ、シンボル、図形、その他の記述される罠に対するセーヴィング・スローを試みる際、サイファーメイジは割り込みアクションとして
〈呪文学〉判定を試み、成功すれば罠の効果を1d6ラウンド遅らせることができる。この判定のDCはセーヴィング・スローのDCに等しい。遅延させた時間が経過すると、罠は通常の効果を持つ。この知識を選択するには、サイファーメイジ・レベルが8以上でなければならない。
防御的巻物発動(変則)/Defensive Scrollcaster:サイファーメイジは巻物から呪文を発動する際、防御的発動のための精神集中判定に+4のボーナスを得る。
巻物強化(超常)/Enhance Scroll:即行アクションとして、サイファーメイジは巻物の術者レベルではなく自身の術者レベルを使用して巻物から発動した呪文の効果を決定することができる。サイファーメイジはこの能力を1日にサイファーメイジ・レベルの1/3(最低1)に等しい回数だけ使用できる。
巻物持続時間延長(超常)/Extended Scroll:即行アクションとして、サイファーメイジは巻物から発動した呪文の持続時間を2倍にすることができる。これはちょうど
《呪文持続時間延長》で修正された呪文であるかのように扱う。サイファーメイジはこの能力を1日にサイファーメイジ・レベルの1/3(最低1)に等しい回数だけ使用できる。
巻物熟練(超常)/Focused Scroll:即行アクションとして、サイファーメイジは巻物呪文を起動する際に試みる術者レベル判定に【知力】修正値の2倍に等しいボーナスを加える。この判定には呪文抵抗を克服するために行うものも含まれる。サイファーメイジはこの能力を1日にサイファーメイジ・レベルの1/3(最低1)に等しい回数だけ使用できる。
巨人の主(変則)/Giant's Master:サイファーメイジは巨人に命令し操るサーシロンの手法のいくつかを明らかにした。(巨人)の副種別を持つ人型生物に[精神作用]呪文ないし効果を使用する際、即行アクションとして、サイファーメイジは発動する呪文のDCを2増加させる。この知識を選択するには、サイファーメイジ・レベルが6以上でなければならない。
巻物への慧眼(超常)/Insightful Scroll:即行アクションとして、サイファーメイジは巻物から発動する呪文のセーヴDCを決定する際、自分の呪文発動能力や関連特技を使用することができる。サイファーメイジはこの能力を1日にサイファーメイジ・レベルの1/3(最低1)に等しい回数だけ使用できる。
ルーンの罠(変則)/Rune Trap:サイファーメイジが魔法の筆記を用いる罠を生み出す呪文(
エクスプローシヴ・ルーンズ、
イリューソリイ・スクリプト、
セピア・スネーク・シジル、
シンボル呪文など)を発動する際、即行アクションとしてその筆記にサーシロンのルーンを混ぜ込むことができる。これにより、その罠に気づくための
〈知覚〉DC、解除するための
〈装置無力化〉DC、解呪するための術者レベルDCをそれぞれ4ずつ増加させる。この知識を選択するには、サイファーメイジ・レベルが6以上でなければならない。
高速呪文筆記(変則)/Swift Scrivener:サイファーメイジは1日に巻物を2つまで作成できる。ただし、その日に作成する全ての巻物の合計市価が1,000GP以下でなければならない。サイファーメイジは全てのシンボル呪文の発動時間を1分に短縮させる。
高速巻物準備(変則)/Swift Scroll:サイファーメイジはしまっていた巻物を取り出す際に機会攻撃を誘発しない。サイファーメイジが10フィート以上移動するなら、その移動と組み合わせてフリー・アクションとして巻物を取り出すことができる。
サーシロン熟練(変則)/Thassilonian Focus:サイファーメイジはサーシロン魔法の7系統から1つを選択する。サーシロン魔法の詳細は
63ページに記載されている。もしサイファーメイジがサーシロンの専門家(
63ページ参照)なら、サーシロン熟練とその専門系統に同じ魔法系統を選択しなければならない。サイファーメイジはその魔法系統の呪文と擬似呪文能力に対する全てのセーヴィング・スローに+2の洞察ボーナスを得る。
サーシロンの呪禁(超常)/Thassilonian Incantation:サイファーメイジはサーシロン語を口にする際に[言語依存]呪文を強化する方法を発見した。そうするなら、呪文のセーヴDCは1だけ増加するが、この効果を受けるにはこの呪文の効果の目標もまたサーシロン語を理解できなければならない。サイファーメイジがルーンの罠の符号知識も有しているなら、サイファーメイジは自分が発動する魔法の筆記を生み出す呪文(
エクスプローシヴ・ルーンズ、
シンボルなど)にサーシロンのルーンを含めることができる。そうするなら、その呪文の発動時間は2倍になるが、発現する呪文効果の術者レベルは+1される。
サーシロンの招来術(変則)/Thassilonian Summoning:サイファーメイジは特定の
サモン・モンスター呪文を発動する際、自身を助ける奇妙なクリーチャーを招来する方法を身に着けた。サイファーメイジは
サモン・モンスターIIIで発動できるモンスターの一覧にシンスポーン(
Pathfinder RPG Bestiary 2 246ページ)を、
サモン・モンスターVIで発動できるモンスターの一覧にラミアを、
サモン・モンスターIXで発動できるモンスターの一覧に
シャイニング・チャイルド(
Pathfinder RPG Bestiary 2 245ページ)を加える。この知識を選択するには、サイファーメイジ・レベルが6以上でなければならない。
符号の王(超常)/Cypherlord:10レベルの時点で、サイファーメイジは魔法のシンボル、グリフ、シジル、その他記述に起因する呪文と罠に対するセーヴに+5の洞察ボーナスを得る。サイファーメイジは自分が修得している符号知識能力の1つのうち、即行アクションで起動できるもの1つを選択する。その後、サイファーメイジはその能力をフリー・アクションで起動できる。
アーキタイプ
呪印士(メイガスのアーキタイプ) Sigilus
出典 Adventurer's Guide 59ページ
伝統的に、符号魔導師は物理的な戦闘に抵抗感を持ち、問題の解決や敵の討伐で魔法の力を頼りにすることを好む。組織の伝統主義者の多くは武術を頼りにするものに偏見を持っている。その偏見は、エルドリッチ・ナイトやメイガスといった、魔法と戦闘を組み合わせる者たちにも影響を与えた。しかし最近の組織のそうした伝統の変更もあって、そうした新しい伝統を、特に魔法を、更に歓迎するようになっている多数の者は、その伝承を取り入れる独自の方法を編み出している。
メイガスが符号魔導師の仲間に入ると、秘術蓄積に古代のサーシロン魔法の秘密を注入する術を学ぶことができる。このような者たちは呪印士として知られるようになる。古代サーシロンの謎がその呪文構築を後押しする一方で、呪印士はルーン文字の学術的、哲学的な側面をほとんど理解しようとしない。むしろ、彼らはルーンの実用性を重視している。
呪印士は
ウィザードや他の学究的な符号魔導師の研究成果を操り、その発見を使って呪文の効果を別の物体に移して、後で使用できる特別な呪印を作り出す。その技術は、ルーンロードが自分の体に魔法を込めることを可能にした技術を元にしているが、呪印士は体ではなく武器に魔法を注入する。学術的な研究よりもサーシロン時代の遺跡探索に興味を持つ呪印士は、現地調査やアーティファクトの回収などを行う符号魔導師に仕える。勉強熱心な符号魔導師と一緒に行動し、時には護衛として、ときにはサーシロンの強力な秘密を手に入れて特定のメンバーが力を持ちすぎないように規制するエージェントとして活躍している。
ルーン刻印(超常)/Inscribe Rune:2レベルの時点で、呪印士はサーシロンのルーンを武器1つに魔法的に刻む方法を身につける。刻印されたルーンはサーシロン魔法(
63ページ参照)の7系統を図案化した7つのルーンから1つを選択しなければならない。メイガス呪文の特性のため、これらのルーン(とその特定の魔法系統)には刻みつけるのに適したものがある――幻術、召喚術、変成術、力術は強力な選択肢であり、死霊術、心術、防御術が刻まれることは少ない。ルーン刻印には10分かかる。
ルーンを通して武器に注入されると、呪印士はそのルーンの系統の呪文で呪文戦闘能力を使用する際によりうまく扱えるようになる。刻印したルーンと同じ系統から呪文を発動する際、呪文戦闘を使用する際の攻撃ロールへのペナルティは1だけ減少する(-1となる)。しかし、刻印したルーンと異なる呪文を用いて呪文戦闘をしたなら、ペナルティは2だけ増加する(-4となる)。呪印士がこの方法で武器にルーンを刻印している限り、呪印士は呪文戦闘で対立系統に属する呪文を使用できない。
呪印士は同時にルーン刻印を武器1つにのみ維持することができる。新しいルーンを武器に刻印するとすぐ、それまでに刻印したルーンは消え去ってしまう。
この能力は呪文撃を置き換える。
シヘドロン刻印(超常)/Inscribe Sihedron:7レベルの時点で、呪印士はシヘドロン・ルーン(7つの頂点を持つ星であり、サーシロン魔法の7系統全てを象徴している)を自分の身に付ける軽装鎧に刻むことができる。そうするなら、その鎧は防御魔法によって物理的に強化され、[音波]、[火炎]、[強酸]、[氷雪]、[雷撃]から選択した2種類のエネルギー種別に対する抵抗5を与えるとともに、鎧の鎧ボーナスが1増加する。この増加は鎧ボーナスの増加であり、魔法の軽装鎧だった場合、いかなる強化ボーナスとも累積する。この方法でシヘドロン・ルーンを刻印する行為は、呪印士の呪文準備の儀式の一部である――そのため、シヘドロン・ルーンの刻印は1日に1回だけ行える。毎日シヘドロン・ルーンを刻印するたびに、呪印士は抵抗の種類2つを任意のものに変更できる。
13レベルの時点で、刻印されたシヘドロン・ルーンはエネルギー種別1つに対する抵抗10と、他のエネルギー種別2つに対する抵抗5を与えるようになり、鎧ボーナスは+2だけ増加するようになる。
シヘドロン・ルーンは軽装鎧にのみ刻印できる。例え呪印士が中装鎧や重装鎧に対する習熟を有していたとしても、中装鎧と重装鎧に刻印することはできない。
この能力は中装鎧と重装鎧を置き換える。
ルーンの賢者(ウィザードのアーキタイプ) Runesage
出典 Adventurer's Guide 58ページ
ルーンの賢者は古代サーシロンの神話的なエネルギーを引き出す。時にルーンロードによって搾取された悪辣な技術と同じものを取り扱うが、ルーンの賢者は節度と共感を持って古代サーシロンの神秘を探求する傾向があり、その呪文発動の焦点具として小さな宝石を用いることでそのバランスを保つ。ルーンの賢者はサーシロンの魔法に関連する呪文効果を識別する達人である。サーシロンの神秘のほとんどはいまだ埋もれたままだが、ルーンの賢者は好奇心を持ち続け、サーシロンの魔法の隠された宝物庫の新しい場所を探し続けている。
ルーンの焦点具(超常)/Runic Focus:ルーンの賢者はそのルーン知識を用いてルーンの焦点具を作り出す。それは小さく、サーシロンのルーンが刻まれた宝石に似たもので、ルーンの賢者の呪文発動能力を変質させるために用いられる。機能上、ルーンの焦点具はアイウーン・ストーンと同様に機能する。ルーンの焦点具を起動するには、ルーンの賢者は呪文を準備する際に瞑想しなければならない。その後の呪文準備でルーンの賢者はこの宝石を虚空へと投げると、それは頭の周りを周回する。ルーンの焦点具は次にルーンの賢者が呪文を準備するまで周回を続ける。ルーンの焦点具は自動的にルーンの賢者の絆の品として機能する。
ルーンの賢者は秘術系統の専門化を選択できない。全てのルーンの賢者は総合術士となる。しかし、ルーンの焦点具を作成する際、ルーンの賢者はサーシロンの魔法系統(
63ページ参照)から1つを選択しなければならない。呪文を準備する際、ルーンの賢者は準備できる呪文を決定する目的において、そのルーンの焦点具の系統のサーシロン魔法の専門家として扱う(これには、呪文レベルごとに選択した系統の呪文スロットを追加で2つ得ることと、ルーンの焦点具の対立系統2つから呪文を準備できないことが含まれる)。ルーンの賢者は専門化する系統に関連する力を得ることはなく、この意味で常に総合術士のウィザードとして機能する。
ルーンの賢者はルーンの焦点具が属する秘術系統1つの呪文を強化することができる。ルーンの焦点具が起動している限り、ルーンの賢者はルーンの焦点具が属する秘術系統の呪文を発動する際、その物質要素が10GP×ルーンの賢者の術者レベルを超えない限り、物質要素を必要としない。このコスト上限を超える物質要素を必要とする場合、ルーンの賢者は通常通り呪文を発動するためにその物質要素を準備しなければならない。
ルーンの焦点具はアイウーン・ストーンと同様、AC24、HP10、硬度5である。最初のルーンの焦点具は無料で作成できるが、ルーンの焦点具を置き換えるには、
ウィザードの秘術の絆における絆の品の置き換えの標準ルールを用いる。ルーンの賢者が新しくルーンの焦点具を作成する際、新しい系統が直前の焦点具の対立系統でない、異なるサーシロンの魔法系統のものとすることができる。例えば、死霊術に属するルーンの焦点具を捨てて、心術でも防御術でもない系統の新しい焦点具と置き換えることができる。というのは、これら2つの系統はサーシロンの死霊術の対立系統だからである。
この能力は秘術の絆を変更し、秘術系統を置き換える。
特技
呪文
アブソーブ・ルーンI
Absorb Rune I/ルーン吸収I
出典 Adventurer's Guide 60ページ
系統:防御術;
呪文レベル:ウィザード/ソーサラー4、オカルティスト4、クレリック4、バード4、メイガス4
発動時間:標準アクション
構成要素:音声、動作、物質(25GP相当の白いシルクの手袋)
距離:接触
目標:呪文の効果1つ
持続時間:瞬間、加えて1分/レベル(本文参照)
セーヴィング・スロー:意志・無効(無害);
呪文抵抗:可(無害)
この呪文により、術者は魔法のグリフ、シンボル、その他魔法的な呪文の効果(この呪文の説明では「ルーン」と表記する)に手をおいて、その効果の本質を吸収しようと試みることができる。ルーンを吸収するには、ルーンの存在を知り(どのように機能するかの詳細を知っている必要はない)、ルーンに触れたときに術者レベル判定(DC=10+吸収しようとする呪文の術者レベル)に成功しなければならない。この術者レベル判定に失敗した場合でも、5以上の差で失敗しない限り、魔法のルーンは起動しない。
術者レベル判定に成功したなら、ルーンはもともと置かれていた表面から取り除かれ、手につけていた絹の手袋の布へと転写される。ルーンは手袋の手のひらの部分に不活性な状態で、術者レベル毎に1分までとどまり続ける。ルーンを新しい表面に置く前に呪文の持続時間が経過した場合、吸収したルーンは害を及ぼすことなく消滅する。
アブソーブ・ルーンIは3レベル以下の呪文と同等の効果を持つルーンにのみ効果を及ぼす。より強力な効果を持つルーンに対してアブソーブ・ルーンIを試みると、そのルーンに触れた時点で自動的にルーンが発動してしまう。
アブソーブ・ルーンII
Absorb Rune II/ルーン吸収II
出典 Adventurer's Guide 60ページ
系統:防御術;
呪文レベル:ウィザード/ソーサラー6、オカルティスト6、クレリック6、バード6、メイガス6
発動時間:標準アクション
構成要素:音声、動作、物質(25GP相当の白いシルクの手袋)
距離:接触
目標:呪文の効果1つ
持続時間:瞬間、加えて1分/レベル(本文参照)
セーヴィング・スロー:意志・無効(無害);
呪文抵抗:可(無害)
この呪文は
アブソーブ・ルーンIのように機能するが、5レベル以下の呪文と同等の効果を持つルーンに影響を与えることができる。
アブソーブ・ルーンIII
Absorb Rune III/ルーン吸収III
出典 Adventurer's Guide 60ページ
系統:防御術;
呪文レベル:ウィザード/ソーサラー9、クレリック9
発動時間:標準アクション
構成要素:音声、動作、物質(25GP相当の白いシルクの手袋)
距離:接触
目標:呪文の効果1つ
持続時間:瞬間、加えて1分/レベル(本文参照)
セーヴィング・スロー:意志・無効(無害);
呪文抵抗:可(無害)
この呪文は
アブソーブ・ルーンIのように機能するが、8レベル以下の呪文と同等の効果を持つルーンに影響を与えることができる。
ヒドゥン・ナレッジ
この巧妙で便利な呪文により、術者は重要な知識を――自分からさえも――守ることができる。この呪文の発動に合わせて、術者は知識1つ(最大で150文字まで)を暗唱する。呪文の発動が完了すると、術者はその知識を自分の精神から肌に移す。それは術者の肉体の選択した場所にルーンの刺青として現れる。この知識は術者の精神から完全に消えてしまい、忘れたことすら気づかないかもしれない。呪文の魔力は術者の記憶の隙間を過去の記憶から補って埋めてしまう。呪文の持続時間が終了するまで、この知識は術者から失われる。この呪文を発動する際、術者はレベル毎に1日を上限として、呪文の持続時間を決めることができる。
多くの符号魔導師はこの呪文の効果を隠すために、魔法のものでない刺青を体に刻む。
ディテクト・マジック呪文、あるいは
〈言語学〉あるいは
〈呪文学〉判定(DC=20+術者の【知力】修正値)に成功すれば、この魔力による刺青を明らかにすることはできるが、その内容はわからない。
ヒドゥン・ナリッジの効果は通常通り解呪できるが、そうすると知識は完全に失われてしまう。
ルーン・トレイス
Rune Trace/ルーンの痕跡
出典 Adventurer's Guide 60ページ
系統:占術;
呪文レベル:ウィザード/ソーサラー1、オカルティスト1、クレリック1、サイキック1、バード1
発動時間:1分
構成要素:音声、動作、物質(25GP相当の宝石の粉末ひとつまみ)
距離:接触
目標:接触したルーン
持続時間:瞬間
セーヴィング・スロー:不可;
呪文抵抗:不可
あらゆる種類の刻まれたり書かれたりしたルーンの複雑さに完全に没頭することで、そのルーンの性質の要素を信仰するものとすることができる。ルーン・トレイスを使用するには、術者は調べたいルーン、グリフ、シンボル、その他の印に自分の指を走らせなければならない(手袋をしていてはならない)。これはルーンに接触すると通常起動するような効果を起動しない。ルーン、シンボル、その他の読むと発動する効果は、術者が読むと通常通り発動してしまう。しかし、この呪文は目標とするルーンを見たり読んだりする必要がないという点に注意すること。呪文の発動時間が終了すると、術者は即座にそのルーンの特性、来歴、目的に関する洞察を一瞬にして受け取る。それには以下の情報が含まれている。
設置時期/Age:術者はそのルーンの設置時期が過去24時間以内か、1月以内、1年以内か、10年以内か、100年以内か、100年より前日かのいずれかを知る。
洞察/Insight:術者が魔法のルーンに対してルーン・トレイスを発動したなら、解呪、解除、その他そのルーンを取り除くために行うすべての技能ロールと技能判定に+5のボーナスを得る。
言語/Language:術者はそのルーンの文字がどの言語で書かれていたかを知る。もしルーンに対応する言語がない場合、固有の画像であることがわかる。
目的/Purpose:術者はそのルーンの一般的な目的(装飾のためか、情報のためか、魔法的な防御のためか、警告のためか、など)を知る。
ルーン・オヴ・ルール
Rune of Rule/統治のルーン
出典 Adventurer's Guide 61ページ
系統:変成術;
呪文レベル:ウィザード/ソーサラー2、ウィッチ2、オカルティスト2、バード2
発動時間:1分
構成要素:音声、動作、物質(25GP相当のペンキの瓶)
距離:近距離(25フィート+5フィート/2レベル)
目標:生きているクリーチャー1体
持続時間:1日または起動するまで(本文参照)
セーヴィング・スロー:意志(無害);
呪文抵抗:可(無害)
失われた人間の帝国アズラントにおける統治の七元徳――後にルーンロードによって、より身近な七つの大罪へと堕落させられた――という古代の神秘的な伝統を調査することで、符号魔導師は閃きを得てルーン・オヴ・ルールを開発した。この呪文によって術者は、後で1回そのクリーチャーを手助けするために使用できるルーンを他のクリーチャーに配置できる。この呪文を発動する際、術者は25GPの価値がある特別な呪文を施した塗料一回分を使って、指で目標の体にルーンを描くことで、発動時にこの呪文の効果を決定する。特別に記載のない限り、ルーン・オヴ・ルールを記されたクリーチャーは即行アクションとして、任意のタイミングでルーン・オヴ・ルールを起動できる。この呪文の効果が使用されないままだった場合、このルーンに関連する全ての印は消滅し、効果は失われる。術者は自分にこの呪文を配置することはできない――必ず他人を対象としなければならない。使用者が起動する際の特別な効果に関連する支配のルーン7つは以下に示されている。クリーチャーは同時にルーン・オヴ・ルールを1つしか記されることができない。
慈愛/Charity:この印を刻まれたクリーチャーは、他のクリーチャーに要求されて試みた1回の攻撃ロールもしくは技能判定に+5の洞察ボーナスを得る。ただし、マークを持つクリーチャーはそのロールあるいは判定の試みによって即座に利益や報酬を得ない場合に限る。
分別/Generosity:分別のルーンを刻まれたクリーチャーは、割り込みアクションとしてこのルーンを起動できるが、30フィート以内にいるクリーチャーが、24時間以内のある時点でルーンを刻まれたクリーチャーから与えられた消費型の魔法のアイテム(ポーションや巻物など)を1つ起動したときでなければならない。ルーンが起動すると、この消費型のアイテムの効果を解決する際、アイテムの実際の術者レベルよりも2レベル高い術者レベルであるように扱う。
忠義/Humility:忠義のルーンを起動したクリーチャーは、1ラウンドの間機会攻撃を誘発しなくなる。
寛容/Kindness:寛容のルーンを起動するためには、クリーチャーは援護アクションを使用しようとするか(治癒)呪文を発動しようとしなければならない。クリーチャーが援護アクションを使用する間にルーンを起動したなら、成功時に与えるボーナスは+5に増加する。クリーチャーが(治癒)呪文を発動する間にルーンを起動したなら、その呪文の有効術者レベルは2だけ増加する。
愛/Love:(魅惑)の補足説明(訳注:副系統の誤記)を持つ呪文を発動する際にクリーチャーが純愛のルーンを起動したなら、その呪文のセーヴDCは1だけ増加する。別の用法として、クリーチャーは武器攻撃あるいは呪文による攻撃でダメージ・ロールを行った後にこのルーンを起動することもできる。そうするなら、与えたダメージは非致傷ダメージになる。
節制/Temperance:節制のルーンを持つクリーチャーは毒、病気、薬物、その他同種の効果に対するセーヴィング・スローに失敗したときに即座に割り込みアクションを使用することができる。クリーチャーは直ちにその効果に対するセーヴィング・スローを再度行い、この2回目のセーヴィング・スローを実際の結果として使用することができる。
敬虔/Zeal:敬虔のルーンを起動したクリーチャーは意志セーヴに+3のボーナスを得る。また、このクリーチャーによって作成された[言語依存]効果のセーヴDCは1だけ増加する。これらの効果は1ラウンドの間持続する。
スレイヴ・トゥ・シン
Slave to Sin/大罪への奴隷
出典 Adventurer's Guide 61ページ
系統:心術(強制)[感情、精神作用];
呪文レベル:インクィジター3、ウィザード/ソーサラー3、ウィッチ3、クレリック3、バード2、パラディン2、メスメリスト2
発動時間:標準アクション
構成要素:音声、動作、物質/信仰(シヘドロンのルーン文字が刻まれた紙切れ)
距離:近距離(25フィート+5フィート/2レベル)
目標:生きているクリーチャー1体
持続時間:1ラウンド/レベル
セーヴィング・スロー:意志・無効(本文参照);
呪文抵抗:可
この呪文により、術者は悪のクリーチャー1体の精神に入り込み、いわゆる「七つの大罪」の内、最も影響を受けやすいものを明らかにして利用することができる。対象となったクリーチャーは意志セーヴを行わねばならず、失敗すると自分の性格に最も近い大罪に溺れたいという衝動を抑えることができなくなる。また、同時にそのクリーチャーの肉体に大罪を示すルーンが現れる。どのルーンがクリーチャーの体に現れるかは、GMが適切に決定する。
毎ラウンド、目標のターンの開始時に、目標は呪文のDCに対するセーヴィング・スローを新たに行い、成功すれば大罪に従うことに抵抗できる。目標がこのセーヴィング・スローに成功したなら、大罪の影響を受けてこのラウンドの間
不調状態になる。セーヴに失敗すると、目標は大罪に溺れて行動の一部を費やす(憤怒に近しいなら脅しや冒涜を口にして無駄に時間を過ごすかもしれないし、怠惰に近しいならゆっくり躊躇しながら行動するかもしれない。色欲に近しいなら美しいものに目を奪われたり見とれたりして貴重な時間を費やすかもしれない)ため、
不調状態かつ
よろめき状態になる。
サーシロン魔法系統に専門化するかどうかは、キャラクターが最初に
ウィザードになった時点で選択しなければならない。一度選択した魔法系統は以後変更できない。
利益:サーシロンの専門家となったウィザードは、自分が発動できる呪文レベルごとに、追加の呪文スロットを2つ得る。これらの追加のボーナス呪文スロットは、両方ともウィザードの専門系統にある同じ呪文を準備するために使用されなければならない。そのため、ウィザードは(2回その呪文を準備したので)その呪文を2回発動できる。ウィザードはこれらのスロットを使用して異なる呪文2つを準備することはできない。
制限:サーシロンの専門家となったウィザードは、対立系統を好みに合わせて選択することはない。対立系統は選択した専門系統によって決定される。
この制限はほとんどの
ウィザードが従うものよりも厳格なもので、禁止系統として知られている。サーシロン(専門家)の
ウィザードは、禁止系統にある呪文を準備できない。呪文解放型や呪文完成型のアイテムを使用して禁止系統の呪文を発動する場合には、
〈魔法装置使用〉技能を用いなければならない。
サーシロン魔法/Thassilonian Magic:古来より認められている魔法系統に関するウィザードの専門化という考え方は、アズラントの時代にまで遡るし、おそらく人類が台頭する以前の薄暗い時代にまでも遡るだろう。しかし系統の専門性を極限まで追求したのはサーシロンの支配者たちであり、彼らの発見が、ウィザードの専門化が持つ独自の形を生み出した。
魔法の各系統が特定の2系統と対立しているという事実に着目し、ルーンロードたちは自分たちの選んだ魔法の専門分野をさらに強化する方法を開発したのだ。基本概念として、彼らはこれら七系統を「できること」と「できないこと」で定義した。固定の対立系統によってもたらされた「不純物」を取り除くことで、彼らは選択した分野のより強力な力と、魔法の多様性を交換したのである。サーシロン魔法の七系統を以下に示す。
嫉妬(防御術)/Envy:自分以外の魔法を抑える術。禁止系統:死霊術、力術。
暴食(死霊術)/Gluttony:肉体を操作して、限りない生命への飢えを与える魔法。禁止系統:心術、防御術。
強欲(変成術)/Greed:魔法で物事を大きな価値や効用のあるものに変換し、肉体的に自己を強化すること。禁止系統:幻術、心術。
色欲(心術)/Lust:自分の欲望を満たすために魔法で他のクリーチャーを操り、支配し、他人の心や感情、意志を操作すること。禁止系統:死霊術、変成術。
傲慢(幻術)/Pride:詐術や幻を通して自身の外見や領域を完成させること。禁止系統:召喚術、変成術。
怠惰(召喚術)/Sloth:代理人や手下を喚び出し、自分のための行為を行わせたり、必要なものを必要な形で想像したりすること。禁止系統:幻術、力術。
憤怒(力術)/Wrath:魔法のそのままの破壊力を会得し、その破壊をつなげる。禁止系統:召喚術、防御術。
最終更新:2023年05月02日 16:16