厳かで揺るぐことのないインクィジターは、公正や清浄さではなくペテンや悪知恵を使って信仰の敵を根絶やしにする。インクィジターは神格を信仰しているにもかかわらず、教会の多くの通常の規則と因習から解き放たれている。彼らは神格と自身の正義感にのみ応え、自らの目標を果たすために進んで極端な手段を講ずる。
役割:インクィジターは場所から場所へと移動し、敵を追い、また危険を調査しようとする。その結果、彼らは時として彼らの存在を隠すためだけに他人と共に旅をすることがある。インクィジターは可能であれば信仰の仲間と共に行動するが、そのような仲間もインクィジターの嫌疑から除外されるわけではない。
属性:インクィジターの属性は彼女の神格から秩序/混沌か善/悪軸のどちらかが1段階ずれる範囲内でなければならない。
ヒット・ダイス:d8。
呪文:インクィジターはインクィジター呪文リストに書かれた信仰呪文を発動する。彼女は自身が修得している呪文をその呪文のレベルについて1日に許された回数だけ使用するまで、いつでも事前の準備なしに発動できる。
呪文を学び発動するために、インクィジターは少なくとも10+呪文レベルに等しいだけの【判断力】能力値を有していなければならない。インクィジターの呪文へのセーヴィング・スローの難易度は10+呪文レベル+インクィジターの【判断力】修正値である。
インクィジターは1日に決められた回数しか呪文を発動できない。1日に使用できる呪文の基本数は「表:インクィジター」に示されている。加えて、高い【判断力】能力値を持っていればボーナス呪文を得られる(
Pathfinder RPG Core Rulebookの表1‐3参照)。
インクィジターの呪文の選択は極端に制限されている。インクィジターは0レベル呪文4つと1レベル呪文2つを選択してゲームを開始する。新しいインクィジター・レベルそれぞれにつき、彼女は「表:インクィジターの修得呪文数」にある通り呪文を1つ以上得る(1日の呪文数とは異なり、インクィジターの修得呪文数は【判断力】能力値に影響されない。「表:インクィジターの修得呪文数」の数で固定されている)。
5レベルに達した時点および以降3レベル毎(8、11、以下同様)に、インクィジターは既に修得している呪文1つの代わりに新しい呪文を学ぶことを選択できる。この効果により、インクィジターは古い呪文を1つ“失い”、新しい呪文1つと交換する。この新しい呪文のレベルは交換する呪文と同じでなければならず、インクィジターが発動できる最大のレベルよりも最低でも1以上低くなければならない。インクィジターが決められたレベルで交換できるのは呪文1つだけであり、呪文を交換するかどうかは新しく修得する呪文を得るのと同時に選択しなければならない。
領域:クレリックの神格と同様、インクィジターの神格は彼女の属性、その魔法がどう働くか、そして彼女の価値基準に影響を与える。しかしながらクレリックとは違いその教義には縛られておらず、インクィジターはそのような指針を高次のものと考え、その信仰のよりよきものに仕えるためならその事実を無視し対立できる。インクィジターは彼女の神格が持つ1つの領域を選択できる。インクィジターは彼女の属性がその領域と合致しているのであれば、属性の領域を選択できる。GMが認めるなら、インクィジターは神格の代わりに理想に献身していて、彼女の好みと能力を表す1つの領域を選択していることにしても良い。属性の制限は依然として適用される。
それぞれの領域はインクィジターのレベルによりいくつかの領域の力を与える。インクィジターはそれぞれの領域からボーナス呪文を得ず、ボーナス呪文スロットも得ない。インクィジターは力と領域の力の効果を決定するに際し、そのレベルを有効
クレリック・レベルとして扱う。インクィジターが
クレリック・レベルを持っていた場合、2つの領域のうち1つはインクィジターとして選択したものと同じでなければならない。
クレリックとインクィジターのレベルは領域の力と能力を決定する際に累積するが、ボーナス呪文に対してはそうならない。
審判(超常)/Judgment:1レベル以降、インクィジターは即行アクションで自身の敵に審判を告げられる。審判がなされたときから、インクィジターは審判の種類に基づくボーナスか特殊能力を得る。
1レベルの時点で、インクィジターはこの能力を1日に1回使用できる。4レベルの時点および以降3レベル毎に、インクィジターはこの能力を1日に追加で1回ずつ使用できる。1回起動すれば、この能力は戦闘が終了するまで持続し、またそうなった時点ですべてのボーナスは即座に終了する。インクィジターがこれらのボーナスを得るには戦闘に参加しなければならない。彼女が
恐れ状態、
恐慌状態、
麻痺状態、
朦朧状態、
気絶状態、あるいはほかの戦闘に参加することを妨げる状態にある場合、能力は終了しないが、再び戦闘に参加できるようになってからボーナスが回復する。
インクィジターがこの能力を使用したとき、彼女は審判の種類を1つ選択する。インクィジターは即行アクションで審判を別の種類に変更できる。インクィジターが悪である場合、適切な不浄ボーナスを清浄ボーナスの代わりに得る。中立のインクィジターは不浄か清浄かのどちらかを選択しなければならない。一度選択すると、以後は変更できなくなる。
一撃/Smiting:この審判はインクィジターの1つ以上の武器を信仰の光で包む。インクィジターの武器は
ダメージ減少を無視するか考慮する際、魔法の武器として扱われる。6レベルの時点で、インクィジターの武器は
ダメージ減少を無視するか考慮する才、属性(混沌、悪、善、あるいは秩序)1つを持つものとしても扱われるようになる。属性の種類はインクィジターの属性の1つと一致していなければならない。インクィジターが中立である場合、なんのボーナスも受けない。10レベルの時点で、インクィジターの武器は
ダメージ減少を無視するか考慮する才、アダマンティン製としても扱われる(しかし硬度を減らすことはない)。
快活/Resiliency:この審判はインクィジターに害に対する抵抗を持たせ、
DR1/魔法を与える。この
DRは彼女の持つ5レベル毎に1ずつ上昇する。10レベルの時点で、
DRは魔法からインクィジターのものと反対の1つの属性(混沌、悪、善あるいは秩序)に変化する。彼女が真なる中立である場合、インクィジターはこの能力向上を獲得しない。
貫通/Piercing:この審判はインクィジターに大いなる集中を与え呪文を強力にする。この利益は精神集中判定と目標の
呪文抵抗を克服するための術者レベル判定に+1の清浄ボーナスを与える。彼女の持つ3インクィジター・レベルにつき+1ずつ上昇する。
正義/Justice:この審判はインクィジターの正義を求める心に拍車をかけ、すべての攻撃ロールに+1の清浄ボーナスを与える。このボーナスは彼女の持つ5インクィジター・レベル毎に+1ずつ上昇する。10レベルの時点で、クリティカル・ロールにおいて、このボーナスは倍になる。
清純/Purity:インクィジターは敵の邪悪なる穢れから守られ、すべてのセーヴィング・スローに+1の清浄ボーナスを得る。このボーナスは彼女の持つ5インクィジター・レベル毎に+1ずつ上昇する。10レベルの時点で、呪い、病気、そして毒に対しこのボーナスは倍になる。
治癒/Healing:インクィジターは癒しの光に包まれ、
高速治癒1を得る。これはインクィジターが生きており、審判が続いている限り、それぞれのラウンドにインクィジターから1ポイントのダメージを治癒する。治癒量は彼女の持つ3インクィジター・レベル毎に1ポイントずつ上昇する。
抵抗/Resistance:インクィジターは明滅するオーラに守られ、この審判を宣言するときに選んだ1種類のエネルギー([酸]、[冷気]、[電気]、[火]、あるいは[音波])に対する
抵抗2を得る。この保護は彼女の持つ3インクィジター・レベルにつき2ずつ上昇する。
破壊/Destruction:インクィジターは全身が信仰の怒りに満たされ、すべての武器のダメージ・ロールに+1の清浄ボーナスを得る。このボーナスは彼女の持つ3インクィジター・レベル毎に+1ずつ上昇する。
保護/Protection:インクィジターは保護のオーラに包まれ、アーマー・クラスに+1の清浄ボーナスが与えられる。このボーナスは彼女の持つ5インクィジター・レベル毎に+1ずつ上昇する。10レベルの時点で、クリティカル・ヒットを確定させるための攻撃ロールに対しこのボーナスは倍になる。
魔物の知識(変則)/Monster Lore:インクィジターは技能判定でクリーチャーの弱点と能力を識別する際、【知力】修正値に加え【判断力】修正値を
〈知識〉技能判定に加える。
祈り/Orisons:インクィジターは表2‐4の“修得呪文数”に従い、いくつかの祈り(0レベル呪文)を得る。これらの呪文はほかの呪文と同様に発動できるが、発動しても消費されず再び使用できる。呪文修正特技などによって違う呪文スロットを使って準備された祈りは、通常通り消費される。
断固とした凝視(変則)/Stern Gaze:インクィジターはごまかしを見抜き、敵を威圧することに熟練している。インクィジターはすべての
〈威圧〉および
〈真意看破〉判定にインクィジター・レベルの1/2に等しい士気ボーナス(最低+1)を得る。
ずる賢いイニシアチブ(変則)/Cunning Initiative:2レベルの時点で、インクィジターはイニシアチブ判定に、【敏捷力】修正値に加え【判断力】修正値を加える。
属性看破(擬呪)/Detect Alignment:回数無制限で、インクィジターは
ディテクト・イーヴル、
ディテクト・グッド、
ディテクト・ケイオス、
ディテクト・ローを使用できる。インクィジターは同時に1つしかこれらの能力を使用できない。
追跡(変則)/Track:2レベルの時点で、インクィジターは追跡あるいは痕跡を識別するために行う
〈生存〉判定にレベルの半分を加える。
単独戦術(変則)/Solo Tactics:3レベルの時点で、インクィジターは自らのチームワーク特技から利益を得るかを判断する際、すべての仲間がインクィジターと同様のチームワーク特技を持つかのように扱うことができるようになる。実際に自身でその特技を持っていない限り、仲間はそれらの特技によっていかなる利益も得ない。仲間の位置取りや行動がチームワーク特技に記された条件を満たしていない場合、インクィジターは記されたボーナスを得られない。
チームワーク特技/Teamwork Feat:3レベルの時点および以降3レベル毎に、インクィジターは通常の成長に加えボーナス特技を1つ得る。これらのボーナス特技はチームワーク特技から選択しなければならない。インクィジターは選択するボーナス特技の前提条件を満たしていなければならない。
標準アクションで、インクィジターは既に身につけた最も新しいボーナス・チームワーク特技1つを置き換え、新しいボーナス・チームワーク特技1つを身につけることを選ぶことができる。この効果で、インクィジターはそのボーナス特技1つを失い新しいもの1つへ交換する。彼女は最も新しく得たチームワーク特技のみ変更できる。新しいチームワーク特技を得たとき、それよりも1つ古い修得しているチームワーク特技は固定され、もう変更できなくなる。インクィジターは最も新しいチームワーク特技を1日に【判断力】修正値に等しい回数だけ変更できる。
滅ぼし(超常)/Bane:5レベルの時点で、インクィジターは即行アクションにより、自身の武器の1つに
ベイン武器の特殊能力を付与できる。この能力を使用するとき、インクィジターは1つのクリーチャー種別を選択しなければならない(そのクリーチャー種別が
人型生物か
来訪者だった場合、副種別も選択しなければならない)。1回決定した以降も、種別を即行アクションで変更できる。この能力はインクィジターが武器を持っている間機能する。落とすか取られた場合でも、その武器は持続時間が消費される前に再びインクィジターに戻ればその能力を得る。この能力は1日につき、インクィジターのレベル毎に1ラウンドだけ持続する。これらのラウンドは連続している必要はない。
ディサーン・ライズ(擬呪)/Discern Lies:5レベルの時点で、インクィジターは呪文と同様の
ディサーン・ライズを、1日につきインクィジター・レベル毎に1ラウンドだけ使用できる。これらのラウンドは連続している必要はない。この能力の起動は割り込みアクションである。
二度目の審判(変則)/Second Judgment:8レベルの時点で、インクィジターは審判の能力を使用するとき、1つの代わりに異なる2つの審判を選択する。このようにしても、審判の能力は1回分しか消費されない。インクィジターは即行アクションにより、審判1つを別の種類に変更できる。
強固(変則)/Stalwart:11レベルの時点で、インクィジターはある種の攻撃を避けるために精神的、肉体的な弾力さを得る。セーヴに成功することで効果を減らせる攻撃に対して頑健セーヴィング・スローか意志セーヴィング・スローに成功した場合、代わりに効果を完全に避ける。この能力はインクィジターが軽装鎧か中装鎧を着ているとき、あるいは鎧を着ていないときのみ使用できる。
無防備状態のインクィジターは強固の能力の利益を得られない。
上級滅ぼし(超常)/Greater Bane:12レベルの時点で、インクィジターが
滅ぼしの能力を使用したとき、選択した種別のクリーチャーに武器が与えるボーナス・ダメージ量は4d6に上昇する。
弱点の利用(変則)/Exploit Weakness:14レベルの時点で、インクィジターは存在する好機によって優位を得ることを学ぶ。インクィジターがクリティカル・ヒットを確定させた場合、目標が持つ
ダメージ減少を無視する。加えて、目標が
再生を持っていた場合、そのクリーチャーはクリティカル・ヒットしたそのラウンドは
再生を失い、通常通り死ぬ可能性がある。その
再生が常に機能し続けるクリーチャーはこの能力に対する
完全耐性を持つ。最後に、インクィジターがエネルギー・ダメージをその種類のエネルギーに対する
脆弱性をもつクリーチャーに与えた場合、ロールされたダイス1つにつきダメージを+1する。
三度目の審判(変則)/Third Judgment:16レベルの時点で、インクィジターが
審判の能力を使用するとき、彼女は2つでなく3つの異なる
審判を選択する。これは
審判の能力を1回分しか消費しない。インクィジターは即行アクションで、審判の1つを別の種類に交換できる。
討伐者(変則)/Slayer:17レベルの時点で、インクィジターは審判の集束の仕方を学ぶ。インクィジターが
審判の能力を使用するとき、彼女は
審判の種類の1つを選択しなければならない。彼女はその
審判より与えられる能力を決定する際、通常より5レベル高いかのように扱われる。他の種類の
審判とは異なり、この能力による強化先を
審判が続く間に変更することはできない。
真実の審判(超常)/True Judgment:20レベルの時点で、インクィジターは戦闘中に1体の敵に対して真実の審判を下せる。インクィジターが
審判の能力を使用しているとき、インクィジターは即行アクションで1体の敵に真実の審判を判決できる。宣言すれば、インクィジターは1回の近接攻撃(あるいはその敵が30フィート以内ならば遠隔攻撃)を目標に行なえる。攻撃が命中した場合、それは通常通りのダメージを与え、目標は頑健セーヴに成功しない限り死亡する。このセーヴDCは10+インクィジター・レベルの1/2+インクィジターの【判断力】修正値に等しい。セーヴに成功するにせよ失敗するにせよ、目標となったクリーチャーは24時間にわたりインクィジターの“真実の審判”能力への
完全耐性を持つ。一度この能力が使用されると、1d4ラウンドの間再び使用することはできない。
混沌、悪、善、そして秩序の呪文:インクィジターは自身や、自身の神格(持っていれば)と反対の属性の呪文は発動できない。特定の属性に属する呪文には[混沌]、[悪]、[善]、そして[秩序]の記述が呪文に書かれている。