呪文書や処方書はそれぞれに作成者の能力と個性が独自に反映されている。これらの大冊の多くは呪文以上の、術者の他の研究、個人的な日誌、博物学的なスケッチ、あるいは政治的な論文といったものさえ含んでいる。いくつかは準備儀式を含んでおり、その書を用いてそれらの呪文を準備する際に、呪文の使い手に恩恵──あるいは時に妨害──を与える。
呪文書と処方書の例とその説明、術者の専門系統と対立系統(あれば)の情報、所収の呪文、および準備儀式(あれば)を以下のリストに詳述した。書物のいくつかは暴こうとする者への備えを含んでいる。
説明、防御、準備儀式、および呪文は別々の本から望ましいように混合できる。高レベルの書物は望ましい低レベル呪文を除去して不適切な呪文のレベルを落とすだけで、容易に低レベルの術者を満たすことができる。同様に、長大な書を望むのであれば、望ましいレベルの君の選んだ呪文あるいは処方を2つよも結合すればよい。これらの書物は新しいキャラクターのための呪文書および処方書としても機能する。リストをコピーし、プレイヤーに握らせ、始めるだけでよい。
標準の呪文書は、そのウィザードの対立系統を除き、『Core Rulebook』の初級秘術呪文をすべて含んでいる。書物が追加ソースからの初級秘術呪文を含む場合には項目の説明に記述してある。
それぞれの書物には、キャラクターが市場に公開された書物に支払うべき市価が定められているが、売り手を見つけることは難しいかもしれない。キャラクターは書物を市価の半分で売却することができる。準備儀式付きの書物には準備儀式なしの書物と儀式付きの書物の2つの市価が定められている。
呪文の使い手は、準備儀式付きの呪文書あるいは処方書を用いて呪文を準備するとき、少なくとも3つの呪文(0レベル呪文は含めない)または処方をその呪文書から準備する限り、儀式から一時的な恩恵を得る。この恩恵は(特定の恩恵の説明にあるように)効果を消費するか、呪文の使い手が再び呪文を準備するまで持続する(この時に少なくとも3つの呪文を書物から準備することで再び使用することができる)。呪文の使い手は呪文を準備するときに、何冊の準備儀式付き呪文書を用いても問題ないが、1つの準備儀式の効果しか得ることはできない。
特殊書体の“S”(S)は制作者の専門系統の呪文であることを示す。また、特殊書体の“OP”(OP)は制作者の対立系統の呪文であることを示す。
この驚くほど飾り立てられた重たい大書は3/4以上が空ページである。最初の2ページには秘術による防御と超自然的な存在の脆弱性に関する詳細な注意がびっしりと書かれている。
防御 平均的な錠前(DC25)
対立系統 召喚術、心術
市価 185GP
この細身の本は慎重に、だが素人臭く、薄板を通したきつい革紐で縛られている。中身の記述は神経質で、時折判読し難い語が詰め込まれている。8ページは呪文を含んでおり、最後の10ページは空白である。微笑まない不美人の肖像画が表紙の内側に装丁されている。
対立系統 幻術、変成術
市価 195GP
これは単純で簡素な呪文書である。行間に書かれたそれぞれの呪文の強化に関する注釈はほとんどが絶望的に誤っている。
市価 275GP
この手帳ほどの小さな本は、木製のカバーで装丁され、冒険の厳しさに耐えるくっきりした書体で記されている。カバーに突き立つ矢尻は魔法ぬきでは取り除けない。
防御 非常に単純な錠前(DC20)
対立系統 召喚術、心術
市価 365GP
この書物には得体のしれない種類の皮が張られ、ほのかに焦げた肉のような不快な臭いがする。内容は震える手で記述されており、灰で汚れたページに書かれた多くの注釈は以前の所有者がより大きなダメージの魔法を求めていたことを示している。カバーの中心には雷光に似た形の輝くルーンが刻まれている。
防御 平均的な錠前(DC25)
対立系統 占術、変成術
市価 535GP(準備儀式付きは 900GP)
準備儀式
害をなすうねり(超常)/Harmful Surge:術者は呪文を最大化できるが、自らもダメージを受ける。術者はウィザードの力術呪文を発動するときに、フリー・アクションでこの恩恵の効果を消費する。このとき、術者はこの呪文を《呪文威力最大化》呪文修正特技を使用して発動したかのように扱うが、最大化した呪文のレベル×1d4ポイントのダメージを受ける。このダメージはいかなる方法でも減少できない。
この鋼に覆われた細身の研究紀要は正しく酷使され、酸による傷痕と小さな焦げ跡は、紀要が極端な状態で使用されたことを示している。ページの余白には方程式、平衡計算、そして化学記号が記されている──どこで説明が終わり処方が始まるのか判断しがたい、いくつかの調合とともに。
市価 395GP(準備儀式付きは 770GP)
準備儀式
錬金術防御(超常)/Alchemical Protection:この書物から与えられる錬金術の知識が毒と錬金術アイテムから術者を守る。術者は毒か錬金術アイテムに対するセーヴィング・スローを行うとき、セーヴィング・スローを行う前に、割り込みアクションでこの恩恵の効果を消費する。術者はそのセーヴィング・スローに対する+4のボーナスを得る。
この大冊は腐敗した肉の臭いか、あるいはより酷い悪臭さえ漂わせている。虫に食われたカバーには墓所のカビがくっつき、ページは土で汚れている。いくつかのページは引きちぎられている。
防御 最初の3ページの縁に
ニサリットの毒(接触型;
セーヴ頑健DC13;
頻度1回/分(6分間);
効果1d3【耐】ダメージ;
治癒1回のセーヴ成功)が塗られている。
対立系統 心術、変成術
市価 815GP(準備儀式付きは 1,265GP)
準備儀式
墓のブレス(超常)/Breath of the Grave:即行アクションでこの恩恵の効果を消費することにより、15フィートの円錐の腐敗臭のブレスを使用できる。円錐の範囲内のクリーチャーは頑健セーヴィング・スロー(DC10+術者の呪文を準備するクラスのうちの最大の術者レベル)に成功せねばならず、さもなくば1ラウンドの間
不調状態になる。 これは恩恵を消費する。この恩恵を消費した後、術者は再び呪文を準備するまで
〈交渉〉と
〈隠密〉判定に-4のペナルティを受ける。
この本の書名は鱗状のカバーに浮き彫りにされている。中身は、薄明かりの下でさえページがほのかに光きらめき、その筆耕は不可思議なほど読みやすく見える。
対立系統 力術、死霊術
市価 1,055GP(準備儀式付きは 1,755GP)
準備儀式
輝く瞳(超常)/Glittering Eyes:術者は幻術呪文を発動するときに強化された視界を与えられる。術者は幻術呪文を発動するときに、フリー・アクションでこの恩恵の効果を消費する。術者は暗視60フィートと幻術を看破するセーヴィング・スローに+4のボーナスを得る。いずれの利益も1分間持続する。
この簡素な本は白い皮と銀の留め金で装丁されている。きびきびした正確な筆跡による、経済理論についての慎重な考察が記述の最後の数ページを占め、その後に暗い赤褐色の染みで汚れた1ページがある。残りのページは空白である。
対立系統 幻術、死霊術
市価 1,835GP(準備儀式付きは 2,635GP)
準備儀式
防御的変成術(超常)/Defensive Transmutation:術者は別の姿になるときに防御を強化できる。術者は有効距離が自身である変成術呪文を発動するときに、フリー・アクションによりこの恩恵の効果を消費する。術者はこの呪文の影響下にある限り、呪文の持続時間中に+2の外皮ボーナスを得る。
この中型の本は折り目のついた背と柔らかい灰色の革の表紙を備えている。革は何カ所か擦れて、表面には小さなこげ跡があり、本は真鍮の錠前で閉じられている。女性の肖像画が表紙に装丁されており、彼女の顔以外のほとんどを文字が覆っている。文字は輪になって新しい文字の輪を指し示しているように見える。女性の顎の下には“悪魔主義者の犠牲?”という言葉がある。
防御 平均的な錠前(DC25)、また5レベル呪文は
シークレット・ページで隠されている。特別の言葉は“暴け。”。
対立系統 幻術、変成術
市価 2,195GP(準備儀式付きは 3,320GP)
準備儀式
ルル・セイヴンの目(超常)/Eyes of Rul Thaven:術者はルル・セイヴンが
不可視状態のクリーチャーを調べるために完成させた技を使う。即行アクションによりこの恩恵の効果を消費する。術者は1ラウンドの間、
シー・インヴィジビリティの効果を得る。
この焦げて汚れたボロボロの記録集は、木製のカバーと安っぽい縒り糸で装丁されている。いくつかの処方の書かれていた箇所は徹底的に塗りつぶし、紙を引き裂き、慎重に抹消されているように思える。
市価 915GP(準備儀式付きは 2,165GP)
準備儀式
獣性の調合(超常)/Beastly Concoction:この紀要は術者に非常に強力かつ獰猛な変異薬を作成する能力を与える。術者は変異薬を吸収するときにこの恩恵の効果を消費する。変異薬が有効である間、変異薬は術者の選択した能力値に通常の+4の代わりに+6の錬金術ボーナスを与え、すべての精神能力値(【知力】、【判断力】、【魅力】)に-2のペナルティを与える。
血、土、ワイン、その他がこの白い革の本を汚している。所有者の名、ジャック・ワーソンは表紙に金で箔押しされているが、他に著者の情報はないことがすぐに明らかになる。いくつかのページは有能だが心を震わせない芸術家による入念な図表と挿画を含んでいる。
市価 2,835GP
高級な上質皮紙が、使い込まれた2冊の本を申し分なく満たしている。美しい挿画はそれぞれの呪文の効果や多くの明確な極圏の主題を説明している。記述と冬らしい挿画の双方が高品質であり、どちらの本も収納できる革の保護ケースは、まるで獣皮を獣脂で粗雑に防水しているかのように、脂臭く感じられる。
対立系統 幻術、死霊術
市価 4,555GP(準備儀式付きは 6,355GP)
準備儀式
霜の噛みつき(超常)/Rime Bite:術者はわずかなものしか耐えることのできない身を切るような冷気を呪文にまとわせる。術者は[氷雪]の補足説明のある呪文を発動するときに、フリー・アクションによりこの恩恵の効果を消費する。この呪文によるいかなるダメージも、すべての[氷雪]に対する抵抗を無視するが、[氷雪]に対する完全耐性は無視できない。
革紐でまとめられた2冊1組の本。この世のものとも思えぬかすかに光る青い革で装丁され、背は銀と鉄でできている。本は触れるとほのかに冷たく、見つめると軽く目眩を起こす。
対立系統 占術、死霊術
市価 4,555GP(準備儀式付きは 6,355GP)
準備儀式
招来クリーチャー頑強化(超常)/Sturdy Summoning:術者の招来したクリーチャーは短時間防御力が増大される。術者は召喚術(招来)のウィザード呪文を発動するときに、フリー・アクションによりこの恩恵の効果を消費する。術者がこの呪文で招来したクリーチャーは術者レベルに等しい一時的ヒット・ポイントを得て、このヒット・ポイントが少なくとも1ポイント残っている限り、セーヴィング・スローに+2の状況ボーナスを得る。
この使い込まれた2冊の書物のページの間にはすべてのリドルの解法、伝承の一片、そして地図の断片が詰め込まれている。カバーの一方は刃物で叩き切られたかのようにどこかに失われ、中には著者が余白を使い果たすことを恐れていたかのように小さく狭苦しい文が書きこまれている。
対立系統 召喚術、変成術
市価 6,475gp(準備儀式付きは 8,395gp)
準備儀式
旅の賢者(超常)/Travel Sage:記憶を強化する魔法の本のようなものはない。他の恩恵と異なり、術者はこの恩恵を消費しない。術者が再び呪文を準備するまで、術者は
〈知識:地理〉の技能ランクを有するものと見なされる。術者がすでに
〈知識:地理〉の技能ランクを有している場合、代わりにその判定に+2の状況ボーナスを得る。
この2冊組の辞書は美しく保存された人皮で装丁され、複雑に組み合わされた指の骨が錠前となりカバーを閉ざしている。カバー中央の下側には家紋が浮き彫りにされているが、金の箔押しは剥がれかけており、箔押し模様が実際に皮膚自体に刻まれた色あせた刺青に続いていることが明らかになっている。
対立系統 心術、幻術
市価 7,635gp
この処方書のページは注意深く繕われている。処方の間にはその多くが錬金術と物理学の通常の約束事を無視しているように思える錬金術装置の詳細と図表が散財している。最後のページには実験的な変異薬の不完全な調合記録が記述されている。
防御 良い錠前(DC30)
市価 2,545gp
この3冊の丁寧に作られた書物は、来訪者とアンデッドに対する防護のルーンの刻まれたカバーで装丁されている。ページの内側は縁に沿って水で汚損しているように見える。
対立系統 幻術、死霊術
市価 10,055gp(準備儀式付きは 13,055gp)
準備儀式
守護者の技(超常)/Guardian Trick:術者は力ある迅速な警句により攻撃をくじくことを試みる。術者はアンデッドあるいは来訪者が術者に攻撃を命中させたとき、割り込みアクションによりこの恩恵の効果を消費する。攻撃したクリーチャーは再ロールし、元の目より低くても2回目のロールを使用せねばならない。
この3冊1組の書物はそれぞれが真っ黒な紙に黄金のインクで記述されている。イリューソリイ・スクリプトが影界の地理と住人に関する説明を隠している。
対立系統 占術、力術
市価 11,865gp(準備儀式付きは 15,065gp)
準備儀式
影の知識(超常)/Shadow Knowledge:この書物の知識は術者の意識に影界自身のように固着する。他の恩恵と異なり、術者はこの恩恵を消費しない。術者は再び呪文を準備するまで、影界の地理と住人に関する判定である限り、すべての
〈知識〉技能に技能ランクを有するものとして扱う。術者がすでに適切な
〈知識〉技能のランクを持つなら、代わりにその判定に+2の状況ボーナスを得る。
この3冊組の書物は星のない夜のような黒い革で装丁され、微かに光る銀の留め金でまとめられている。ページは注釈と誤字で満たされている。筆跡は3巻目の終わりに向かうにつれ慌ただしくなり、最後のページには“私は彼女を見つけた!”と書かれている。
対立系統 幻術、変成術
市価 12,725gp(準備儀式付きは 16,550gp)
準備儀式
ルル・セイヴンの目強化(超常)/Improved Eyes of Rul Thaven:この強化された恩恵は
不可視状態のクリーチャーを見ることを術者に許す。術者は即行アクションによりこの恩恵の効果を起動し、10ラウンドの間
シー・インヴィジビリティ の効果を得る。このラウンドは連続している必要はないが、術者は恩恵の効果を起動するたびに即行アクションを費やさねばならない。この恩恵の効果は
シー・インヴィジビリティ の10ラウンドすべてが使用されたときか、次にウィザード呪文を準備するときにのみ消費される。
この3冊1組は黒い鮫革で装丁され、呪文は上質紙に紫のインクで記されている。リッチの経箱の構築に関する広範な注意が呪文で隠されている。
対立系統 防御術、心術
市価 17,165gp(準備儀式付きは 21,215gp)
準備儀式
偶発的復活(超常)/Revivifying Contingency:術者はこの恩恵を使用する際にアクションを消費しない。術者はこの恩恵の影響を受けて最初に術者のヒット・ポイントが0以下に減少したとき、直ちに2d6ポイントのヒット・ポイントを回復する。これによりヒット・ポイントが0以上になれば、術者は
気絶状態にならない。
この4冊組の書物は輝く銀の縒り紐で4つの大冊の周りを巻いてまとめられ、複雑な結び目で括られている。内容は膨張的かつ薄っぺらく、傍注で満たされている。著者の記述は自身の発見について明らかに興奮しているように見え、思想家も明らかに才気に溢れているのだが、彼女もどうやら未熟である。
市価 16,435gp(準備儀式付きは 20,710gp)
準備儀式
防御的恩恵(超常)/Defensive Boon:術者は素早く秘術エネルギーの爆発を投げかけることにより、迫り来る呪文攻撃の向きをそらす。術者は呪文あるいは擬似呪文能力の目標とされたとき、割り込みアクションによりこの恩恵の効果を消費し、引き金となった攻撃に対するACに+4の反発ボーナスを得ることができる。
この4冊の布張りの本は印刷物に近く──プレス印刷や他の機械的な転写によるかのように──扉、目次、そして役に立つ相互参照の索引を備えている。筆者は明らかに最もよく訓練された発明の専門家であり、これらは丁寧に扱われ、研究所の書類よりも簡単に照合できる。
防御カバーに
死の涙の毒(接触型;
セーヴ頑健DC22;
潜伏期間1分;
頻度1回/分(6分間);
効果1d6【耐】ダメージ+1分間
麻痺状態)が塗られている。
市価6,615gp(準備儀式付きは 11,115gp)
準備儀式
任意爆弾(超常)/Spontaneous Bomb:術者は爆弾のこととなれば特別な技をたもとに備えている。術者は1日に1回、即行アクションにより、術者が前提を満たす(がまだ知らない)発見を爆弾に付与できる。これによって、爆弾に累積しない発見を累積させることはできない。
この大判の大冊は通常の呪文書4冊分の大きさで、プレート・アーマーのような硬さの革で装丁され、縫い糸よりしなやかな薄い金属の縒り糸で縫い綴じられている。その終わりのあたりにはそれぞれ線を引いて消された名前のリストがある。
対立系統召喚術、幻術
市価22,675gp(準備儀式付きは 27,265gp)
準備儀式
名前の呪い(超常)/Curse of Names:術者はこの書を用いて呪文の準備を完了するときに、この書の名簿に単一のクリーチャーの固有の名称を書き込む。術者は名前のあるクリーチャーの30フィート以内にいるとき、即行アクションにより名前の呪詛を与えるためその名を呼び出すことができる。これは恩恵の効果を消費する。目標のクリーチャーは1分の間、すべての攻撃ロールに-2のペナルティを受け、かつ術者に対するすべての攻撃ロールに-4のペナルティを受ける。この呪いが起動するとき、書の中で名前は線を引いて消される。このクリーチャーは術者によって再び名前の呪いの目標にすることはできない。同じクリーチャーに対する名前の呪いの2つの事例におけるペナルティは累積しない。