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ゲームマスター - (2022/01/04 (火) 00:58:41) のソース

#region(''目次'')
#contents()
#endregion

*遭遇をデザインする &small(){&link(Designing Encounters){http://paizo.com/pathfinderRPG/prd/gamemastering.html#designing-encounters}}
 冒険の肝は遭遇である。遭遇とは、PCたちの前に解決しなければならない特殊な問題を投げかける出来事のことである。ほとんどの遭遇はモンスターないし敵対的なNPCとの戦闘をもたらすが、それ以外にも数多くの形での遭遇がある。罠が仕掛けられた回廊、猜疑心の強い王との政治的やりとり、ぐらつく吊り橋を渡る危険な道、PCが裏切っているのではないかと疑っている友好的なNPCとのかみ合わない押し問答、あるいはゲームにドラマを加味する何かしら、だ。頭を酷使するパズル、ロールプレイでの挑戦、および技能判定はすべて遭遇を解決する古典的手段だが、構築するのが最も複雑な遭遇は最も一般的な遭遇でもある――戦闘遭遇だ。
 戦闘遭遇をデザインする際、君はPCたちに立ち向かってほしい脅威がどの程度のものかをまず最初に決定し、その上で下記に概略のある手順に従うこと。
 &b(){ステップ1―APLの決定:}プレイヤー・キャラクターたちの平均レベルを算出したものがパーティー平均レベル(APL)だ。この値を最も近い自然数に四捨五入すること(これは端数切捨てのルールの数少ない例外の1つだ)。以下の遭遇作成ガイドラインは4~5人のPCグループを想定していることに注意すること。君のところのグループに6人以上のプレイヤーがいるのであれば、グループの平均レベルに1を加えること。君のところのグループに3人以下のプレイヤーしかいないのであれば、グループの平均レベルから1引くこと。例えば、グループに6人のプレイヤーがいて、その内の2人が4レベルであとの4人が5レベルなら、このグループのAPLは6レベルだ(合計28レベルを6人のプレイヤーで割って端数を切上げ、最終結果に1を加えている)。

&aname(table-12-1-encounter-design)&b(){表:遭遇の難しさ}
|難しさ|実際の脅威度|h
|簡単|APL-1|
|並|APL|
|歯ごたえがある|APL+1|
|困難|APL+2|
|伝説的|APL+3|
#table_zebra(101,#F2F2F2,#FFFFFF)

&b(){表:相当CR}
|クリーチャーの数|相当CR|h
|クリーチャー1体|CR|
|クリーチャー2体|CR+2|
|クリーチャー3体|CR+3|
|クリーチャー4体|CR+4|
|クリーチャー6体|CR+5|
|クリーチャー8体|CR+6|
|クリーチャー12体|CR+7|
|クリーチャー16体|CR+8|
#table_zebra(102,#F2F2F2,#FFFFFF)

&b(){表:報酬経験点}
|CR|合計XP|>|>|個人XP|h
|~|~|1~3人|     4~5人|    6人以上|h
|1/8 |   50  |         15    |    15   |     10|
|1/6  |  65       |    20   |     15   |     10|
|1/4  |  100    |      35   |     25   |     15|
|1/3  |  135    |      45   |     35   |     25|
|1/2  |  200    |      65   |     50   |     35|
|1    |  400    |      135  |     100  |     65|
|2    |  600    |      200  |     150  |     100|
|3    |  800    |      265  |     200  |     135|
|4    |  1,200  |      400  |     300  |     200|
|5    |  1,600  |      535  |     400  |     265|
|6    |  2,400 |       800  |     600  |     400|
|7    |  3,200 |       1,070 |    800  |     535|
|8    |  4,800 |       1,600 |    1,200|     800|
|9    |  6,400 |       2,130 |    1,600 |    1,070|
|10   |  9,600 |       3,200 |    2,400 |    1,600|
|11   |  12,800|       4,270 |    3,200 |    2,130|
|12   |  19,200|       6,400 |    4,800 |    3,200|
|13   |  25,600|       8,530 |    6,400 |    4,270|
|14   |  38,400|       12,800|    9,600 |    6,400|
|15   |  51,200|       17,100|    12,800|    8,530|
|16   |  76,800   |    25,600|    19,200|    12,800|
|17   |  102,400  |    34,100|    25,600 |   17,100|
|18  |   153,600  |    51,200|    38,400 |   25,600|
|19   |  204,800  |    68,300|    51,200 |   34,100|
|20    | 307,200  |    102,000 |  76,800 |   51,200|
|21    | 409,600  |    137,000 |  102,400|   68,300|
|22     |614,400  |    205,000 |  153,600|   102,400|
|23    | 819,200  |    273,000 |  204,800|   137,000|
|24   |  1,228,800|    410,000 |  307,200|   204,800|
|25  |   1,638,400|    546,000 |  409,600|   273,000|
#table_zebra(103,#FFFFFF,#F2F2F2,#FFFFFF)

 &b(){ステップ2―CRの決定:}脅威度(言い換えるとCR)とは、モンスター、罠、災害、その他の遭遇によってもたらされる相対的な危険性を明示するのに使われる便利な数値だ。CRが高ければ高いほど、遭遇はより危険になる。『遭遇の難しさ』表を参照して、望ましい脅威のDCとグループのAPLを基に、グループが立ち向かうべきCRを決定すること。
 &b(){ステップ3―遭遇の構築:}『報酬経験点』表の該当するCRの欄を見て、遭遇の合計報酬XPを決めること。この値がその遭遇における“XP予算枠”となる。あらゆるクリーチャー、罠、災害は、『報酬経験点』表の記述通りに、その脅威度によって決まる経験点に値する。遭遇を構築するためには、経験点の総計が“経験点予算枠”の総額を超えない範囲で、クリーチャー、罠、災害を単純に足し合わせること。まず最初に最も高いCRを持つ脅威を遭遇に加え、残りの予算ぶんをより劣る脅威で充填するのが、最も簡単である。
 例えば、8レベルPC6人のグループを、ガーゴイル(CR4)のグループおよび首領のストーン・ジャイアント(CR8)と対峙する歯ごたえのある遭遇に立ち向かわせたいものとしよう。PCたちのAPLは9で、『遭遇の難しさ』表では、APL9の歯ごたえのある遭遇はCR10(『報酬経験点』表に従って9,600XPの遭遇)、となる。CR8ということで、ストーン・ジャイアントは4,800XPに相当し、XP予算枠の残り4,800XPがガーゴイルぶんとして残っている。ガーゴイル1体のCRは4、従って1体当たり1,200XPに相当し、これはこの遭遇のXP予算の枠内でガーゴイル4体をまかなえることを意味する。君はこの遭遇を、ガーゴイルを3体だけ加えて、残った1,200XPぶんを小型アース・エレメンタルの従者(CR1、各々400XP相当)3体に費やしてストーン・ジャイアントをよりいっそう援護することにより、更に洗練させることもできる。
 &b(){NPCを加える:}『種族』に詳細のあるすべてのPC種族など、ヒット・ダイスがただクラス・レベルのみを要因とし種族特性が関係していないクリーチャーは、通常のモンスターやクラス・レベルを持つモンスターとはいささか異なる形で戦闘に織り込まれる。クラス・レベルを所持するが種族ヒット・ダイスを持たないクリーチャーはクラス・レベル-1に等しいCRのクリーチャーとして織り込まれる。(ウォリアーやアデプトなど)NPCクラス・レベルしか所持していないクリーチャーはクラス・レベル-2に等しいCRのクリーチャーとして織り込まれる。この減少によりクリーチャーのCRが1未満になる場合、CRはこの減少にて1を下回る1ごとに以下の数列にて1段階ぶん低下する:1/2、1/3、1/4、1/6、1/8。
 &b(){高脅威度の遭遇:}高脅威度の遭遇の経験点の数字には実にたじろがされる。『有効脅威度』表にこうした大きな数字を扱いやすくする簡単な公式をいくつか載せている。同一クリーチャーを多数使用する場合、この早見表はそれらを1つのCRにまとめ上げる計算式を簡略化する役に立ち、合計XPの算出が容易になる。例えば、この早見表を用いると、CR8(各4,800XP)のクリーチャー4体はCR12(19,200XP)のクリーチャー1体に相当する。
 &b(){その場限りの脅威度修正:}君は特定のモンスターの脅威度を、強大化したり、テンプレートを適用したり、クラス・レベルを与えたりすることによって修正することができるが、遭遇ないしクリーチャー自体にその場限りの修正を適用することによって遭遇の難しさを修正することもできる。ここでは遭遇の難しさを変更する方法を3通り取りあげる。
 &i(){PCたちに都合のいい地形:}(溶岩まみれでうだるように暑い洞窟で遭遇したイエティやごく狭い部屋で遭遇した巨体のドラゴンのような)得意とする要因からかけ離れた環境下にいるモンスターとの遭遇は、PCたちに有利である。遭遇自体は通常通りに構築するが、この遭遇のXPを与える際には、遭遇が本来よりも1低いCRであるかのようにXPを与えること。
 &i(){PCたちに都合の悪い地形:}モンスターは、そのモンスターの得意とする環境下で遭遇した、という仮定の下でデザインされている。水中呼吸できるアボレスと水中エリアで遭遇したところで、たとえPCたちの中に水中で呼吸できる者が誰一人いない場合であっても、遭遇のCRが高まることはない。その一方で、(あらゆる光源を抑止する範囲内での擬似視覚持ちのクリーチャーとの遭遇など)環境が遭遇に深刻な影響を及ぼす場合、君の判断で、遭遇のCRが1高いかのように有効報酬XPを増やしてもよい。
 &i(){NPCの装備による修正:}君はNPCの装備を修正することによってクラス・レベルを持つNPCのパワー・レベルを大きく増減させてもよい。NPCの装備の合計価格は『NPCを作成する』の『NPCの装備』表に書かれている。装備なしで遭遇したクラスのあるNPCは(装備の欠如が実際にNPCの力を削いでいるという条件の下で)CRを1減らすべきであり、その一方で逆に(『レベルに応じたキャラクターの財産』表に記載の)PC並みの装備を持つクラスのあるNPCは本来よりも1高いCRを持つべきだ。ただし、NPCにこうした追加装備を持たせることには慎重であれ。とりわけ高レベルでは、全冒険ぶんの宝物予算枠を一挙に吹き飛ばしかねない!

**報酬経験点
 『パスファインダー・ロールプレイング・ゲーム』のキャラクターたちは、モンスターを打倒し、脅威を克服し、冒険を達成することでレベルが上がっていく。そうする中で、彼らは経験点(XP)を稼いでいくのだ。脅威を克服するや否やXPを与えることもできるが、それではゲーム・プレイのリズムがたやすく崩れ去ってしまう。ゲーム・セッションの終了時にXPを与えるだけの方が簡単だ。その場合、キャラクターがレベルを得るに十分なほどのXPを稼いでも、キャラクターのレベル・アップ作業でゲームを中断させてはならない。代わりにゲーム・セッション間にそうする時間をとればいい。
 PCたちが克服したすべてのモンスター、罠、障害物、ロールプレイ遭遇のCRを一覧にしておくこと。各セッションの終了時に、参加したPCそれぞれにXPを与えること。モンスター、罠、障害物はそれぞれ、脅威に関わったパーティーのレベルとは無関係に、そのCRによって決まる一定量のXPを与える。ただし、APLよりも10以上低いCRしかない脅威の報酬XPは勘定に入れるべきではない。純粋にロールプレイだけの遭遇は一般的にパーティー平均レベルに等しいCRを持つ(ただし非常に簡単なロールプレイ遭遇や非常に困難なロールプレイ遭遇はCRを1下げるか上げるかしてもよい)。報酬XPの与え方は2通りある。一方は正確だが、簡便化のために計算機が必要だ。もう一方はいささか抽象的ではある。
 &b(){正確な経験点:}いったんゲーム・セッションが終了したら、打倒したCRのリストを手に『報酬経験点』表の『合計経験点』欄でそれぞれのCRの評価を見ること。それぞれのCRのXPを足し合わせた上で、この合計値をキャラクターの人数で割ること。キャラクターはそれぞれこの値に等しい量のXPを獲得する。
 &b(){抽象的な経験点:}『個人報酬経験点』欄の該当するグループ規模の列に記載されている報酬経験点を単純に足し合わせること。この場合、割り算はもう済んでいる。君はすべての報酬を足し合わせて、各PCにどれだけのXPを与えることになるのか求めるだけでよい。
 &b(){ストーリー経験点:}プレイヤーたちが物語の本筋に一段落つけたり重要な業績を打ち立てた際にストーリー経験点を与えるのをためらうことはない。この種の報酬はAPLに等しいCRの経験点の2倍に相当すべきだ。GM判断において、話の筋がことのほか長かったり難解だったりする場合はもっと多く与えてもよい。

**宝物を配置する
&aname(table-12-4-character-wealth-by-level)&b(){表:レベルに応じたキャラクターの財産}
|PCのレベル&sup(){*}|財産|h
|2         |       1,000GP|
|3         |       3,000GP|
|4         |       6,000GP|
|5         |      10,500GP|
|6         |      16,000GP|
|7         |      23,500GP|
|8         |      33,000GP|
|9         |      46,000GP|
|10        |      62,000GP|
|11        |      82,000GP|
|12        |     108,000GP|
|13        |     140,000GP|
|14        |     185,000GP|
|15        |     240,000GP|
|16        |     315,000GP|
|17        |     410,000GP|
|18        |     530,000GP|
|19        |     685,000GP|
|20        |     880,000GP|
#table_zebra(104,#F2F2F2,#FFFFFF)
&sup(){*} ……1レベルのPCについては、『装備』の表6‐1を参照すること。

 PCたちがレベルを得ていくにつれて、彼らが運搬し使用する宝物の量もまた増大していく。『パスファインダー・ロールプレイング・ゲーム』は、同レベルのすべてのPCたちはおおよそ同量の宝物および魔法のアイテムを持っている、と仮定している。PCの第一の収入源は冒険にて得た宝物および略奪品なのだから、冒険中に配置する富および宝物の山を加減することが重要である。宝物の配置がたやすくなるよう、冒険でPCたちが受け取る宝物および魔法のアイテムの量は、彼らが立ち向かう遭遇のCRと関連している。遭遇のCRが高くなればなるほど、より多くの宝物を獲得できるのだ。
 『レベルに応じたキャラクターの財産』表には、各PCが特定のレベルで持っていると期待される宝物の量が記載されている。この表は標準的ファンタジー・ゲームを想定していることに注意すること。ロー・ファンタジー・ゲームではこの表の半分の額しか与えられないかもしれないし、ハイ・ファンタジー・ゲームでは2倍の額になるかもしれない。この宝物の一部は冒険の途中で(ポーションや巻物などに)使われてなくなり、またあまり有用でない品々の一部はより有用な装備を購入できるよう半値で売却される、と想定されている。
 『レベルに応じたキャラクターの財産』表はまた、死亡した者の代わりとして作成された新たなキャラクターなど、2レベル以降から開始する際のキャラクターたちの装備の予算を求めるのにも使われる。キャラクターたちは1つのアイテムに全財産の半分を超える額をつぎ込むべきではない。バランスがとれるよう、2レベル以降で構築されたPCたちはその財産を武器に25%まで、鎧および防具に25%まで、その他の魔法のアイテムに25%まで、ポーション、巻物、ワンドといった消耗品に15%まで、通常の装備および硬貨に10%までしか使えないとすべきである。キャラクター種別が異なればこの推奨比率と異なる財産の使い方をするかもしれない。例えば、秘術術者は武器には些少な額しか使わず、その他の魔法のアイテムおよび消耗品にもっとずっと多くの額をつぎ込むかもしれない。
 『遭遇ごとの宝物の価値』表には、PCたちの平均レベルおよびキャンペーンの経験点増加速度(ゆっくり、標準、速い)に基づいて、遭遇ごとに与えるべき宝物の量が記載されている。簡単な遭遇ではPCたちの平均レベル-1の宝物を与えるべきである。歯ごたえがある、困難、伝説的な遭遇ではそれぞれPCたちの平均レベル+1、+2、+3の宝物を与えるべきだ。ロー・ファンタジー・ゲームをしているのであれば、表中の値を半減させること。ハイ・ファンタジー・ゲームをしているのであれば、表中の値を2倍にすること。
 NPCたちとの遭遇では典型的に、NPCの装備のぶんにより、モンスター主体の遭遇で与えられるものの3倍の報酬が与えられる。埋め合わせのために、PCたちを宝物に関して得られるものの少ない追加遭遇2回ぶんに立ち向かわせるようにすること。動物、植物、人造、精神を持たないアンデッド、粘体、および罠は実にいい“宝物と縁の薄い”遭遇だ。その代わり、PCたちが宝物がないか少ないクリーチャーたちと何度か対決したら、不公平を是正すべくいつか近い将来に有意義で価値の高い物品をいくつか入手する機会を与えられるべきである。一般則として、PCたちはキャラクターの全財産の半分よりも価値の高い魔法のアイテムを所有すべきではないので、高額な魔法のアイテムを与える前に確認するのを怠らないこと。

&b(){表:遭遇ごとの宝物の価値}
|パーティー平均レベル|>|>|遭遇ごとの宝物|h
|~|ゆっくり|標準|速い|h
|1|      170GP |      260GP  |      400GP|
|2  |                           350GP  |     550GP    |    800GP|
|3   |                          550GP  |     800GP  |    1,200GP|
|4    |                         750GP   |  1,150GP   |   1,700GP|
|5     |                      1,000GP  |   1,550GP   |   2,300GP|
|6    |                       1,350GP   |  2,000GP   |   3,000GP|
|7    |                       1,750GP  |   2,600GP    |  3,900GP|
|8      |                     2,200GP |    3,350GP    |  5,000GP|
|9                    |       2,850GP   |  4,250GP   |   6,400GP|
|10    |                      3,650GP  |   5,450GP     | 8,200GP|
|11    |                    4,650GP  |   7,000GP    | 10,500GP|
|12   |                       6,000GP   |  9,000GP    | 13,500GP|
|13   |                       7,750GP |   11,600GP   |  17,500GP|
|14    |                     10,000GP |   15,000GP    | 22,000GP|
|15  |                      13,000GP|    19,500GP   |  29,000GP|
|16   |                      16,500GP |   25,000GP   |  38,000GP|
|17  |                       22,000GP  |  32,000GP    |48,000GP|
|18    |                     28,000GP  |  41,000GP   |  62,000GP|
|19   |                      35,000GP|    53,000GP    | 79,000GP|
|20  |                       44,000GP |   67,000GP   | 100,000GP|
#table_zebra(105,#FFFFFF,#F2F2F2,#FFFFFF)

**宝物の山を構築する
 プレイヤーたちに「君たちは5,000GPぶんの宝石と10,000GPぶんの装身具を見つけたよ」と伝えてしまうだけで大抵は十分なのだが、詳細を伝えたほうが一般的にもっと面白く感じられるものだ。宝物に個性付けすることで、ゲームの臨場感を盛り上げる役に立つだけでなく、時には新たな冒険の引き金ともなりうる。以下の情報は追加の宝物の種別をランダムに決めるのに役立つ。物品の多くに推奨価値が書かれているが、君はその物品にふさわしいと思う価値を付け直すのをためらうことはない。まず最初に高価なアイテムを配置するのが一番簡単だ。望むなら、宝物の山の中にどの種のアイテムがあるのか決めるのに、『魔法のアイテム』の表を用いて魔法のアイテムをランダムにロールすることもできる。いったん宝物の山の価値の大部分を使い込んだら、あとの残りは硬貨なり魔法の力は持たないが価値ある宝物なりを好きなように割り振って散りばめてしまうだけでよい。
 &b(){硬貨:}宝物の山の中の硬貨は銅貨、銀貨、金貨、白金貨からなる――大体は銀貨と金貨が一般的だが、好きなように貨幣を割り振ってよい。硬貨とその価値の相関関係は『装備』の始めに書かれている。
 &b(){宝石:}各宝石にどれだけの価値を割り振ってもよいのだが、一部の宝石は他の宝石よりも本質的に価値が高いものである。宝石の価値を割り振る際には下記の価値分類(および関連する宝石)を指標として用いること。
 &i(){低品質の宝石(10GP):}アゲート、アズライト、ブルー・クォーツ、ヘマタイト、ラピス・ラズリ、マラカイト、オブシディアン、ロードクロサイト、タイガーアイ、ターコイズ、淡水産(形がいびつな)パール。
 &i(){準宝石(50GP):}ブラッドストーン、カーネリアン、カルセドニ、クリソプレイズ、シトリン、ジャスパー、ムーンストーン、オニキス、ペリドット、ロック・クリスタル(無色の水晶)、サード、サードニクス、ローズ・クオーツ、スモーキー・クオーツ、スター・ローズ・クオーツ、ジルコン。
 &i(){中品質の宝石(100GP):}アンバー、アメジスト、クリソベリル、コーラル(さんご)、レッド・ガーネット、ブラウングリーン・ガーネット、ジェイド(ひすい)、ジェット(黒玉)、ホワイト・パール、ゴールデン・パール、ピンク・パール、シルヴァー・パール、レッド・スピネル、レッドブラウン・スピネル、ディープ・グリーン・スピネル、トルマリン。
 &i(){高品質の宝石(500GP):}アレキサンドライト、アクアマリン、ヴァイオレット・ガーネット、ブラック・パール、ディープ・ブルー・スピネル、ゴールデン・イエロー・トパーズ。
 &i(){宝玉(1,000GP):}エメラルド、ホワイト・オパール、ブラック・オパール、ファイアー・オパール、ブルー・サファイア、ファイアリー・イエロー・コランダム、リッチ・パープル・コランダム、ブルー・スター・サファイア、ブラック・スター・サファイア。
 &i(){至宝玉(5,000GP以上):}非常に透明で明るいグリーン・エメラルド、ダイアモンド、ヒヤシンス(赤褐色のジルコン)、ルビー。
 &b(){魔法の力を持たない宝物:}この広範な分類には装身具、上等の衣服、交易品、錬金術アイテム、高品質の品々、などなどが含まれる。宝石と異なり、この種の品々の多くは価値が定められているが、君は宝石で飾り立たせたりことのほか見事な出来であることにして特に価値の高い品であるとしてもよい。これによる価格の上昇で追加の能力が授けられることはない――宝石が散りばめられて40,000GPの価値がある高品質の冷たい鉄製シミターは、基本価格通り330GPの価値の標準的な高品質の冷たい鉄製シミターと同様に機能する。何種類かの魔法の力を持たない宝物について、標準的な価値と併せて、多数の例示を下記に挙げる。
 &i(){素晴らしい芸術品(100GP以上):}一部の芸術品は貴金属製だが、ほとんどの絵画、彫刻、文学作品、上等の衣服、などなどの価値はその巧緻と出来栄えに由来する。芸術品はしばしばかさばって持ち運びしにくく、衝撃に弱いため、回収それ自体が冒険となりうる。
 &i(){下級の装身具(50GP):}この分類には真鍮、青銅、銅、象牙、あるいは珍しい木材でできた、時としてとても小さいか傷のある低品質の宝石がはめ込まれた、相対的に小さめの装身具が含まれる。下級の装身具には指輪、ブレスレット、イヤリングが含まれる。
 &i(){中級の装身具(100~500GP):}ほとんどの装身具は銀、金、翡翠、さんごで作られ、しばしば準宝石、あるいは中品質の宝石が飾られている。中級の装身具には下級の装身具全種に加えてアームバンド、ネックレス、ブローチが含まれる。
 &i(){高級な装身具(500GP以上):}真に貴重な装身具は金、ミスラル、白金などの貴金属で作られている。この種の品には中級の装身具の種類に加えて王冠、王笏、ペンダント、その他の大振りな品が含まれる。
 &i(){高品質の道具(100~300GP):}この分類には高品質の武器、防具、技能用具が含まれる――この種のアイテムの更なる詳細および価格については『装備』を参照すること。
 &i(){通常の装備(1,000GPまで):}『装備』に詳細が載っている数多くの通常、あるいは錬金術系の有用なアイテムは宝物として流用できる。ほとんどの錬金術アイテムは携帯しやすく有用だが、錠前、聖印、望遠鏡、上等のワイン、上等の衣服といったその他の品々もまたちょっとした趣きのある宝物として役立ってくれる。交易品は宝物としても役に立つ――例えば、10ポンドのサフランは150GPの価値がある。
 &i(){宝の地図およびその他の知識(さまざま):}宝の地図、船舶や家屋の証書、情報提供者のリストや警備当番表、合言葉、などなどといったアイテムは面白味のある宝物アイテムともなりうる。君はそういったアイテムの価値を好きなように決めていいし、またこういったアイテムはしばしば冒険のネタとして2重の意味で役に立つ。
 &b(){魔法のアイテム:}もちろん、魔法のアイテムの発見はどんな冒険者にも喜ばれるご褒美だ。宝物の山の中に魔法のアイテムを配置する際には気を配るべきである。魔法のアイテムは購入するよりも見つけ出すほうが一般的に多くのプレイヤーを満足させるものだから、プレイヤーたちが使えるアイテムがたまたま配置されていたことにしたところで悪いことなど何一つありはしないのだ! 魔法のアイテム(およびその価格)の大量のリストは『魔法のアイテム』に載っている。

|魔法のアイテムの種別|平均価格|h
|下級のアイテム      |1,000GP|
|中級のアイテム      |10,000GP|
|上級のアイテム      |40,000GP|
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 一般的にはキャンペーンに及ぼす影響を慎重に考慮した上でアイテムを配置すべきなのだが、宝物の山の中にある魔法のアイテムをランダムに決めるのも面白いし、時間の節約にもなる。君は下記の価格で宝物の山の魔法のアイテムぶんのランダム・ダイス・ロール権を“購入”し、宝物予算枠から所定の金額を引いて、その上で『魔法のアイテム』の『魔法のアイテムのランダム決定法』表の適切な欄にてロールし、宝物の山の中にどんなアイテムがあったかを決定することもできる。だがこの手法をとる時は注意すること! 簡単ではあるのだが、ダイス運の有無でゲーム内にあまりにも多くの宝物があふれかえったり、あるいは行き渡らなかったりする。ランダムな魔法のアイテム配置法は、GMの良識の下に、常に手を加えられるべきだ。

*生活費
 冒険者の第一の収入源は宝物であり、第一の購入品は冒険を続けていくのに必要な呪文構成要素、武器、魔法のアイテム、ポーション、などなどの道具やアイテムである。では、食料などはどうする? 家賃は? 税金は? 賄賂は? 遊ぶ金は?
 君がこの種の重要でない出費をプレイ中に細々とやり取りすることにしても別に構わないのだが、PCが部屋代を払ったり、水を買ったり、関税を払ったりするたびに記録を取るのは、早々にいらただしく面倒になってくる。この種の重要でない生活費を実際に記録していきたくないのであれば、単にこの種のささやかな出費を無視してしまってもいい。もっと現実的で手っ取り早いやり方として、生活にかかる経費を経常支出として支払わせる手もある。ゲーム中の月始めごとに、PCは自分のライフスタイル層に応じた一定量の金を支払わなければならない。望んだ層を維持できるだけの余裕がなければ、維持できる最初の層まで転落する。
 &b(){極貧(0GP/月):}PCは宿無しで、荒野や路上で生活している。極貧層のキャラクターは何かを買うたびに記録を取らなければならず、生きていくために〈生存〉判定や盗みに頼ったりする必要があるかもしれない。
 &b(){貧困(3GP/月):}PCは安宿の普通の部屋で、両親と一緒といった風に、寄り集まって暮らしている。技能を持たない労働者やコモナーのほとんどはこのライフスタイル層に属する。1 sp以下の食事や税金にかかった費用を記録する必要はない。
 &b(){人並(10GP/月):}PCは自分のアパートや小さな家、もしくは同程度の住居で暮らしている。技能を持っている者から熟練の者まで、エキスパートおよびウォリアーのほとんどはこのライフスタイル層に属する。1GP以下の魔法の力を持たないアイテムは自宅で1d10分以内に入手でき、また1GP以下の一般的な食事や税金にかかった費用は記録を取る必要がない。
 &b(){富裕(100GP/月):}PCはかなり大きな家を持つか、上等な宿の快適な部屋を数室確保している。5GP以下の魔法の力を持たないアイテムは自宅の私物の中から1d10分以内に入手でき、また10GPを超える食事や税金にかかった費用を記録するだけでよい。
 &b(){豪奢(1,000GP/月):}PCは大邸宅や城などの豪奢な住居で暮らしている。当該の建物を私有してすらいるのかもしれない。ほとんどのアリストクラートはこのライフスタイル層に属する。25GP以下の魔法の力を持たないアイテムは自宅の私物の中から1d10分以内に入手できる。100GPを超える食事や税金にかかった費用を記録するだけでよい。

*21レベル以降
 『クラス』には20レベルを越えたらどうなるのかが書かれていないが、21レベル以降もキャンペーンを続けたい時に参照すべきものが何もないというわけではない。夥しい数の出版物に掲載されたものなどのエピック・レベル用のルールは、多くの場合この種の代替ルールは予期せぬ問題を引き起こしかねないものの、『パスファインダー・ロールプレイング・ゲーム』と互換性がある。例えばキャンペーン世界が、20レベルのキャラクターでも挑戦可能なことをパワーの上限として、クリーチャーや敵役が住み着いているのであれば、エピック・レベルのキャラクターたちが挑む脅威はいずこにあるというのだろう? 君はプレイヤーたちが先の20レベルを過ごしたものとは異なる次元界なり惑星なり次元なりを1つぶんの、まるっきり新しいキャンペーン設定を作成するはめになるかもしれない。これは大変な作業である。
 パイゾ出版は君のゲームをこういったエピックの領分へと踏み込ませるルールを最終的に出版するかもしれないが、君がそれを待ちきれなくて、しかも無料で公開された既存のエピック・レベル用ルールを使いたくないと言うのであれば、以下の簡易ガイドラインを使用することで21レベル以降も続行できる。このガイドラインは20レベルをはるかに超えてもこれだけで鮮烈で面白いゲームができるほど確固たるものではなく、キャンペーンをしめくくるのに、そう、経験レベル22~23くらいが必要になった時にせっぱつまって使うべきものであることに注意すること。同様に、君はこのルールを使用して20レベルのキャラクターたちが立ち向かう超強力なNPCたちを作成することもできる。
 &b(){経験点:}21レベル以降のレベルを得るためには、キャラクターはその1つ前のレベルを獲得するのに必要だったものの2倍の経験点を得なければならない。従って、標準的な経験点の増え方をしたと仮定すると、20レベルのキャラクターは21レベルになるのに2,100,000の経験点が必要である(19レベルから20レベルに到達するには1,050,000の経験値が必要なため)。以降、このキャラクターが22レベルに到達するには4,200,000の、23レベルに到達するには8,400,000、などなどの経験点が必要となる。
 &b(){パワーの定量化:}ヒット・ダイス、基本攻撃ボーナス、およびセーヴィング・スローは、21レベル以降もそれまでと同じ、当該クラスに見合った割合で上昇していく。どんなキャラクターであっても基本攻撃ボーナスに基づく攻撃は4回までであることに注意すること。良好なセーヴィング・スローと劣悪なセーヴィング・スローとの差異が、まもなく、困ったほど大きくなっていくことにも注意すること。20レベルよりもレベルが高くなればなるほど、この差異はあからさまに広がっていき、高レベルのキャラクターにとって自分の劣悪なセーヴィング・スローにてこ入れすることがなおいっそう重要になるだろう。バーバリアンのダメージ減少、ファイターのボーナス特技および武器訓練、パラディンの悪を討つ一撃、ローグの急所攻撃などの一定の増加率を持つクラス能力は適正な割合で上昇し続ける。
 &b(){呪文:}呪文使いの術者レベルは21レベル以降もクラス・レベル1ごとに1レベルずつ上昇し続ける。奇数レベルごとに、呪文使いは先の最高呪文レベルよりも1つ上の呪文レベルが利用できるようになり、新たな呪文レベルの呪文スロット1つを得る。こうした呪文スロットは呪文修正特技によって修正された呪文や低位の修得呪文を発動するのに使用される。偶数レベルごとに、呪文使いはその時点で発動可能な最高位の呪文レベルに等しいレベルぶんの追加呪文スロットを得る。この新たな呪文スロットはその時点で発動可能な呪文レベルに好きなように割り振ってよい。
 例えば、21レベル・ウィザードは10レベル呪文スロット1つを得るが、このスロットには1~9レベルの任意の呪文を準備するか、有効呪文レベルが10になる修正呪文(《呪文持続時間延長》された&i(){サモン・モンスターIX}や《呪文高速化》された&i(){ディスインテグレイト}など)を準備することができる。クラス・レベル22の時点で、ウィザードは10呪文レベルぶんの新たな呪文スロットを得て、1日の呪文数にして1レベル呪文10個、または5レベル呪文2つ、または7レベル呪文1つと3レベル呪文1つ、または10レベル呪文を更に1つ、得ることができる。クラス・レベル23の時点で、ウィザードは11レベル呪文スロット1つを得る、などなど。
 修得呪文数が限られている呪文使い(バードやソーサラーなど)は、あるレベルにおいて得る利益(新たな呪文レベルもしくは追加呪文スロット)と引き換えに、その時点で発動できる任意の呪文レベルの呪文2つを修得することにしてもよい。
 君は専門の呪文使いクラスよりもかなりゆっくりと呪文を得ていく(パラディンやレンジャーのような)クラスについて、呪文レベルの獲得速度をもっと修正してもよい。
 &b(){マルチクラス/上級クラス:}20レベルを超えて成長する最も簡単な手段は、単純にマルチクラスするか上級クラスのレベルを得ることで、その場合は新たなクラス・レベルのすべての能力を通常通りに得る。これは実質的に20レベルをクラス・レベルの許容限界として扱うということではあるのだが、合計キャラクター・レベルの許容限界としてではない。