国家の三要素
- 国を構成するのに最低限必要なものが3つある。
- 国家の三要素=国民、領域、主権。
- 領域の中にはさらに3つ。領土、領海、領空。
- 主権というのは国家権力、つまり政府のこと。
- 地理で扱うのは「国民」と「猟奇」である。
「国民」について
国籍について
- 日本を例に考えてみよう。
- 日本であれば、国民=日本国民(日本人)ということになる。
- 日本国民とはそもそもなにか?日本国民であるための唯一の条件はなにか?
→「日本の国籍をもつ人である」ということ。
- 裏を返せば、日本国籍をもっていることを証明できなければ、日本人とは言えない。
→例:日本人が外国に行く場合は、パスポートを見せることによって日本人であることを証明する。
- 日本で生まれたからとか、日本語が喋れるからというのは関係ない。
- では、日本国籍を持っている人とはどんな人か? どんな条件がそろっていれば日本国籍がもてるのか?
- 国によって条件は違うが、日本の場合、
①親が日本国籍である人 ②日本で出生した、親が不明の人 ③帰化した人
→この3つのいずれかに当てはまっていれば、日本国籍がもてる。法律できちんとこれは決まっている。
- 「帰化」とは、日本人でなかった人が日本の国籍をもつこと。
- では上記の①〜③のいずれかを満たしていることをどう確認するのか?
→戸籍の登録を確認すればいい。
戸籍について
- 戸籍は、市役所、区役所、町・村役場に必ず登録されている。
- パスポートをとるときは、戸籍のコピーが必要。
- 戸籍を参照すれば、その人の存在、名前、性別、親などが分かる。
- 戸籍は、自分の親が日本人かをはっきりさせるために、家族で一枚だ。
- つまり、戸籍を参照すれば、親が日本人かどうかをたどることが可能。
- 犯罪を犯して有罪となったり、自己破産したりすると、そのことも戸籍に書かれてしまう。
- 原則、自分以外の人は戸籍を見ることができないが、警察官、裁判官、弁護士は見ることができる。
- 戸籍の手続きができるタイミングは以下のいずれか。
→①出生届を出すとき(名前や存在の確定)、②結婚や離婚をしたとき、③死亡届を出すとき。
- ①は親がする。②は自分でする。③は葬儀屋さんがやる。
戸籍と住民登録
- 戸籍=その人が誰であるかが分かる。日本人であることの正式な証明が可能。
- 戸籍の手続きは市役所などで24時間受け付けていて、どこに住んでいても手続き可能。
- 住民登録=その人がどこに住んでいるかが分かる。
→引っ越すたびに登録しなければならない。また、他国に行くときは登録を取り消さなければならない。
- もし外国に行けば、住民登録を取り消すことになるので、税金を払わなくて済む。
- 外国で戸籍の手続きを行うときは、領事館で行う。(そこらじゅうにある)
- 外国において、政府と政府の間でやりとりをするのは、大使館。(首都に1ヶ所)
- どこの国の人でもない人を、無国籍者と言う。
在外日本人ついて
- 在外日本人=外国にいる日本人
- 短期滞在者と、永住者に分かれる。前者は、いずれ日本に戻る。後者は、帰ってくるつもりがない(日本に戻る予定がない)。
- 永住者は、国際結婚するケースが年々増えている。圧倒的に女性が多い。
- 永住者は、いわゆる「移民」(=外国に移り住む人)のことでもある。
- 移民は、日本人と日系人(=日本国籍なし)に分かれる。
- 日系人が日本国籍をもっていないのは、日本国籍を取り消したか、行った先の国の国籍を取得したかのどちらか。日系人はあちこちで活躍している。
- 最近はほとんどいない。
- 過去に移民した人とその子孫がほとんど。2008年が、移民が始まってから100周年の年だった。
- 100年前は、日本は貧しかった。だから南北アメリカにたくさんの人が移住した。
- ブラジルに日本人が何人いるかは、ブラジルの領事館でわかる。
移民について
- アメリカの人口が多いのは、アメリカが移民で人を集めたから。
→そのときインディアン(先住民)しかいなくて人が足りなかった
帰化について
- 外国人が日本国籍を取得して日本人になることを帰化という。
- 帰化を認めるのは法務大臣である。
- 帰化を認めると、戸籍を登録することになる。
- これで自動的に子どもも日本人となる。
- 帰化をする人は、特に在日朝鮮・韓国人が多い。
- 昔、満州に日本人(特に土地のない農民)を送り込んだことがあったが、日本は戦争に負けたので、親が逃げて子どもだけ残された。取り残された子どもは「残留孤児」として引き取られた。
- 残留孤児には中国国籍をあげてしまう。その場合、日本人と教えて育てることもあれば、何も言わず、中国人の子どもとして育てる場合もある。
- よくあるのが、女が男をだまして付き合い、結婚してから日本に来るという現象。これの目的は、国籍をとることである。こういうのを偽装結婚という。
国籍についての考え方
- 血統主義と生地主義というのがある。
- 血統主義=親が日本人なら子どもも日本人。
→父母両系主義(父または母が日本人なら子どもも日本人)と父系主義(父が日本人であれば子どもも日本人)がある。
- 生地主義=生まれた国の国籍をあげてしまう。
- 日本は血統主義、アメリカは生地主義。国によって国籍についての考え方は違う。
- 日本では、現在は父母両系主義(1984年の法改正により)、昔は父系主義だった。(母が日本人、というだけでは子どもに日本国籍は認められなかった)
二重国籍について
- 日本では、大人の二重国籍は認められていない。
- イランでは、イラン人と結婚する外国人は自動的にイラン国籍が与えられる。
- もし日本人の大人がイラン人と結婚した場合、二重国籍NGなので、日本の国籍を取り消してイランの国籍をもつ。それか、日本の国籍だけもつようにするしかない。
国勢調査について
- 国勢調査とは、日本の人口を正確に調査すること。・
- 1920年から実施しており、5年ごとに行っている。
- 10月1日午前0時に調査している。
- 数え方について
1. 市役所、区役所の人たちが公園などで調べる
2. 9月30日にすべての家に調査票が配られる。それを国民は提出する。
3. あくまで日本の人口=日本での居住者の数を調べるものなので、在日外国人も含む。
将来推計人口
①子どもが減る
②年寄りが増える
③死亡率が増える
④出生率低下
- 以上により、日本の経済は落ちる。一方、中国などの経済は活発になる。
在日外国人
- 日本の人口は減り始め、在日外国人は増え始めている。
- 日本人は住民登録をしているが、在日外国人は外国人登録をしている。
- 中国、韓国、朝鮮の人で約6割を占めている。
- ブラジルの人は日系人(の子孫)なので、顔が日本人と似ている。
- 韓国、朝鮮の比率が減り始め、中国やフィリピンの比率が増えている。
→国籍を日本に切り替える人が増えているということ。
- 日本では若い人が減ってきているので、今後ますます外国から人を呼んで仕事をしてもらう必要がある。
- 20組に1組以上が国際結婚している。
- 国籍によって生活や権利にも差が生じる。
領域
基本
- 領域は、領土と、領海と、領空(領土と領海の範囲を含む)に分かれる。
- 領土の範囲は海岸線と海岸線の間であるが、満潮と干潮があるためはっきりしていない。
- つまり、領土が伸び縮みするため、時間によって領土・領海・領空も伸び縮みするということ。
- 領海は海岸線から12海里と、領海法で決められている。
- ただし、以下の場所では領海が3海里となっている。
①宗谷海峡:12海里とってしまうと日本とロシアの領海がかぶる
②津軽海峡:青森から北海道に行く時、途中、公海があるので、青函トンネルはそこで一度外に出る。
③対馬海峡:国際海峡の一つ。12海里にしてしまうと、日本の領海が塞がって船が通れなくなる。
④大隅海峡:九州と屋久島。種子島の間。
理由:昔、戦争中、船から大砲を打った時、3海里より先に大砲が届かなかったから。
→次第にミサイルなども使うようになり、3海里の意味がなくなったので、国連が乗り出して、12海里と決めた。
- 海里とは海の数え方で、1海里=約1852m。
- 船の速さはだいたい12ノットくらい。1ノット=1海里/時。
- 領海の外は公海と言って、どこの国にも属さない。
- 領空は、宇宙まで広がることはないとする。(宇宙は領空にしてはいけない、と国連が決めている。
ただし、空と宇宙の境目についての決まりはない。
→おおよそ、高さ100kmまでは空であり、それを超えると宇宙。
cf. 飛行機の最高の高さは10kmくらい。
- 領空の例外=横田空域。日本の領空だが、日本の飛行機は通れない。
日本の端
- 最北端=択捉島(北海道)。実際には日本の領域ではないが、日本政府は択捉島が日本の領域であることを主張している。なお、日本人は立ち入りできない。
- 最南端=沖ノ鳥島(東京都)。とても小さく、人が3人くらいしか住めない。住所は、東京都小笠原村沖ノ鳥島。
- 最東端=南鳥島(東京都)。防衛省、気象庁などは行ける。小さな飛行場がある。
- 最西端=与那国島(沖縄県)。普通の日本人は住むことができる。珊瑚礁に囲まれている。
- 実際、日本の領域は定まっていない。
領域の意味
→その領域に入ったことで、その国の法律が適用されるから。
- つまり、領域=その国の法律が適用される空間的範囲、でもある。
- 例外として、日本の領域であるが日本の法律が適用されないところがある。
①アメリカ軍基地
②外国公館(大使館、領事館):ここで働く人は外交官と言い、外交官特権をもつ。
→日本の法律に従う義務がない、税金を払わないでいい、出身国の法律に従う、国外追放は可能
- アメリカ軍基地は税金がかからないから、そこで買ったものをアメリカ軍基地で食べたりするのは問題ないが、アメリカ軍基地から持ち出すと税金を払わないといけなくなってしまう。
- パナマの船をよく登録するのはなぜか?
→船を持っている会社は税金を払うことになっていて、パナマは税金が安いので、日本に登録するよりパナマに登録したほうがいいから。
- パナマの船に乗っているとき、公海上で事件が起きるとどうなるか?
→パナマの警察が来るか、パナマの警察が日本の警察に頼めば海上保安庁が来てくれる。
- 日本の法律ではカジノが認められていないので、日本の豪華客船にはカジノがない。
- 外国のカジノの船が日本の領海に近づくと、カジノは閉店する。
排他的経済水域(EEZ)
- EEZ内の海洋資源(魚やカニなど)と海底資源(石油など)は自国が独占可能。
- EEZのほとんどは公海。
- 珊瑚礁が多く、水深が浅い。
- 深さ1000m〜2000mになると太陽の光が当たらない。
- 天然ガスなどが沢山ある。
- 沖ノ鳥島の場合、波で削れて島がなくならないように、鉄のコンクリートを流し込んで固め、領土を増やしている。
- 沖ノ鳥島が島なのか岩なのかについて、以下のような議論がある。
日本の主張 |
中国の主張 |
国連海洋法条約 |
島であり、EEZも存在 |
岩であり、EEZは存在しない |
①満潮時に水没しない ②観測などを行っている(島の定義の1つ)ので、島である。 |
日本の領域の歴史的な変化
→沖縄は日本ではない(琉球王国)。北海道は日本ではなかった。
→琉球王国は沖縄に。北海道、千島列島を日本の領土に。
台湾、朝鮮の植民地化(1910年)
→中国の満州を横どり(1937年)。広い範囲を領域にした。(植民地ではない!)
南太平洋諸島も植民地にした。
→反乱に発展した。(例:日中戦争)
- 中国は、イギリス、アメリカ、フランス、ソ連などの国にも狙われ、第二次世界大戦に発展。日本は負けたので、領域が変化することになった。
- ④昭和時代後半(戦後)
→朝鮮半島、台湾、中国、南太平洋諸島は返還。
- 戦争に負けた国は勝った国に従う。
- 勝った国が集まり、仲直りをどうするかの話し合いが行われた。
→1951年に仲直りし、サンフランシスコ平和条約が成立。
→横取りした地を全て、相手国に返還することが決定。
また、沖縄、奄美諸島、小笠原諸島、樺太、千島列島は日本から切り離し、勝った国で山分けすることに。
(前三者はアメリカが、後二者はロシアが占領。(
1953年 |
奄美諸島 |
日本に返還 |
1968年 |
小笠原諸島 |
日本に返還 |
1972年 |
沖縄 |
日本に返還 |
― |
樺太 |
未返還 |
― |
千島列島 |
未返還 |
- 樺太と千島列島は、日本からは切り離したものの、ロシアの領土とは決めていない。それなのにロシア人が占領しているため、問題となっている。
- 日本とロシアの主張
|
日本の主張 |
ロシアの主張 |
樺太南部 |
どこの国でもない |
自分が使うのは悪くない |
ウルップより北 |
どの国が使うか決まってない |
ロシアの領土だ |
北方四島 |
我が国の領土だ |
我が国の領土だ |
cf. 「北方領土」という言葉は日本だけで使われている。
→北方領土、竹島、尖閣諸島。
竹島問題(韓国との問題)
- 漁業資源が問題になっている
- 1965年、日韓国交正常化=日本に韓国大使館、韓国に日本大使館が置かれた。
- 実際は国同士の関係はうまくいっていない。
理由:過去、日本は朝鮮半島を植民地支配したから。
- ①地理的位置 ②過去の植民地支配との関係、を理由に争っている。
- 日本と韓国いずれも、漁民の日記に記録が残っている。
- 1905年に日本の領土と決まっている。
- ただし、どちらが早いのかわからない。
→竹島周辺は暫定水域とし、日本の漁民も韓国の漁民も魚をとっていい=入会地とする。
→日本の漁民はもともと顰蹙を買っていたので、世界中に文句を言われる。
→魚をとる量を制限した。
→韓国は制限せず、たくさん魚をとっている。→問題発生
最終更新:2023年11月28日 09:14