27
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ
【現代語訳】
みかの原を湧き出て流れる泉川よ。(その「いつ」という言葉ではないが) いったいいつ逢ったといって、こんなに恋しく思っているのだろうか。(本当は一度も逢ったことがないのに)
【解説】
▶いつ/み/き/とて/か/恋しかる/らむ
- 「いつむ」という動詞は残念ながら存在しないので、「いつみ」を「いつ/み」に分けられたかどうか。すると「見」という動詞が見えてくる。
- 「き」が過去の助動詞であることは発見しやすかっただろう。だが、「いつ」という疑問詞の後に来ていて、「とて」の直前で文末扱い。本来この「き」は連体形の「し」にしたいところだが、「とて」の影響で終止形のままで終わっている。係り結びの流れという現象である。
- 「か」は疑問の係助詞である。つまりこの下の句には疑問が2回出てきている。
【ルール】
14
陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにし我ならなくに
【現代語訳】
陸奥で織られる「しのぶもじずり」の摺り衣の模様のように、乱れる私の心。いったい誰のせいでしょう。私のせいではないのに(あなたのせいですよ)。
陸奥のしのぶもじずりの摺り衣の模様のように、ほかの誰のせいで乱れ始めてしまったのか。私のせいではないのに。(ほかならぬあなたのせいなのですよ。)
【解説】
- 「A[名詞]のB」と来たとき、「の」は主格か所有格か同格である。
③山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば
④瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
⑤逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし
⑥難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや
花の色は移りにけりないたずらに わが身世にふるながめせし間に
②これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関
③住の江の岸による波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ
④難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや
⑤山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば
⑥あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな
恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか
④心あてに折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる白菊の花
⑤大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ
最終更新:2023年12月12日 08:46