はじめに
このページでは、歴史を学ぶにあたって意識しておくべきことについて述べていきます。
ちなみに、歴史をなぜ学ぶのか、ということについては
なぜ社会科を学習するのかのページに書いてありますから、地理や公民も含め、学ぶ意義が分からない人は是非読んでおいてください。
今回このページでお伝えする内容は、世界史や日本史の具体的な学習方法です。
「用語」を流れの中に位置づけて覚える。
これが歴史学習の一番の肝です。
そもそもなぜ歴史を学ぶかと言えば、「どのような変化があって今に至っているか」を学ぶためです。日本で考えてみてください。
縄文時代から社会はずっと変わっていないのでしょうか?そんなことはありませんよね。なんらかのきっかけとなる出来事があって、社会の仕組みが時代とともに変化しています。変化していないならば、過去について学ぶ必要がないので歴史という科目は成立しません。
そして、変化には必ずきっかけとなる出来事があります。実在する人物が、なんらかの政治的判断を下して世の中が変化していきます。(もちろん、災害によって世の中が変わるなど、人為的ではなく自然的なきっかけも時にはあるでしょう。)過去、
「いつ」「どこで」いったい「どういう人間(=だれ)」が、「どんなこと」を考え、「何を」してきたのか、その変遷をしっかり捉えていくことが大切です。
自分と同じ人類という存在が過去にどんな思考をしてきたのか見ていく――こう考えたら、歴史を学ぶのが少し楽しくなりませんか。
そして、面白いことに、そういう学び方をした人間にしか点数が取れないように試験問題はつくられます。そういう仕組みになっているんです。歴史の入試問題は、ただの暗記テストやクイズ大会ではないのです。
ですから、用語を知っているだけ、一問一答ができるだけ、というのは勉強しているように見えて実は得点力には繋がっていません。
「この用語(A)はこうで、この用語(B)はこうで、…」とスラスラ言えても、それは一問一答が完璧なだけです。
「Aが起こったときに、BとCが協力してDを結成して…」というふうに、1つの出来事を説明する中で他の用語も関連付けて説明できるようにしたいものです。
したがって、学習の際には、「流れ」や「因果関係」を意識し、その中で用語を覚えていくことが必要です。
言い換えれば、ある用語が言われたときに、「これは、いついつに、こういう流れの中で出てきたやつだな」と言えることが大事なのです。
例えば、「義和団事件」と言われたときに、「中国(清)の義和団が起こした事件」と言えるだけでは理解不十分です。
模範解答は、「日清戦争で清が負けて、中国分割が進んでしまったために、清が怒って起こした事件」ではないでしょうか。
このように、ある用語を説明するときに、他の用語との関連性を意識して答えることが出来る、というのが歴史においては非常に重要です。
(このことを理解したうえで一問一答を極めるなら、非常に意味があります。つまり、単に用語を答えるだけではなく、用語から説明、それも流れを踏まえた説明を引き出す「逆一問一答」を極めていくということです。)
用語Aを理解する際に、用語Aと用語Bとの関係をつかむこと。これが、用語Aの理解を促進するのです。
②抽象化+事象の意味付けを意識する
歴史は時間とともに積み上がっていきますから、現在進行形で学ぶことが増えています。特に日本史なんかでは、平成から令和の流れが問われるなんていうことも増えてきました。
時代の数がそもそも多いですし、世界史となれば国や地域の数だけ歴史があるため、扱う領域が増えていきます。(もちろん、日本史も、扱う国は主に日本だけですが、その分扱う出来事の数が世界史よりも細かくなります。つまり量としては増えていきます。)
このときに大事にしてほしいのが、「同じ人間のやっていることだ。人間の思考パターンなんて、数限られてるのではないか?」という視点です。
実際に勉強していれば分かりますが、「A時代の出来事とB時代の出来事は、全く別のように見えて本質的には同じだ」ということが沢山出てきます。
これを意識することで、歴史の構造というものが見え、学習効率も上がるんですね。
つまりは抽象化が大事になってきます。
そして、抽象化して「この出来事はこういう意味を持っている」と意味付けできることが大切です。
国公立二次試験の論述問題では、そういう視点が問われますから、普段から抽象化を意識した学習が必要です。
③用語を抜いて構造だけ見る
これまで流れや事象の意味付けが大切であることを説明してきました。
しかし、実際に学習を始めると、一つ一つの言葉を覚えることに気をとられてなかなか全体の流れが見えなくなってしまうものです。
そこで、「用語を抜いて構造だけ見る」という方法をおすすめしております。
StudyPlaceでもそういうスタンスで歴史の解説をしていますから、ご興味のある人は是非StudyPlaceを学習の中心に据えて、日本史あるいは世界史の学習をしていってくださいね。
④年号暗記について
年号暗記は、その歴史的出来事が「いつ起こったか」を正確に認識するうえで欠かせません。
このときの覚えるコツですが、もちろん、他の年号と関連付けて覚えるというのがひとつあるでしょう。
そしてもうひとつ、これはあまり言っている人がいないのですが、
「時計のイメージで覚える」というのを意識してみてください。
例えば、
第二次世界大戦が終わったのが1945年ですが、僕の中では、時計の針が「45分」を指しているところを頭にイメージします。
第二次世界大戦終戦、の話が出てきたら常にそれを頭にイメージするのです。
このイメージ化という作業を、他の年号に出会ったときも同じように行っていきます。
そうすると、仮に年号がパッと思い出せなくても、先に時計のイメージが頭に浮かび、そこから数字を思い出せることがあります。
このように、イメージ化や図式化するという作業は非常に大切なのです。
ちなみに、下二桁が61〜99の場合はどうするんだ、という話ですが、60分のところから右に向かってまっすぐな線を伸ばし、そこに位置付けてもらえれば結構です。
つまり、広葉樹林の地図記号を上下ひっくり返して頂ければいいということです。
⑤記述・論述問題について
国公立二次試験では、大きな論述問題が出題されます。
論述で強くなるために、やるべきことは何でしょうか。
それは、教科書のフレーズを覚えることです。
教科書から表現を盗み、毎日1センテンスでいいから暗記していく姿勢が大切です。
用語を覚えることでさえも大変な皆さんからしたら、「表現方法まで覚えてらんねーよ」という感じだと思います。
ですが、これがとても大事で、後になって大きな効果を発揮するんです。
入試の論述と言うのは、国語にせよ、世界史にせよ、地理にせよ、字数との勝負になります。
これらの科目は加点方式で採点すると言われていますから、答案にできるだけたくさんの情報を盛り込んだ方が得点も高くなりやすいです。
しかし、だいたいの受験生は、解答例に比べて表現が冗長。
一つのポイントに字数を割きすぎて、要素が入りきらず、完全正解を逃してしまいます。
なぜ、冗長になるのか?
それは言葉を知らないからです。表現力が乏しいからです。
自分が頭の中で考えているアイディアを、簡潔にしかし正確に表現する力が足りていないのです。
地理を例に出して説明しますと、
例えば風土の説明の際「高くて湿気が少ない」ではなく「高燥な」と書くべきです。
「一年を通じて供給する」ではなく「周年供給」。
「景気の悪化」ではなく「バブル崩壊」。
簡潔に厳密に表現できるように、教科書の表現を沢山インプットしてくださいね。
最終更新:2023年12月13日 12:28