小説とは

  • 以下の話は、小説に限らず、映画や漫画にも当てはまる話である。
  • 小説の中には、「物語の素(もと)」といえるものがたくさん入っている。
 →例:○△○○△△□△□□…
  • 読み手は、テクストや論理にしたがって、物語の素をピックアップして、物語の型に組み立てている。
 ○に注目した人は「○―○―○―…」と組み立てるし、
 △に注目した人は「△―△―△―…」と組み立てる。
 どう組み立てたかに、その人のテイストが現れる。
 そして、その組み立て方に対して我々は「面白い」「つまらない」と評価している。
  • つまり、ある小説に対して「つまらない」と評す人は、その組み立て方が「つまらない」のである。
 組み立て方に、その人の感性が如実に表れてしまうのである。
  • したがって、入試現代文を解く際には、出題者のテイストに合わせて読んだり解いたりしないと失点してしまう。
 例えば、センター試験の2008年の問題で言えば、
 複数の問題を通して「僕」の高木に対する不快な気持ちや嫉妬心が描かれているが、
 これを「高木かっこいい!」「高木はいいやつだなあ!」と読んだ人には当然、点数は入らないのである。
  • 小説は、世界に一線を引くものである。
 AからBへ、BからAへと一線を越えるのが物語である。
 つまり、なんらかの変化が伴っているのが小説である。
  • A=現実世界、B=異世界とすると、
 A→B→A'となるのがうらしま太郎型、B→A→B'となるのがかぐや姫型である。
 物語というのは、こうした「変化」を描いているのである。

小説も、作者との対話

評論文では、筆者との対話が鍵になってくるが、小説でもその基本方針は変わらない。
もちろん、よく言われる
  • 登場人物の心情を理解する
というのは欠かさずやるべきだ。だが、それ以上に、
  • 作者が何を描きたいかという「主題」を把握する
ということもやってほしい。例えば、「世の中の醜さを暴きたい」などである。
そこからアプローチできることは無限にある。
結局のところ、書き手と対話してこそ「読解」は成立する。

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最終更新:2023年12月04日 17:47