自分の今の状況を認識せよ

まず、今の自分がどの程度の立ち位置にいるのか、というのを認識するところから始める必要があります。
共通テストの英語を解くほどの英語力がまだなかった場合、共通テストの問題をどんなに解いても効果は出ません。

ここでは、

(1)中学レベルからズタズタの場合
(2)中学レベルは大体問題ないが、高校レベルの基礎がズタズタの場合
(3)高校レベルの基礎は大体固まっている場合

この3段階に分けてみます。(まあ、やや大雑把な気もしますが。)

(1)中学レベルからズタズタの場合
この場合は、センター試験の問題を解く以前に、中学英語をやり直すことから始める必要があります。したがって、自分のレベルに合った教材を買うなどして、「単語」や「文法」を中心に基礎固めを改めてやる必要があるでしょう。一番早いのは、僕の「基礎強化英語」の授業を聞くことです。
https://t.co/C12NANXC2I

この講座では、中学レベルの一番の基本を解説していると同時に、単語や熟語をどう勉強すべきか、ということにも触れています。動画内での指示通りにやっていただければ、普通は問題なくセンターレベルまで力が伸びるはずです。

(2)中学レベルは大体問題ないが、高校レベルの基礎がズタズタの場合
共通テスト系の模試で、200点満点のうちの100点を越えたことがないのであれば、十中八九このケースです。
この場合も、共通テストの問題を解くことよりも前に、まずは「単語」「熟語」「文法」から始めるべきです。
僕の基礎強化英語の第1回から視聴し始めれば、基本的には問題なく成績は伸びるはずです。
授業内で、「どのタイミングで長文の勉強に移ればいいか」という説明もしていますので、それを参考にしていけば、長文の勉強も効率よく出来るでしょう。

(3)高校レベルの基礎は大体固まっている場合
受験まであとわずかしかない受験生であれば、このレベルに当てはまっていることを期待したいところです。
共通テスト系の模試で120点以上が安定して取れているようであれば、こう判断してもいいでしょう。
この場合、まず第一に課題となってくるのは「1文1文を正確に和訳する力を身に付ける」ことでしょうね。単語だけを追って「たぶん、だいたいこんなことを言っているのかな?」というふうにアバウトに把握するようなやり方をしていると、なかなか長文の成績は上がってきません。「英語を英語で理解しよう」と言う先生もいますが、日本人である以上、それを初めからやるのは無理だろうと僕は思います。そもそも日本人である以上、日本語の呪縛からは逃れられませんし、日本語というアプリケーションをベースにしてわれわれは思考していると言えます。
ですから、素直に、一文一文を徹底的に和訳し、その精度(確実性)を上げていくことから始めてみましょう。
興味のある人には、僕の長文読解の授業動画を紹介しますので、直接ご連絡ください。
その授業を受けていただければまず、問題なく成績は上がると思います。

音読の重要性について

もちろんですが、授業を聞く代わりに、問題集などを用いて自分でどんどん進めていくやり方も否定しません。
その場合、共通テストで200点中120点以上取れるレベルの人は、共通テストレベルの長文に取り組んでもらって構いませんが、きつそうであればもう1段階下げて、高校入試問題などにチャレンジするのもアリだと思います。
そして、ここで大切になるのは、「一度読んだ英文を放置しないこと」です。これは「量より質か」「質より量か」という問題にもなってきますね。1回読んだ英文も、1週間くらい経てば普通は「内容」も「その長文で新しく出てきた単語・熟語・文法」も忘れてしまいます。そうなると、結局力はつきません。
そこで僕が勧めるのは「音読」です。「文構造」や「内容」などを完璧に理解しきった英文を何度も音読することで、「英文を前からスピーディーに読む力」が身につき、実はこの過程で「英語を英語のまま読む」という最初は困難だと思っていた課題も達成出来るようになっていきます。1つの長文につき最低30回は読み込むと良いでしょう。(もちろん、一気に30回読む必要はありません。他の科目の勉強で疲れたときなどに気分転換のつもりで読めばいいでしょう。一気に読む回数は5~10回ぐらいでいいと思います。1か月ぐらいかけて結果的に30回読めれば十分でしょう。)
そのぐらい読んでいると、知らないうちに、その長文に出てきた「単語」「熟語」「文法」も知らないうちに定着してしまいますし、一石二鳥なのです。
ちなみに、しばしば「音読をするときに注意すべき点は?」という質問も来るのですが、僕の答えは「特にありません。とにかく大きな声を出して来る日も来る日も音読を続けることが重要。」です。といいますのも、音読をするときに「あれもこれも」意識していると、3日坊主で終わってしまうからです。
もちろん、意識すべきことはあるでしょう。「正しい発音・アクセントで読むことを意識する」「ナチュラルに読むことを意識する」「その英文の内容を誰かに伝えるつもりで気持ちを込めて読むことを意識する」「どこで区切れるかを意識する」「授業で習った文法事項を意識する」……挙げればキリがありません。
しかし、こういう細かいことばかりに気をとられていると、次第につまらなくなって、音読を投げ出してしまいます。それよりは、「何も考えずに、来る日も来る日も音読を続ける」という行為を入試当日までずっと続けたほうが、効果は出やすいはずです。ですから、細かいことを注意する必要はないだろう、と考えます。
そして、当然のことですが、まったく同じ長文だけを何度も読んでもそれはそれで意味がありません(これも「怠慢」の一種です笑)。ですので、1つの英文を10回ぐらい読んだら、すぐに次の新しい英文に取り組むようにすると良いでしょう。(10回読んだ成果を発揮するようにすることが大事です。これを繰り返すことで読む力が伸びます。)「量」と「質」のバランスを取り間違えないようにすることが大事です。
今から始める場合は、とりあえず学校が休みなのであれば、共通テスト最終問ぐらいの長さのものを週に最低2本ぐらい読めるといいですね。ただ、あくまでこれは目安です。他の科目とのバランスもありますから、英語以外に致命的に苦手な科目がある場合は、そこにたっぷり力を注ぐ必要もあるでしょうから、週に1本でもいいでしょう。
逆に英語に時間をかける余裕がタップリあるなら、週に5~6本、あるいは7本(=毎日)やってもいいかもしれませんね。毎日取り組む場合は、「解いて解説を読む(or聞く)」のに1~2時間、「それを10回程度音読する」のに1時間(もちろん一気にやる必要はないでしょう)、「前回やった長文を5回程度音読する」のに30分、みたいな形で、合計3時間はかかると思います。
以上の学習は、僕の授業であれ、市販の問題集であれ、学校の授業であれ(学校の教科書の英文は素晴らしいものばかりです)、どんな学習手段で行っても構いません。自分のやる気が継続するものを選択すれば問題ありません。こういう形で、共通テストレベルの長文を「解く→解説を理解→音読」というペースで何本も学習していけば、すぐに8割以上は安定させることが可能になると思います。

裏技は不要

さて、一応以上が基本的な共通テスト対策のための学習法になります。読んでいて分かったと思いますが、共通テストの英語を攻略するのに「特別なテクニック/裏技」の類はいりません(もちろん、そういうテクニックがあることで有利に得点が取れる、ということもあるのでしょうが、そこに力を入れる必要はありません。むしろ、そういうテクニックばかり勉強してしまうと、応用力が薄れてしまい、二次の点数が伸び悩みます。
僕が今回述べたような勉強法を採用すれば、「共通テストの長文を読みまくっていたら、知らないうちに二次の長文も読めるようになっていた」という状態も作ることが出来るかもしれません。もちろん、その二次試験のレベルがどのくらいなのかにはよりますけどね)。
「単語・熟語・文法」をマスターし、長文を何度も「音読」することで英文の処理スピードを上げる、ということさえ実行出来れば、それで十分でしょう。僕自身、共通テストの問題を解説していて強く思うことですが、共通テストの問題の場合、「解き方を学ぶ」必要性はゼロに近いです。英文自体を読みこなす力があれば、そこから「未知語推測」の問題が出題されようと、「不要文」を1文追加してそれに気付かせる問題が出題されようと、文中に空欄を入れて「文補充」問題が出題されようと、段落の内容を「要約」させる問題が出題されようと、「段落分け」の問題が出題さえようと、……すべて対応可能です。
現代文的な読解力(情報構造に注目するとか、同形反復を利用するとか、論理の貫通を発見するとか、二項対立を意識して未知語の推測を行うとか…)が必要となるのは、共通テストよりももっともっとレベルの高い大学の入試問題においてのことです(東大や早稲田や慶応や上智の問題などは、まさにそうかもしれませんね)。逆にこれがなかったとしても合格点レベルまでは普通たどり着きます。(もちろん、これがあることによって解くスピードがもっと速くなることは全然あり得ます。)ですが、共通テストの英語は、基本的には、英語の知識を駆使して長い文章を読ませ、「情報処理」がいかにできるかを問う問題がほとんどですから、国公立の記述問題で問われるような知性やアカデミズムのへったくれもありません。(竹岡先生という駿台の先生は、「共通テストで9割とれない人はゲジゲジ」と言ってましたし、早稲田予備校の寺島よしき先生は「こんなつまんない問題つくったやつ出てこい」と言ってました。)
ですので、「スピーディーに」「読む(=1文1文の文構造や和訳がきちんと出来る)」力をきちんと身に付けることによってどんな問題が出ても対応できるような堅固な英語力を身に付ければ、共通テストの長文問題は余裕で突破出来るのではないか、と思います。

諸知識の強化について

さて、このあたりまで来ると少し問題が出てきます。
これは難関大を目指す受験生には多い現象なのですが、共通テストには直接出ないような細々とした問題が、2次試験では出題されることがあるのを皆さんは知っているでしょう。具体的には、
  • 文法や語法を問う問題(四択問題、正誤問題
  • 和訳問題
  • 整序英作文、和文英訳、自由英作文
  • 発音・アクセントを問う問題
これらの対策をやるべきかどうか、という質問が出てきますが、非常に愚問です。
そもそも、これらの知識というのはリーディングやリスニングにも直結するものであって、(もちろんマニアックな知識というのも中にはあるのでしょうが)やって無駄ということはありません。
切り離して考えるという思考が既に間違っています。
とすれば、文法力強化のために、四択問題集(VintageやNEXTAGEなど)に取り組むことは決して無駄ではありません。
また、リスニング力強化のために、発音・アクセントの攻略本を買ってやり込んでおけば、長文の復習で音読をする際に、いちいち発音・アクセントの分からない語を辞書や単語帳なんかで調べずに済みます。
皆さんはこういう地道な努力が実は十分な得点力への投資になっていることにお気付きですか?
もちろん、文法を強化するのに四択問題集が必須とは思いません。分厚い文法書を読み込んで、ポイントをノートに自分で整理するのもいいと思います。
大事なのは、目的(あり方)に沿っているならば手段(やり方)は何でもいいということです。
ここを勘違いしている人が多いです。つまり、どのやり方が正解だ、間違っている、ということではないのです。
それは表面的な議論に過ぎません。
そういう目に見えるものよりも、そのやり方によって本質的な学力という目に見えないものがどう伸びていっているか、に着目すべきです。
もちろん、知識にも重要なものと些末なものがありますから、優先順位は大切にしてください。
  • 共通テストで満点を狙いに行き、なおかつ2次試験でも英語てま攻めていき合格点を狙っていく
  • 英語は共通テストでしか受けないが、満点近くとる必要がある
  • 英語は守りとしてしか考えていないので、共通テストでは7割取れれば十分だ
受験は普通「総合点」ですべてが決まりますから、上記のように英語のゴールも人によって異なります。科目間のバランスなどにも注意を払いながら、ベストなプランを策定していくことが大切です。

発音・アクセントについて

  • 長文を音読するときのストレスを減らす
  • リスニングで聞き取れる単語を増やす
うえで、発音・アクセントの学習は有効です。
そのうえで大切なのは、学習を通じて、発音・アクセントのルールをある程度整理していくことです。
例えば、ateが出てきたらその2音節前が強く発音されます。(例:chocolate)

四択の文法問題について

重要文法にアンテナを貼ったり、認識できる文法のパターンを増やすという意味で、四択問題集に取り組むのは一つの手です。
仮に長文の点数が不安定でも、「文法が分かるから文の構造は取れるし、単語さえ分かれば誤読することは無い」というのは大きな自信になります。
その代わり、せっかく四択問題集に取り組むなら、勉強の仕方を工夫してくださいね。特に大事なのは、
「出題者の意図を素早くつかむことを常に意識する」
これに尽きます。
選択肢や空欄周辺をパッと見たときに「これはあの問題だ!」とすぐに反応出来れば、出題者の意図が分かったことになります。
例えば、熟語など知識を直接問う問題であれば即答しておしまいです。
一方、関係代名詞や助動詞を埋める問題のように「ある程度考えてから答えなくてはならない」問題であれば、自分が選んだ答え以外のものが「絶対に正解にならない」ことも出来る限り確認する、といったことも大切にしてください。
(逆に、単なる知識問題を解いたときに「他の選択肢がダメな理由」を考えるのは愚かです。なぜなら元からその言い方しか存在しないわけであって、答えが選べている時点で他の選択肢を検討する余地は1ミリもないからです。)

整序英作文について

これについては専用のページがあるのでそちらをお読みください。ですが、個人的には、四択問題よりも整序問題のほうが、長文読解に直結する文法力を身に付ける、という観点からは効果を発揮すると思っています。(もちろん四択問題には、単語同士の細かな文法的差異を区別し文法認識を強化できるという、四択問題にしかないよさがあります。)

読解問題(会話文補充、不要文削除、討論の要約などすべて)

基本的に僕は、読解問題については、形式ごとに解き方をいちいち変えたり、というのをあんまりしません(形式ごとの対策をいちいち考えない、といったほうが適切でしょうか)。
結局は与えられた英文が「速く」「正確に」理解出来るかというのを問うていますので、「英文が読めれば解ける」わけです。
ですので、学習する際には、解き方よりも読み方を習得することを意識します(読むためには単語・熟語・文法といった基本的知識の習得が欠かせないので、そこを徹底的に行います)。
そして、大事なのは「平易な英文なら、反射神経的に読む」ことです。
言い換えれば「平易な英文を読む時にいちいち文型を考えたり和訳を考えたりしない」ということです。もちろん、難しい英文が出てきた時は立ち止まって丁寧に分析すべきですが、すべての英文に対してそれをやるなということです。そうやってメリハリをつけることが、時間短縮に繋がります。
そして、一度読んで自分が理解しきった英文は何度も音読して、反射神経的に英文が読めるようにしてください。そうすることであなたにとっての「平易」の範囲が広がっていきますよ。

1つの試験を時間内にどう仕上げるか

現実的な話をします。
試験の鉄則は、「簡単な問題での解き残しをつくらない」ということです。
もちろん、共通テストレベルであれば「解き終わらない」という事態は作って欲しくないのですが、そうは言っても皆さんには皆さんの現実があるでしょう。また、客観的に見てみても、量が多い試験であることは否定しません。
例えば、2023年の共通テストのリーディングの問題では、英語が印刷されているページが全部で35ページありました。これを80分で読み切らねばならないとなると、単純計算で1ページあたり2分ちょっとで読まねばなりません。もちろん、図や絵が挿入されている箇所があることや、短い選択肢が並ぶことによって行を稼いでいることも多いですし、そこそこの空白が残っている状態で改ページしていることもあります。
とすれば、実際には1ページあたり3~4分かけてもいいことになります。
しかし、これを聞いて皆さんはどう思いますか?
「いや、3分で1ページを読み切るなんて無理だよ、、、」
「ほ本当にそんなスピードで呼読んだら読みが浅くなるよ、、、」
という人も多いかもしれません。
そこで、そんな人は、過去問演習を通して、自分の得意不得意を把握することが大切です。「こういうタイプの問題は解きやすいな」というのがあれば、そこから解けるようにしていきましょう。
そうすれば、最後の方に残った問題はあなたにとって「苦手な問題」なはずですから、言葉を選ばずに言うなら「時間かけてもかけなくてもどうせ点数が取れない問題(=当てずっぽうで解いても同じ)」なのです。これはかなり合理的なやり方だと言えるでしょう。
しかし、時間をかけてもかけなくても点数が変わらないかどうか、をあなたは自分で自覚できていますか?
そこで最後に、「2段階で解く」重要性をお伝えします。

2段階で解く

過去問演習などをしていると、ついつい「時間を計る→制限時間内に解ききる→解き終えたらすぐに丸付け」といった流れになりがちです。ただ、難しい問題であればあるほど「時間をかけると解ける」場合が多いです(これは国語や数学でも一緒です。国語や数学の場合、「知らないと解けない」という知識問題であれば時間をかけても解けませんが、「考えて解く」系の問題の場合は、時間をかければ解ける場合が多いでしょう)。
そこを何も考えずにすぐに答えを見てしまうのはもったいないので、僕の場合は、制限時間内に解いた後ももう少し「熟考(=じっくり考える)」するようにしています。もちろん、「これ以上考えてもどうせ分からない」と判断出来た場合や、あるいは「ここで考えるのに時間をかけていると、他の科目の勉強時間を失ってしまう」と判断出来た場合は熟考をやめます。
もし、時間をかけた際に解答が変化し、得点が大きく変わった場合、嬉しいことが分かります。それは、「正確な読解力は十分にあるので、あとは時間短縮をどうするかを考えるのみ」ということです。
こういうことを意識して、過去問演習するようにしましょう。

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最終更新:2024年01月02日 21:18