学習の流れ

僕のおすすめする勉強法は、以下の通りです。
1、基本例題を全網羅しているテキストを1つ選び、それだけやると決める。
2、その問題集の基本例題だけを最初から順に解いていく。
  (「自分が苦手なところ」を自覚している人は、苦手分野から解き始めてよい)
3、「完璧に解けた」のか「時間はかかったけど解けた」のか「ケアレスミスで間違えた」のか
 「発想が出てこなかった」のかといった記録をすべての問題に対して行う
 (◎・○・△・×などで記号化してもよい)
4、解説が全く理解できなかった問題については、公式LINEなどで質問する。
5、数日後にまた解き直し、完全に定着させる。(すべての問題が定着すれば数学の受験勉強は終了)
 このような流れです。数学が出来るようになるためには、まずは1つ1つを丁寧に理解することが大事です。
分からないところが少しでもあるならば、放置せずに、面倒かもしれませんが質問してください。
授業を受けても成績が伸びなかったとしたら、理由は簡単で、「分からないところを放置していた」
あるいは「知識を定着させていなかった」のどちらかです。最低限のことはしっかりやりましょう。

計算ミスの対処法

  • 途中式を可能な限り省略しないことが大事。
  • 1行書くたびに「合っているか」をチェックする癖をつけるとよい。
  • 約分とかで数字を消すときはハッキリと消すとよい。(塗りつぶしてもいいくらい!)
  • どんな答えになるのか予測しながら解く(予測できるとき・できないときがありますけどね)

基本例題のインプット

まずは基本の勉強をしっかりしてください。
だいたいの受験生はこれが遅いです。
反復試行をどういうときに使うかいまだにわかってない
積分の6分の1公式がいつまで経っても使いこなせない
階差数列の問題がいつまで経ってもあやふやで解けない
こんなノリです。
数学はよく「公式を覚えなくても証明すれば導ける」と言う人がいますが、試験本番で導いている暇はありません。
かといって丸暗記するものでもありません。
「公式の成り立ちは理解したうえで、大量の問題演習を通して自然と公式に使い慣れていく」ということが大切です。
数学の根本を理解するうえでは、やはり教科書を軸とした勉強がいいでしょう。
教科書は分かりにくい、という人がいますが、あれほど根本からわかりやすく書いているものはないですよ。(たしかに、途中式が省略されていたりすると分かりにくいかもしれませんが。)
ですから、まずは教科書を丁寧に読み、理解していくことからじゃないでしょうか。
手元に教科書がない人は、「高校の教科書」というホームページがあるのでおすすめしておきます。

応用問題のヒント

数学の山場は「応用問題」ですよね。
思いつかなくて解けない、というパターンがほとんどだと思います。
ですが、一見難問のように見えても、その実、ベーシックな問題の複合でしかない、というのがほとんどです。
ですから、数学の成績が伸び悩んでいる人は、チャート式などに載っているような、典型的な問題の解法の知識に穴がないか確認しましょう。
問題を見た瞬間にその解法を思いつけるようになるまで、何周も解きなおしましょう。

着想力を得るために

東進の志田先生が、学力増進号の中で京大のベクトルの問題を解説しています。
4行で解答を仕上げるという、めちゃくちゃ鮮やかな講義で、いろいろ学ぶものがあります。
まずは、以下のPDFから問題を閲覧して頂き、一度考えてみてください。
https://www.toshin.com/web_class/pdf/iXGiY0uwGi4.pdf
そのうえで、動画をご覧ください。

Q&A

Q.7月あたりで青茶例題を終わらすつもりですが、
遅すぎますか?(もっと早く終わるかもです)
青茶例題を焦って解いても仕方ないと思っているのですが、なにぶん、
7月以降に難しい数学の問題をといてほんとに間に合うかどうかなかなか不安でして。
青チャートの例題ってどの程度のレベルなのでしょうか?

A.個人的には、7月あたりまでに終われば十分だと思いますよ。
模試のタイミングを考えると、5月上旬を除けば、8月~9月頃、11月頃に
模試が多くやってきます。そこで結果を出すことを考えれば、
7月頃に終わらせるというのはベストタイミングだと思います。
目標の立て方としては問題ないと思います。

もし7月までに終わらず、延びてしまった場合でも、9月頃までには終わらせましょうね。
(やはり過去問を解いたりする時間も必要ですから、その時間を確保しなければいけません。)

これを踏まえたうえで、次に大事になってくるのは、
「どれくらい精度の高い(密度の濃い)学習をするか」です。

  青チャの例題のレベルはどうなのか、ということについてですが、
  簡単か難しいか、で言うとするならば、正直、一言では言えません。
  例題なのに非常にややこしい問題もあったりします。
  しかも、人それぞれの好みというのも影響してきます。

  また、基本例題は「入試に頻出のものなのかどうか」ということについても
  気になると思うのですが、これも、意外なことに、頻度が低いものも載ってたりします。
  たとえば、いつも例に出すのが「常用対数」なのですが、
  これは、頻度は低いですけど、学校の授業であろうと塾の授業であろうと、
  対数関数の単元を一通りやろうと思ったら絶対に授業で扱いますよね。

  つまり、基本例題に出ている問題というのは、
  「これだけやれば全分野を網羅したことになりますよ」というものなんです。
  だから、基本例題さえやれば「数学の問題を解くための道具」はすべて集まるのです。
  夏休み以降、過去問などを解く中で、「難問」にたくさん出会うことと思いますが、
  どんな難問であろうと、そこで必要とされる道具は「基本例題」の中に絶対あるわけです。

以上の説明で何が言いたかったのかというと、
「基本例題は、あますことなく完璧にしましょう」ということです。
他の「重要例題」や「補充例題」以上に、時間をかけてやってほしいし、
完璧になるまで繰り返してほしいし、スラスラ解けるくらい「定着」させてほしいです。

だから、あなたのおっしゃる通り、「青茶例題を焦って解いても仕方ない」のです。
じっくり時間をかけて、1問1問から必要なことを最大限に学び取ってほしいわけです。
密度の濃い学習をしてください。

とはいえ、いざやり始めると、基本例題の「量の多さ」にびっくりし、
気が遠くなってしまうかもしれません。
結局「解き方を覚える」ことが学習の中心になってしまう、という危険性もあります。
ですから、解法を学ぶ際には、以下の2点に力点を置いてください。

 ★「どういう条件が与えられたときに、どういう解法を使うのか」というのを覚える。
   (例)「少なくとも」という表現が問題文に出てきたら→「余事象」を使うことを意識

 ★「なぜその解法を使わなければならないのか」を理解する。
   前回の授業で話した通り、数学の問題を解くときの基本的なプロセスは
   (1)仮定[=条件]に注目 (2)結論[=目的]を意識 (3)結論から逆算して解法を発想する
   この3つです。どの問題においてもこのプロセスを意識することで、
   「なぜその解法を取り入れるのか」ということをちゃんと納得してください。
   それがもし分からないようであれば、それは絶対に僕に聞いてください。
   もちろん、ときには「これはもう、こういうものと決まっているから、覚えろ!」と
   言わざるを得ない問題もありますが、理屈で埋められるケースのほうが多いですから。

以上の2点をしっかり意識して、
1つ1つの問題を「納得のいく」形で定着させていってほしいと思います。

基本例題を完璧にすることが出来れば、
過去問を解いたり難問に挑戦したりするときに、「スムーズに」勉強が進みます。
つまり、模範解答を読んだときに「なるほど!」とすぐに頭に入ってくるのです。

もし基本が頭に入っていない状態で過去問などを解いてしまうと、
模範解答を見ても「なんでこんな解き方ができるんだ、すげぇ」で終わってしまいますし、
「なんでここでこの公式使ってるんだ?」などといった「基本レベルに関する疑問」が
いっぱい出てきて、結局は「基本例題をもう1度やり直しなさい」と
言われざるを得ない状況になってしまいます。
そうならないようにするためにも、基本例題にはじっくり時間をかけてくださいね。

ということで、
「7月までに終われば十分(御の字)、キツそうであれば9月頃まで伸ばしても可」
というのが僕の結論です。

Q.理数科目全般の話にはなりますが、初見の問題が出てくる度に点が取れない人ってどうすれば良いですか?
A.
1、まずは1つ1つの事柄をきっちり「理解」すること。
2、その上で教科書レベル~入試頻出レベルの問題を見た瞬間に解けるようにすること。

この2つに尽きるのではないでしょうか。
それぞれ、簡単に説明します。

まず、1について。
そもそも、初見といっても、教科書の範囲から逸脱した問題は出ないんですよ。
今まで習った知識を使えば解ける、というのが基本です。しかし、その基本的な知識が「組み合わさっている」から難しいのです。
ですから、まずはその「基本的な知識」が分かっていることが大前提です。
「公式を覚えていない」とか「教科書レベルの基本問題の解き方すらも分からない」では難関大学の問題に手がつかないのも当然です。
例えば数学であれば、sin60°のような三角比の計算、物理であれば、波の公式とかオームの公式といったものが、
パッと頭の中から出てきて計算できることが大事です。
物理の場合は、「単位」を間違えずにすぐに値を代入することができる、という状態を作ることも重要です。
意外と、基礎が成っていないのに難関大学の問題ばかりやる人がいるので、とにかく「基礎徹底」でいきましょう。

次に、2について。
正直、入試には「捨て問」と呼ばれるような問題も出ます。(センター試験ではゼロですが、二次試験ではあるでしょう。)
そういった問題まで点が取れる必要はないのです。
教科書レベルの知識、あるいは入試頻出の典型問題の解法をちょっと組み合わせられれば解ける、
そういう平易な問題を確実に得点することが求められます。
そのためには、基本レベルの問題をひたすら繰り返し演習し、スピーディーに解けることが大切です。
ここで求められるのはとにかく「スピード」です。
難しい問題を解くときに常に思考の中心にあるのは、
「これはどういう知識を使うのがいいかなあ」
「複数解き方が想定できるけど、どれが一番効率がいいかなあ」
といったことであるべきなんです。
そういった思考に集中できるためにも、典型問題の解法はパッと出てくるように鍛えておくべきです。
「二倍角の公式忘れちゃった…。うーん、とりあえず加法定理から導くか…」なんてのんきなことをやっていては時間がどんどん削られますからね。
そして、典型問題を反復演習して定着させることにはもっと大きな意味があります。
それは、「点の取れる問題と取れない問題を『判断』する力」=「選球眼」を身につけられる、ということです。
問題文を読んだ瞬間「これはカンタンだな」「これは難しそう。捨て問扱いで、最後に回そう」といった判断が出来ないと、
解く順番が狂って、「時間があれば解けた問題も、時間オーバーで逃してしまった」ということになりかねません。

以上のことから、入試まで残りわずかではありますが、「基礎徹底!」という精神を崩すことなく、
とにかく基本問題・典型問題の解法を習熟させ、パッと解法が浮かんで答案が書ける、という状態にしてください。
理系科目が出来ない人は、圧倒的に、典型問題を解くスピードが遅いです。
問題文を見た瞬間、何が求められている問題かが分かって、「手が動かせる」、というのが大事なのです。

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最終更新:2023年12月07日 00:08