はじめに
僕自身、英語に関しては、これまで高校受験指導、大学受験指導を中心にさまざまな形で教えてきましたが、常々「もっと短縮して速く教えられないかなあ」ということを考えてきました。例えば、予備校の授業では、1回90分の授業を20回ぐらいやることによって文法を一周するわけじゃないですか。これ、もっと縮められると思うんですよね。そのためには、文法体系自体を見直してやる必要があると思います。より具体的に言えば、小学英語・中学英語の教え方から見直してやる必要があるでしょう。もちろん、何を目的とするかによって指導の仕方は変わってきます。ざっくり言えば、①細部の文法まで問われる定期テストで高得点を取ることを目標にするのか、②長文読解中心の入試で高得点を取ることを目標にするのか、で変わってきます。僕が関心をもって研究しているのは②のほうなので、②を達成するための英文法のカリキュラムをちょっと1から考えてみたいと思います。ここで完璧なパッケージを作っておけば、少しアレンジするだけで他の指導者の方にも使っていただけると思いますので。
30分×15講で完結の読解英文法
①アルファベット
そもそもアルファベットが正しく書けますか。
読み取れないアルファベットを書くと、英作文で減点を食らうこともあります。
改めて確認しておきましょう。
●大文字 ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
●小文字 abcdefghijklmnopqrstuvwxyz
また、単独発音とフォニックスを覚えましょう。
例えば、Aの単独発音は「エー」、フォニックスは「あ」となります。
ローマ字もマスターしておいてください。
②名詞句
- 「一人の友達」は「a friend」
- 「その友達」は「the friend」
- aは不特定、theは特定
- 「彼の友達」は「his friend」
- 彼の友達が複数いれば「his friends」
- 「誰の」を表す表現を所有格と言う
- 「ひとつのりんご」は「an apple」
- 「ふたつのりんご」は「two apples」
▶単数・複数の感覚もしっかり覚えましょう。
③be動詞の文
- be動詞の意味は「イコール」か「存在(ある・いる)」である
- イコールの文の場合、主語+be動詞+補語となり、
補語の部分は「冠詞+形容詞+名詞」で構成される
- 現在形はam/is/are
- 主語がIならam、単数ならis、複数ならare
- 過去形は、現在形のam/isがwas、areがwereに変わったもの
④一般動詞の文(現在形・過去形)
- 「1文に動詞は1つ」なので、be動詞と併用できないことに注意する
- 動詞の活用(原形、過去形、過去分詞)も覚えること
- 自動詞と他動詞(直後に目的語をとる)がある
⑤助動詞の文(未来形、現在完了形など)
- 動詞にニュアンスを付け足すのが助動詞である
- will/can/may/should/shall/must/have toなどを使いこなせるようにすること
- だいたいは推量の意味である
- だいたいは直後に動詞の原形を置く
- 助動詞haveは直後に過去分詞が来て、「(ずっと)〜してきた」となる(現在完了)
- 現在完了の文では、期間のforと起点のsinceがセットになる
⑥人称代名詞、指示代名詞
日本語 |
主格 |
所有格 |
目的格 |
〜のもの |
〜自身 |
私 |
I |
my |
me |
mine |
myself |
あなた(たち) |
you |
your |
you |
yours |
yourself(yourselves) |
彼 |
he |
his |
him |
his |
himself |
彼女 |
she |
her |
her |
hers |
herself |
私たち |
we |
our |
us |
ours |
ourselves |
彼ら |
they |
their |
them |
theirs |
themselves |
- 所有格は形容詞の働きをする修飾語で、他の格はすべて名詞
- 名詞は主語、目的語、補語、前置詞の目的語のどれかの働きをする
- 主格は主語の働き。所有格は修飾語の働き(意味的には「〜の」が多い)。目的格は目的語の働き。
- this=これ、この that=あれ、あの these=これら、これらの those=あれら、あれらの
⑦否定文・疑問文・命令文のつくり方
- 一般動詞は2分解して考える(例:plays→does play)
- 否定文なら「動詞の先頭直後にnot」(例:He went.→He did go.→He did not go.)
- 疑問文なら「動詞の先頭を文頭へ」を徹底(例:He went.→He did go.→Did he go?)
- 上記の疑問文はあくまでYes/No疑問文。
- 疑問詞疑問文の場合、もとの文の名詞が疑問詞に変わって文頭に来る。(直接疑問文)
- 疑問詞疑問文は文の中に埋め込むと間接疑問文になる
⑧進行形
- 「〜している」という意味を出すときに使う
- 「be動詞+現在分詞(ing)」で表す
- 状態動詞は進行形にできない
- 現在分詞は形容詞化することがある 例)interest(興味を引く)→interesting(面白い)
- 他動詞の現在分詞化したものが形容詞化した場合があり、目的語の前に前置詞が必要
例)I'm very welcoming to her.
⑨受動態・倒置
- 受動態=能動態の目的語を主語に移したもの
- 受動態は「be動詞+過去分詞」で表す
- 過去分詞とは、過去形と似ていて、他のもの(今回はbe動詞)と分担して使う言葉
- 心理的述語
- 文末重点
- 前置、否定の倒置、There is構文、so+倒置、neither+倒置
⑩関係代名詞
- 2文を代名詞を用いて結合した(関係付けた)ものが関係代名詞
例:I have a friend. He smiles. → I have a friend who smiles.【関係代名詞節による後置修飾】
※動詞を含むカタマリを節と言う
- この場合、関係代名詞以下は「形容詞の働きをする修飾語」となる
- 進行形や受動態を関係代名詞にした場合、「関係代名詞+be動詞」は省略可能
例:I have a friend. He is running over there.
→I have a friend who is running over there.
→I have a friend running over there.·····①
- この場合、running以下を分詞関係詞節という。(分詞の形容詞的用法による後置修飾)
- 形容詞の働きをする修飾語が1語の場合、前置修飾する
例:I have a running friend.·····②(分詞の形容詞的用法による前置修飾)
- 2文目が状態動詞の文の場合、進行形はダメだが分詞の形容詞的用法として表すことは可能
- ①も②も、不定詞を用いて書き換え可能。(不定詞で表す時点で2語以上なので、後置修飾しか無理)
①▶︎I have a friend to run over there.
②▶︎I have a friend to run.
- これを不定詞関係詞節という。
- ただし、不定詞も分詞も形の上から時制を表すことができない(厳密な用法やニュアンスはあるのだが、難しい)ので、英作文では関係代名詞の文をまずは作ってみることをおすすめする。
⑪不定詞
- 不定詞とは「to+動詞の原形」で、「これからすること」を表す
- 分詞の形容詞的用法は不定詞でも書き換え可能
- 不定詞には名詞的用法(〜すること)と副詞的用法(〜するために)もある
- 不定詞の名詞的用法はingでも書き換え可能
→この場合のingは分詞ではなく動名詞で、「すでにやったこと」を表す
⑫接続詞(仮定法はこの中で)
- 等位接続詞(and/but/or/nor/so/for/yet)と従属接続詞がある
- 等位接続詞は重文構造をつくる=事実上2文で、単文が並列している
- 従属接続詞は複文構造をつくる=事実上1文で、入れ子構造になっている
→従属接続詞を含むカタマリは従属節、残った文は主節となる
例:I know that he is a famous pianist.
※目的語がthat節になっているときのthatは省略可
- 時制の一致 例:I knew that he was a famous pianist.
- 従属節の副詞的用法→主節と同一の主語を省略し、動詞を分詞に変えられる(分詞構文)うえに、接続詞も省略できる
- 接続詞If→条件部分が非現実的であれば、条件節・主節ともに動詞を過去にずらす(仮定法)
- 仮定法のIfは省略して倒置可能
⑬it構文
⑭比較
⑮文型・修飾語の扱い
⑯前置詞・動詞の語法
⑰形容詞・副詞の語法
⑱さまざまな省略
- There is a bookstore sells what you want.【主格の関係代名詞の省略】
あなたの欲しい物を売っている本屋があります。
- He is not a coward he used to be.【補格の関係代名詞の省略】
解答
第17〜20回の解説を用意した。
第17回
1) It was this hospital ( ).
A that I first met her B which I visited last month
C that I was born D where was a fire
2) ( ) was Linda's disappointment that she burst into tears.
A This B That C It D So E Such
- 倒置を意識。「リンダの落ち込み方は〜ほどひどい」という意味。E。
3) Tom is ( ) than honest.
A clever B more clever C cleverer D the cleverer
- 形容詞同士で比較するときは、「er」をつけるというやり方をしない。Bが答え。
4) John looks ( ) when he is cooking.
A happiest B like the happiest man
C the happier D the happiest
- 「〜ときが一番」。
- theのない最上級を選ぶ。A。
5) Hardly had the performance begun ( ) the lights went out.
A when B than C that D ever
第18回
1) I owe ( )・
A what I am to my parents B my parents to what I am
C what I am for my parents D my parents on what I am
- 「owe A to B」で「AはBのおかげだ」。
- 「今の私がいるのは、親のおかげだ」と言いたいので、A。
2) At the end of last semester Professor John Smith explained ( ).
A how to write a good paragraph
B us how to write a good paragraph
C us to write a good paragraph
- explainがSVOOをとれることを知っていれば、B。
3) Tom ( ) me of a boy I used to know.
A recalls B reminds C remembers D remarks
- 「remind A of B」=「AにBを思い出させる」を知っていればB。
4) His composition is ( ) from mistakes.
A free B beyond C far D nothing
- 「far from」(から遠い)を知っていればC。
5) It is one thing to make a plan, and it is ( ) to carry it out.
A one B another C other D the other
- 「A is one thing and B is another」で「AとBは別」。B。
第19回
1) The trainer ( ) the beast sit on the stool by beating it with a whip.
A led B got C forced D made
- 選択肢はすべてSVOCをつくる動詞。そしてCの位置に原形が来ていることから、BとCは選べない。
- 「むちで叩くことによって、獣を椅子に座らせた」という意味であり、許可ではなく強制なのでD。
2) A college education will ( ) you to get a broader view of the world.
A enable B let C make D take
- これもSVOCの問題で、Cの位置に不定詞が来ているので、A。
3) ( ) this medicine, I might have died.
A Otherwise B Without C Suppose D Instead of
- 前半が副詞節となり、空欄に入るのは前置詞。
- Aは副詞だし、Cは接続詞。
- 「薬がもしなければ死んでいたかもしれない」なので、B。
4) ( ) do you like your new teacher?
A How B Who C Which D What
5) I found nothing but a ( ) of scissors.
A pair B piece C couple D set
- このbutは前置詞で「〜以外」。「ハサミ以外何も見つからなかった」。
- ハサミは2つの刃で1つになっている。2つで1組のものを表すときは「a pair of」で表現。
6) Philosophy is not ( ) as you imagine it is.
A so difficult subject B so a difficult subject
C a so difficult subject D so difficult a subject
第20回
1) ( ) under a microscope, a fresh snowflake has a delicate six-pointed shape.
A Seen B Sees C Seeing D To see E Having see
- カンマの前に副詞節をつくるイメージ。
- 空欄直後に目的語はないので、受動態を意識。
- 分詞の副詞的用法で、A「Seen」が答え。
2) It was so dark that they could ( ).
A hard see B hardly see C see hard D see hardly
- 意味を考える。述語が「暗かった」となっている時点で、it構文ではない。
- 副詞節をつくるthatであり、so+形容詞があるので、このthatは程度のthatで「〜ほど」。
- 「ほとんど見えないくらい暗かった」という意味をつくればいいので、準否定語のhardlyを使う。
- 準否定語(hardly/scarecely/rarely/seldom)は頻度の副詞と同じ位置。答えはB。
3) Never in my life ( ) such a peaceful sight.
A did see B I saw C have I seen D I won't see
- 文頭のNeverは倒置をつくる。Cが答え。ほかはすべて疑問文の語順ではない。
4) ( ) you go, you have to remember that your credit card is usable.
A Wherever B Whatever C Whichever D However
- 空欄の後ろが完全文なので、AかD。
- D「どのように(どれくらい)行こうと」では変なので、A。
5) He will be back ( ) an hour.
A by B for C within D till
- by(までに)もtill(まで)も、直後に時の一点が来るので、選べない。
- forだと「1時間」なので、当てはまらない。
- 「1時間以内に戻ってくるだろう」でC。
最終更新:2023年12月10日 12:12