司法試験のあらまし
受験資格について
法科大学院修了者(もしくは一定の要件を満たした修了見込の者)or予備試験合格者
スケジュール
願書交付・受付:3月
試験実施:7月
短答式成績発表:8月
合格発表:11月
試験地
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、那覇市又はその周辺
試験日程
1~3日目は論文式試験で1400点満点、4日目のみ短答式試験で175点満点となっております。2日目の後に休みが1日入ります。
1日目【論述】 選択科目 100点満点(最低ライン25点)と公法系科目 200点満点(最低ライン50点)
▶倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)
▶憲法
▶行政法
2日目【論述】 民事系科目 300点満点(最低ライン75点)
▶民法
▶商法
▶民事訴訟法
3日目【論述】 刑事系科目 200点満点(最低ライン50点)
▶刑法
▶刑事訴訟法
4日目【短答式】 175点満点
- 憲法(50分) 20問 50点 (最低ライン:20点)
- 民法(75分) 36問 75点 (最低ライン:30点)
- 刑法(50分) 20問 50点 (最低ライン:20点)
六法全書について
- 私用の六法全書の持ち込みは禁止。
- 論述試験のみ、は判例なしの司法試験用法文(六法)が貸与される。
出題のあり方
論文式:比較的長文の具体的な事例を出題し、法的な分析、構成及び論述の能力を試す
短答式:基本的事項に関する内容を中心に出題する
合算の仕方
算式=短答式の得点(175点満点)+論文式試験の得点(800点満点)×1400/800
▶1575点満点 (合格点は例年の傾向だと約5〜6割。700点台後半〜900点台前半で推移)
最低ラインと合格基準点
- 短答式試験の各科目において、最低ラインに達していない科目が1科目でもあれば不合格となる。
- 最低ラインを3科目とも超えたとしても、出題側が設定した合格基準点(年によって異なる)を超えなければ、不合格となる。
- 例えば、2023年の短答試験でいうと、合格基準点は99点であった。つまり、3科目とも最低ラインを獲得して計70点をとってもダメだということ。
- 例年、短答式試験の合格基準点は100点前後で推移しているので、6割前後はとらなければならないということ。
- 短答式試験に合格した者のみ、論文式試験の採点がなされる。
- 論文式試験についても、足切り点を下回る科目が1科目でもあれば、無条件に不合格となる。
司法試験の学習法
独学勉強法
- 司法試験が日本最高峰のレベルの高さを誇った試験であることは、説明するまでもないだろう。しかし、そのイメージがあるからか、臥薪嘗胆、六法全書や判例集を一から丸暗記することが司法試験の勉強だと思っている人も多いようである。だが、そもそも、六法全書は試験会場で渡されるので、参照できる。とすれば、どんな勉強をすべきなのだろうか。司法試験を独学で成功させた人の例は少なく、その事例としてネット上で参照できるものもそう多くなく、一部の再現性の低い方法論しか出てこないため、勉強法に困っている人も多いだろう。そこで今回、ここで順を追って丁寧に説明することにする。
- まず、難しいことから手をつけるべきだ。子どもじゃないんだから、簡単なものからとか言うべきではない。予備校の授業を受ける、入門書を読む、などといった行為は、分かりやすいものに触れて脳の負担を減らすことはできるが、時間を奪ってしまうことは間違いない。
- 独学で勉強する場合、特権として、予備校に通うまでの時間、何時間もの講義を聞く時間、入門書を何周もする時間……こういったものを省くことができるが、その分、脳に負荷をかけながら時間短縮を図っていく必要がある。
- そこで、まず大原則として、過去問をベースに学習することを覚えてほしい。実戦を重視するということだ。試験そのものにまずは触れて、そこから逆算するようにして基礎事項はなんだろうかと自分で見出していくこと。人から言われた基礎をやり込むという受動的な学習をしている人たちに独学者であるあなたがもし本気で勝ちたいと思っているのであれば、アグレッシブかつ主体的な学習をすることでしか勝ち上がることはできない。
- まずは過去問を覗いて、問題形式を把握することから始めよう。一旦は、短答式問題だけで構わないので、選択肢を精読して解いてみるとよい。
- 大事なのは、過去問に出てきた選択肢の正誤について可能な限り沢山覚え、そこから法律の理解を深めていくこと。
- 1日3選択肢でいいから分析し、徹底的に理解し、そこからエッセンスを抽出すること。
- これを毎日繰り返していけば、法的思考に慣れていき、考えるスピードも上がっていくため、より多くの量をこなせるようになる。
- 「帰納と演繹」の概念を使って説明するなら、①帰納=法則化→②演繹=当てはめる→③例外に出会う→④ルールを修正=帰納→……を繰り返していくことになる。
- 選択肢は、全文をコピペしてGoogle検索にかければ、該当する判例についての「裁判例結果詳細」という、裁判所の作成したページがすぐにヒットする。そこにある判例全文を読み込む中で、「なんの事件」について「どんな争点」で議論がされていて「どんな結論」が出たか、の3点セットで理解を深めていこう。
- その中で、難しい法律用語などがあればすぐに調べて慣れていこう。
- しかし、判例の全文は事件についての前提が抜けていて分かりにくいこともある。その場合は、該当事件についてのWikipediaなどを参照すればより客観的かつ全体的に理解ができるはず。
- その上で改めて選択肢を見て理解を深めよう。また、誤りの選択肢であれば、誤りの箇所を特定しよう。
- 誤りの選択肢には必ず誤りの「パターン(法則性)」があるので、必ず言語化すること。この作業をすることによって、誤答選択肢の作られ方に対するセンスが養われ、判断能力が一気に上がる。
- ここまでが帰納的学習。
- 定期的に、演繹的学習として、中学校、高校の公民で習った内容を参照したり、法律の全体像について調べたりすることによって、全体像や各法律・条項の位置付けを捉え直す作業をしていこう。
- 以上のように、帰納8割・演繹2割くらいの感覚で短答式問題の対策を意識的に行っていこう。
- ある程度理解が深まったと思ったら、短答式問題をランダムで練習する(参考サイトは後述)などして、判断スピードを上げていこう。
- 短答式問題が仕上がった頃には、法律の全体像も見えているはずであり、論文式問題の練習も可能になってくる。論文式問題に関しては、起案(答案を書き起こすこと)→第三者による添削、をいかに繰り返したかが命。(おすすめの練習システムについては後述)
- 以上が司法試験の勉強の大きな流れである。StudyPlaceでも過去問の解説はこのページを用いて随時行っていくが、是非とも学びのアウトプットのために受験生の皆さんには解説を執筆してほしい。「調べる→理解する(インプット)→執筆する(アウトプット)」という流れを繰り返すことで、知識は確実に血肉化する。興味のある方は、公式LINEにて「司法試験頑張りたいので、執筆したいです」と一言挨拶してほしい。
過去問の入手
短答式問題のランダム練習
- 過去問の短答式問題をマスターしてきたら、ランダムに並び替えられる以下のサイトで反復練習し、高速アウトプットしていこう。
論文式問題の起案練習
- リーガルクラスの「まいにち答練」に参加して、毎日起案練習しよう。
- 毎朝8時に問題が送られるので、それを解いて午前中に提出すれば、夕方には添削結果が帰ってくる。
- 月額数千円程度に参加して、毎日起案練習しよう。
法律を学ぶうえで
法律を学ぶうえで、以下のことを意識するようにしよう。
- そのルールが必要な理由
- そのルールの位置付け(モデリング)
- そのルールの成立条件と例外
- そのルールの適用例
最終更新:2024年01月04日 20:14