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呪文の解説 Spell Descriptions

 各呪文の説明は標準的なフォーマットで記述されている。各情報分類については、以下で説明し、定義する。

名称 Name

 どの呪文の解説でも、最初の行には、その呪文の一般的に知られている名称が挙げられている。

系統(副系統) School (Subschool)

 呪文の名称の下には、その呪文が属している魔法系統を(必要なら副系統も)記載した行が来る。
 ほとんどの呪文は8つの魔法系統の1つに属している。魔法系統とは、似たように働く、関連のある呪文をまとめたものである。(アーケイン・マークウィッシュパーマネンシイプレスティディジテイションリミテッド・ウィッシュなど)少数の呪文は総合術と呼ばれ、どの系統にも属していない。

幻術 Illusion

 幻術呪文は他者の知覚や精神を欺く。人々がそこにないものを見たり、そこにあるものを見なかったり、幻の音を聞いたり、起こらなかったことを思い出したりする。
 虚像/Figment:虚像呪文は偽りの感覚刺激を作り出す。虚像を知覚する者たちは皆、同じ虚像を知覚するのであり、その虚像をそれぞれ少しずつ違った独自の感じ方で知覚するのではない(個々人に与えられる精神的な内容ではないのだ)。虚像は既にあるものを別のものに見せかけることはできない。音響効果を含む虚像は呪文の効果に「聞いて意味の判る会話を真似ることができる」と特記されていない限り、そうすることはできない。聞いて意味のわかる会話が可能な場合、それは術者が話せる言語のものでなければならない。自分が話せない言語を真似ようとした場合、その幻は意味のないたわごとを作り出す。同様に、術者は自分がどんなふうに見えるか知らないもののコピー映像を作り出すこともできない(また、自分がきちんと経験したことのない他の感覚のコピーを作り出すこともできない)。
 虚像と幻覚は実在のものではないため、他の種類の幻術のように実際の効果を生み出すことはできない。これらは物体やクリーチャーにダメージを与えたり、重量を支えたり、栄養を与えたり、自然の諸力からの防御を提供することはできない。従って、これらの呪文は敵をまごつかせたり、遅らせたりするのに役立つが、直接攻撃する役には立たない。
 虚像のACは(10+その虚像のサイズ修正)である。
 幻覚/Glamer:幻覚呪文は対象がどう知覚されるかということを変化させるため、視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚にとって対象が全く別もののように知覚されるようにしたり、消え失せてしまったように感じさせることすらできる。
 操影/Shadow:操影呪文は他の次元界のエネルギーから半ば実在するものを作り出す。こうした幻術には現実の効果がある。操影の幻術からダメージを受けた場合、そのダメージは現実のものである。
 紋様/Pattern:紋様呪文は虚像と同様、他者が見ることのできるイメージを作り出す。しかし、紋様はそれを見たり、その中に捕らわれた者たちの精神に作用することもできる。すべての紋様は[精神作用]呪文である。
 惑乱/Phantasm:惑乱呪文は、しばしば術者と呪文の対象にしか知覚できない精神的なイメージを作り出す。この印象は完全に対象の精神の中にある。個々人に与えられる精神的な印象なのだ(すべては対象の頭の中にあるもので、いつわりの画像のように対象が実際に見ているものではないのだ)。第三者がその場の光景を見たり調べたりしても、この幻には全く気付かない。すべての惑乱は[精神作用]呪文である。
 セーヴィング・スローと幻術(看破):幻術効果と遭遇したクリーチャーは通常、それを慎重に調べるか、何らかの形でやり取りがなければ、それが幻かどうか気づくためにセーヴィング・スローを行うことはできない。
 幻術に対してセーヴィング・スローに成功すると、それが偽りだと分かるが、虚像と惑乱は透明な輪郭として残る。
 セーヴィング・スローに失敗した場合、そのキャラクターは何かがおかしいと気づくことに失敗したわけである。幻術が現実でないという議論の余地のない証拠に出会ったキャラクターはセーヴィング・スローを行う必要がない。観察者が幻術を看破するのに成功し、その事実を他の者たちに伝えた場合、そうした者たちはセーヴィング・スローに+4のボーナスを得る。

召喚術 Conjuration

 各召喚術呪文は5つある副系統のいずれかに属している。召喚術はクリーチャーや物体を長距離にわたって転送する(瞬間移動);他の存在する次元界から術者の次元界へクリーチャーを転送する(招請);物体、クリーチャー、あるいはある種のエネルギーを術者の元へ実体化させる(招来);物体や効果をその場で作り出す(創造);あるいは癒す(治癒)。術者が召喚したクリーチャーは、通常、術者の命令に従う(常に従うとは限らないが)。
 召喚術呪文で生み出されたり、術者の元に転送されたクリーチャーや物体は、他のクリーチャーや物体の内部に出現させることはできないし、空中に浮かせて出現させることもできない。そうしたものは、それを支えることのできる表面の上の何もない場所に出現させなければならない。
 クリーチャーや物体は呪文の“距離”内に出現させなければならないが、出現後も“距離”内に留まらなければならないということはない。
 瞬間移動/Teleportation:瞬間移動呪文は、1体(1個)以上のクリーチャーや物体を非常に長い距離に渡って転送する。この種の呪文の中で最も強力なものは、次元界間の壁すら超える。招来呪文と異なり、こうした転送は(特記ない限り)片道旅行であり、解呪されることはない。
 瞬間移動はアストラル界を通過する一種の旅行である。アストラル移動を妨げるものは何であれ、瞬間移動を妨げる。
 招請/Calling:招請呪文はクリーチャーを他の次元界から術者のいる次元界へと転送する。呪文はそのクリーチャーに出身次元界へと戻る1回限りの能力を与えるが、それが可能な状況も制限してしまう。招請されたクリーチャーは殺されれば本当に死んでしまう。招来呪文(下記参照)によって呼び出されたクリーチャーのように、消えて再構成されるわけではない。招請呪文の持続時間は瞬間である。従って、招請されたクリーチャーが解呪されることはない。
 招来/Summoning:招来呪文はクリーチャーや物体を、術者の指定した場所に即座にもたらす。呪文が切れるか解呪されれば、招来されたクリーチャーは本来いた場所へと即座に送り返されるが、招来された物体は呪文の解説に特にそう書かれていない限り、送り返されることはない。招来されたクリーチャーは殺されたり、ヒット・ポイントが0以下になれば消える。これは実際に死んだのではない。こうしたクリーチャーが姿を取り戻すには24時間かかり、その間、再び招来することはできない。
 クリーチャーを招来した呪文が切れ、クリーチャーが消え失せた場合、そのクリーチャーが発動した呪文はすべて切れる。招来されたクリーチャーは生得の招来能力を(例え持っていたとしても)使用することはできない。
 創造/Creation:創造呪文は物質を操って、術者の指定した場所に物体やクリーチャーを作り出す。呪文に瞬間以外の持続時間があれば、魔法が創造物をまとめ上げており、呪文が切れれば召喚されたクリーチャーや物体は跡形もなく消え失せる。呪文の持続時間が瞬間であれば、創造された物体やクリーチャーは魔法によって組み立てられただけである。そうしたものは無制限に存在し続け、存在するのに魔法が必要だということはない。
 治癒/Healing:信仰召喚術の中にはクリーチャーを癒したり、生き返らせるものすらある。

死霊術 Necromancy

 死霊術呪文は死の力や不死なる存在、生命力を操る。アンデッド・クリーチャーに関係のある呪文がこの系統のかなりの部分を占めている。

心術 Enchantment

 心術呪文は他者の精神に作用し、その行動に影響を与えたり操ったりできる。
 すべての心術呪文は[精神作用]呪文である。心術呪文には2種類あり、術者は対象のクリーチャーに影響を及ぼす事ができる。
 強制/Compulsion:強制呪文は、対象があるやり方で行動するように仕向けたり、対象の精神の働き方を変えたりする。強制呪文の一部は対象のアクションあるいは対象に及ぼす効果を決定し、そうでないものには術者はその呪文を発動する時に対象のアクションを決定できるようになるものがあり、更にそれ以外のものによって術者は対象の継続的な制御を得れる。
 魅惑/Charm:魅惑呪文は対象が術者を見る見方を変える。普通は対象に、術者が仲の良い友人だと思い込ませる。

占術 Divination

 占術呪文によって、術者は忘れられて久しい秘密を知ったり、未来を予言したり、隠されたものを見つけたり、人を欺く呪文を見破ったりできる。
 多くの占術呪文は円錐型の効果範囲を持つ。この効果範囲は術者とともに移動し、術者の見ている方向へと伸びる。この円錐形は術者が1ラウンドの間に眺めることができる範囲を示している。術者が同じ範囲を複数ラウンドの間調べた場合、術者はしばしば追加情報を得ることができるが、その内容については呪文の説明文に記載されている。
 念視/Scrying:念視呪文は、術者に情報を送る不可視の魔法的感知器官を作り出す。特記ない限り、この感知器官は術者の持つ感知能力と同じ感知能力を持つ。この感知能力の基準については、術者を目標としている呪文や効果を含むが、術者から放射される呪文や効果によるものは含まない。ただし、この感知器官は術者のものではあるが、術者本体からは離れた、独立の感覚器官と見なされるため、術者が盲目状態や聴覚喪失状態、その他の知覚障害を負った場合でも、通常通り機能する。
 (DC20+呪文レベル)の〈知覚〉判定に成功したクリーチャーは、この感知器官に気づくことができる。この感知器官は、稼働中の呪文であるかのように解呪することができる。
 鉛の薄膜や魔法による防護は念視呪文を遮断し、術者は呪文がそのように遮断されたことを感知する。

変成術 Transmutation

 変成術はクリーチャーや物体、状況の性質を変化させる。
 ポリモーフ/Polymorph:ポリモーフ呪文は目標の形態をとある形態から、別の形態に変化させる。ポリモーフ呪文によりあるクリーチャーの姿をしている間、〈変装〉の技能判定に+10のボーナスを得るが、そのクリーチャーのすべての肉体能力や特殊能力を得ることはできない。それぞれのポリモーフ呪文により、術者は特定の種類のクリーチャーの形態をとることができる。それにより、能力値や外皮へのボーナスを得る。加えて、それぞれのポリモーフ呪文はいくつかの利益をもたらす。それには、移動の種類、抵抗、知覚能力が含まれる。選択した形態がそれらの利益や、同じ種類でより優れた能力を提供する場合、その利益の全てを得る。選択した形態が同じ種類でより劣った能力を提供する場合、劣った能力を入れ替えて得る。基本移動速度は選択した形態に合致したものに変更される。選択した形態が水泳移動速度や穴掘り移動速度を所持している場合、水泳や穴掘りをしている間に呼吸する能力を得る。獲得した能力のセーヴDCは、この形態に変化させたポリモーフ呪文のセーヴDCに等しい。
 これらの利益に加えて、基本クリーチャーが持つすべての肉体攻撃とそれらに対する習熟を獲得する。これらの攻撃は元の基本攻撃ボーナスに基づき、【筋力】か【敏捷力】(いずれか適当な方)の修正値を加える。ダメージ・ボーナスには【筋力】修正値を使用する。
 ポリモーフ呪文によりサイズが変更された場合、サイズ修正値が変更される。これにより、アーマー・クラス、攻撃ボーナス、戦技ボーナス、〈隠密〉技能修正値が変更される。呪文の説明に特記ない限り、この変更によって能力値が変更されることはない。
 特記ない限り、ポリモーフ呪文は特定の個人に変化するために使用することはできない。重要でない肉体的な特質の多くを操作することはできるが、外見は常にそのクリーチャーの種類の一般的な個体となる。ポリモーフ呪文はテンプレートが適用された形態やクリーチャーのより優れたバージョンの形態となるためには使用できない。
 エレメンタル、植物、動物、魔獣、蟲、竜の種別であるクリーチャーの形態をとるためにポリモーフ呪文が使用された場合、装備品は身体に溶け込んでしまう。一定のボーナスを提供し起動する必要がないアイテムは、このように溶け込んでしまっても機能を保ち続ける(鎧ボーナスと盾ボーナスは例外であり、これらは機能を停止する)。起動する必要があるアイテムは上記の形態をとっている間は使用することができない。これらの形態をとっている間、(《物質要素省略》あるいは《化身時発動》特技がなければ)物質要素を必要とするいかなる呪文も使用することはできない。竜のような、動きや会話に支障のない形態を選んでいるならば、動作要素や音声要素を必要とする呪文のみ使用することができる。元の形態と異なる形態に変化した場合、他のポリモーフ呪文も上記の制約を与える可能性がある(GMの判断に従うこと)。新たな形態が装備品を身体に溶け込ませるものでないなら、装備品のサイズは新しいサイズに見合ったものに変更される。
 ポリモーフ呪文の影響を受けている間、元の形態に依存した変則的能力や超常能力(超感覚、鋭敏嗅覚、暗視など)、肉体攻撃や移動の種類を失う。形態に依存するクラス特徴も同じように失うが、(爪を生やすソーサラーのような)特徴を加えるものは機能し続ける。これらのほとんどは明らかである。しかしGMは、どの能力が形態に依存しており、新しい形態になった時にどの能力が失われるかについて判断する際の最終的な決定権を持つ。
 一度に1つのポリモーフ呪文の影響しか受けることはない。新しいポリモーフ呪文が君に発動された(あるいは、自然の化身のようなポリモーフ効果を起動した)場合、君は古い方の呪文を置き換えて、その効果を適用させるかどうかを決定することができる。加えて、ポリモーフ呪文の影響を受けている間、サイズを変更する呪文の影響を受けない。
 ポリモーフ呪文が小型より小さいあるいは中型より大きいクリーチャーに使用された場合、ポリモーフ呪文によるボーナスを適用する前に、以下の表を使用して小型か中型のいずれかに能力値を調整すること。

クリーチャーの元のサイズ 【筋】 【敏】 【耐】 調整後のサイズ
極小 +6 -6 小型
微小 +6 -4 小型
超小型 +4 -2 小型
大型 -4 +2 -2 小型
超大型 -8 +4 -4 中型
巨大 -12 +4 -6 中型
超巨大 -16 +4 -8 中型

防御術 Abjuration

 防御術は防御的な呪文である。物理的あるいは魔法的な障壁を作ったり、魔法的あるいは物理的能力を無効化したり、侵入者を傷つけたり、対象を他の次元界へと追い払ったりする。
 防御術呪文が別の防御術呪文から10フィート以内で24時間以上稼働している場合、魔法の場が互いに干渉し、わずかに視認できるエネルギーの“ちらつき”が発生する。こうした呪文を〈知覚〉技能で発見する際のDCは4低下する。
 防御術が特定の種類のクリーチャーを寄せ付けない障壁を作り出した場合、その障壁を使って、そうしたクリーチャーを押しやることはできない。術者がそうしたクリーチャーにその障壁を押し付けた場合、術者は障壁に対して圧力がかかることを感じる。それでも押し続けた場合、その呪文は終了する。

力術 Evocation

 力術呪文はエネルギーを操作したり、望む結果を生み出すために目に見えぬ源から力を引き出したりする。事実上、この種の呪文は無から有を作り出す。この種の呪文の多くは華々しい効果を生み出し、大量のダメージを与えることができる。

[補足説明] [Descriptor]

 補足説明がある場合、それは系統や副系統と同じ行に記載される。中には、複数の補足説明がある呪文もある。
 補足説明には、[悪]、[音波]、[風]、[恐怖]、[言語依存]、[混沌]、[強酸]、[精神作用]、[善]、[即死]、[地]、[秩序]、[雷撃]、[火炎]、[光]、[水]、[闇]、[力場]、[氷雪]がある。
 こうした補足説明のほとんどは、それ自体にゲーム上の効果はないが、その呪文が他の呪文や特殊能力、珍しいクリーチャー、属性などとどのように相互作用するのかを決定する。
 [言語依存]の呪文は意志疎通の媒体として相手の理解できる言語を使用する。目標が[言語依存]の呪文を発動した術者の言うことを理解できなかったり、術者の声が聞き取れなかったりした場合には失敗する。
 [精神作用]の呪文は【知力】が1以上のクリーチャーにしか効果がない。

レベル Level

 呪文の解説の次の行では、呪文のレベルを示している。これは0から9までの数値で、その呪文の相対的な威力を表している。この数値の前に、その呪文を発動できるクラス名が記載されている。呪文レベルは、その呪文の効果に対してセーヴを行うことができるなら、そのDCに作用する。

構成要素 Components

 呪文の構成要素とは、その呪文を発動するために術者がやらなければならないこと、持っていなければならないもののことである。各呪文の構成要素の項に、その呪文にはどのタイプの構成要素があるのかが略記されている。物質要素と焦点具の具体的な内容は説明文の最後に記載されている。通常、術者が構成要素について思い煩う必要はないが、何らかの理由で構成要素を使えない時や、物質要素や焦点具が高価なものである場合には重要となってくる。
 音声要素(音声)/Verbal:音声要素とは、口にすべき詠唱である。音声要素を満たすには、術者ははっきりとした声で話すことができなければならない。サイレンスの呪文や猿ぐつわは詠唱を(従って呪文も)阻害する。聴覚喪失状態の呪文の使い手は、音声要素のある呪文を発動しようとすると、20%の確率で失敗する。
 動作要素(動作)/Somatic:動作要素とは、手の慎重かつ正確な動きである。動作要素を満たすには、少なくとも1本の手が自由でなければならない。
 物質要素(物質)/Material:物質要素とは、発動過程で呪文のエネルギーによって消滅してしまう物質や物体のことである。物質要素の価格が記載されていない場合、その価格は無視できる。価格の無視できる物質要素については、わざわざ記録せぬこと。呪文構成要素ポーチを持っている限り、必要な物はすべて持っているものと見なすこと。
 焦点具(焦点)/Focus:焦点具要素とは、ある種の小道具である。物質要素と異なり、焦点具は呪文発動時に消費されることはなく、再使用できる。物質要素と同じく、価格について特に記載がなければ、焦点具の価格は無視できる。価格の無視できる焦点具要素は呪文構成要素ポーチに入っているものと見なすこと。
 信仰焦点具(信仰)/Divine Focus:信仰焦点具要素とは、霊的に重要なアイテムである。クレリックやパラディンの信仰焦点具はそのキャラクターの信教に相応しい聖印である。ドルイドやレンジャーの信仰焦点具はヒイラギやその他の神聖な植物の小枝である。
 構成要素の項に“焦点/信仰”あるいは“物質/信仰”とあれば、その呪文の秘術呪文バージョンには焦点具要素や物質要素(スラッシュより前のもの)が必要で、信仰呪文バージョンには信仰焦点具要素(スラッシュより後ろのもの)が必要である。

発動時間 Casting Time

 ほとんどの呪文は1標準アクションの発動時間を有する。1ラウンド以上かかるものもあれば、即行アクションしか必要としないものもいくつかある。
 発動に1ラウンドかかる呪文は1全ラウンド・アクションである。その呪文は、術者が発動を開始した次のラウンドの、術者のターンの開始直前に効果を表す。呪文が完成した後は、術者は通常通り行動できる。
 発動するのに1分かかる呪文は、1分後の術者のターンの直前に効果を表す(その10ラウンドの間の毎ラウンド、術者は上記の1ラウンドかかる発動時間の時と同様に、全ラウンド・アクションとして呪文の発動を行うのだ)。こうしたアクションは連続していなければならず、中断されてはならない。そのようなことがあれば、その呪文は自動的に失敗する。
 発動に1ラウンド以上かかる呪文の発動を開始したら、術者は現在のラウンドから(少なくとも)次のラウンドの自分のターンの直前まで精神集中を続けなければならない。発動が完了するまでに精神集中を失ったら、術者は呪文を失う。
 発動時間が1即行アクションの呪文は通常の“呪文は1ラウンドに1つ”という制限にカウントされない。しかし、その種の呪文は1ラウンドに1つしか発動できない。発動時間が1即行アクションの呪文を発動しても、機会攻撃は誘発しない。
 術者は呪文が効果を表す時点で、呪文について(距離、目標、効果範囲、効果、バージョンなどの)必要な決断をすべて下す。

距離 Range

 呪文の“距離”はその呪文がどこまで届くかを示している。これは呪文の解説の“距離”の項で定義されている。呪文の“距離”はその呪文の効果が発生しうる最大の距離であると同時に、術者が呪文の起点として指定できる最大距離でもある。もし呪文の効果範囲の一部でもその距離を超えるようであれば、その部分は無駄になってしまう。標準的な“距離”には以下のようなものがある。
 自身/Personal:呪文は術者自身にのみ作用する。
 接触/Touch:作用させるためには、術者がクリーチャーや物体に触れなければならない。ダメージを与える接触呪文は、武器と同様、クリティカル・ヒットになる可能性がある。接触呪文はダイスの目が20でクリティカル可能状態になり、クリティカル・ヒットに成功すれば2倍のダメージを与える。接触呪文の中には、術者が複数の目標に接触できるものがある。術者は発動の一部として、間合い内にいる同意する目標6体までに接触することができるが、術者がその呪文の発動を終了したのと同じラウンド中に目標全員に触れなければならない。その呪文が複数ラウンドをまたいで目標たちに触れることを許すものである場合、6体のクリーチャーに接触するのは全ラウンド・アクションである。
 近距離/Close:呪文は術者から25フィートまで届く。最大距離は、術者レベル2レベルごとに5フィートずつ長くなる。
 中距離/Medium:呪文は(100フィート+術者レベル毎に10フィート)まで届く。
 長距離/Long:呪文は(400フィート+術者レベル毎に40フィート)まで届く。
 無限/Unlimited:呪文は同じ次元界ならどこまででも届く。
 フィート単位で示される距離:呪文の中には一般的な“距離”の分類ではなく、フィート単位で示される“距離”もある。

呪文の狙いをつける Aiming a Spell

 術者は、呪文のタイプにもよるが、呪文が誰に作用するかとか、呪文の効果がどこを起点にするかなどを選択しなければならない。呪文の解説の次の項目では、呪文の目標、効果、効果範囲を定義している。
 目標/Target:呪文の中には“目標”の項のあるものがある。これらの呪文は呪文の定義に従って、クリーチャーや物体に向けて直接発動する。術者は目標を見るか、触れるかできなければならず、その目標を特定して選択する必要がある。しかし、術者は呪文の発動を完了させるまで目標を選ぶ必要はない。
 呪文の目標が自分自身であれば(呪文の解説で“目標:術者”とあれば)、術者はセーヴィング・スローを行なうことはできないし、呪文抵抗も適用されない。こうした呪文の場合、セーヴィング・スローと呪文抵抗の項は省略されている。
 呪文の中には、同意する目標にしかかけられないものもある。自分が同意する目標であると宣言することは、いつでも(立ちすくみ状態であったり、自分のターンでない時でも)可能である。気絶状態のクリーチャーは自動的に“同意する”と見なされるが、(縛られていたり、戦慄状態、組みつき状態、麻痺状態、押さえ込まれた状態、朦朧状態の者のように)意識はあっても動けなかったり無防備状態だったりするクリーチャーは、自動的に“同意する”と見なされるわけではない。
 呪文の中には、術者が発動後に新たな目標や効果範囲に効果を向け直すことのできるものもある。呪文を向け直すのは、機会攻撃を誘発しない移動アクションである。
 効果/Effect:呪文の中には、既に存在するものに作用するのではなく、ものを創造したり召喚したりするものもある。
 術者は目で見るか定義することで、そうしたものが現れる場所を指定しなければならない。呪文の“距離”によって効果をどれだけ遠くに発生させられるかが決まるが、効果が移動できるような場合、その効果は呪文の“距離”に関係なく移動することができる。
 拡散/Spread:特に雲や霧のような効果の中には、起点(グリッドの交差点でなければならない)から拡散するものがある。この効果は曲がり角の向こうや、術者から見えない範囲にまで広がり得る。実際に広がった距離を測定し、その呪文の効果が曲がり角を回り込むなら、それも考慮に入れて距離を測定すること。拡散効果の広がる距離を測定する場合、壁があれば、それを回り込むように測定する。壁を突き抜けるように測定してはならない。移動の場合と同様に、曲がり角を斜めに計測しないこと。こうした効果の場合、術者は起点を指定しなければならないが、効果の全ての部分に対して効果線(下記参照)が引かれている必要はない。
 光線(レイ)/Ray:効果の中には光線であるものもある。術者は遠隔武器を扱っているかのように光線の狙いを定めるが、たいていの場合、通常の遠隔攻撃ではなく遠隔接触攻撃を行なう。遠隔武器と同様、術者は暗闇の中や不可視のクリーチャーに向けて、当たれば儲け物で発射することもできる。目標型呪文とは異なり、命中させようとするクリーチャーが見えている必要はない。しかし、途中にクリーチャーや障害物があれば、それは術者の視線を遮断したり、術者が狙っているクリーチャーに遮蔽を提供するかもしれない。
 光線呪文に持続時間があれば、それは光線の引き起こす効果の持続時間であって、光線自体が存続する時間の長さではない。
 光線呪文がダメージを与えるものであれば、武器と同様にクリティカル・ヒットになる可能性がある。光線呪文はダイスの目が20でクリティカル可能状態になり、クリティカル・ヒットに成功すれば2倍のダメージを与える。
 範囲/Area:呪文の中にはある範囲に作用するものもある。時に、呪文の解説で効果範囲が特別に定義されていることもあるが、たいていは、以下の分類の1つに入る。
 呪文の効果範囲の形状に関係なく、術者は呪文がどこを起点とするのかを選択するが、それ以外に、その呪文がどのクリーチャーや物体に作用させるかということをコントロールすることはない。呪文の起点は常にグリッドの交差点となる。あるクリーチャーが呪文の効果範囲内にいるかどうか調べる際には、キャラクターを移動させる時や、遠隔攻撃の射程を調べる際と同様に、起点からマス目で距離を計測すること。違いといえば、マスの中心から隣のマスの中心へと計測するのではなく、交差点から交差点へと計測することである。
 マスを対角方向に計測することもできるが、その場合、2マス目、4マス目、6マス目……のマス目は2マス分の距離と計測することに注意。マスの起点から遠い方の辺が呪文の効果範囲内にあれば、そのマスの中のものは呪文の効果範囲内にあることになる。しかし、呪文の効果範囲が、そのマスの起点から近い方の辺にしか触れていなかったなら、そのマスの中のものはその呪文の作用を受けない。
 爆発、放射、拡散/Burst, Emanation, or Spread:効果範囲に作用する呪文のほとんどは、爆発か放射か拡散として機能する。どの場合も、術者は呪文の起点を選び、その地点から効果範囲を計測する。
 爆発呪文は効果範囲内に収めたありとあらゆるものに作用する。これには、術者が見ることのできないクリーチャーすら含まれる。起点に対して完全遮蔽を得ているクリーチャーには作用することができない(つまり、この効果は曲がり角を回り込んだ先に及ぶことはないのだ)。爆発の基本的な形状は球形だが、爆発呪文の中には円錐形だと記述のあるものもある。爆発範囲には、呪文の効果が起点からどれだけ遠くまで広がるかが定義されている。
 放射呪文は爆発呪文と同じように機能するが、呪文の持続時間の間じゅう、起点から効果が放たれ続ける。ほとんどの放射は円錐形か球形である。
 拡散呪文は爆発と同様に広がるが、曲がり角を回り込む。術者が起点を選び、呪文はすべての方向に、記載された距離だけ広がる。その呪文の効果が曲がり角を回り込むようなら、それも考慮に入れて呪文の効果が覆う範囲を求めること。
 円錐形、円筒形、直線状、球形/Cone, Cylinder, Line, or Sphere:効果範囲に作用する呪文のほとんどは、円錐形、円筒形、直線状、球形など、特定の形状を有する。
 円錐形呪文は術者から、術者の指定した方向に向けた四分円(円を4等分した扇型)に発せられる。この効果範囲は術者のいるマスのいずれかの角から発し、進むにつれて広がってゆく。円錐形呪文のほとんどは爆発か放射(上記参照)であり、従って、角を回り込むことはない。
 円筒形呪文を発動する際には、術者は呪文の起点を選ぶ。起点は水平な円の中心点となり、呪文はこの円からなだれ落ち、円筒形の範囲を満たす。円筒形呪文は、その範囲内にある全ての障害物を無視する。
 直線状呪文は術者から、術者の指定した方向に向けて直線状に発せられる。この効果範囲は術者のいるマスのいずれかの角から発し、呪文の“距離”限界に達するか、効果線を遮る障壁にぶつかるまで伸びる。直線状呪文は、その直線が通り抜けるマスにいる全てのクリーチャーに作用する。
 球形呪文は起点から広がり、球形の範囲を満たす。球形呪文は爆発でも放射でも拡散でもあり得る。
 クリーチャー/Creatures:この種の効果範囲を持つ呪文の中には、クリーチャーに(目標型呪文のように)直接作用するものもある。ただし、こうした呪文は術者の選んだ個々の目標に作用するのではなく、効果範囲内のある種のクリーチャー全てに作用する。この範囲は球形の爆発であることもあれば、円錐形の爆発であることもあり、その他の形をしていることもある。
 多くの呪文は“生きているクリーチャー”に作用する。これはアンデッドと人造以外の全てのクリーチャーを指す。呪文の範囲にいたが呪文の対象とならない種類のクリーチャーは、作用を受けたクリーチャーの数に数えられない。
 物体/Objects:この種の効果範囲を持つ呪文の中には、術者が選んだ効果範囲内の物体に作用するものもある(クリーチャーの項と同様だが、クリーチャーの代わりに物体に作用する)。
 その他/Other:効果範囲が独特な呪文もある。その場合、効果範囲はその呪文の説明文中で定義されている。
 (自在)/Shapeable:効果範囲や効果の記載の最後に“(自在)”とあれば、術者は呪文の形状を変えることができる。自在な効果や自在な効果範囲は縦、横、奥行きのいずれも10フィート以上にしなければならない。効果や効果範囲の多くは、不規則な形状を形作るのに便利なよう立方体単位で指定されている。3次元的な体積を勘定することが一番必要になりやすいのは、空中や水中で呪文の効果や効果範囲を定義する場合である。
 効果線/Line of Effect:効果線とは、呪文が作用するかどうかを示す、遮られてはいない直線である。固体の障壁があれば効果線は妨害されてしまう。これは遠隔武器を使う際の視線のようなものだが、ただ効果線は視線とは違って、霧や闇など通常の視覚を制限する要素に遮られることはない。
 呪文をかけようとしている目標や、呪文の効果を発生させたい場所に対して術者から効果線が通っていなければならない。発動しようとしている呪文の起点に対して効果線が通っていなければならない。
 爆発、円錐形、円筒形、放射の呪文の場合、その呪文は起点(球形の爆発の中心点、円錐形の爆発の開始点、円錐形の爆発の開始点、円筒形の円、放射の起点)から効果線が通っている効果範囲、クリーチャー、物体にのみ作用する。
 少なくとも1平方フィートの貫通孔が開いている固体障壁は呪文の効果線を遮らない。そのような開口部があれば、壁のうちその周囲長さ5フィートの部分を、呪文の効果線が通っているかを調べる際には固体障壁とは見なさない。

表:呪文の範囲 Spell Areas


持続時間 Duration

 呪文の持続時間の項に、その呪文の魔法エネルギーがどれだけ持続するかが記載されている。
 期間で示される持続時間:持続時間の多くはラウンド、分、時間、その他の単位で示されている。この期間が過ぎれば、魔法は消え、呪文は終了する。持続時間が変化しうる場合、正確な期間は密やかにロールして決める。そのため、術者は呪文がいつ終了するかを知ることはない。
 瞬間/Instantaneous:この呪文のエネルギーは発動した瞬間に現れ、そして消える。ただし、呪文の効果は長時間持続するかもしれない。
 永続/Permanent:エネルギーは効果が続く限り持続する。ということは、この呪文はディスペル・マジックで除去できるということである。
 精神集中/Concentration:呪文は術者が精神を集中している限り持続する。呪文の維持に精神を集中するのは標準アクションであり、機会攻撃を誘発しない。呪文発動時に精神集中を破る恐れのあることはすべて、呪文維持の精神集中を破る可能性もあり、そうしなければ呪文は終了してしまう。『精神集中』の項を参照すること。
 呪文に精神を集中しながら他の呪文を発動することはできない。ときには、術者が精神集中を止めてからも短時間、呪文が持続することもある。
 対象、効果、効果範囲/Subjects, Effects, and Areas:呪文が直接クリーチャーに作用するものであれば、その結果は呪文の持続時間の間、対象についてまわる。その効果は移動するかもしれないし、その場を動かないかもしれない。そうした効果は持続時間が切れるまでに破壊されることもある。効果範囲に作用する呪文なら、呪文の持続時間の間、その範囲に留まる。
 クリーチャーはその範囲に入ればその呪文の対象となり、離れれば対象ではなくなる。
 接触呪文とチャージの保持:ほとんどの場合、接触呪文を発動したラウンドにチャージを消費しなかった場合、術者は無期限に呪文のチャージを保持する(チャージ消費を遅らせる)ことができる。術者は毎ラウンド、チャージ消費が行われるまで接触攻撃を行なうことができる。術者が別の呪文を発動すれば、その接触呪文は消散してしまう。
 接触呪文の中には、術者が呪文の一部として複数の目標に接触できるものもある。この種の呪文では、チャージ保持を行なうことはできない。術者がその呪文の発動を終了したのと同じラウンド中に呪文の目標全員に触れなければならない。
 チャージ消費/Discharge:いくつかの呪文は、一定の期間か、作動するかチャージが消費されるまで持続する。
 (解除可)/Dismissible:持続時間の項が“(解除可)”で終わっていたら、その呪文は術者が意のままに解除できる。術者は呪文の効果からその呪文の“距離”以内にいなければならず、解除の言葉を口にしなければならない。この言葉は通常、呪文の音声要素を修正したものとなる。その呪文に音声要素がない場合、術者は身振りでその呪文を解除する。呪文の解除は機会攻撃を誘発しない標準アクションである。
 精神集中によって維持する呪文は本質的に解除可能であり、そうした呪文を解除するにはアクションは必要ない(呪文を終わらせるためにすべきことは術者が自分のターンに精神集中をやめることだけである)。