解説


解答

(一) 落語家と分析家に共通の、期待を抱いた他者を相手に一人で対峙し成果を要求され、失敗すれば多かれ少なかれ人生を左右してしまう状況のもたらす思い。(70字)
(二) 直接話法のひとり芝居を行う落語家は、互いに互いの意図を知らない、ネタの登場人物への同化によって、その内部で複数の他者性が徹底的に維持されているということ。(77字)
(三) 精神分析学では、人間は本質的に分裂し、複数の自己が自律的に作動していると想定するのに、現実には交渉を通じて統合された一つの自己があるように思えること。(75字)
(四) 複数の他者を演じる落語家と同様、分析家が患者への同化を通して理解する際、患者内部の複数の自己に占められるという分裂の可能性に満ちているということ。(73字)
(五) 落語家がネタで楽しませるように分析家も解釈で癒すが、それだけでなく、複数の他者を演じ、一人で語る落語家の姿を観客が楽しむように、患者内部の複数の自己と同化し、自身の解釈を語る分析家の姿に、患者自身も自律的な自己へとなれる可能性を見出すから。(120字)

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最終更新:2023年12月06日 03:05
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