はじめに

非常に簡単でしたね。
世界史通史学習のページで学習していた人からしたら、物足りなさを感じた人もいたかもしれません。
難しい、という感想を抱いているあなたはシンプルに勉強不足です。
もし来年リベンジするというのでしたら、今から猛勉強し始めてください。

ショートカット解説

最低限のポイントだけ確認したい方は、以下をお読みください。もう少し詳しい解説を読みたい人は、ここは飛ばしてその後から読んでいってください。

1:周➡封建制、秦➡郡県制。①がよさそう。資料文とも完全に合致。①。
2:「呉三桂」は清、「司馬炎」は西晋の人。魏が出てきているので今回は司馬炎。だから三藩の乱ではなく八王の乱。④。
3:今度は前漢について考える。赤眉の乱は新の滅亡時、黄巾の乱は後漢の滅亡時。呉楚七国の乱。そして一族に対する分権の弊害として起こったのは靖難の役。洪武帝が息子たちに権力を分けていったのに建文帝がそれを削減して怒ったのが永楽帝。⑥。
4:「10世紀」という時代設定から、オットー1世の戴冠。彼がやったのは、マジャール人撃退。④。
5:ノルマンディー公➡ウィリアム。Xは「ハロルド2世」は「エドワードによって後継者に指名されることはなく」が間違い。指名されていた。Zは両者が逆。資料1はハロルドを評価しているからイングランドの立場、資料2はハロルドの悪いところを指摘しているからノルマンディーの立場。消去法でYが正しい。②。
6:①、フェリペ2世と結婚したのはメアリ1世。③、ジョンと争ったのはフィリップ2世。④、大陸封鎖令ではなくてここは航海法。消去法で②。
7:下線部直後に「世界政策」。ヴィルヘルム2世➡1890年頃➡③。
8:「グラッドストンが率いた政党」、つまり自由党の話を選ぶ。だから「アイルランド自治法案」➡①。(③「スエズ運河会社の株を買収」はディズレーリ(保守党)。②「マクドナルド」は労働党。④「フェビアン協会」も労働党の母体。)
9:アトリー=ゆりかごから墓場まで=福祉制度の充実化。だが、資料は「政府に頼るな、自分でやれ」という内容。つまりアトリーの逆で、小さな政府の考えになっている。もちろんサッチャー。⑥。(Yの「救貧法」は絶対王政、エリザベス1世の時の話。)
10:資料2中の「ソフォクレス」「エウリピデス」(他にもアイスキュロス)は悲劇詩人。②。
11:マニ教は唐には伝来したがローマには伝来してない。③。
12:ルイジアナを譲渡したのはフランス。資料1はミズーリ協定。④。
13・14:攻めやすいのは資料3、カンザス=ネブラスカ法。ミズリー協定を否定し、自由州か奴隷州かを選べるようにし、北部の共和党の反発を招いた。だから13=④、14=⑤。あるいは、ジャクソンによってインディアン強制移住法が制定され、移住中に犠牲者が出た(=「涙の旅路」)ことから、13=②、14=①。
15:朝鮮戦争は「北朝鮮が攻める➡アメリカ合衆国が盛り返す➡中国の人民義勇軍が参戦」の順。ということは米中の対立構造が明確化したきっかけは中国の人民義勇軍の参戦。だからそれがウに入る。ASEANの加盟国は東南アジア諸国のみ➡アメリカが入っていたのはSEATO。②。
16:冷戦開始期に共産党のクーデタが起きたのはチェコスロヴァキア。だからドプチェク➡④。
17:50%超えたかったら黒塗りの工業がマスト。ソ連の経済政策は「戦時共産主義➡新経済政策(ネップ)➡五カ年計画」の順なので、X(戦時共産主義)は×、Zの「AAA」はニューディール政策なのでこれも×。⑤。
18:マウリヤ朝のアショーカ王の話➡仏典結集➡③。
19:「デリー」➡「デリー=スルタン朝」の奴隷王朝➡④。
20:メモ1は、図を見ると線が南端まで行ってないから×。②。
21:「債権国に」=WWⅠ直後➡「TVA」=ニューディール政策=世界恐慌直後➡「武器貸与法」=WWⅡ期、と繋ぐ。②。
22:1920年代➡戦時経済なわけがない➡自動車の普及。グラフの右半分を見ると貨物と旅客の差はどんどん開いていっている。③。
23:「ヴィルヘルム帝」が出てきている+「1873年」の三帝同盟➡イタリアではなくドイツ。資料2はフランスがロシアの政策に反対しているという内容。①。
24:「ロシアがクリミア戦争で得た黒海北岸地域」は×。ロシアは負けている。②。
25:キリスト教を公認したコンスタンティヌス帝の話。「テマ制」はローマではなくビザンツ。そしてコンスタンティヌスのときの公会議はニケーア公会議➡アリウス派異端。⑤。
26:①、「ゼロの概念」はローマではなくインドから。②、「ミニアチュール」は中国絵画の影響でありエジプトのアマルナ美術は無関係。④、「イクター制」はブワイフ朝から。③。
27:①、「メソポタミア」では楔形文字。②、「ジズヤ」はイスラームの話。パルティアは3世紀に滅亡してササン朝に変わっているので、関係なし。③④は本文から判断。本文を見れば11〜13世紀にシリア語で多くの書物が書かれていたとあるので、④「第1回十字軍(=1096年)までにシリア語の地位は失われていた」は×。③。
28:ルターはドイツ人➡①。
29:①、レコンキスタは1492年に完了しているので「注力していた」は×。②、「トルデシリャス条約」は1494年、コロンブスの航海の後。時系列がおかしい。③、「ポルトガル王位を継承」したのはフェリペ2世。④。
30:完全に現代文の読解問題。「スペイン語で書いていたことを根拠に」思い込んだ、という内容を踏まえる。①。
31:「顔真卿」「安禄山」➡安史の乱。①=「塩の密売人」が起こした、③=「新たな王朝」の「創設」を引き起こしたのは「黄巣の乱」。安史の乱は藩鎮の自立を招いたので「減退」の②も×。④。
32:空欄の直後に「韓愈」が出てくる。韓愈は古文復興運動。形式的な四六駢儷体を否定し、古文を復興。③。
33:メモ1は「自由な言論活動」が×。清の時代には、文字の獄という言論弾圧があった。メモ2は「自文化を維持しつつ進められた漢化政策」が×。漢化政策では「胡服・胡語の禁止」という、それまでの文化を否定する内容が含まれている。④。

第1問

問1
知識として、「周➡封建制」「秦➡郡県制」というのが分かっていれば、パッと見①に注目できます。
(日本語の修飾関係を読み間違えて②に飛びつかないように気をつけましょう。)
そして、①の「互いに疎遠になり」「周王が制御できなくなった」は資料とあまりにも完全に合致します。
答えは①です。(僕は解いた際、②③④は一切吟味していません。)

問2
まずアの「呉三桂」と「司馬炎」ですが、それぞれ清と西晋の人です。
そして「三藩の乱」が「呉三桂」、「八王の乱」が「司馬炎」と結びつくのは一瞬で分かります。
あとは時代さえ確定できればいいのですが、あまりに簡単です。
資料文を見ると、「【 ア 】に魏が皇帝の位を奪われた」とあり、「魏」が出ていることが分かります。
素直に考えて、タイムマシンで戻らない限り、呉三桂を魏の存立していた時代に登場させることはできません。そこで、ア=「司馬炎」となり、そのまま「八王の乱」と決まるので④が答えです。
とまあ、この時点で、今年の共通テストはどうも滑稽な始まり方です。

問3
争乱を決める問題です。
下線部に「前漢」と「西晋」という王朝(時代)の指定があり、これが大ヒントです。
西晋のときに起こったのは問2で既に出てきた八王の乱ですから、ここでは前漢のときの乱を考えればいいでしょう。赤眉の乱は新の滅亡時ですし、黄巾の乱は後漢の滅亡時の乱です。ここでは呉楚七国の乱=うを選びましょう。

次に、「一族に対する分権の弊害が現れた出来事」ですが、X=紅巾の乱、Y=靖難の役であることは分かるでしょう。ですが、ここではそのような一問一答は通用しません。歴史学習において最も重要と言ってもいい「事象の抽象化(構造化)」がどれだけできているかを問うています。
皆さんは争いや戦いについて勉強する際に、その性格がどんなものだったか、という観点で勉強したことはありますか。
今回で言えば、Xの紅巾の乱は、白蓮教徒であった農民の朱元璋が元王朝に対して起こした反乱ですから、「政府への反発」という性格を持っています。
一方で、Yの靖難の役はどうでしょうか? 「帝位の後継ぎ争い」という性格をもっています。
このうち、「一族に対する分権の弊害」を背景にもつことができるのはどちらか、というだけの話です。
要領のいい人は、「後継ぎ争いは一族の中で行われるものだから、Yかな?」とこの段階で気付けるはずです。
もちろんYで合っており、答えは⑥です。
一応、「分権の弊害」であるという点について、なぜそうなのか分からない人も多いと思うので、専門的に解説しておきます。
  • 洪武帝(朱元璋)➡建文帝(洪武帝の孫)➡永楽帝(洪武帝の息子)という流れである
  • 洪武帝の後を継いだ建文帝の政策に対して、永楽帝が反発したのが靖難の役である
  • 洪武帝は北方の警備のために息子たち(26人)を王として領地を与える封建制度を実施した
  • そうした洪武帝の対外政策を変え、諸王抑圧策(勢力削減)を実施したのが建文帝である
  • つまり、靖難の役とは、洪武帝の政策により権力を与えられた諸王の一人が起こした争乱である

問4
空欄の少し前に「10世紀」という時期設定があることから、【 イ 】はカールではなくオットー 1世です。
となれば答えは④しかありえません。

問5
下線部b「ノルマンディー公」➡「ウィリアム」。まずこれで選択肢あが選べるのは問題ないでしょう。
次に、X・Y・Zですが、これは資料を精読してしっかり判断していくしかありません。
X:「ハロルド2世は、証聖王(エドワード)によって後継者に指名されることはなく」は明らかに誤りで、資料1中には「指名していた」と明確に書いてあります。
Y:「ノルマンディー公に王位を譲る約束をしていた」とあり、資料2中には「エドワードが彼に与えた」としかありませんから「約束」と言えるのかどうか非常に曖昧なので、この選択肢は一旦保留です。
Z:資料1はハロルドを評価しており、資料2は逆にハロルドの悪いところを指摘し、イングランド征服を正当化する内容になっています。この時点で、資料1=イングランド、資料2=ノルマンディーの認識ということになりますから、この選択肢は誤りでしょう。
よって、消去法でYは正しいと考えるしかありません。答えは②です。

問6
まず①③は切りましょう。
フェリペ2世と結婚したのは「メアリ1世」(カトリック政策)ですし、ジョンが争った相手は「フィリップ2世」です。
そこで2択になるわけですが、②の「羊毛」の輸出入に関しては知らない人が多いでしょう。
問題は、④です。
「大陸封鎖令」➡「英蘭戦争」、という因果関係がなんとなくいいと思った人もいたと思います。ですが、2つ気になることがあります。
  • 「大陸封鎖令」はナポレオンの時代だが、「英蘭戦争」はクロムウェルのときの話なので、数十年離れている
  • イギリスが「共和政」だった時代は、ピューリタン革命の時代のときぐらいではないか?
これさえ分かれば、出題者の意図に気付けたのではないでしょうか。この選択肢は、「航海法」と書くべきだったところを「大陸封鎖令」とすり替えてしまっていたのです。
これで、④が間違いだと分かりました。消去法で、答えは②です。個人的にはこの問題は良問だと思っています。

問7
「老齢年金制度の導入」なんて知りませんから、他の文章を参照するしかありません。
しかし、資料はあまり役に立ちません。「隣人の面倒を見ようとするのも同じように義務です」という記述が、老齢年金制度と繋がるんだろうなということは分かりますが、時期を特定するためのヒントにはなりません。
そこで、下線部付近を見渡してみると、下線部直後に「世界政策」が出てきます。世界政策を出したのはヴィルヘルム2世。ということは1890年頃です。
この段階で答えはc=③と分かります。
もう少し細かく年が区切られていたら厄介でしたが、今回は幅が広かったので、楽でしたね。
あと、余談ですが、
  • 「19世紀後半に入り」と冒頭にある➡aが切れる
  • 「こうしたドイツの先例を踏まえて」「イギリスでは1908年に」と2段落目冒頭にある➡dが切れる
という具合に、世界史の知識を直接使わずとも本文の内容だけで2択に持っていけてしまうことを考えると、ある意味、現代文的読解力で捌ける要素も混ざった問題に見えます。
どちらにせよ、ヴィルヘルム2世がいつ頃にいたかがイメージできれば瞬殺、そんな問題でした。

問8
設問にある「公的な年金制度の導入を主導した政党」は、本文を見ると「首相グラッドストンが率いた政党」(自由党)のことだと分かります。
「グラッドストン」と結びつくのは「アイルランド自治法案」=①、と一問一答的に答えが決まります。
ちなみに消去法でも十分解答可能で、③の「スエズ運河会社の株を買収」はディズレーリ(保守党)の政策ですし、②の「マクドナルド」は労働党の人、④の「フェビアン協会」は労働党の母体です(それを知っていなくても、社会主義運動の中で出てくる話なので、労働党と結びつきそうなのは推測できるはずです)

問9
「資料」の内容を踏まえて、選択肢と繋げられたかどうかです。
「アトリー」が「ゆりかごから墓場まで」と主張し、福祉制度の充実化を図ったことはあまりにも有名です。ですが、資料の内容はどうでしょうか? 「あまりにも多くの子どもや大人たちが、自分たちの問題を社会に転嫁しています」とあることから、支出を増やそうとする(=大きな政府)アトリー的な考え方と相反する内容になっていることに気付けます。福祉にはどちらかと言えば力を入れない考え方だということです。
このことから、「サッチャー」=い、「小さな政府」=Zを選んでいけばよかったのです。
答えは⑥です。
ちなみに、当たり前ながらアトリーやサッチャーはともに現代(戦後)の首相です。Yの「救貧法」は絶対王政のエリザベス1世のときの話なので、全然時代が違っており話になりません。
そして、Zにある「小さな政府」とは、支出を少なくすることです。となれば、という方向になります。ですから、今回の資料の趣旨とは相反します。

第2問

問1
まず、資料を全部読みましょう。こればかりはサボれません。
そのうえで選択肢を見ていくことになりますが、一番判断しやすいのは②ではないでしょうか。資料2中の「ソフォクレス」や「エウリピデス」(ほかにもアイスキュロス)が悲劇詩人であることを知っていれば、この選択肢はどこにも傷がありません。
答えは②です。

問2
選択肢あに出てくる「マニ教」がササン朝ペルシアで成立したものであることは知っていると思いますが、ローマにこれが広がったという歴史的事実はありません。唐には伝来しました。
そして、選択肢いは、帝国主義の説明として問題なく押さえられます。
答えは③です。

問3
シンプルな知識問題です。
資料1を見た瞬間にミズーリ協定だと気付けたでしょうか。
下線部aの「ルイジアナ」を譲渡したのがフランスであり、除くのはもちろんミズーリ州。答えは④です。
この協定が否定されるのがこの後出てくるカンザス=ネブラスカ法だというわけです。

問4
「正しいものは複数ある」という珍しい問題です。
攻めやすいのは、資料3(=い・カンザス=ネブラスカ法)です。
問3で解説した通り、ミズーリ協定を否定し、固定で奴隷州を作らず、自由州か奴隷州かを選べるようにしたというのがこの法律の趣旨ですから、その段階でXが該当することに気付けます。
ですが、資料3を読みそこから推測することも可能です。
「本法の真の意図と目的は、〜住民が、自らの政府を自らの意志に基づいて統制するために、完全なる自由な状態に置かれることにある」
このように明確に「目的」が書かれており、ここに、今回求められている「理由や背景」と言えるものが露骨に出ています。ここでのポイントは誰がどう見ても「自由」。となると、これと繋がるのは「奴隷」「廃止」を主張するXのみです。
ですから④を答えにしておけば一旦はOKです。

問5
まさかの、問4との連動問題です。
問4で本来2つ選んで完答、とすべきところを、一つだけ解答すればよい、としたことによってかなり難度が下がったように見えたのですが、この問5と連動させることによって、面白いことに「問4がわからないと問5もわからない」という共倒れ構造をつくっていたのです。いやあ、大学入試センターの性格の悪さがうかがえます。
問4で「カンザス=ネブラスカ法」を選んでいますから、その制定(南部が主導)に反発して北部が共和党をつくった、という流れを押さえていれば⑤を選ぶことはそんなに難しくはないでしょう。そして1861年の南北戦争に繋がるわけです。
ちなみに問4は別解として②(ジャクソンによって制定されたインディアン強制移住法)でもいいので、その場合問5は①(移住中に多くの犠牲者が出た「涙の旅路」)となります。

問6
資料文ははっきり言ってダミーで、明確なヒントを与えてくれるのはその直後の文です。
「この戦争は、【 ウ 】が派遣されて戦闘に加わることとなった結果、実質的に中国とアメリカ合衆国との間の「熱い戦争」へとその性格が変わっていった」
とあります。
朝鮮戦争が、「北朝鮮が攻める➡アメリカ合衆国が盛り返す➡中国の人民義勇軍が参戦」という順に展開したことは、朝鮮戦争の経過を図などで確認したことが一度でもあれば誰もが知っていることです。
となれば、アメリカ合衆国の対立相手として「中国」が意識されるようになったのは、当然、国連軍の派遣ではなく人民義勇軍の派遣によってです。そこで、ウ=人民義勇軍と決まるわけです。つまり①②の2択です。

そして、ASEANかSEATOかで今度は選んでいくわけですが、ASEANの加盟国10ヵ国の中にアメリカがいないことは分かるはずです。つまり今回はSEATO。答えは②です。

問7
戦後は年単位での年号暗記がものを言います。
早い人は「1948年2月」を見た瞬間に、チェコスロヴァキアのクーデタのことを言っているのではないか、と分かったはずです。
1948年という年号を100%覚えていなかったとしても、1948年という「冷戦開始期」に、「共産党」の「クーデタ」が起きた国は、と考えてあげたとしても「チェコスロヴァキア」を思い出すことはそう難しくなかったはずです。
したがって、ドプチェクの④が答えです。

問8
まずあ・いに関しては小学生でもできるグラフに読み取りにより選択できます。もちろん、「い」ですよね。2つ組み合わせて50%超えるためには、黒塗りの「工業」がマストです。

次にX/Y/Zに関してですが、戦時共産主義➡新経済政策(ネップ)➡五カ年計画、という流れが認識できていれば、少なくとも時期違いでXは切れます。
そして、Zの「AAA」はアメリカのニューディール政策で出てくるものですから、ソ連関係なし。
ですからYしかありえません。よって、答えは⑤です。

第3問

問1
まず【 ア 】は、「マウリヤ朝」や「石柱碑」というキーワードから、アショーカ王のことを指していると分かります。
ただ、この問題自体は「マウリヤ朝」の時期であることを強く意識すれば、「仏典結集」の③しかありえません。
中国史や中央アジア史の知識を巧みに使って消去法をするまでもなく、同国史で素直に答えが出せる易問でした。

問2
下線部a「デリー」について述べたものを選ぶわけですが、一番判断できるのは④の「奴隷王朝」です。なぜなら、奴隷王朝は「デリー=スルタン朝」の最初に出てくる王朝です。
デリー=スルタン朝の5王朝の首都が「デリー」なのは名前からしても当たり前のことです。答えは④でいいでしょう。

問3
メモ1は、早とちりすると間違えるかもしれませんが、南部ではなく「南端」と書いてあることに注意です。図1を見れば分かりますが、中央部までしか線は伸びていませんから、メモ1=誤、とまず分かります。注意力さえあれば判断可能です。

そして、メモ2ですが、「かつてのイギリス植民地の拠点」とは、イギリス東インド会社の拠点である「マドラス・ボンベイ・カルカッタ」のことを言っています。ですから、問題なし。答えは②

問4
あの「債権国に」、というのは過去問でも頻出の内容ですが、第一次世界大戦直後の内容です。そして次に選ぶべきがうの「TVA」で、これはニューディール政策のことを言っているので世界恐慌直後の話。最後にいの「武器貸与法」は、第二次世界大戦期の話。あ➡う➡いと並び替えればいいので、②が答えです。

問5
まず【 イ 】ですが、1920年代、とある時点で第一次世界大戦後の話であり、「戦時経済」なわけがないので選択肢えが切れておが選べます。次いで【 ウ 】ですが、グラフの右半分を見れば、貨物輸送量と旅客輸送量の両者が開いていることは客観的に読み取れます。ということは「異なり」のXを選ぶしかありません。答えは③です。

問6
まず【 エ 】ですが、資料1の4行目に「ヴィルヘルム帝」が出てきていることから、ドイツなのかなあということは瞬時に分かります。もちろん、会話文を読めば、資料1が「1873年」の同盟=三帝同盟のことを言っていることが明示されますから、そこで明確に「ドイツ」であることが決定します。

そしてX/Yの選択ですが、これはもはや世界史が関係ありません。資料2は、簡単に言うと、フランスを批判している文章です。具体的には、「フランス」が「ロシアの政策に反対する記事」を書いたことに対して「何たる愚かな!」と言っています。このことから、「フランスがロシアとの同盟を希望している」(Y)わけはなく、Xが選べます。答えは①です。

問7
まず藤井さんのメモですが、「ロシアがクリミア戦争で得た黒海北岸地域」の時点で既に誤りです。ロシアはクリミア戦争で負けています。

そして西原さんのメモですが、アラスカ売却は1867年。露仏同盟締結は1891年。時期の矛盾はなく、因果関係も実は本文を読めばすべて書いてあり、問題あります。答えは②です。

第4問

問1
まず【 ア 】がコンスタンティヌスのことを言っていると分かりましたか。キリスト教を公認した人なのですから。それが分かっていなくても、あの「テマ制」はローマ帝国ではなくビザンツ帝国の話ですから、どっちにしろ事績についてはいを選ぶしかありません。
今回の共通テストの問題はこういう2択問題が多いのが非常にありがたいですね。直接的に答えを選べなくても、他方を明確に消去することができれば実質的に答えが選べてしまうわけです。

そして、コンスタンティヌスのときに開かれた公会議は「ニケーア公会議」であり、この会議でのポイントは「アリウス派異端、アタナシウス派正統」です。ということはY。答えは⑤ですね。

問2
やっと、資料の関係ない、従来のセンター試験のようなシンプルな四択問題が出てきてくれました。
①の「ゼロの概念」はローマではなくインド。②の「ミニアチュール」は中国絵画の影響で発達したイスラーム文化であり、エジプトの「アマルナ美術」は全く無関係。④の「イクター制」はブワイフ朝発であり、「マムルーク朝」は関係なし。
消去法で答えは③です。

問3
まず、資料と関係なく、知識で①②を消してください。
「メソポタミア」で使われていたのは楔形文字ですし、「ジズヤ」はイスラームのときの話でパルティア(3世紀にササン朝により滅亡)は関係ありません。
そして、③④を判別するうえで文章を参考にしてみましょう。
本文から読み取れるポイントは2つです。
  • 8〜9世紀において、シリア語のおかげで「ギリシア語➡アラビア語」の翻訳が発展したこと。
  • 11〜13世紀において、アラビア語の成果を取り入れてシリア語で多くの書物が書かれたこと。
この2つ目の内容を押さえれば④が消えます。すなわち、第1回十字軍=1096年までにシリア語の地位が「失われていた」というのはまさに逆だというわけです。
それか、1つ目の内容を押さえて③を積極的に選びにいってもいいでしょう。しかも、③には「学術の発展」、本文中には「学術的基盤」とあり、表現的にも一致します。

問4
文化史の問題が出てきた、と認識した人も多いかもしれませんが、宗教改革を普通に勉強していてルターがドイツ人だと知っていれば、はじめの①の選択肢が既に誤りだと分かります。
建前上は文化史を幅広く問うた問題、ということになっていますが、実質は「ルター」を押さえて、誤っている①を一発で選んでしまえばおしまいです。

問5
知識を有効活用しましょう。
コロンブスがアメリカ大陸に到達したのは1492年です。普通は、支援を受けたらすぐ出発しますから、支援を受けたのも1492年頃かそれより少し前だとイメージがつきます。
するとまず①ですが、「レコンキスタ」の完了は1492年ですから、コロンブスを支援しようとしたタイミングでは実はほぼ完了していたわけです。それなのに「レコンキスタを終結させることに注力していた」ってどうなんでしょう。言い訳や建前のようにしか聞こえません。「レコンキスタの終結に伴う財政の悪化」ならまだ分かりますが、この選択肢の表現だと、レコンキスタで忙しいから、というように聞こえてしまいます。
②ですが、「トルデシリャス条約」はコロンブスの航海の後に結ばれていますから、時系列を考えてみてもこの選択肢は誤りです。
③の「ポルトガル王位を継承」したのはフェリペ2世であり、これよりも後の絶対王政の時代の話です。
最後の④ですが、「喜望峰」到達は1488年であり、それにより「インド航路開拓のめどが立った」からもうこれ以上航海にお金を使う必要はない、というのは理屈としては分かります。
答えは④です。

問6
まずあ/いはどう見ても現代文の問題です。本文の3〜4行目に「スペイン語で書いていたことを根拠に」を明示されているので、あの選択肢しかありえません。

そして、X/Yですが、これはそれぞれあ・いに対応した内容になっていることに気付きましたか。つまり、あを選ぶならXだし、いを選ぶならYです。
となれば、あ➡Xと組み合わせるしかありませんから、答えは①です。
うーん、世界史の知識を一つか二つはねじ込ませて解かせてほしかったなあ、というのが率直な感想です。

問7
本文中の「顔真卿」「安禄山」といった表現を手がかりに、【 イ 】に入る「反乱」はは「安史の乱」だとまず分かります。
引っ掛けは①③です。「塩の密売人」が起こし、「新たな王朝」の創設を引き起こすきっかけとなったのは「黄巣の乱」です。
また、安史の乱は藩鎮の自立を招きましたから、「減退」というのは間違いであり、②も選べません。
よって答えは④です。

問8
【 ウ 】の直後に「韓愈」が出てくることを押さえてください。
韓愈と言えば、古文復興運動です。形式的な四六駢儷体を否定し、漢以前の古文を復興させようとした人物です。
実はこれを知っているだけで組み合わせが見事に決定します。「い・X」と組み合わせればいいので、答えは③です。

問9
思考力を問う問題に見えて、事実上の知識問題です。
まずメモ1で「自由な言論活動」とありますが、文字の獄という言論弾圧があったことを思い出してください。ですからどこも「自由」ではありません。

そしてメモ2ですが、「自文化を維持しつつ進められた漢化政策」という記述を見て違和感を覚えられたかどうかがポイントです。漢化政策の中には「胡服・胡語の禁止」という、それまでの文化を否定する内容が含まれています。思い出せましたか。ですからこの時点で既にメモ2は誤りだと分かります。
もちろん、清の政策が漢化政策と「通じる」というのが誤りであることもこれで分かります。なぜなら、本文中の会話に「中国の伝統的な書道文化が長く保持された」とあり、清においては文化の維持が行われたことが分かるからです。つまり、清と北魏のやり方は「対照的」と言ったほうがいいわけですから、「通ずる」というイコール関係で捉えているのはおかしいわけです。
答えは④です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2024年01月15日 10:12