全体講評

文章自体の難易度は「普通」で、ともすると中学生でも読めるような内容も沢山出てきています。
ですが、文章量が長い。これが共通テストやセンター試験の特徴です。
しかし、それは従来通りのことなのですから、点数が取れなかった人は読む訓練が足りなかったと言わざるを得ません。

あとは、いかに解くかという話になってきますが、解くためには「どう読むか」を考えることが大切です。
もちろん、設問を先に参照して「関係のある部分だけをピックアップして読む」というようなスキャニングで点数がとれるのであればそれはそれで有効です。
他にも、文章を読みながら、設問になりそうなポイントを常に想像していくというのも大切です。
いずれにせよ、目的は設問を解くことなのですから、そこに向けて最低限の努力を払うというのが基本的な読解の姿勢であり、必ずしも文章を一字一句100%理解する必要はないのです。

ポイントだけまとめました

第1問A:学校で、入場料5ドル(ただし学生は無料(1))のイベントが開催予定となっている。そこでは、いろんな国の食べ物を味わったり、他の国の言葉を書いたり、表情や手を使ったコミュニケーション(2)を学んだり、ダンスを鑑賞したりする。
第1問B:クラスで来週、Yentonvilleという街の一日ツアーを実施する。それは、歴史、芸術、スポーツに関連する建物内外のスポット(4)を巡っていくもので、午前中は歴史的建造物や芸術のギャラリー、午後は、芸術のコンサートホール(3)や、昨年秋に完成(5)したHockey Arenaを回る。
第2問A:留学先で、戦略ゲーム部のチラシを見つけた。初心者大歓迎(6)で、友達同士の対戦もできて(7)、ゲーム同士の比較もできて面白い(8)。集中力が身につく(9)し、思考力を身につけたい生徒にはおすすめ(10)の部活である。
第2問B:TravSafer Internationalという保険会社は、オンラインで登録できて、支払いは月ごとに可能(13)。最も高いのが月100ドルのプランで、24時間いつでもサポートが受けられる(11)。真ん中のプランは月75ドルで、半年分先払いすれば15%割引になるオプションがあり、とても魅力的だ(14)。最も安いのが月25ドルのプランで、メールのサポートはない(12)が、電話の受付や、タクシーの手配などのサービスがある。いずれにしても保険に入っておくなど旅行の準備は重要だ(15)。
第3問A:スーザンは、友達と一緒に日本で(17)Photo Rallyのイベントに参加した。全部で5つのチェックポイントを回ったが、最後のチェックポイントが見つからず、猿と一緒にいたとある男に助けを求めたが、時間的に無理だと分かったので諦め、写真を撮ってさよならした(16)。
第3問B:ゆずが、学校でバーチャルサイエンスツアーに参加した。最初は、島の地理について勉強(熱帯雨林を見るなど)した(18・22)。その後は、海の生態系について学んだ(19・22)。最後には、体育館にテントを設置して、プラネタリウムの観察を行った(20)。街で見る夜空と違ってよく見えることに感動した(21・22)。ツアーが終わり、学校から帰る途中、夜空を見上げて、やはり星がほぼ見えない(23)ことを実感した。
第4問:あなたは英語部の部屋の問題点について考え直すことにした。部屋のデザインを考えるためのフレームワークとしてSINというものがある(24)。「S」は刺激であり、色合いと、ものを置きすぎないこと(25)が大切だ。「I」は個別化。「N」は自然さであり、明かりと温度の調整(26)が大切だ。メンバーからアンケートをとった。実際の部屋の使い方として、昼寝に使う人が一番多かった(27・28)。また、問題点としては、日本語を話す人ばかりで英語を話す人がいないという点があがった(29)。
第5問:登場人物はまき・たくや・かすみの3人。高校卒業後、たくやは俳優を始め、まきは留学のために予備校に通い出し、かすみはまきのすすめで化粧会社に勤めた。まきはかすみにワークショップの開催をすすめた(36)、それがうまくいって売上も上がった。1年後、たくやは俳優をやめ、まきは留学を諦めて父からレストランのオーナーを引き継いだ(30)。そのことを知ったたくやは、レストランのことについてああだこうだと意見を言っていたら、まきのすすめでカフェで働くようになった。そこから1年後、コーヒーの店を開きたいことをまきに話したら、まきは応援してくれたので、たくやは仕事を辞めてコーヒー豆のロースターを買ってコーヒー豆を作り始めた。たくやのコーヒーのことを宣伝した(35)。たくやは店を開いて成功した(31)。高校卒業から20年ぐらい経ち(34)、かすみは副店長にまで出世した(32)。そして、たくやの成功が新聞になっているのを見て、かすみはたくやに電話した(33)。そしてまきに恩返しできていない罪悪感(37)から、2人でまきの店に行くことに決めた。そして3人で久々に会って話したが、まきは人の強みを理解するのが得意で、そのおかげもあって2人は成功したのに、まき自身は自分の強みを活かしていないのは皮肉だよね(38)とかすみは語った。
第6問A:時間認識について。我々は時計の時刻からではなく、精神的なプロセスから時間を認識する。これを「心理学的な時間」という(39)。そこには、retrospective timingとprospective timingがある。前者は、宿題が終わった時にどのくらいかかったかを思い出すというように、物事が完了してからどのくらいかかったを思い出すことで認識される時間(42)。後者は、何かをしている最中にどのくらいかかったかを推測することで認識される時間(43)。時間の認識には感情も大きく影響している(40)。また、年をとるにつれて時を過ぎるのは速く感じるようになるが、大きなイベントが起こると子どもの時のようにゆっくり感じる(41)。
第6問B:わさびは唐辛子と比べると辛みの成分は少ない(44)うえにすぐに蒸発してしまう。一方、唐辛子にはカプサイシンという辛みの成分が入っている。長時間食べていると、ストレスは生じる(45-D)ものの痛みはやわらいでいくし(45-A)、たくさん食べていると耐性がついてくる(48)。他にも健康面の効果として、新陳代謝をよくしてくれたり(45-BC)、食べ物を保存してくれて食中毒を防いでくれたりする(45-E)。ただし、多量摂取すると胃痛や手の麻痺(46・47)が起こる。それでも依然として唐辛子のような辛い食べ物は人気だし、安全に食べることができる(49)。

第1問A

2行目の「flyer」が分からなかった人もいるかもしれませんが、「the」がついており、なおかつreadするものなので、その下に出てきている文章のことを指していると考えれば問題ありません。
アメリカの学校で開かれるイベントに参加しようとして目の前のチラシを今から読む、という状況設定になっていることはすぐ分かりますね。
では枠内を読んでいきましょう。まず、タイトルが「国際的なイベント」となっていますから、いろんな国にまつわる何かを学んでいくんだということが既にこの段階で推測できます。このように、タイトルや目次はその先の内容を予告することがあるので、強く押さえることが大切です。
そして、冒頭から得られる情報として、
  • その学校の学生は(IDを見せれば)入場料無料だが、そうでない人は5ドルかかる
ということが分かります。このような細かい区別は、設問のネタにもなりやすいです。
そして、黒ぽちが3つ出てきて、「食べる」「言語に触れる」「ダンスを見る」という内容が出てきています。食べ物、言語、ダンスのそれぞれに具体例があることを押さえましょう。そして、設問のネタになりそうなのはダンスです。
  • ダンスを見るのは19時から
  • ダンスを見るだけでなく、見た後に演者が基本的なステップを指導してくれる
ということです。特に2つ目のような追加項目は、見落としてしまうとミスを招きます。例えばですが、「ダンスを見ておしまい」という選択肢はもちろん×になるわけです。
そして、ラストの3行もネタになりそうです。
  • 展示用に自国のなにか絵やモノを持ってくる場合は、5月17日(イベントの1週間前)までにスタッフまでに知らせる
という内容になっています。

というわけで、文章全体をポイントをかいつまんでまとめるなら、
5月24日に学校でイベント(5ドルかかるが学生は無料)がある、食べたり言語に触れたりダンスを見たりする。展示したいものがある人は当日の1週間前までにスタッフに知らせる。
という感じでしょうか。

問1 【 1 】
「無料で参加するには・・・」と来ました。もちろん、IDを見せて学生であることを示せばいいですね。速い人は動詞を見ただけで答えが出ます。「bring/consult/fill out/show」=「持ってくる/相談する/記入する/見せる」です。「見せる」がよさそうなので④かな、と思って見てみると、「TELSの生徒である証明を見せる」。問題ないですね。①は、持ってくるものが「picture」というのは意味不明です。最後の展示の場面と混ざってしまっています。答えは④です。

問2 【 2 】
「イベントで」何ができるか、という話です。もちろん、「食べ物」「言語」「ダンス」と3つあるわけですが、選択肢はどれも短いので、これらのうちのいずれかにしか言及できませんから、どれかが来るんだろうなあ、と待ち構えて選択肢を見てください。一つ一つ見て、明らかな誤りを消去すればいいでしょう。すると、③「外国の短編の物語を読む」、④「料理にトライ」はないでしょう。①と②が残りますが、①の「ジェスチャー」は本文で「hands to communicate」と書いてあったので問題なさそうです。では②はどうか。「competiton」=「競争」となると、あなた自身がステージに出て他の人とダンスの出来を競い合うことになります。ですが、あくまで我々はダンスを見て、多少の踊り方を「教えてもらう」だけなのであり、実際に踊るわけではありません。つまり我々は基本的には鑑賞側です。そこで、②は誤りで、答えは①だと分かります。

共通テストって所詮このレベルなんです。そして、ここまで簡単となれば、「出てきている資料がどんなものなのかの大枠だけ押さえる」➡「設問と選択肢を見る」➡「該当箇所を探す」、という手法が流行るのも理解できます。解き方はなんだって構いませんが、僕自身は、文章を頭から全部読んでも時間は足りると思いますし、そうなるように受験生にはしっかり訓練してほしいと思っています。

第1問B

ツアーの案内です。これはスキャニングでやっても差し支えないでしょうね。

問1 【 3 】
「Yentonville」という街が持っているものは何か、という問題です。もちろん本文中には「歴史」「芸術」「スポーツ」の3つが出てきており、「歴史」に言及したのが①、「芸術」に言及したのが③④、「スポーツ」に言及したのが②となっています。そういう全体の構造を捉えたうえで、細部をチェックします。①は、「250年前」とありますが、本文中に同一表現はなく、対応するとしたら「in the mid-1800s」という箇所です。実際に計算して確認してみると、2024-250=1774年なので、1800世紀半ばとは言えません。そして②ですが、フットボールの施設があるのは「都心」ではなく「surberb」(郊外)です。ここまではすんなりいけるでしょう。あとは、残った③と④でにらめっこしてください。午前中は「ギャラリー」、午後は「コンサート」、とありましたから、答えは④っぽい気がします。では③はどうか。「オリジナルの芸術作品をつくることができるスタジオ」とありますが、本文中に出てくる「studio」で芸術家たちを見よう、と言っているわけで、作品をつくるという話は出てきていません。よって、③は誤りですから、④が答えです。

問2 【 4 】
「3つのツアーすべて」に共通して参加者が行うことを選んでいく問題です。そもそも、本文は3つそれぞれの説明がほぼすべてを占めており、内容的にも「歴史」「芸術」「スポーツ」と、共通点があんまりなさそうなジャンルが並んでいます。ここに共通点を設けるには、かなり最大公約数的な内容の選択肢を作ってあげるしかありません。例えば①「historic」ですが、「芸術」はまだしも、「スポーツ」に歴史が関係ありますか。実際本文中を眺めてみても、歴史的、と思わせる内容は1ミリも出てきませんでした。そして、④の「public transportation」(公共交通機関)に関しては、はじめに「バス」、最後に「地下鉄」が出てきていますが、真ん中の芸術のくだりのところでは出てきていません。となると②③の2択ですが、③の「インドアでもアウトドアでも・・・」はいかにもという内容で、歴史的建造物は外で見ますし、芸術作品は建物内でしか見れませんからこれが答えっぽいです。ですから②が根拠をもって消せればいいのです。②は「人々が自分たちのスキルを見せているのが見れる」ですが、「スキル(腕)」が関係するのって「芸術」と「スポーツ」のみですよね。はじめの歴史のツアーにおいては、何をするかという説明がほぼないですが、基本的には歴史的建造物を見ておしまいなわけで、スキルもへったくれもありません。答えは③でいいでしょう。

問3 【 5 】
「最も新しい場所」を聞いています。今回の3問の中ではこれが一番解きやすかったという人も多いでしょう。固有名詞は大文字で始めるため、非常にスキャニングしやすいのです。
しかも、物理的に目で見て探すというよりも、意味を考えれば一瞬で探せます。今回で言えば、②「Mayor house」や③「Peace Park」はいかにも歴史を感じさせる言葉で、実際「歴史」のツアーで出てきます。④の「Sculpture」は「彫刻」という意味で、誰がどう見ても「芸術」。①は「Hockey」を発音すれば「ホッケー」、つまりアイスホッケーのことでしょうから、「スポーツ」です。
あとは一つ一つ確認すればいいのですが、歴史的な建造物である②や③は本文を見なくたってかなり古い建物であることが推測できます(実際に確認してみても、20世紀初頭と第二次世界大戦後ですね)から、①④を優先的に判断しましょう。④は「Several years」つまり「数年前」とありますが、①に関しては「last fall」つまり「昨年の秋」となっています。となれば、最も新しいのは①、ということになります。

これまでの5問だけで、既に100点満点の10点を獲得できます。問題は、何分かかるかです。試験時間は80分しかありませんから、単純計算で、8分以内にここまで通過する必要があります。速い人は、A=2分、B=2分、くらいのペースで解答可能です。ですが、そこまで速いと読みがやや粗くなります。文構造を丁寧に読み取るために立ち止まるような場面があってもいいと思っています。ですから、日々の演習を通じて、どのくらいのスピード感で読めば「正確さ」も担保して読めるのか、ということを研究していくことが大切です。

しかも、これまでは「1ページ分の文章に対して設問が2〜3問」でしたが、ここから先については、「1ページの文章に対して設問が5問」なんていうものも出てきます。ということは、同じスピード感でより多くの問題を片付けられるのですから、おいしいんです。そういうことも考えて、日々の学習の時点で、時間配分を考え尽くしての演習を行ってください。

第2問A

「戦略ゲーム部への招待」と「メンバーのコメント」が書かれたチラシです。具体的には、「チェス」「将棋」が出てきています。黒ポチで並んでいるのは、活動内容です。そして、ミーティングが生徒センターの301号室で毎週水曜日午後に行われるそうです。

問1 【 6 】
シンプルな内容一致問題です。①で「完全な初心者でもウェルカムです」とありますが、第1段落末尾に「スキルに関係なく参加できる」とあり、早速これが答えでよさそうです。一応、他の選択肢も見てみると、②は、ウェブサイトの共有という話や、ソフトウェアを使ったゲームの分析という話はあったものの「プログラム」を直接いじるという内容は本文になかったので×。③に関してはそもそも「プロのプレイヤー」が何かをする、という内容が本文に出てきていません。黒ポチが出てくる直前にも「We play strategy games together」とあり、「みんなで一緒にやりましょう」が基本の方向性です。そして④ですが「他校の生徒」が部活に参加していいかどうかについては本文で1ミリも触れられていません。悩むことなく消去完了。答えは①です。

問2 【 7 】
活動内容として「間違っているもの」を選びます。問われている内容が限定的なので比較的解きやすいでしょう。まず③の「インターネット」の話は消しやすかったでしょう。「ideas」とありますが本文では「tips」(コツ)と言い換えられています。そして④の「backgrounds」は「背景」という意味で、「ゲームの歴史」を学ぶ、という内容が本文中にあったのこでこれも問題なし。(そういえば、historyと並んで出てきた「etiquette」という単語は知らないと皆さん言うかもしれませんが、発音してみてください。「エチケット」ですよ。このぐらいは対応しましょう。いずれにせよ知っていても知らなくても解答に支障はきたしません。「history➡backgrounds」という繋がりを押さえることが重要です。)さて、①ですが、他校のメンバーは部活参加できるかについては触れられていないことは問1の④を判断したときに確認しました。しかし、ここでは、部活に参加するかどうかではなく、「Having games」、つまり「試合に参加する」かどうかです。これについては、黒ポチの一番最後で「地域や国のトーナメントに参加する」という話が出てきていました。となると残すところは②です。「Playing 〜 against」という表現はそのまま本文にありましたが、本文中では「他のメンバーとネットで対戦する」と書かれているのに対しこの選択肢は「コンピュータと対戦する」と言っています。対戦相手が違うという意味で、誤りです。よって、②が答えです。いやあ、高等学校卒業レベルのミニマムレベルの学力を問う試験とは言え、こんなに簡単でいいのでしょうか。

問3 【 8 】
今度は「メンバーが言っていたこと」を選ぶ問題です。「opinion」にわざわざ下線部が付されいることの意図は設問を見ただけではぼんやりとしていて分かりませんが、しばしば「事実と意見」というのは対比として出てきますから、事実的なものや客観的なものは選ばず、あくまでメンバー一個人の主観的な意見や価値観である、ということが正解の条件であるということでしょう。そこを考慮することでなにか選択肢がうまい具合に切れることがあるのでしょうか?
実際、選択肢を見てみると、③なんかがまさにそうです。「メンバーは、競争におけるコツを学びます」。これは問2の③と類似しており、本文中では「share」でしたが別に「play」と変えたところで明確な誤りとは言えません。内容的には問題ないのです。しかし、これって活動内容そのものであり、「意見」ではないですよね。こういう選択肢を外せたかどうかです。
そして④も、「普段のミーティング」についての客観的事実(決まりごと)であり、これも「opinion」ではないから×です。しかも、内容的にも×です。「off」は分離を表すため、「キャンパスから離れて行われる」となってしまいます。しかし、開催場所は生徒センターという「キャンパス」内です。
ですから、事実上2択問題です。①②は両方、述語に形容詞が出てきており、見事に価値判断を露骨に出した「opinion」となっています。①は「違うゲームを比較してみると面白い」、②は「goについての沢山の動画が役に立った」。斜体の「go」は一瞬で見つけられますからそこから判断してみると、「go」についての「動画」は一切出てきません。ですから①が正解になってくれるしかないのですが、これ、対応箇所がどこにあるか分かりましたか。これはコメントの2つ目「ゲーム同士にどんな共通点があるのかを学ぶのはcoolだ」に対応します。「え、coolがinterestingの言い換えとして成立していいの?」と思った人もいるかもしれませんが、確かに、coolを「かっこいい」と訳すとなんだかパッとしません。ですが、「かっこいい」から「おしゃれ」「粋」「イけてる」というニュアンスが出てくることがイメージできれば、「ゲーム同士の共通点を見つけてみるのもなんだか粋だよね」➡面白い、でいいのではないでしょうか。今回のcoolは、古文の「をかし」=「趣深い」に通じるような感じがします。いずれにせよ、答えらしきものがどんなに曖昧でも、他の選択肢をはっきりと消去できているならば、文句なしに答えは①です。

問4 【 9 】
「both」がポイントで、「部活への招待」と「コメント」の両方に共通する内容は何か、という問題です。実際に探してみると共通点は複数見つかりますが、消去法のほうが速いかもしれません。まず一番選んではいけないのが①「新しいメンバーは経験を示せ」で、これは「初心者大歓迎」という本文の内容と矛盾します。②は「online」というのはいいのですが、オンラインのサポートが「必要」とまでは言っていなくて、あくまでそういうサポートがあるという「事実」しか書かれていません。問3で触れた「事実と意見」という考え方がここでも活きてくるわけです。そして③は「将棋」に絞っての言及がコメントのほうには出てきていないですし、将棋に限定しないにしても、「logical」だ、という話はコメントのほうには実は出てきていないんです。そこで、ラストの④「集中力を上げるのを助ける」になるわけですが、これは最初のコメントの「more focused in class」(授業に集中できるようになった)と、本文の書き出しの2〜3行目「thinking logically and deeply without distractions」(気晴らしなしで論理的に深く考える)という箇所と一致します。正直「distractions」=「気晴らし」が分からなかった人も多いと思いますが、だからこそ消去できる力が大切になってくるわけです。答えは④です。

問5 【 10 】
ラストです。「この部活は・・・したい生徒に最もふさわしい」、と書かれています。誘い文句のところには、「論理的に、深く考える力が身につきますよ」「本当に楽しいですよ」という内容がありました。正直「楽しい」だけだと中身がなさすぎますし、「楽しみたい生徒」という選択肢を本文とは別の言葉で表現したとしても非常に薄っぺらい選択肢になることは目に見えていますから、ここは「力が身につく」という方向の選択肢があることを願って、選択肢に突入してください。動詞だけ見比べると「create/improve/learn/spend」となっており、この時点で「improve」(向上させる)かな?と思えればしめたものです。消去法でやってもいいでしょう。①「ゲームを作る」は本文不在の内容。③の「British」は絶対関係なし。④の「weekends」も意味不明です。そもそも本文中で時を表す表現は、「Wednesday」のみであり、週の半ばにミーティングがあると言っているだけです。あまりに簡単に消去でき、答えは明確に②と決まります。

第2問B

アメリカに留学するにあたって旅行の保険が必要であり、過去の留学生が書いた保険のプランについての文章を読んでいく、という設定です。
全部で6段落構成となっており、
①旅行の準備としてやるべきことは沢山ある➡②登録したら月ごとに払っていく➡③プレミアムプラン(月100ドル)➡④スタンダードプラン(月75ドル、筆者はこれ)➡⑤エコノミープラン(月25ドル)➡⑥怪我したときのことを考えると保険は重要
という展開になっています。以上を踏まえて設問を解いていきましょう。

問1 【 11 】
答えは①です。

問2 【 12 】
①のメールはスタンダードプランには含まれていますが、一番安いプランにはありません。
答えは①です。

問3 【 13 】
Aは問題なし。DかEのどちらかを考えます。Eは「a few days」がダメです。購入後15分以内に登録したとあります。
答えは①です。

問4 【 14 】
①や④はとは言えません。③についてはスタンダードプランの説明のところで「nice」と言っていました。
答えは③です。

問5 【 15 】
最終段落で「保険は重要」と言っていたので、もちろん「事前準備は重要」と抽象化も可能です。④だけ訳しにくいですが、「(怪我をした)友達の場合、違う病院に行っていたほうがもっとよくなっていたと思う」となります。が、病院をミスった、という内容は本文不在です。
答えは②です。

全体的に、誤答が「本文不在」の内容をでっちあげたものばかりという印象で、消しにくかったなあというのが個人的な印象です。はっきりと矛盾していれば綺麗に消せるのですが。ですが間違いの選択肢はいやらしいほどに「決定的に間違いと言える」ようにつくられています。そこを的確にさばききれれば、今回みたいに同じ解答番号が3連続したりしても、自分の答えに自信をもつことができるはずです。ここまでで30点ですが、一問たりとも間違えてはいけませんよ。

第3問A

問1 【 16 】
ポイントは、
  • 途中出会った「男」(猿と一緒)が映っている
  • もちろんチームのメンバー3人は全員映っている
  • その男と出会ったのは、最後のチェックポイントに着く前
答えは②です。

問2 【 17 】
②の「Come to Japan」について、果たしてこのひとが今回イベントに参加した場所は日本で合っているのか、という疑問を持った人もいたかもしれません。ですが、日本で合ってます。もちろん、スーザンは「your English ALT's sister」であり、読者である僕らが日本人である以上、スーザンは日本(の学校)に来たということになりますが、それ以上に決定的な根拠が本文中にあります。それは「neither our Japanese nor his English were good enough.」という箇所です。「私達の日本語も、彼の英語も、十分とは言えなかった」。つまり、イギリス人のスーザンは日本語を話さなくてはいけない場所にいたのですから、日本にいたと考えるしかありません。(逆に、出会った男は英語があまり喋れない日本人だったというわけです。)
答えは②です。

第3問B

文字も小さく文章も長く感じますが、順序立てて話が展開していますから、段落構成に注目しながら話の展開を丁寧に押さえていくことが大切です。
話の内容としては、ゆずさんが昨年参加した「English Day」についての記事です。タイトルを見ると「Virtual Field Trip to a South Sea Island」と書いてあります。つまり、南海の島に「バーチャル」で旅していったということです。
段落は5つに分かれていますが、「①導入(バーチャルサイエンスツアーに参加した)➡②最初は島の地理について勉強(熱帯雨林を見るなど)➡③海に飛び込んで生物の多様性について学ぶ(人間の活動の影響で10年経つだけでも大きく海は変わった)➡④プラネタリウムの観察(街で見る空と違ってよく見える)➡⑤学校から帰る途中、夜空を見上げた」という展開になっています。全体の構成が分かっていることで、設問を解く際、対応箇所の発見も容易になります。

問1 【 18 】【 19 】【 20 】【 21 】
一気に4つのマークが塗り潰せる問題です。
ツアーの場面は大きく分けて3つに分かれます。簡単に言えば、陸➡海➡空(宇宙)、という感じでしょうか。ただ、選択肢が4つあります。ということは、この3つのうちのどれかが2分割される可能性があります。(帰り道の場面が説明された選択肢が1つ出てくると思った人もいるかと思いますが、問題文をよく見れば、あくまでツアー・イベントの中身について生徒がコメントしているのであって、その後のことは出てこないことははじめから分かっているのです。)

①は「jungle」とあるので、熱帯雨林の話をしていた最初の場面に該当。
②は「oceans」とあるので、第二の場面。ここまでは、文末の単語だけで判別がつきますね。
③は「gymnasium」(体育館)とあるので、体育館でプラネタリウムを作っていた第三の場面。
④は「space show」とあるのでこれも第三の宇宙の場面。

となると、③と④の順番だけ厳密に考える必要があります。ただ、難しくありません。③は冒頭に「Setting」とあります。体育館という室内でセッティング(準備)をしたことに対する心情が述べられているのであって、④の「show」が始まる前の場面です。準備➡ショー、の順ですから、③➡④となります。
よって、答えは①➡②➡③➡④と、面白いことに番号順に並びます。

問2 【 22 】
ゆずが南海の島について学んでいないことを選びます。
ここでもやはり、本文で3つの場面があったことを意識します。選択肢が4つあって1つが誤りなのですから、3つの場面に分類できないようなものが1つだけあるというわけです。

①「海の生態系」は、もちろん「海」の場面。②「夜の時間の空」は、もちろん「空」の場面。④「木と植物」は、熱帯雨林が出てきた最初の「陸」の場面。唯一分類できないのは③「気候」です。第一段落に「winter」という単語が出てきていますが、そんなところに引っ張られないでください。また、熱帯雨林という言葉は出てきているものの、そこでの気候については言及されていません。このあたり、地理選択者は「熱帯雨林気候」というのを知っているので引っ掛かってしまうかもしれませんが、それでも、気候というのは気温や降水量の状態を指すのであって、そこへの言及はどう見ても本文中にはありませんでした。迷わず答えは③です。

問3 【 23 】
「帰宅中にゆずが夜空で見た可能性が高いもの」を聞いています。ツアーが終わった後の帰り道なので、最終段落が該当箇所であることは誰でも分かるはずです。
そして、正直、本文への理解が浅い人でも、これは正解できてしまいます。なぜなら、「the moonless sky」(月のない空)を見上げた、と書いてあるのですから、まず③「the full moon」が落とせます。そして、①「a shooting star」と④「the Milky Way」は、本文中では一回しか登場しておらず、プラネタリウムの場面のところに、「constellations」(星座)と一緒に具体例として並列しています。この「並列」という論理構造を押さえていることが重要で、並列しているということは同列に並んでいます。同列に並んでいる具体例のどちらか片方が答えになるなんていうことは論理的にありえません(①が答えだとしたら④は?となってしまいますし、逆もしかりです)から、この段階で①④が落とせて、消去法で②を答えにするしかないと分かってしまいます。

ですが、できれば本文の内容もきちんと理解して②を選んでほしいものです。
というわけで、なぜ②なのか解説します。
まず、本文の最終文に、空を見上げて「what Mr Leach had told us was tue」に気付いた、と書いてあります。ここは連鎖関係代名詞になっていて、「リーチ先生が私たちに教えてくれたことが本当だ」と気付かされた、となります。では、先生が教えてくれたこととはなんでしょうか。そこで宇宙の話をしている第三の場面、つまり直前段落に戻ります。すると先生が説明したことが段落最終文に出てきています。該当箇所は誰がどう見ても「humans have created so much artificial light that hardly anything is visible in our city's night sky.」です。ここではso 〜 that ・・・の程度構文が使われています。thatまでをまず訳すと「人間はたくさんの人工的な光を作ってきた」となります。ではどれくらいたくさんなのかと言えば、「街の夜空の中でほとんどなにも見えなくなるほど」だと言っています。つまりこれは、宇宙の話ではなく、我々が普段歩いている夜の街中の話をしています。前から(やや意訳気味に)訳すと「人間はあまりにたくさんの人工的な光を作ってきたため、そのせいで街の夜空にはほとんど何の星も見れない」と言っています。そう、「anything」の「thing」にあたる内容は、空にあるもの=星です。
これが分かっていれば、帰り道に街中の夜空を見てゆずは思ったはずです。「いやあ、先生の言っていた通り、なにも見えないな・・・」と。しかし、ゼロではありません。「hardly」=「ほとんど〜ない」なのですから、ほんのわずかの星は一応見えているわけです。だから②の「just a few stars」(ほんのちょっとの星)が答えになります。「a few」の前に「just」という表現がついているのが絶妙で、これがあることによって、わずかしか星がないことが強調されており、本文中の「hardly」のニュアンスを言い換えることに成功しています。
おそらく出題者としては、ここまでしっかり理解して答えに至ってほしいと狙って選択肢を作っているはずです。
ですが、消去法でも対応できるようにすることで難易度の標準化を図っています。
いずれにしても、答えは②です。なんというか、やっと、単なるスキャニングではない、英語力の根幹を問うような問題が出てきてくれた気がして僕は嬉しいです。

第4問

やっと英語らしい問題が出てきて、盛り上がってきました。
英語部の部屋をどうデザインするか、というテーマです。
これもまた段落構成が明確です。全部で5段落となっていますが、「①部屋のデザインを考えるためのフレームワークとしてSINというものがある➡②S=刺激(色と複雑さ)➡③I=個別化(私物と柔軟性)➡④N=自然さ(明かりと温度)➡⑤他の要素も同じくらい大切」という流れになっています。

問1 【 24 】
SINの定義が入ります。SINは「デザイン」を考えるための「フレームワーク」です。選択肢の冒頭が「guide/method/model/system」と並んでおり、この中で「フレームワーク」の類義語として扱えそうなのは③の「モデル」です。あとは③を読んでみると、「教室の環境を計画するときに従うべきモデル」と書いてあり、問題なさそうです。「designs」が「environments」と置き換えられているのもなかなかうまいですね。
答えは③です。

問2 【 25 】
「Stimulation」の説明が入ります。Stimulationとは「色」と「複雑さ」でした。今回、「with a colorful rug and 【 25 】」となっていますから、色は既に出てきており、「複雑さ」に該当する内容が入ります。ここでいう「複雑」というのは、モノがごちゃごちゃ沢山置いてある状態のことですが、常識的に考えてみても、「ごちゃごちゃしていたほうがいい」という主張にはなりませんから、くれぐれも③「棚に本を置く」などを選ばないように気をつけてください。
本文を見てみると、「In addition」(加えて)の直後が対応箇所です。「it can be visually distracting to have too many things displayed on walls.」。この文を理解できたかが命の分かれ目です。訳すと「多くのものが壁に飾られ過ぎていては、視覚的にも気が散ってしまう可能性がある」と、ごちゃごちゃにモノが置かれていることに対してマイナス評価を下しています。その直後の文もまたヒントです。「It is suggested that 20 to 30 percent of wall space remain free.」。「壁の20〜30%は自由なままにしておくべきだ」。つまり、「ある程度は空きスペースも作るべきだ」と言っているのです。いずれにしても、「壁」に「空きスペース」を作る(ごちゃごちゃモノを飾らない)ことが重要視されています。
そのことを踏まえて選択肢の冒頭の動詞を並べてみると、「move/paint/put/reduce」。この段階で「reduce」(減らす)が目につきます。
③がダメな理由は述べた通りですが、②「paint」も合わなさそうです。実際に読んでみても「color」が入っているのでもうアウトです。では①「move」はどうか。モノをどこかに移動させる、というのであれば、空きスペースを作ることに繋がりそうです。」しかし、「スクリーン」を移動させるという話になっており、そもそも壁にあるモノの話ではなくなっています。あくまでここでは、壁に空きを作るという話ですから、そう考えるとやはり「飾られているアイテムを減らす」と書かれた④が正解となります。

問3 【 26 】
「Naturalness」の説明のところに出てきたA〜Eのうち不適切なものを選ぶ問題です。「Naturalness」の中身は2つあって、部屋の「明かり」と「温度」です。
そのことをイメージしてA〜Eを見てください。
Aの、窓に「blinds」を導入する、というのは読み取りにくいかもしれませんが、「ブラインドタッチ」(=キーボードを見ないでタッチする)という言葉があるように、ブラインドには「見ない・見えない」という意味があることを考えれば、おそらく遮光性の道具を導入する、ということのはずです。これは「明かり」に関連します。
Bは「temperature」という言葉が思い切り入っています。つまり、温度。
Cは、「screen」という言葉が入っていて、窓からスクリーンを話すことで見えやすいようにするという、これまた明かりの話。
Eは、「lamp」という言葉があることから分かるように、比較的暗いところにはランプを置くという、これまた明かりの話。
残ったD「壁の近くにソファを置く」だけが、明かりにも温度にも関係ありません。ソファを置くことによって得られるのは「快適さ」ですが、Naturalnessとはそういうことではありません。
答えは④です。

問4 【 27 】【 28 】
2つの空欄を埋めていく問題です。両方が内容的にセットになっています。まず本文を見れば、ここは「Issues」(問題点)が並べられている箇所です。3つ問題点が並んでおり、そのうちの1つ目が子今回問われている内容です。(「How can we solve this?」という疑問文がありますが、それに対する答えは一切述べられていないので、決してその次の項目と繋げて読まないように注意してください。)今回、ヒントになるのは「majority」(多数派)、の一語です。グラフを見れば、一番多いのは「Sleeping」、つまり寝ている人です。もちろん、その次に多い「Chatting in Japanese」(日本語を喋っている)に注目しても結構です。これを踏まえて【 27 】の選択肢を見ると、⑤「うたた寝をする」がピンポイントです。③は「Japanese」という語がありますが、「日本語を使わない」なので逆です。そこで、今度は「うたた寝する人が多い」という意見を述べているのがS1〜S6のどれなのか、と考えてみると、これは「sleeping」という語が含まれているS4しかありません。したがって、解答は⑤・④と決定します。

問5 【 29 】
「グラフと【 29 】のコメントに基づくなら、メンバーが英語を話すきっかけをもっとつくれるように、ルールを作るべきではないか?」
と言っています。ということは、英語(広く言えば「言語」)に関する発言をS1からS6の中から選べばいいのです。
となると、「Japanese」が含まれているS3か、「English」が含まれているS4です。ただ、S4は先ほど解答にも選んだのでまた答えになる確率は低そうなので、時間がなければこの段階でS3を選んでしまってもいいでしょう。ただ一応、S4の冒頭も確認しておきましょう。すると、「壁に外国の絵が貼ってあるので、英語を話したくなります」と書いてありますが、これは果たして、「rule」と言えるでしょうか?あくまで今回は、英語をみんなが喋るようにルールを作ろう、という話なのですから、そこに繋がらないといけません。もしS4が「絵があるのはいいことだが、それでも結局みんな日本語を喋っているので意味がない」とネガティブに話しているのであれば正解になりうるのですが、ここではポジティブな書き方になっているため、「問題点」を指摘する今回の問題では正解にできません。
となれば、S3、つまり「英語部なのに日本語を話すメンバーが多い」を選ぶべきでしょう。
答えは③です。

第5問

ほとんどが空欄補充になっています。文章がかなり膨大ですから、先に、空欄が設置してあるメモのページから見ていって全体像をつかんでから、本文を読んでいくと効率的かもしれません。
また、問1の選択肢も、5つ中4つは事実なのですから、先に読んでしまってそんなに問題はないでしょう。
そうすると、大枠はつかめますね。
登場人物はまき・たくや・かすみの3人で、どうやらまきがキッチンというかレストランを開くみたいです。そして、最初の4つの空欄では、ビジネスを始めるまでの流れが並んでいます。その後にまきの年齢を埋める問題があり、そしてまきがたくや・かすみをどうサポートしたかを埋めていきます。「encouragement」ですから、勇気を与えたわけですが、そのほかに一つずつ何かをしているわけです。そしてラストは、ここではまだ詳細は分かりませんが、「重要な瞬間」に対する解釈について考える問題が2問設置されています。
以上を踏まえて文章を読み、解答するのに関係ありそうな情報が出てきたら都度チェックしていけばいいのです。逆に解答に関係なさそうなところに時間をとられる必要はありません。
そして、実際にやってみて分かったと思いますが、時制の把握が命です。

【まきのキャリア】
  • 父が病気だったため、19歳のとき家族のビジネスに参加
  • 父の代わりにオーナーをやっていて、うまくいっていたが、違ったことをやってみたいとも空想していた。(➡️セカンドキャリア)
  • あるとき、旧友であるかすみとたくやが来ることに。
◆◆◆◆◆
【2人の電話①】
  • かすみがたくやに電話➡️かすみが新聞を読んで喜んだ(ここではまだなんのことか分からない)
  • 高校卒業から20年
※店に来る数週間前のシーンに話が戻っています。
◆◆◆◆◆
【たくやのキャリア】
  • たくやは、高校に入る前に川中に来て、そこで演劇部に参加➡️まきとかすみに会う
  • 卒業後、たくやは俳優に。まきは留学のために予備校に。かすみは自分のキャリアをスタート。(ここではキャリアがなんのことか分からない)
  • たくやは俳優を辞めて1年後に川中に戻る
  • まきと電話して、まきが留学を諦めてレストランの管理をやることを聞く(電話したのがその初日)
  • まきのやり方にいろいろ口出しをする➡️結果的にたくやはそこで雇われる
  • そこから1年後の記念日に、たくやはレストラン業をやりたい夢をまきに語る➡️まきは応援してくれて(encorage)、たくやのコーヒーを宣伝➡️それもあってそのコーヒーは人気になる➡️最終的に、たくやは店を開いて成功
◆◆◆◆◆
【かすみのキャリア】
  • かすみが新聞にたくやが出ているのを見てびっくり
  • かすみは演劇部の時、化粧担当だった
  • それがうまかったので、まきは化粧会社をすすめた(encourage)➡️入社
  • まきがかすみにワークショップを提案
  • 石島に移って(卒業から8ヶ月後)、地道に頑張って今年出世
◆◆◆◆◆
【2人の電話②】
  • 2人ともまきに感謝している(ある種の罪悪感)
  • まきなしでどこで会おう?となる
◆◆◆◆◆
【店での会話】
  • 恩返しで店に来たという話
  • まきは他人の強みを見抜く力がずば抜けているという話
  • まきはカウンセリングの能力には長けていたがその道には進まなかったという話


問1 【 30 】【 31 】【 32 】【 33 】
「卒業」から「第2のキャリアを考え始める」までの流れを整理していきます。
  • 卒業
  • たくやは俳優、まきは予備校、かすみは化粧会社
  • まきの勧めでワークショップを開催しうまくいったかすみは、卒業から8ヶ月後に石島へ転勤
  • 1年後、たくやは俳優をやめ、まきも留学を諦め、父の代わりにレストランのオーナーをやる(19歳)▶︎④
  • たくやがコーヒーについて口出し➡まきの勧めでカフェで働き出す
  • そこから1年経過➡️まきに夢を語る➡️たくやが店を開いて成功▶︎⑤
  • 今年かすみが副社長に出世▶︎①
  • たくやのことが新聞に乗る➡️かすみが電話(高校卒業から20年)▶︎②
  • 2人でお店に行くことを決める➡店に3人集まる
よって、④➡️⑤➡️①➡️②となります。

問2 【 34 】
途中に「20th」という数字があったことに気付けたかどうかです。
  • 高校卒業から20年後が今なので、高校卒業を18歳とすれば、18+20=38歳
  • まきが父の代わりにオーナーになったのが19歳の頃だと明確に書いてあり、それは高校卒業から1年後のタイミングなので、やはり高校卒業は18歳である
以上のことから、答えは②(30代後半)です。

問3 【 35 】【 36 】
たくやとかすみに対してまきが行ったことを考えます。
「encourage」という言葉は本文にそのまま出てきているので、そこさえ見つかれば問題ないでしょう。
  • たくやに関して:たくやに自分の店で働くことをすすめ、その後はたくやのつくったコーヒーをまきが自分の店で宣伝。
  • かすみに関して:かすみに化粧のセンスがあることを踏まえて、化粧会社に入ることをすすめ、その後はワークショップの実施を提案。
上記を踏まえれば、それぞれ①、②が答えです。

問4 【 37 】
たくやとかすみが、電話中に「沈黙」した理由を問うています。
その理由は本文では「as they wordlessly communicated their guilt.」=「無言でお互い罪悪感を伝えた」と書かれており、「罪悪感」(pity=悲しみ、という表現もありましたね)がポイントです。
そして、ここでいう罪悪感の内容を押さえるにはさらにその前の「Where would we be without her?」=「彼女なしでどこで私たちは会うの?」(仮定法)がヒントになります。ここでまきを入れずに会うことが「罪悪感」と表現されているわけです。

この時点で答えは③です。
まず、「まき」に会えていないことが悲しいので、「まき」が登場しているもの、という観点から③④。
そして、「罪悪感」という内容を押さえれば「regret」と書かれた③が答えです。
「会えていない」というところだけで②に引っ掛かってしまった人は、読みが浅すぎます。空欄の直前にはtheyとあり、これだと「2人」が「長い間話していない」ことが理由になってしまい、まきが出てきません。
答えは文句なしに③です。

問5 【 38 】
「皮肉」の内容を選ぶ問題です。
「The irony is that you couldn't do the same for yourself.」=「皮肉にも、あなたは自分のために同じことができなかった」とあり、「you」が誰を指すのか分かりにくいのですが、資料を利用してください。「Maki does not 【 38 】.」とあるのですから、「まき」のことを言っていると分かります。
そのうえで、「do the same」の内容を直前から押さえていけば、それはまさしく「自分たちの強みに気付くこと」です。それをまきはしなかった、とはどういうことか?
よく分からない人は、直後でたくやが「石島大学に行っていれば、そこには人の仕事をデザインするカウンセリングのプログラムがあるし・・・」と言っていることを押さえてください。
まきが大学に行くのを諦めたという20年前のシーンもここで蘇ってきますね。
いずれにしても、もうこの段階で皮肉の説明は十分そろいました。
つまり、まきは、実際にたくややかすみの進路についてアドバイスしていたように、カウンセリングの才能があったにもかかわらず、実際にはコーヒーショップのオーナーをやっているわけですから、ある意味「強みを活かせていない」わけで、これが皮肉だと言っているわけです。
そこで、「皮肉にもまきは自分の強みを活かすことができなかった(本来は大学に行くべきだった)」という内容を押さえている選択肢を探してみれば、②しかありません。

第6問A

時間知覚についての説明文です。
哲学科の人が習うような内容ですが、読み取れたでしょうか。
資料の中に全体のアウトラインが載っていますが、大した情報は読み取れません。そして、本文中に出てくる概念もかなり抽象的なので、具体例を読んで理解を深めていくことが大切です。

問1 【 39 】【 40 】
第1段落と第4段落のタイトルを選んでいきます。
まず第1段落ですが、冒頭で「time」にダブルクオテーションマークがついていて、「時間といえばね・・・」と話が展開しております。
そして、太字になっている「clock time」と「psychological time」が対比されており、前者ではなく後者で人は時間を認識するんだと述べています。
となるとどちらかと言えば「psychological time」のほうがキーワードになってきますが、さすがにそこまで露骨に専門用語を出してきたら答えとして簡単になってしまいます。さあ、どう仕掛けてくるか、と思って選択肢を見渡してみると、⑥にだけ「time」という言葉が入っています。⑥全体としては「時間の種類」。たしかに、時間の種類として2つのものを取り上げていることに間違いはないので、素直に⑥でいいでしょう。
冷静に考えて、第1段落の内容を「time」という語を使わずに一言でまとめるのは不可能に近いですからね。

そして第4段落は、具体例として「Skydiving」を取り上げていることが資料からも分かりますが、スカイダイビングが何の例なのかという抽象部分を本文から探し出す必要があります。
すると、第4段落の冒頭にほぼ答えと言っていい内容は述べられており、「感情がどうなっているかが時間をどう意識するかに影響している」と書いてあります。とするとここでは「感情」というのがポイントなわけで、「emotional」が入っている選択肢はないものの類義語としての「feelings」が入っている②を選べばいいでしょう。
というわけで、⑥、②の順にマークしていれば正解となります。

問2 【 41 】
第5段落の理解を問う問題です。
資料に基づけば、「Effects of age」つまり「年齢の影響」がこの段落のテーマです。
そして、「Time speeds up as we mature, but a 【 41 】.」=「時間は成長とともにスピードアップするが、【 41 】」となっており、逆接に後続する内容を選んでいくことから、この段階で「slow down」の①③が答えになりそうなことは検討がつきます。
あとは第5段落を確認しましょう。
末尾の文が「But... mature」となっていますから、その直前部分の、Howeverからはじまる2文が解答根拠になります。
そこに書かれているのは、「大人になっても、大きな出来事(転職など)が起きたら、子どもの頃のような時間の感じ方をする」という内容です。もちろんそれが「slow down」な感じ方であることは自明のことですが、段落冒頭の2文目で「新しいことがどんどん起き、それが時間を長く感じさせる」としっかり書いてあります。
大事なのは、「大きな出来事」の時には、という前提を押さえて、「minor」ではなく「major」と書かれた選択肢に絞ることです。
これができれば、答えは①です。

問3 【 42 】
「Retrospective timing」の具体例を選びます。
「retro」なので過去を振り返るというニュアンスです。「昭和レトロ」とか聞いたことありませんか。
あとは、本文から「retrospective timing」の定義をしっかり拾ってください。
宿題の例、実験の例(シンプルな形を見た場合➡️短く感じる。複雑な形を見た場合➡️長く感じる)はもちろんヒントになります。
いずれにしても、作業が「完了」した時に、どのくらいかかったかを思い出す。
(次の段落の「prospective timing」と対比すればよりここは明確に分かったことでしょう。)
「reflect on」(振り返る)が入っている③が答えです。

問4 【 43 】
今度は「prospective timing」について聞いています。
単語を見てみても、「prospect」なので未来志向で、見込みを考えるであることが想像できますが、実際に本文で述べられている内容を押さえると、厳密な意味での未来志向ではないので注意してください。
「while doing」という表現が繰り返されていることからも分かるように、作業している「最中」に、どのくらいかかったのかを推測する、というのがポイントです。
そして、「estimating the time needed to complete」とあるように、「完了するのにどれくらいかかるか推測する」とたしかに未来志向で考えることもあるわけですが、定義の部分には「keeping track of time」(時間の経過を追う)という表現が出てきていますから、必ずしも未来志向ではないことが分かります。
「なにか大掛かりなことに集中している時➡️短く感じる」「シンプルなことをしている時➡️長く感じる」。この具体例を見てみても、結局、自分がやってきたことを振り返っている点では、実は問3と一緒なのです。
ただ、問3と異なるのは、過去を振り返るタイミングです。「完了」してからではなく、「最中」に振り返るのです。

その対比を押さえずして、「prospective」という単語のニュアンスだけで解いてしまうと、「schedule」と書かれた②を選んでしまう可能性もあります。そもそも、スケジュールを立てるという作業それ自体は「prospective timing」ではありません。
どのくらいかかったんだろう、と「考える」というのが軸なので、動詞部分だけを見ても②は切れます。(もちろん、「ばたりと出会う」という③も切れます。)
「これまでどれだけ走ってきたか推測する」とある①が正解です。

第6問B

「Chili Peppers」(絵を見れば分かる通り「唐辛子」)についてのお話です。
プレゼンテーション資料の穴埋めをしていく問題であり、これまた資料を先に見て全体像をつかむというやり方が有効になっていきます。
そんなことしなくても本文を斜め読みして概要をつかむのは難しくありません。
専門用語(capsaicin、TRPV1、SHUなど)も多くて理解に苦戦するかもしれませんが、あまりに専門的過ぎる内容を設問で問うことはありませんから、あまり細部にこだわりすぎず、概要や概論を押さえるという視点で読むようにしましょう。
8段落構成となっており、「①唐辛子とわさびの違い、という論点を導入➡②唐辛子にはcapsaicin(カプサイシン)が入っている➡③わさびはカプサイシンが入っていない➡④唐辛子の健康へのプラスな影響その1(痛みがなくなる)➡⑤プラスな影響その2(新陳代謝アップ)➡⑥プラスな影響その3(食べ物を保存する)➡⑦多量摂取による健康への悪影響➡⑧それでも依然として唐辛子は人気・安全」という展開でした。
これを常に頭に入れて、設問にあたることが重要です。
個人的には、問4だけ、出題者の誘導に必ずしもうまく乗れるとは限らないという意味で難しく感じましたが、あとの問題はすんなり解けるものだと感じました。

問1 【 44 】
わさびの特徴を答えるわけですが、ここで大事なのは、資料を見ても分かるように「唐辛子」と対比させることです。
このように二分法で話が進んでいることを無視して、シンプルに「辛いもの」一般の特徴を答えてしまうと、②「fire-like sensation」(火のような感覚)などを選びかねません。

唐辛子とわさびの違いは、第2段落で語られ始め、第3段落でより明確化しますが、要するに「capsicin」という辛味成分の有無なのです。
②の「fire-likesensation」はcapsicinの説明で出てきましたし、①や③もその延長です。
このような大枠さえ分かっていれば、④の「light」(軽い)という表現に反応することはそんなに難しくはなかったはずです。
もちろん、深く押さえていくならば、
  • 唐辛子の「oi-like treatment」(資料中にあり)の逆の性質であり、本文ではオイルの説明と「heavier」という言葉が並列されていたので、heavyは唐辛子の性質。ということはその反対で、わさびは軽い。
  • 第3段落を見れば、わさびに入っているスパイスの密度は低く、簡単に蒸発(vaporize)してしまうと書いてある。
という理由から、物理的な軽さについて明確に説明がされており、このあたりは理系の人は十分理解できたところではなかったでしょうか。
答えは④です。

問2
唐辛子のプラスな影響を考え、当てはまらないものを答えていきます。
本文で述べられているのは、「痛みがなくなる」(第4段落)、「新陳代謝アップ」(第5段落)、「食料の保存」(第6段落)の3点です。
「metabolism」が「新陳代謝」だとわからず「メタボ」という語感から「太ること」だと思ってしまうとやや苦戦してしまいますが、プラスなことが書かれていることを意識して読むことが大切です。また、第5段落の末尾には「体重が減る」という内容がありましたから、誤読していたとしてもここで修正できます。(もちろん、エネルギーを送り込む、という内容があったことからも気付けます。)

さて、今回は選択肢は5つあって1つが誤りなので、4つが正しいことを言っています。
ということは、3点あるポイントのうちどれか1つが2分裂することがこの段階で予想できます。
そういうことを意識して選択肢を見るならば、

A.痛みを減らす➡️そのまんま。第4段落
B.エネルギー➡️「新陳代謝」のくだり。脂肪をエネルギーに変えるという話があった。第5段落。
C.新陳代謝➡️そのまんま。第5段落
E.毒を減らしてくれる➡️「食料の保存」のくだり。第6段落。

というわけで、「新陳代謝」の部分が2分裂されていました。
残ったものはD(ストレスを減らす)ですが、第2段落に「ストレスを誘発する」とありましたし、1ページ目の最終行に「ストレスを経験する」という内容がありました。ストレスは感じるが痛みは徐々に減っていく、という趣旨を押さえる必要があります。
答えは④です。

問3
今度は「悪い影響」について考えます。該当箇所はもちろん第7段落です。
「身体に不快感を与える」と述べ、胸の痛みと近い、胃痛や下痢や手の麻痺が起こると述べていました。
というわけで、「胃痛」の②、「手の麻痺」の③が答えです。
正直、本文中にあった「numb」(麻痺)は分からなかった人も多いと思いますが、消去法を活用してください。
また、④の「指の炎症」に関しては、「肌の炎症さえ起こる」という第7段落ラストの記述に対応しているように見えますが、そこは「唐辛子」ではなく「Ghost peppers」の説明なので外さなければなりません。
答えは②・③(順不同)です。

問4
辛いものを「我慢」することに関することに関しての設問です。
「tolerance」の類義語を探していけば、該当箇所が複数(第3&6段落)あるため、出題者の意図がややわかりにくい問題です。

まず内容的に押さえやすいのは、第3段落の以下の文です。
The reason some people cannot tolerate chill spice but can eat foods flavored with wasabi is that the spice compounds in it are low density.
➡「唐辛子は我慢できなくてもわさびで味付けされた食べ物を食べることはできる人がいる理由は、そこに入っているスパイスの密度が低いからだ」
これをもう少しコンパクトにまとめると、「唐辛子がだめでもわさびはいけてしまうのは、辛みが少ないから」となっています。
「some people」なので、もちろんみんながみんなそうだとは言っていませんが、だいたいの人はそうで、わさびがなんとか食べられる程度ですよね。そういう、一般論をここで述べていることを強く押さえてください。

そこで選択肢を見てほしいのですが、選択肢冒頭の主語がかなりそろっており、「People with a high/low tolerance to chill peppers/wasabi」という形になっています。
ここで、「high/low」がなんの度合いなのかを読み違えてしまうと誤読してしまうのですが、これは決して「どれだけ我慢して食べるか」を言っているのではありません。もしそう捉えると、high toleranceは「めちゃくちゃ我慢しないと食べられない」という意味になってしまいますが、逆です。
high/lowは点数の高さをイメージすればよくて、ここでは我慢強さや耐性の度合いを表しています。
つまり、high toleranceとは「耐性が強い」ということであり、からいものに慣れている(からいものが得意な)状態を示しています。
ここで、「得意・苦手」という言葉を使って単純化するなら、
①唐辛子の辛さが得意な人は・・・
②わさびの辛さが得意な人は・・・
③唐辛子の辛さが苦手な人は・・・
④わさびの辛さが苦手な人は・・・
となります。

ここで、第3段落で確認した文をもう一度確認してほしいのですが、一般論として出てきている「唐辛子が苦手だがわさびの入った食べ物ならいける」人に最もリンクするのはこの時点で③です。
④のようにそもそも「わさびすら苦手」な人には触れる必要がありませんし、②も方向としてはいいのでしょうが、わさびが「得意」、とここでhighな人を取り上げる必然性もないように見えます。
①に関しては、第6段落で述べられていた熱帯地域のような人たちの説明で、そういう人達を主語にしてもいいのですが、プレゼンテーションとして聞き手に寄り添うように発表しようと思ったら③が一番すわりがいいのです。
そこで③の述部を見てみると「can get used to their heat」、つまり「辛さに慣れる」とあるわけですが、もちろん本文にそんなことは書いてありません。
しかし、この問題が「inferred」、つまり「推測」される内容を選ぶ問題であることと、
  • 唐辛子を食べるとはじめ痛いが、徐々に痛みは減っていく(第4段落+最終段落冒頭)
という内容があることを考えれば、③の内容でも問題はないのです。
この文章は「唐辛子はからくて食べられないよね・・・」という一般論で終わりたいのではなく、唐辛子へのプラス評価を思う存分語ることによって「唐辛子はからいし苦手な人も多いと思うけど、それでも痛みは引いていくし、食べていれば慣れるよ」という裏メッセージがこの文章には隠されていたわけです。
これを選択肢を見ずに読み取るのは到底難しいので、ここは選択肢を利用して出題者の意図を探る必要があり、難しい問題だったと言えます。

なお、第6段落を利用した解法についても説明しておきます。第6段落の以下の文に注目します。
people in hot climates have a tendency to use more chili peppers, and therefore, be more tolerant of spicier foods due to repeated exposure.
➡「熱帯地域の人々は、唐辛子を沢山使い、何度もそれに耐えることで辛い食べ物に耐えていっている傾向がある」
こう言っています。
第6段落は「食料の保存」について語った文脈であり、通常、冷蔵すれば食料は保存できるが、熱帯地域のような暑い地域ではすぐに食料は腐ってしまうため、唐辛子が保存効果を発揮したんだ、というのが趣旨でした。
もちろんこの文は「熱帯地域の人は辛いものが平気」という事実を説明しているわけですが、ここから、熱帯という気候条件に「適応」して辛いものを得意としていった人々の姿を読み取ることも可能です。
つまり、すごく単純化して言うなら、気候条件という「環境」が味覚に影響を与えているというわけです。だから、今から辛いものが苦手でも、環境次第で辛いものが得意になる可能性は十分ある、ということが読み取れます。

消去法はもちろん有効で、①は、そういう熱帯地域の人が「食べ物のスパイスに気を払う」と言っていて、全く論点が合いません。もし熱帯地域の人達にフォーカスして説明するなら、「環境に適応することで辛いものが平気になった」と言ってあげるべきです。

ですが、個人的には、第6段落の内容を強く押さえなくても、この文章が「唐辛子のプラス面」を強調した内容であることを押さえて、「耐性」に関してもプラスな結論を導いているものを選んでいけば、「慣れれば大丈夫」と書かれた③を選ぶことはそう難しくはなかったわけです。
答えは③です。

問5
「Closing remark」、つまり「締めの言葉」を選んでいきます。
ということは最終段落が鍵になります。
この文章全体で、唐辛子の「プラス面」が強調されていたことは間違いありませんし、最終段落でも「食べ過ぎは注意すべきかもしれないが、依然として辛い食べ物は人気だし、安全もである」という内容が述べられています。
そういう内容を含んでいるのは⑤しかありません。

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最終更新:2024年01月27日 12:21