問1
もし知識がなく、文脈で解くと以下の通り。
やはり、確固たる知識があったほうが解きやすい。特に(ウ)に関してはよく出てくる言葉である。知っておかねばならない。
(ア)「名状」の意味は、①「言い当てる」か、②「名付ける」か、③「意味を明らかにする」か、④「言い表す」か、⑤「味わう」かを考える。
  「不快」という言葉の修飾語として「名状し難い」という言葉が付いていることに着目すれば、自然と④が選べるはず。
  また、「~し難い」なので、完全否定の②⑤も落とせる。
(イ)高木に対する気持ちとして「眉を暗くした」という表現が置かれていることに着目。
  傍線部前方で「不快」「嫉妬心」といった感情が繰り返し登場しているので、そういった感情が「ますます」表出したと考えるべき。
  とすれば、まずは②「心配」、⑤「不安」を落とす。次いで③「不審」(=疑わしい、怪しい)も落とす。
  ①と④で比較し、「迷惑」よりも「不愉快」がベターだと判断すれば④が選べる。
  また、④は「表情をくもらせた」が「眉を暗くした」とあまりに対応している。
(ウ)母による高木の人柄の描写として「気の置けない」という表現が置かれていることに着目。
  「いたって行き届いた」という言葉が傍線部直後に同格的に並べられていることにも着目。
  以上を踏まえて、まずはマイナスな内容の④を確実に落とす。
  次いで、「対応」の様子になっている①を落とす。あくまで高木の人柄の説明を選ばねばならない。
  残った②③⑤から絞るのは相当厳しいが、「気の置けない」=「遠慮しない」という対応関係が見えれば②に絞れる。

☆語彙の問題は、その語彙の辞書的意味を知っているか(=知識があるか)否かによりアプローチが異なる。
 ①知識があれば、それを優先。
  しかし、それが文脈に合わない場合は、文脈で判断。
 ②知識がなければ、文脈で判断。
 ※文脈で判断=傍線部が空欄だと思い、そこに入るものを考える

問2
  • そのように高木を評する「僕」の思い → 心情の問題
 ※設問条件にも着目。「高木について」僕がどう思うか、を探していく。
  • 「原因→心情」を整理
  • まず心情を拾う→傍線部「この男は…交際場裏に棄てられて…」=マイナスな気持ち
  • 次に原因を拾う→前方へ
 →「様子とか応対ぶりとかになると」
  「自由に遠慮なく、しかもある程度の品格を落とす危険なしに己を取り扱う術を心得ていた」
  • 後方へ
 →「凡ての会話を僕の手から奪った」「そうしてそれを悉く一身に集めてしまった」
  • 第3段落
 「容貌→羨ましかった」「話をするところを聞いて→不愉快」 → 2段階の心情があり、後者が傍線部と対応
 ⇒第2段落冒頭と完全に対応

☆傍線部を起点とした根拠拾い
☆漠然と内容をつかむのではなく、1~2個のポイントを整理・構造化する
☆「心情」の確定
 ①本文中に明示された心情表現を拾う
  ※間接表現は直接表現に直す。厳しければ+-を明確化する。
 ②「原因」から「心情」を確定する
☆根拠の範囲を慎重に確定(特に傍線部後方の見落としに注意)
☆対応関係の把握(どことどこが同内容か?)

問3
  • この部分で「僕」は自分をどのようにとらえているか → 少し変わった設問
  • 傍線部を分析→「この酒に棄てられた淋しみの障害」→指示語、比喩
  • 前方へ→2ポイント

☆傍線部中にある「不完全な表現」に着目する(指示語、比喩、入れ物語句、抽象語)

問4
  • なぜ「僕」はこのような気持ちになったのか → 心情の「原因」を拾う問題
  • 傍線部を分析:「嫉妬心を抑え付けなければ」「自分の人格に対して申し訳がない」
  • 「自分の人格」がどんなものか。「嫉妬心」がなぜ生じたか。
 このあたりを考えたうえで、「もともとこういう人格だったのに、こういう理由で嫉妬心が生じてしまったから」と整理すればよい。(記述向け)
  • 前方へ
 →自分の人格:嫉妬心を持ったことがない
  嫉妬心が生じた理由:千代子が原因

☆選択肢の的確な判別
 ①確実な根拠拾いのもと、拾ったポイントと対応度が最も高いものを正解とする
  逆に、対応度が低い、ないしは対応していないものを不正解とする
 ※これができることによって、選択肢チェックが「やりやすく」なる。
 ②明らかなキズのある選択肢を不正解とする(余計な情報のあるもの[説明として不要なもの]、本文とずれているもの)
 ※こればかりに「固執」していると、選択肢チェックが「やりにくく」なる。

問5
  • 「僕」の心情 → 心情の問題
  • まず心情を拾う→傍線部に「喜んだ」「焦燥しがらせた」という、交錯する心情が描かれている。
  • 次に「喜んだ」原因を考える
 →「僕の占い」:直前の「予期」の内容=「僕と千代子と永久に手を別つべき評判の第一節」
 →これが母にとってなぜ「喜び」なのか?→前書き→「母は『僕』と千代子との結婚を強く望む」
  • 「焦燥」の原因については本文では明示されていないので、拾わないでOK。選択肢を見ながら判断。

☆整理して解く!=楽しく解く ことも意外と大切。

問6
①「僕」の心情も十分描かれていたから、○には「しにくい」。
②×にしようがない。これが1つ目の正解。
③過去のことを語るときに「現在形」を使っているから、内面の混乱が整理されていない、という趣旨。②の選択肢と矛盾するので、落とす。
④「対象化」=客観的に捉える。概念的→客観的・分析的、という因果関係が成り立つかどうか。おそらく○。
⑤「玉突きの経験がない」→高木と一緒にならないで済む→「幸い」、という因果関係が想定できる。「僕」の「屈折したユーモア」を示しているとは言いにくい。
⑥「(彼は)会話を僕の手から奪った」は擬人法とは言えない。「抽象的」でわかりにくいことを「わかりやすく」説明していると言えるのかについては微妙。

☆選択肢間の矛盾→片方が消える

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最終更新:2023年11月27日 02:39