(一)
ものを見る際に、生活上、網膜上の視覚情報から見えない付随情報を知覚しようとする行為においては、過去の経験や知識を基にした予測や思考を介した補充が常に行われているということ。
(二)
向こうに見える家の正面を、平面的なものとしてではなく、奥行きや内側を伴った立体的なものとして知覚しようとする感覚が、歩くという身体行動との連動により生じている。
見えない部分を外から想像や構築するのではなく、居住と言う家の〈意味〉を意識上で体験することで内部から知覚している。
(三)
我々の目が、刻々と変化し続ける流動的な世界に対して、ある一瞬を何の目的もなしに切り取る写真機とは反対に、日常生活における何らかの都合上行おうとする分節化のこと。
世界は持続しており様々な意味を持つが、人は生活上、不必要な知覚情報を捨象し、重要だと考える場面のみを都合良く切り取って認識していること。
(四)
世界は持続しており切断像は意識上の認識に過ぎないが、その切断像を具現化した写真によって、世界は断片の積分体であると誤認し、持続的な知覚を封じる危険があるから。

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最終更新:2023年11月27日 02:25