APG > 上級クラス > M

マスター・ケミスト Master Chymist

 アルケミストが筋骨隆々で俊敏な筋肉質のクリーチャーに変じるために分別なく変異薬を使用する時、文化的な人間はしばしば顔を向け、そのような変成には代償が必ずあるものだと皮肉を言う。わずかなアルケミストにとって、その代償とはマスター・ケミストは意志の発露として奇怪な獣性を振るえるクリーチャー、マスター・ケミストへの変成である。
 マスター・ケミストになると、2つの人格が1つの身体を共有するようになる。錬金術による卓越した能力を持つ筋骨隆々の“変異薬形態”とそれを作り出した元々のアルケミストの両方が、自らのことを真の形態と考えている。そして彼らはそれぞれの共通の目的を達成するために、一緒に働く術を身につけなければならない。大抵、マスター・ケミストは最終的にはその変異薬形態となってしまい、以後元々のアルケミストの身体と精神は社会的な行事で要求されたり、名を隠したりその身を隠す必要がある場合にのみ現れることになる。不運にもマスター・ケミストの変異薬形態はしばしばはるかに暴力的で、許されることのない個性を持っている(このため、同じキャラクターの2つの人格の間に衝突が生じることとなる)。

 役割:その本性がひとたび明らかになれば、マスター・ケミストが社会に受け入れられることは難しくなる。その結果、彼らは居場所を転々とし続けなければならないという強い思いがある。文明があるところの端に足を踏み入れ、多くの危険な地域の探索を先導し冒険を続けることは、その奇怪な形態を役立てることのできる数少ない活動の1つである。マスター・ケミストの柔軟性と爆弾投擲能力、それに白兵戦における蹂躙力を組み合わせた能力は──大混乱がつきものだとしても──多くの冒険者パーティーにとって大きな利点である。もっとも、マスター・ケミストのより不快な側面に目をつぶっても構わないと考える仲間にとっての話だが。

 属性:マスター・ケミストはなんと2つの属性を持つ(変異形態能力を参照)。これらの属性の制限は、それらが一致してはならないということだけだ。

 ヒット・ダイス:d10。

必要条件

 マスター・ケミストになるためには、キャラクターは以下の条件を全て満たさなければならない。

 呪文:3レベル・エキスを作成する能力。
 特殊:変異薬のクラス能力、凶暴変異薬か変異薬注入の発見。

クラス技能

 マスター・ケミストのクラス技能(と各技能の対応能力)は以下の通りである。〈威圧〉【魅】、〈隠密〉【敏】、〈軽業〉【敏】、〈真意看破〉【判】、〈水泳〉【筋】、〈脱出術〉【敏】、〈知識:ダンジョン探検〉【知】、〈登攀〉【筋】。

レベルごとの技能ランク:2+【知力】修正値。

表:マスター・ケミスト
レベル 基本攻撃ボーナス 頑健 反応 意志 特殊 1日のエキス数
1 +1 +1 +1 +0 爆弾投擲者変異形態変異能力(2回/日)
2 +2 +1 +1 +1 変異薬拡張 アルケミストに+1レベル
3 +3 +2 +2 +1 獣性+2 アルケミストに+1レベル
4 +4 +2 +2 +1 変異薬拡張
5 +5 +3 +3 +2 変異能力(3回/日) アルケミストに+1レベル
6 +6 +3 +3 +2 変異薬拡張 アルケミストに+1レベル
7 +7 +4 +4 +2 獣性+4 アルケミストに+1レベル
8 +8 +4 +4 +3 変異薬拡張、変異能力(4回/日)
9 +9 +5 +5 +3 獣性+6 アルケミストに+1レベル
10 +10 +5 +5 +3 変異薬拡張、変異能力(5回/日) アルケミストに+1レベル

クラスの特徴

 マスター・ケミスト上級クラスのクラス特徴を以下に示す。

 武器と防具の習熟:マスター・ケミストになったからといって、それで新たに武器や防具に習熟することはない。

 1日のエキス数/Extracts per Day:示されたレベルになるたびに、マスター・ケミストはアルケミスト・レベルが上がったかのように、1日に使えるエキス数が増加する。しかし1日のエキス数とエキスを発動する際の術者レベルが上昇する以外の、他の利益を得ることはない。

 爆弾投擲者(変則)/Bomb-Thrower:爆弾の破壊力はマスター・ケミストの凶暴な衝動を刺激する。マスター・ケミストは爆弾のダメージを決定する際、自身のレベルをアルケミスト・レベルに加える。

 変異形態(変則)/Mutagenic Form:変異形態は、マスター・ケミストがこの道に就く過程で服用してきた変異薬の副作用として生じた、マスター・ケミストの通常形態の性格とは異なる別人格である。変異形態はマスター・ケミストの正常な人格と同じ記憶と基本的な目的を共有するが、目的達成のために本体とは異なる流儀で行動する。変異形態はしばしば醜く怪物的であり、全く関係の無い2人であるかのように、マスター・ケミストの通常形態とは種族や性別すら異なって見える場合もある。それどころか変異形態はしばしば固有の名前を持ち、この独立した関係を維持し強固にするようたくらんでさえいる(別人格の存在できる限られた時間ではそれは難しいが)。変異形態は独自の属性を持つ(プレイヤーが選択するが、マスター・ケミストの通常の属性とは必ず異なっていなければならない)。属性が変化するのはマスター・ケミストが変異形態を使用している間だけである。
 例:ダラボントはアルケミスト7/マスター・ケミスト4の中立にして善のノームである。彼女の変異形態は彼女をブッチャーと呼ばれるねじくれたクリーチャーに変身させる。ブッチャーは真なる中立で、世界がよりよきバランスで維持されるよう務めることに関心を抱いている。ブッチャーはダラボントに呼ばれたときにだけ存在するが、その間はブッチャーの好む友人の輪を作る術を捜し求めている。ブッチャーはダラボントが嫌いなわけではないが、ダラボントのノームとしての形態は脆弱すぎ、厳しい世間を生き抜くには純粋すぎると感じている。ダラボントである間、このキャラクターはディテクト・グッド呪文には反応せず、全ての呪文と効果から真なる中立として扱われる。

 変異能力(超常)/Mutate:1レベルの時点で、マスター・ケミストは繰り返し変異薬にさらされてきた結果、今や変異薬を摂取せずとも1日に2回変異形態を取ることができるようになった。この形態の間、マスター・ケミストは変異薬から得られるすべてのボーナスとペナルティを獲得し、アルケミスト・レベルとマスター・ケミストのレベルを合計したものを有効アルケミスト・レベルとして持続時間を決定する。変異薬の使用も同様にマスター・ケミストをこの形態に追い込む。変異薬か変異能力を再使用した場合、変異形態は通常通り働く(新しい変異薬による修正は、元の修正と置き換える。持続時間はより長い方を取る)。持続時間が切れるか、マスター・ケミストの魔法が(アンティマジック・フィールドなどによって)阻害されるか、変異能力の使用回数をもう一度費やすまで、マスター・ケミストは変異形態をとり続ける。
 マスター・ケミストはストレスやダメージによって、自分の意思に反して変異形態となる場合がある。通常形態のマスター・ケミストはクリティカル・ヒットを受けるか頑健セーヴに失敗した後、変異能力の使用回数を残しているのであれば、どのような時でも能力を使用する可能性がある。このような場合、マスター・ケミストはDC25の意志セーヴを行い、失敗したなら次のターンで標準アクションを使用して変異形態に変身する(変異能力の使用回数を消費する)。
 5レベルの時点でマスター・ケミストは1日に3回変異形態を使用できるようになる。この回数は8レベルの時に4回、10レベルの時に5回に増加する。

 変異薬拡張(超常)/Advanced Mutagen:2レベルおよび以降2レベル毎に変異形態は進化と成長を続け、さらなる力をマスター・ケミストに与える。マスター・ケミストは変異薬拡張を選択する。この力は変異形態の機能を変更するか、もしくはマスター・ケミストが変異形態を取っているときにだけ働くものである。マスター・ケミストは個々の変異薬拡張を複数回選択することはできない。
 強壮(変則)/Burly:変異形態の間、マスター・ケミストの重厚な肉体と骨格は【筋力】判定、【耐久力】判定、【筋力】を基準とする技能判定、CMB、CMDにマスター・ケミスト・レベルの半分に等しい錬金術ボーナスを与える。
 変装(変則)/Disguise:マスター・ケミストは変異形態の持続中に、一時的に外見を通常形態に戻すことができる。標準アクションを用いDC20の意志セーヴを行うことで、通常形態の外見を1分間装うことができる。最初の1分を超える1分ごとにDCを+1した新たなセーヴィング・スローを必要とする。このセーヴに失敗すると、マスター・ケミストは(変異形態を中断したように)通常形態に戻るか、変異形態に完全に変身する。この能力を使用している間、マスター・ケミストはいつでもフリー・アクションで変異形態となって意識を寛がせたり、標準アクションを使用して通常形態を再開したりできる。この能力が一度終了すると、マスター・ケミストは10分間が経過するまで再びこの能力を使用することができない。マスター・ケミストが通常形態を装っている間、竜の変異薬、凶暴変異薬、肥大変異薬のような明らかに肉体を変形する変異形態は働かない。この能力を使用している間は変異形態の持続時間として数えない。
 竜の変異薬(超常)/Draconic Mutagen:マスター・ケミストは変異形態でいる間、ドラゴンのような姿──ハーフドラゴンのような鱗状の皮膚と爬虫類の瞳──になる。マスター・ケミストはこの変異薬拡張を得るとき、ドラゴンの種類(竜の血脈の表を参照)を1つ選択する。この選択は変更できず、マスター・ケミストは選択したドラゴンの種類に応じたエネルギー抵抗とブレス攻撃を得る。マスター・ケミストは選択したドラゴンのエネルギー種別への抵抗20を得る。マスター・ケミストのブレス攻撃は選択したドラゴンのエネルギー種別の8d8ポイントのダメージを与える(反応・半減、DC10+マスター・ケミスト・レベル+【知力】修正値)。マスター・ケミストは1回の変異形態への変身につき、1回のブレス攻撃を行うことができる。この能力は有効アルケミスト・レベル(アルケミスト・レベルとマスター・ケミスト・レベルの合計)が16以上で、フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンIのエキス処方を知っており、凶暴変異薬の発見か変異薬拡張を得ていなければ選択できない。
 並列思考(変則)/Dual Mind:マスター・ケミストの別人格は、通常形態であるか変異形態であるかを問わず、意志セーヴに+2のボーナスを与える。マスター・ケミストがセーヴィング・スローに失敗して心術呪文か効果の影響を受けた場合、1ラウンド後に同じDCで再セーヴを行い、成功したら(最初のセーヴに成功したかのように)その効果から自由になる。そして速やかに変異形態に変異するか、通常形態に戻る。その日に変異能力を使用する回数を残していない場合、マスター・ケミストは並列思考を使用できない。この能力は有効アルケミスト・レベル(アルケミスト・レベルとマスター・ケミスト・レベルの合計)が10以上でなければ選択できない。
 身かわし(変則)/Evasion:この変異薬はマスター・ケミストが変異形態でいるときしか働かないことを除いては、同名のローグの能力と同様に働く。
 変異時間延長(変則)/Extended Mutagen:マスター・ケミストの変異能力の持続時間は2倍になる。
 凶暴変異薬(変則)/Feral Mutagen:この変異薬は同名のアルケミストの発見と同様であり、他の発見や変異薬拡張を得るときの前提を満たす。
 激昂変異薬(変則)/Furious Mutagen:凶暴変異薬による噛みつき攻撃と爪攻撃のダメージ・ダイスを1段階大きくする。この変異薬は有効アルケミスト・レベル(アルケミスト・レベルとマスター・ケミスト・レベルの合計)が11以上で、凶暴変異薬の発見か変異薬拡張を得ていなければ選択できない。
 大いなる変異薬(変則)/Grand Mutagen:この変異薬は同名のアルケミストの発見と同様であり、他の発見や変異薬拡張を得るときの前提を満たす。この変異薬は有効アルケミスト・レベル(アルケミスト・レベルとマスター・ケミスト・レベルの合計)が16以上で、凶暴変異薬の発見か変異薬拡張を得ていなければ選択できない。
 上級変異薬(変則)/Greater Mutagen:この変異薬は同名のアルケミストの発見と同様であり、他の発見や変異薬拡張を得るときの前提を満たす。この変異薬は有効アルケミスト・レベル(アルケミスト・レベルとマスター・ケミスト・レベルの合計)が12以上で、凶暴変異薬の発見か変異薬拡張を得ていなければ選択できない。
 肥大変異薬(超常)/Growth Mutagen:マスター・ケミストが変異形態をとるとき、エンラージ・パースン呪文の効果を受けたようにサイズを1段階大きくする。この能力は有効アルケミスト・レベル(アルケミスト・レベルとマスター・ケミスト・レベルの合計)が16以上で、エンラージ・パースンポリモーフのエキス処方を知っていなければ選択できない。
 夜目(変則)/Night Vision:マスター・ケミストは変異形態でいる間、暗視60フィートと夜目を得る。
 俊敏(変則)/Nimble:マスター・ケミストの柔軟な肉体と骨格は、【敏捷力】判定、【敏捷力】を基準とする技能判定、CMD、ACへの外皮ボーナスに、マスター・ケミストのレベルの半分に等しい錬金術ボーナスを与える。
 変身による回復(超常)/Restoring Change:マスター・ケミストが変異形態を取るときと変異形態から通常形態に戻るとき、1d6+キャラクター・レベルにつき1ポイントのヒット・ポイントを回復する。
 鋭敏嗅覚(変則)/Scent:マスター・ケミストは変異形態でいる間、鋭敏嗅覚を得る。

 獣性(変則)/Brutality:3レベルの時点で、マスター・ケミストはその暴力嗜好によって(その獣性によってさえ容易く扱える武器を使用する限り)より強力な打撃を見舞えるようになる。3レベルの時点で、変異形態のマスター・ケミストは単純武器か肉体攻撃を用いる攻撃のダメージに+2のボーナスを得る。このボーナスは7レベルにおいて+4、9レベルにおいて+6に増加する。

マスター・スパイ Master Spy

 比類なきまやかしの実行家、マスター・スパイは腕力と呪文を超えるものとして偽りとペテンを信頼している。マスター・スパイは魔法であれそうでないものであれ、即興で機転を利かし探知を回避する手段の達人である。マスター・スパイには長期的な忠誠心で国または個人の利益に従うものもいれば、長期間に渡る忠誠心など持たず最も金を払うものに自らの技術を提供するものもいる。
 バードとローグは広い範囲の技能を修得しているために、スパイ活動に要求される条件に極めてよく合致している。ローグは容易にほとんどの魔法を伴わない職業のメンバーになりすますことが可能である(とはいえ鎧をまとった戦士のふりをすることは生来の能力を妨げてしまう)。一方ではったりを使うバードは偶然見ていたものを騙す際に、他の多様な呪文の使い手にうまく変装することができる。多様性と適応性はスパイ活動のためのモットーであり、成功を収めたマスター・スパイは他者を巧妙に引き入れて、目標とする陰謀を成功させる。

 役割:何かに装った形でもなければ、マスター・スパイはめったに他人とともに働くことはない。野外でも同程度に役立つ特別な技能によって、皮肉にもマスター・スパイは並外れたリーダーになることができる。しかしマスター・スパイの生まれつき持った秘密主義の傾向によって、マスター・スパイは脚光を浴びる場所から離れてしまう。冒険者の中にいるマスター・スパイが彼らを裏切ろうとすることはないということに注意すること。仲間たちがスパイの本心を知っているかどうかに拘わらず、武装したヒーローはマスター・スパイの真実の使命に素晴らしい隠れ場を提供するのだから。

 属性:スパイ活動の実践は訓練が必要であり、道徳や倫理面での柔軟性も求められる。マスター・スパイは秩序や混沌であるより、中立であることが多い。

 ヒット・ダイス:d8。

必要条件

 マスター・スパイになるためには、キャラクターは以下の条件をすべて満たさなければならない。

 特技《欺きの名人》《鋼の意志》
 技能:〈真意看破〉5ランク、〈知覚〉5ランク、〈はったり〉7ランク、〈変装〉7ランク。

クラス技能

 マスター・スパイのクラス技能(と各技能の対応能力)は以下の通りである。〈隠密〉【敏】、〈言語学〉【知】、〈交渉〉【魅】、〈真意看破〉【判】、〈装置無力化〉【敏】、〈脱出術〉【敏】、〈知覚〉【判】、〈知識:全て〉【知】、〈手先の早業〉【敏】、〈はったり〉【魅】、〈変装〉【魅】、〈魔法装置使用〉【魅】。

 レベルごとの技能ランク :6+【知力】修正値。

表:マスター・スパイ
レベル 基本攻撃ボーナス 頑健 反応 意志 特殊
1 +0 +0 +1 +1 芸術的詐欺変装の達人急所攻撃+1d6
2 +1 +1 +1 +1 口達者な嘘属性の仮面
3 +2 +1 +2 +2 非魔法的オーラ2/日、表面的な知識
4 +3 +1 +2 +2 隠された考え迅速な変化、急所攻撃 +2d6
5 +3 +2 +3 +3 検出の回避
6 +4 +2 +3 +3 属性変化
7 +5 +2 +4 +4 急所攻撃 +3d6
8 +6 +3 +4 +4 愚者の発動致死攻撃
9 +6 +3 +5 +5 隠れた精神
10 +7 +3 +5 +5 急所攻撃 +4d6、なりすまし

クラスの特徴

 マスター・スパイ上級クラスのクラス特徴を以下に示す。

 武器と防具の習熟:マスター・スパイになったからといって、それで新たに武器や防具に習熟することはない。

 芸術的詐欺(変則)/Art of Deception:マスター・スパイは自身のクラス・レベルを〈はったり〉、〈変装〉、〈真意看破〉判定に加える。

 変装の達人(変則)/Master of Disguise:マスター・スパイは通常の半分の時間で変装することができる。加えて違う性別、種族、年齢、あるいはサイズに変装する際のペナルティが1減少する。

 急所攻撃(変則)/Sneak Attack:この能力は同名のローグ能力と同様に扱う。3レベル毎に、(1、4、7、および10レベル)ダメージは1d6ずつ増加する。マスター・スパイが別の単一のクラスから急所攻撃の利益を得るならば、ダメージへのボーナスは累積する。

 口達者な嘘(超常)/Glib Lie:2レベル以上のマスター・スパイは真実を見抜く類の魔法を欺くことができる。スパイに対してこの種の魔法を使用するクリーチャーは、(マスター・スパイがグリブネス呪文の効果の下にいるかのように)15+マスター・スパイのクラス・レベルをDCとした術者レベル判定に成功しなければならない。失敗すればその魔法は嘘を検出することはできず、マスター・スパイに真実だけを話すことを強制することもできない。この能力でマスター・スパイの行なう〈はったり〉判定に対してグリブネス呪文のボーナスを得ることはない。

 属性の仮面(超常)/Mask Alignment:2レベル以降、マスター・スパイは(ディテクト・イーヴルなどの)属性を認識する呪文を騙すために、属性のオーラを変更することができる。マスター・スパイは特定の属性として識別されることを選択することもできるし、いかなる属性としても識別されないことを選択することもできる。属性に従い不利益を与える呪文や効果から、この能力がマスター・スパイを保護することはない。属性のオーラを覆い隠すのは標準アクションであり、マスター・スパイが再びそれを変更するか、効果を終了するまで持続する。

 非魔法的オーラ(擬呪)/Nonmagical Aura:3レベル時、マスター・スパイは1日2回マジック・オーラ呪文を使用できるが、物体を非魔法的のように見せるためだけに効果は限定される。

 表面的な知識(変則)/Superficial Knowledge:マスター・スパイは自身が実際よりも多くのことを知っているように見せかける。3レベル以降、マスター・スパイは自らを覆い隠した姿やある固有の人物に相応しい〈知識〉と〈職能〉の判定を、未修得であっても修得しているかのように行なうことができる。また、これらの判定にはレベルの半分に等しいボーナスを得る。例えば貴婦人に変装しているマスター・スパイは、王国についての〈知識:歴史〉判定とその貴族と王室についての〈知識:貴族〉判定を未修得にも拘わらず、自身が修得済みであるかのように行なうことができる。しかしこの姿でいるならば、マスター・スパイは薬草を識別するために未修得の〈知識:自然〉技能判定を行なうことはできない。

 隠された考え(超常)/Concealed Thoughts:4レベルのマスター・スパイは心を読み取る魔法から自らの策謀を隠蔽することができる。あるクリーチャーがマスター・スパイの精神を読むためにディテクト・ソウツや類似した魔法を使用する際、マスター・スパイは相手が読みとる表面的な思考を決定し、実際のものは隠しておくことができる。表面的な思考より深く掘り下げる精神的な攻撃や読心を、この能力によって防御することはできない。

 迅速な変化(変則)/Quick Change:4レベル以降、マスター・スパイは、〈変装〉判定に-10ペナルティを受けることによって、2d4ラウンドで変装をすることができる。このペナルティは8レベルの時点で-5に軽減される。

 検出の回避(擬呪)/Elude Detection:5レベルにおいて、マスター・スパイは自らに対して発動された占術を混乱させることができる。これはマスター・スパイのキャラクター・レベルに等しい術者レベルのノンディテクション呪文の効果を受けているかのように扱う。マスター・スパイは標準アクションとして、この保護を抑制もしくは再開することができる。解呪されたならば、マスター・スパイは1d4ラウンドの間このノンディテクションを再開することができない。

 心術破り(超常)/Slippery Mind:5レベルにおいて、マスター・スパイは精神的な制御からこっそり立ち去ることができる。この能力は同名のローグの上級の技のように機能する。マスター・スパイが心術破りの能力を別のクラスから得ているならば、これらの修正は累積する。しかし1ラウンドあたり1回しか心術破りを使うことはできない。

 属性変化(超常)/Shift Alignment:6レベル以降、マスター・スパイが自らのオーラを制御する能力は更なる高みに至る。マスター・スパイが偽りの属性を決める際、自身が実際にその属性であるかのように、全ての呪文と魔法のアイテムを影響させることを選択してもよい。これは利益を与える効果と害を与える効果の両方に影響する。例えば秩序にして悪ではないクリーチャーに衝撃を与える出入口を通り抜けるために、中立にして善のマスター・スパイは自身のオーラを秩序にして悪に変更することができる。ホーリィ・スマイトがこの変更したオーラを持つマスター・スパイに命中したなら、マスター・スパイが悪であるかのようにダメージを受ける。マスター・スパイは標準アクションとして自らの属性のオーラを“属性の仮面”(マスター・スパイの2レベル・クラスの特徴。この効果は依然として、実際の属性を基に機能する)のものから、変更した属性(この能力に従ったもの。効果はマスター・スパイの仮の属性を基に機能する)に変えることができる。属性のオーラの変更は標準アクションであり、再び変更するか効果を終えるまでこの効果は持続する。

 愚者の発動(超常)/Fool Casting:8レベル以降のマスター・スパイは相手を騙すことで、自らが魅了もしくは支配されていると信じ込ませることができる。(チャーム・パースンドミネイト・パースンヴァンパイアの“支配”能力などの)持続する支配を及ぼす魔法的効果に対するセーヴィング・スローに成功したならば、マスター・スパイは呪文の効果の一部が発揮されることを受け入れてもよい。術者はマスター・スパイがセーヴィング・スローに失敗したと感じるが、マスター・スパイは術者の制御下にない。呪文がテレパシーによるつながりを提供する場合、それは正常に機能する。しかしマスター・スパイは術者の命令に従う必要はない。マスター・スパイは標準アクションとして、欺いていた呪文を自らの体から追い出すことができる。マスター・スパイは持続している効果に対して、心術破りによって与えられたその後のセーヴィング・スローで成功した際に“愚者の発動”を使うことができる。

 致死攻撃(変則)/Death Attack:8レベルにおいて、マスター・スパイは慎重な打撃によって敵を殺したり麻痺させる術を身に付ける。この能力はアサシンの致死攻撃能力として機能する。マスター・スパイが致死攻撃能力を与える別のクラス・レベルを持っているならば、マスター・スパイが8レベルに達していなくても、致死攻撃のDCを決定するためにマスター・スパイ・レベルを累積させる。

 隠れた精神(擬呪)/Hidden Mind:9レベルにおいて、マスター・スパイは自身のキャラクター・レベルと等しい術者レベルのマインド・ブランク呪文の恩恵を常に得る。スパイは標準アクションとしてこの保護を抑制ないし再開することができる。解呪されると、マスター・スパイは1d4ラウンドの間マインド・ブランクを再開することができない。

 なりすまし(超常)/Assumption:マスター・スパイのこの究極の能力は、別の個性を完全に引き継ぎ、それを自らのものにするものだ。全ラウンド・アクションとして、マスター・スパイは無防備状態のクリーチャーに触れて自らのオーラを目標のそれへと移すことができる。これにより占術効果と呪文(ディサーン・ロケーションなどの強力なものであっても)を混乱させ、それらはマスター・スパイをマスター・スパイが触れたクリーチャーとして認識するようになる。この能力は神格や同様に強力な存在の行為を妨げることはできない。マスター・スパイが標準アクションでそれを終えるか彼女が別のクリーチャーに能力を使うまで、個性のなりすましは続く。