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アルミニウム合金 - (2005/12/12 (月) 01:19:30) の編集履歴(バックアップ)


アルミニウム合金 aluminum alloy

アルミニウムを主成分とした合金。
純アルミニウムは柔らかいため、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどと合金にすることで強度など金属材料としての特性を向上させている。
軽さから自転車によく用いられる素材のひとつ。
純粋なアルミニウムは非常に柔らかい。このようなアルミニウムでは、分子が直線的に結合しており、あらゆる方向に簡単に分子が移動するので、バイクフレームを作るには、強度が十分ではない。

アルミニウムは、他の物質を混ぜて合金にする事で、違った特徴を出す事ができる。これらアルミニウムの合金類は、添加した物質が明示され、ASTM (American Society of Testing and Materials)によって番号が付けられている。6061アルミニウムは、少量のマグネシウム、シリカ、クロムを純粋なアルミニウムに添加させている。この合金の強度は、負荷が掛かった時にアルミニウム結晶がずれるのを、添加した微細な凝集物(ケイ酸マグネシウム結晶)が止める事から得られるのだ。ちょうど、ベアリングの中に砂を入れるのと同じ事である。

アルミニウム合金は、更に機械的な加工によっても強度を増すことができる。例えば、冷間引抜によるチューブの製作も、そのひとつである。これにより、アルミニウム結晶中に微細な傷や歪みを作り、金属分子の移動が起りにくくなる。


アルミニウムの溶接
一般的に6061や、他のアルミニウム合金を溶接する時、素材にとって好ましくない事がおきる。

アルミニウムは、温度変化によるパイプ径の変化が、鉄に比べはるかに大きい。溶接部がさめると、その部分は縮小し隣接する部分を引っ張る。この事は、アルミニウム合金を使う場合、溶接による歪みが大きくなり、溶接が完了した後、材料に高い残留応力が残ることを意味する。

そして、機械加工によりチューブの強度が増したとしても、溶接の際、高温にさらされる部分の近辺では、冷間加工で得られた強度が失われる事になる。

バイク用管材として6061を使用する場合、焼き入れにあたる『溶体化処理』と、アルミに粘りを出すための『人工時効処理』を含んだT6プロセスによって、最適な大きさのケイ酸マグネシウム結晶を最適に分散させる。しかし、溶接の高温にさらすと、ケイ酸マグネシウム結晶が溶け、小さい結晶が大きくなってしまい、熱処理の効果を奪い取って溶接部周辺の材料を弱くする。


アルミニウムの熱処理
溶接の後、6061は強度を失う。強度を高め、耐久性のある軽いフレームにするため、我々は溶接した後のフレーム全体を、熱処理する以外にないと判断した。T6 条件でのフレーム全体の熱処理とは、全体を高温に熱して急冷し硬度を上げる『溶体化処理』(焼入れ)と、これを再び温めてからゆっくり冷まし粘りを出すための『人工時効処理』略して『時効処理』(焼き戻し)があり、この処理をすることで溶接により生じた残留応力を取り去ることができる。

もちろん、我々だけがフレーム全体に『溶体化処理』と『時効処理』を行っている製造業者ではない。いつくかの製造業者も6061又は他の6000系アルミフレームに同じような処理をしている。

しばしば使われる7000系アルミフレームは、殆どのものが熱処理されていない。6000系アルミの場合、『溶体化処理』し強度を高めた素材を、溶接後『時効処理』を行うことで、溶接部の歪を取り、素材に粘りを持たせ強度を増やす。しかし7000系アルミを使った場合は、部分的に熱が加えられたままである。

7000系アルミの場合、そのままでも溶接部分は『時効』化する特性があるのだが、溶接する際に発生した残留応力のため、溶接部の応力腐食割れを発生することがある。またこれを防ぐため、標準熱処理条件より高い条件(温度・時間)で『過時効処理』したものは、溶接部の強度は強化されるものの、それに隣接するチューブの部分は焼き鈍されてしまい弱くなる。結果的に7000系アルミは、材料自体は6061より強靭だが、溶接後は弱くなる可能性が高い。


粒子の発展
限られた工場にしか、疲労寿命を考慮したアルミニウムフレームのデザインをすることはできない。もし我々が6061 T6でクロムモリブデン鋼と同じ疲労強度を持つフレームを作ろうとしたら、その6061製フレームは、はるかに高い捻り強度と必要以上の剛性を持つが、最適な重量よりはるかに重いものになってしまう。

私は、軽いフレームを作りたかった、そこで、80年代前半、私はより高い疲労強度を持つアルミニウム合金を捜し始めた。6000シリーズ合金の中のいくつかに、条件が少しだけ当てはまるものがあった。

高耐久性合金の問題は、合金が高温にさらされたり、ストレスが掛かった時に、硬化物質の存在がアルミニウム結晶(粒)を生成してしまう事である。この生成された大きな粒子は、結果として強度特性を弱めてしまう。

ひとつのクラインフレームが出来上がるまでには、様々な工程がある。高温炉で素材を焼きなまし、素材を柔らかくして、いくつかのタイプのバテッド処理、絞り加工、成形、曲げ加工を施される。これらは前工程で受けた強い影響を取り去るため、焼きなましをおこなってから次の加工がされる。そして、それらの加工が終了後『溶体化処理』と『時効処理』を行い、材料の強度を戻し次の工程に移るのである。

私は、アルコア社の研究開発センターに行き、何人かの材料の専門家と話をした。彼らは私に言った、「あなたが興味を持っている、高い強靭性のある6000系アロイを使うことはできない。理由は製造工程のなかで制御できない粒子の成長が見られるから。」

しかし6061は、この粒子の成長を遅くするために微量のクロムを使っている。この事が、初期のフレームに良い働きをした。私は最初の試みに於いて、6061にかわる良い素材を見出せなかった。



1000番
純アルミニウム

2000番台
- Al-Cu系合金 

3000番台
- Al-Mn系合金 

4000番台
- Al-Si系合金 

5000番台
- Al-Mg系合金 

6000番台
- Al-Mg-Si系合金 

7000番台
- Al-Zn-Mg系合金・Al-Zn-Mg-Cu系合金

8000番台

9000番台