既存不適格
きぞんふてきかく
建築時には法令に適合して建てられたが、後に法令の改正や
都市計画の変更等によって不適格な部分が生じた建築物のこと。
そのまま使用しても違法ではないが、増築や建替え等を行う際には、法令に適合するよう建築しなければならない。
建築時から、当時の法令に違反していたものは
違法建築であり、既存不適格とは異なる。
既存不適格の例
大正時代に制定された市街地建築物法では当初2.7m以上の道路に接していなければ建築することができない、という規定だった。
現在の
建築基準法では4m以上の道路に接しなければならない、という規定になった。(
2項道路を参照)。
都市計画で
用途地域が決められる以前から稼動していた工場などで、後から住居専用地域に定められたため、既存不適格になった事例がある。
かつては31m・20mなどの
絶対高さ制限で建物のボリュームを規制していたが、1968年の建築基準法の改正により、建物のボリュームは都市計画で定める
容積率で規制することが原則になった。
1960年代までに高層化が進んだ市街地の中などで、後から導入された容積率をオーバーしている事例が見られる。この場合、ビルを建替えようとすると床面積を減らさざるを得ず、建替えの障害になる。
日照権訴訟が多発したため、1976年の建築基準法改正で
日影規制の導入が可能になったが、導入前に建てられたビルの中には、日影規制の既存不適格になっている事例がある。
関連項目
最終更新:2011年11月03日 23:14