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*魔法陣グルグル
【まほうじんぐるぐる】
|ジャンル|RPG|&image(http://g-ec2.images-amazon.com/images/G/09/ciu/21/f2/dcb1d0b28fa06c19b2e1d110.L._SX120_.jpg)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|タムタム|~|
|発売日|1995年4月21日|~|
|定価|10,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|完全オリジナルストーリー&br他に類を見ない独特のシステム&br''「ゆうしゃさま がんばって」''|~|
|>|>|CENTER:''[[少年ガンガン関連作品リンク>少年ガンガンシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
人気漫画『魔法陣グルグル』をもとにしたキャラゲー。~
勇者ニケ・魔法使いククリは、世界に再び夜明けを訪れさせるため、モンスターに占拠されてしまったオクロックの塔を攻略する。~
始めに文章の理解を円滑にするために説明しておくと、「グルグル」とはククリが操る魔法のこと。魔法陣を描いて、召喚するように発動させる。
**特徴
-『不思議のダンジョン』などのローグ系に従来のRPG要素をかけ合わせたようなシステム。
--フィールドはなく、冒険の舞台はすべてひとつの町の中に集約されている。オクロックの塔(本作のダンジョン)にもすべてこの町から行ける。
--塔は13本あり、どの塔からでも自由に攻略することができる。ただしラスボスがいる13本目の塔に入るには、他の12本の塔全てをクリアしなければならない。
--塔内部の地形やアイテム配置は挑むたびに変化する(一部例外あり)。マップを紙に書くなどしても無意味ということ。
--塔を攻略するにつれて、住民の会話に変化が生じたり、店の品揃えに変化が起こる。
--戦闘はシンボルエンカウント方式。基本的にターン制であり、こちらが動かなければ、モンスターも止まったままとなる。
-町の住民は、原作に登場するキャラクターたちが担当している。
-ニケとククリにはアニメ版準拠の声が付いていて、要所要所で喋ってくれるが、スタッフロールには掲載されていない。
***戦闘システム
-戦闘では前衛のニケと後衛のククリとで役割が分かれ、ニケが接近戦で敵を攻撃し、ククリは魔法攻撃で援護する。そして、''ニケは自動で動き、プレイヤーはククリを操作し、魔法陣を作って敵を攻撃する。''
--ニケの行動アルゴリズムは4段階になっており、プレイヤーが内容を指示する。アルゴリズムはそれぞれ「ガンガンいっちゃえ(攻撃重視)」「ゆうしゃさま がんばって(バランス)」「むりしないでね(防御重視)」「まかせて ゆうしゃさま(防御に専念)」となっており、同社の『[[ドラゴンクエスト>ドラゴンクエストシリーズ]]』に準拠したものとなっている。
--ニケの武器には4種類あり、グローブ(無装備)、剣、球(フレイル)、ハンマーの順に攻撃モーションの隙が小さい代わりに一発の攻撃力も小さくなる((攻略本でもニケがハンマーについて「いっちばん強力なんだよな~。」と言う、という描写がなされている。))。
--ククリは塔をクリアするごとに異なる「シンボル」を習得していき、それぞれを組み合わせることで新しいグルグルを生み出していく。
-グルグルはやたら消費MPが多く、ククリの初期MPではほとんどの魔法が満足に使用できない。しかしレベルが上がるごとに最大MPが伸びていき、強力なグルグルも発動できるようになっていく。''魔法は覚えているのにMPが足りなくて使えない''という、いかにも未熟なククリらしい原作再現が成されている。
--そして一度魔法を使うだけでククリのMPはスッカラカンになってしまう。しかし、MP回復アイテムが簡単に入手できるので((HP回復アイテムの入手も同様に簡単である。))、''大魔法で敵を粉砕し、即座にアイテムでMPを全回復させる''という、独特のゲームバランスになっている。
---同社の『ドラゴンクエスト』で例えるなら、毎回の戦闘でマダンテを唱え、すぐにエルフの飲み薬で全回復させる感じに近い。
-魔法陣は戦闘以外でも使うことができ、罠として設置することも可能。敵に踏ませればそのまま消滅させることができる。
**評価点
-違和感のない原作再現と、原作に沿った戦闘方法。
--オリジナルストーリーで、キャラクターも本来の立ち位置を無視されているが、肝心のツボはしっかりと抑えられている。話の筋も原作にありそうな展開で、また「1箇所に留まって塔を攻略するというストーリー」がいかにもゲームらしい構成になっている。
--魔法陣を描いて攻撃するシステムが原作に沿いながらも、ゲームとして独特の面白さを生み出しており、見事な要素の融合に成功している。
-登場する魔法はほとんどがゲームオリジナル。だがこれにもいかにも原作らしい魔法が採用されている。
--グルグルの中にはキャラクターを直接召喚させる魔法もあり、キタキタおやじやギップルなどを戦闘で戦わせることも可能。そしてあの伝説の魔法''「ザムディン((実際には魔法ではなく、原作やアニメに登場したキャラクターの「おじいさん」の名前である。82歳。))」''も登場する。
--このように原作の雰囲気を保ちつつ、それぞれの要素をゲームとしてうまくマッチングさせ、それが面白さへとダイレクトにつながっているのである。これはキャラゲーとして非常に重要な点である。
-塔は、迷路状のフロアをただ進むだけではあるものの、それを飽きさせない各種ギミックが仕組まれている。
--たとえば6番目の塔や8番目の塔には「踏むと強制的に移動させられるトラップ床」や「移動方向を制限させられるトラップ床」があり、フロアが一種のパズルのようになっている。よく見るとモンスターもきちんと床のルールに従って移動しているのが面白い。
--特に8番目の塔は、特定のザコモンスターを倒すことでトラップ床の効果をオン・オフできたり、強制移動の方向を変更させたりできるため、パズル要素が高い。
--モンスターの動きもさまざまで、3番目の塔には「その場から動かずに待ち伏せしているモンスター」が、7番目の塔には「ターン制を無視してリアルタイムで動くモンスター」がいる。
--10番目の塔と12番目の塔では、他の塔では常時表示されていたマップが非表示になっている。モンスターの居場所をチェックできないだけでなく、何も考えずに進んでいると迷子になりやすい。マップを表示させる魔法もあることにはあるが、その魔法をククリが覚えるのは10番目の塔をクリアした直後、というイジワルっぷり。
--ボスモンスターについてもギミックがいくつかある。2番目の塔のボスはこちらが特定のアイテムを装備していないと戦えない。また、11番目の塔のボスは姿が透明であり、ニケとククリを惑わせてくる。
-バラエティ豊かなBGM。
--それぞれの塔、それぞれのボスに専用の曲が用意されている。(一部例外あり)
--ザコモンスターにも数種類の曲が用意されており、雰囲気に合った曲の使われ方がされている。
**問題点
-各種魔法の強さの格差が激しい。
--グルグルは非常に不安定な魔法であり、失敗したときと成功したときの差が激しい。これを如実に再現しているためか、習得する順番をまるで無視して魔法が極端に強かったり弱かったりする。また消費MPと実際の威力や性能が釣り合っておらず、存在価値のない魔法が数多く存在する。
--「しょうかん」「さかさま」「ちから」「きまぐれ」のように使いづらさが目立つ魔法も多い。
---「しょうかん」は1回に数100ものMPを消費するにもかかわらず、ほとんどの魔法が''特殊アイテムを持っていない限りそのキャラクターが出てきて終わり(完全に無意味)''という地雷魔法。
---特殊アイテムが手に入るのはゲーム終盤で敵からのドロップと一部の塔に出現する宝箱からのみ。最強の攻撃魔法であるザムディンを使ってくれる「ザザ」のようなキャラもいるにはいるが、わざわざアイテムを用意してまでその魔法を使わなくても、''触媒なしで使えるもっと強力な魔法が存在する''。
---「さかさま」は本当に魔法の効力をひっくり返したような性能で「敵の後衛を攻撃するが''後衛がいない場合はニケを攻撃する''」といった効果を持つものが多く使用状況に注意が必要。
---「ちから」は文字通り魔法の効力がパワーアップしているのだがそのため攻撃魔法だと''ニケを巻き添えにしてしまう''。
---「きまぐれ」は文字通りランダム性があり''効果が敵に発動するかニケに発動するか分からない''ものが多い。
--「わな」の魔法は主に敵シンボルを消滅させるが、属性ごとの差が無い。
---攻略本には風属性の罠は、敵をマップ上の違う場所へ吹き飛ばすと書かれているが、今作の敵は無限沸きのため、吹き飛ばそうが消滅させようがエフェクト以外に違いが無い。
--先述のようにマップが表示されていない塔では魔法でマップを表示させることができるのだが、それとは逆に''表示されているマップを表示されなくしてしまう魔法''も存在する。
--他方で強すぎる魔法も存在する。代表的なのが「いかりのほのお」。
---ゲーム中盤で習得するのだが、威力と燃費が他の魔法と比べてチートクラスで、''撃てば相手は死ぬ''。これを使えば大半の戦闘は一瞬で片がつく。この魔法に限ったことではないが、敵が死ぬ演出が二度発生することがあり、この場合は経験値が1匹分多くなる。
---逆にこの魔法を使わないとなると、戦闘の難易度が急激に跳ね上がる。なので初心者救済用の魔法として存在しているのかもしれない。
-登場するグルグルのほとんどがオリジナル。モンスターもオリジナル。
--後のメインキャラクターになるジュジュは、今作では一切登場しない。
--原作のモンスターもこれまた一切存在しない。「ザムディン」はあるのに、その魔法を食らったカセギゴールドは出てこない。
--原作の進み具合は、おそらく2巻辺りまで。この時期はまだほとんどグルグルが登場しておらず、習得する魔法のほぼ全てが独自のグルグルで埋め尽くされている。
---原作に登場する魔法で再現されたのは「トカゲのしっぽ」や「ながいこえのネコ」くらい。「ツチヘビ」もなければ「ベームベーム」も存在しない。
---もう少しストーリーが進んだ時期であれば、「へびいちご」や「ミグミグげきじょう」、「じいさんだいかつやく」や「くまたいよう」など、より原作に沿った魔法をこのシステムで採用できただろう。その点は開発期間的に残念である。
-戦闘の難易度が低い。
--前述で述べたような強力なグルグルを使えば、戦闘は敵をなぎ払うだけの単純な作業になってしまう。
--''戦闘中でも敵の攻撃モーションを強制的にストップさせてアイテムメニューが開ける''という仕様のため、常にHPゲージに気を配り回復アイテムを切らさないようにすれば、実質死ぬ要素がない。
---ただしレベルが低いうちに後半のダンジョンに挑んだり、ボスキャラが相手だったりすると、強力な攻撃で一気に体力を削り取られるため、ちょっと目を離しているうちにやられてしまうということはあり得る。
---塔によって入手できるアイテムの偏りが激しく、潜る順番によっては、回復アイテムが足りなくなることもある。
--これは味方のアクションでも同様。たとえば魔法の発動に必要なMPが足りなくても、ククリが魔法陣を描いている最中にメニューを開いて回復させれば普通に使うことができる。
--ただし、戦闘で負けてしまうと塔の外に追い出されて再び1階からやり直しとなるうえ、死んだときに自動的に復活するような回復アイテム・防御魔法は本作には存在しない。塔の上層部での戦闘、特にボス戦は緊張感が高まるという意味ではそこまで「難易度が低い」とはいえないかもしれない。
---ニケかククリ、どちらかのHPが0になると全滅扱い。攻略中のダンジョンから外に出されるが、所持金が半減するだけでやりなおしという、ドラクエ的なコンティニュー。
-深刻な金不足。
--このゲームでは敵と戦闘してもお金が手に入らず、入手できるのはダンジョンの宝箱、もしくは店屋でのアイテム売却のみ。
--ゲーム終盤になると装備品の値段が跳ね上がるため、順に買い揃えていくとまず金が足りなくなる。場合によってはクリア済みの塔に再挑戦して資金稼ぎをする必要があり、ゲームのテンポを削いでしまっている。
--ただし救済措置はあり、4番目の塔には大金が入った宝箱しか置かれていないフロアがあったり、6番目の塔には高額で売却できるレアアイテムを高確率で落とすモンスターが出現したりするため、冒険中にこれらの要素に気が付くことができればそれほど困るという事態には陥りにくい。
-物語の目的はオクロックの塔を攻略すること。''それだけ''。
--基本的に同じことの繰り返しであり、終わりも見えている。
--隠しモードとして2周目が存在する。ストーリーに若干の変化がある、全てのグルグルを初めから使える、といった内容ではあるが、レベル・アイテム・お金を1周目から引き継いでこれないため強力な魔法を使うにはMPも足りずアイテムも足りず、結局1周目と似たようなプレイスタイルになりがち。このボリュームでもう1回は果たして遊びたいかどうか。
-ニケの存在感が薄い。
--序盤こそ前衛のアタッカーとして頼りになってくれるが、ククリが強力なグルグルを習得するにつれて、お株を奪われがちになる。終盤にもなると、もはや''ククリを守るための肉の壁である''。
--原作でも光魔法を習得するまではよくわからない存在だったので、ある意味この時期までの原作再現らしい。
-''防御力が受けるダメージに一切影響しないバグがある。''装備品どころか防御力を上昇させる魔法すら意味がない。なお属性耐性は有効。
--但し敵の攻撃属性に関しては、存在はゲーム中で説明されているものの、実際の属性を知る術が無い。
-その一方で実は壊れ要素もあり、今作には『トロルののみもの』という攻撃力を1.25倍にするアイテムが存在している。このアイテム、1回の戦闘中だけかと思いきや''永続効果のドーピングアイテム''の上に''中盤の聖なる塔で無限に入手可能で何度でも使える''ため、そこで粘ってドーピングするだけしてしまえばワンパンで全ての敵を蹴散らす最強の勇者へと変貌してしまう。これはひどい。
--エニックスの公式ガイドブックには「攻撃力を、1上げる」としか書かれていないので設定ミスと思われる。
-レアアイテムの微妙な存在感。
--今作では敵や宝箱から、極低確率で入手できるアイテムや装備がいくつか存在する。歩くたびにHPが回復する「フェアリーリング」や、消費MPを半減する「ふしぎなくし」はあれば便利といったところだが、「そらとぶくつ」((塔の外に脱出できるアイテム。しばらく物語を進めると、同じ効果のアイテムが市販される。))や「おうさまのこころ」((100R以下のお金を切り上げる。所持金に応じて、0R~900Rのお金が手に入るが、終盤でこの程度のお金が得られたところで…))といった入手手間の割に首をかしげたくなる性能のものも。
--宝箱から手に入る武器に至っては、店売り品が混ざっている一方、非売品の武器がなぜか店売りの武器より性能が低いものがある。
**総評
キャラゲーとしての水準を抑えつつ、ゲームとして消化させるという重大要素を見事にこなしている一本。~
戦闘のバランスやストーリーにはおざなりな部分も多く、ゲーム単体としてみると至らない点も目立つが、グルグルファンなら遊んで損はない。~
魔法使いにスポットを当てた作品は珍しいので、「魔法使いなりきりアクション」としてプレイするのも面白いだろう。
**余談
//-フジテレビ『平成教育委員会』で、本作の戦闘BGMが数種類流れたことがある。それも一度や二度の放送で流れたのではなく、何度も使われている。
//バラエティ番組でゲームBGMが使われる事って珍しいことじゃないよ
-続編の『[[魔法陣グルグル2]]』は、本作とはシステムや原作再現度がまた違ったテイストの作品となっているが、本作をプレイした人を意識したネタが組み込まれている。
*魔法陣グルグル
【まほうじんぐるぐる】
|ジャンル|RPG|&image(http://g-ec2.images-amazon.com/images/G/09/ciu/21/f2/dcb1d0b28fa06c19b2e1d110.L._SX120_.jpg)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|タムタム|~|
|発売日|1995年4月21日|~|
|定価|10,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|完全オリジナルストーリー&br他に類を見ない独特のシステム&br''「ゆうしゃさま がんばって」''|~|
|>|>|CENTER:''[[少年ガンガン関連作品リンク>少年ガンガンシリーズ]]''|
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**概要
人気漫画『魔法陣グルグル』をもとにしたキャラゲー。~
勇者ニケ・魔法使いククリは、世界に再び夜明けを訪れさせるため、モンスターに占拠されてしまったオクロックの塔を攻略する。~
始めに文章の理解を円滑にするために説明しておくと、「グルグル」とはククリが操る魔法のこと。魔法陣を描いて、召喚するように発動させる。
**特徴
-『不思議のダンジョン』などのローグ系に従来のRPG要素をかけ合わせたようなシステム。
--フィールドはなく、冒険の舞台はすべてひとつの町の中に集約されている。オクロックの塔(本作のダンジョン)にもすべてこの町から行ける。
--塔は13本あり、どの塔からでも自由に攻略することができる。ただしラスボスがいる13本目の塔に入るには、他の12本の塔全てをクリアしなければならない。
--塔内部の地形やアイテム配置は挑むたびに変化する(一部例外あり)。マップを紙に書くなどしても無意味ということ。
--塔を攻略するにつれて、住民の会話に変化が生じたり、店の品揃えに変化が起こる。
--戦闘はシンボルエンカウント方式。探索時の移動は基本的にターン制であり、こちらが動かなければ、モンスターのシンボルも止まったままとなる。
-町の住民は、原作に登場するキャラクターたちが担当している。
-ニケとククリにはアニメ版準拠の声が付いていて、要所要所で喋ってくれる。
//スタッフロールには掲載されていない。
//↑ 「RADIO ACTRESS」表記にて掲載あり
***戦闘システム
-戦闘では前衛のニケと後衛のククリとで役割が分かれ、ニケが接近戦で敵を攻撃し、ククリは魔法攻撃で援護する。そして、''ニケは自動で動き、プレイヤーはククリを操作し、魔法陣を作って敵を攻撃する。''
--ニケの行動アルゴリズムは4段階になっており、プレイヤーが内容を指示する。アルゴリズムはそれぞれ「ガンガンいっちゃえ(攻撃重視)」「ゆうしゃさま がんばって(バランス)」「むりしないでね(防御重視)」「まかせて ゆうしゃさま(防御に専念)」となっており、同社の『[[ドラゴンクエスト>ドラゴンクエストシリーズ]]』に準拠したものとなっている。
--ニケの武器には4種類あり、グローブ(無装備)、剣、球(フレイル)、ハンマーの順に攻撃モーションの隙が小さい代わりに一発の攻撃力も小さくなる((攻略本でもニケがハンマーについて「いっちばん強力なんだよな~。」と言う、という描写がなされている。))。
--ククリは塔をクリアするごとに異なる「シンボル」を習得していき、それぞれを組み合わせることで新しいグルグルを生み出していく。
-グルグルはやたら消費MPが多く、ククリの初期MPではほとんどの魔法が満足に使用できない。しかしレベルが上がるごとに最大MPが伸びていき、強力なグルグルも発動できるようになっていく。''魔法は覚えているのにMPが足りなくて使えない''という、いかにも未熟なククリらしい原作再現が成されている。
--そして一度魔法を使うだけでククリのMPはスッカラカンになってしまう。しかし、MP回復アイテムが簡単に入手できるので((HP回復アイテムの入手も同様に簡単である。))、''大魔法で敵を粉砕し、即座にアイテムでMPを全回復させる''という、独特のゲームバランスになっている。
---同社の『ドラゴンクエスト』で例えるなら、毎回の戦闘でマダンテを唱え、すぐにエルフの飲み薬で全回復させる感じに近い。
-魔法陣は戦闘以外でも使うことができ、罠として設置することも可能。敵に踏ませればそのまま消滅させることができる。
**評価点
-違和感のない原作再現と、原作に沿った戦闘方法。
--オリジナルストーリーで、キャラクターも本来の立ち位置を無視されているが、肝心のツボはしっかりと抑えられている。話の筋も原作にありそうな展開で、また「1箇所に留まって塔を攻略するというストーリー」がいかにもゲームらしい構成になっている。
--魔法陣を描いて攻撃するシステムが原作に沿いながらも、ゲームとして独特の面白さを生み出しており、見事な要素の融合に成功している。
-登場する魔法はほとんどがゲームオリジナル。だがこれにもいかにも原作らしい魔法が採用されている。
--グルグルの中にはキャラクターを直接召喚させる魔法もあり、キタキタおやじやギップルなどを戦闘で戦わせることも可能。そしてあの伝説の魔法''「ザムディン((実際には魔法ではなく、原作やアニメに登場したキャラクターの「おじいさん」の名前である。82歳。))」''も登場する。
--このように原作の雰囲気を保ちつつ、それぞれの要素をゲームとしてうまくマッチングさせ、それが面白さへとダイレクトにつながっているのである。これはキャラゲーとして非常に重要な点である。
-塔は、迷路状のフロアをただ進むだけではあるものの、それを飽きさせない各種ギミックが仕組まれている。
--たとえば6番目の塔や8番目の塔には「踏むと強制的に移動させられるトラップ床」や「移動方向を制限させられるトラップ床」があり、フロアが一種のパズルのようになっている。よく見るとモンスターもきちんと床のルールに従って移動しているのが面白い。
--特に8番目の塔は、特定のザコモンスターを倒すことでトラップ床の効果をオン・オフできたり、強制移動の方向を変更させたりできるため、パズル要素が高い。
--モンスターの動きもさまざまで、3番目の塔には「その場から動かずに待ち伏せしているモンスター」が、7番目の塔には「ターン制を無視してリアルタイムで動くモンスター」がいる。
--10番目の塔と12番目の塔では、他の塔では常時表示されていたマップが非表示になっている。モンスターの居場所をチェックできないだけでなく、何も考えずに進んでいると迷子になりやすい。マップを表示させる魔法もあることにはあるが、その魔法をククリが覚えるのは10番目の塔をクリアした直後、というイジワルっぷり。
--ボスモンスターについてもギミックがいくつかある。2番目の塔のボスはこちらが特定のアイテムを装備していないと戦えない。また、11番目の塔のボスは姿が透明であり、ニケとククリを惑わせてくる。
-バラエティ豊かなBGM。
--それぞれの塔、それぞれのボスに専用の曲が用意されている。(一部例外あり)
--ザコモンスターにも数種類の曲が用意されており、雰囲気に合った曲の使われ方がされている。
**問題点
-各種魔法の強さの格差が激しい。
--グルグルは非常に不安定な魔法であり、失敗したときと成功したときの差が激しい。これを如実に再現しているためか、習得する順番をまるで無視して魔法が極端に強かったり弱かったりする。また消費MPと実際の威力や性能が釣り合っておらず、存在価値のない魔法が数多く存在する。
--「しょうかん」「さかさま」「ちから」「きまぐれ」のように使いづらさが目立つ魔法も多い。
---「しょうかん」は1回に数100ものMPを消費するにもかかわらず、ほとんどの魔法が''特殊アイテムを持っていない限りそのキャラクターが出てきて終わり(完全に無意味)''という地雷魔法。
---特殊アイテムが手に入るのはゲーム終盤で敵からのドロップと一部の塔に出現する宝箱からのみ。最強の攻撃魔法であるザムディンを使ってくれる「ザザ」のようなキャラもいるにはいるが、わざわざアイテムを用意してまでその魔法を使わなくても、''触媒なしで使えるもっと強力な魔法が存在する''。
---「さかさま」は本当に魔法の効力をひっくり返したような性能で「敵の後衛を攻撃するが''後衛がいない場合はニケを攻撃する''」といった効果を持つものが多く使用状況に注意が必要。
---「ちから」は文字通り魔法の効力がパワーアップしているのだがそのため攻撃魔法だと''ニケを巻き添えにしてしまう''。
---「きまぐれ」は文字通りランダム性があり''効果が敵に発動するかニケに発動するか分からない''ものが多い。
--「わな」の魔法は主に敵シンボルを消滅させるが、属性ごとの差が無い。
---攻略本には風属性の罠は、敵をマップ上の違う場所へ吹き飛ばすと書かれているが、今作の敵は無限沸きのため、吹き飛ばそうが消滅させようがエフェクト以外に違いが無い。
--先述のようにマップが表示されていない塔では魔法でマップを表示させることができるのだが、それとは逆に''表示されているマップを表示されなくしてしまう魔法''も存在する。
--他方で強すぎる魔法も存在する。代表的なのが「いかりのほのお」。
---ゲーム中盤で習得するのだが、威力と燃費が他の魔法と比べてチートクラスで、''撃てば相手は死ぬ''。これを使えば大半の戦闘は一瞬で片がつく。この魔法に限ったことではないが、敵が死ぬ演出が二度発生することがあり、この場合は経験値が1匹分多くなる。
---逆にこの魔法を使わないとなると、戦闘の難易度が急激に跳ね上がる。なので初心者救済用の魔法として存在しているのかもしれない。
-登場するグルグルのほとんどがオリジナル。モンスターもオリジナル。
--後のメインキャラクターになるジュジュは、今作では一切登場しない。
--原作のモンスターもこれまた一切存在しない。「ザムディン」はあるのに、その魔法を食らったカセギゴールドは出てこない。
--原作の進み具合は、おそらく2巻辺りまで。この時期はまだほとんどグルグルが登場しておらず、習得する魔法のほぼ全てが独自のグルグルで埋め尽くされている。
---原作に登場する魔法で再現されたのは「トカゲのしっぽ」や「ながいこえのネコ」くらい。「ツチヘビ」もなければ「ベームベーム」も存在しない。
---もう少しストーリーが進んだ時期であれば、「へびいちご」や「ミグミグげきじょう」、「じいさんだいかつやく」や「くまたいよう」など、より原作に沿った魔法をこのシステムで採用できただろう。その点は開発期間的に残念である。
-戦闘の難易度が低い。
--前述で述べたような強力なグルグルを使えば、戦闘は敵をなぎ払うだけの単純な作業になってしまう。
--''戦闘中でも敵の攻撃モーションを強制的にストップさせてアイテムメニューが開ける''という仕様のため、常にHPゲージに気を配り回復アイテムを切らさないようにすれば、実質死ぬ要素がない。
---ただしレベルが低いうちに後半のダンジョンに挑んだり、ボスキャラが相手だったりすると、強力な攻撃で一気に体力を削り取られるため、ちょっと目を離しているうちにやられてしまうということはあり得る。
---塔によって入手できるアイテムの偏りが激しく、潜る順番によっては、回復アイテムが足りなくなることもある。
--これは味方のアクションでも同様。たとえば魔法の発動に必要なMPが足りなくても、ククリが魔法陣を描いている最中にメニューを開いて回復させれば普通に使うことができる。
--ただし、戦闘で負けてしまうと塔の外に追い出されて再び1階からやり直しとなるうえ、死んだときに自動的に復活するような回復アイテム・防御魔法は本作には存在しない。塔の上層部での戦闘、特にボス戦は緊張感が高まるという意味ではそこまで「難易度が低い」とはいえないかもしれない。
---ニケかククリ、どちらかのHPが0になると全滅扱い。攻略中のダンジョンから外に出されるが、所持金が半減するだけでやりなおしという、ドラクエ的なコンティニュー。
-深刻な金不足。
--このゲームでは敵と戦闘してもお金が手に入らず、入手できるのはダンジョンの宝箱、もしくは装備品の売却のみ。
--ゲーム終盤になると装備品の値段が跳ね上がるため、順に買い揃えていくとまず金が足りなくなる。場合によってはクリア済みの塔に再挑戦して資金稼ぎをする必要があり、ゲームのテンポを削いでしまっている。
--ただし救済措置はあり、4番目の塔には大金が入った宝箱しか置かれていないフロアがあったり、6番目の塔には高額で売却できるレアアイテムを高確率で落とすモンスターが出現したりするため、冒険中にこれらの要素に気が付くことができればそれほど困るという事態には陥りにくい。
-物語の目的はオクロックの塔を攻略すること。''それだけ''。
--基本的に同じことの繰り返しであり、終わりも見えている。
--一応、隠しモードとして2周目が存在する。
---ストーリーに若干の変化があり、全てのグルグルを初めから使えるのだが、''レベル・アイテム・お金は引き継がれない。''
---序盤から強力な魔法を使うにはMP・アイテムともに足りず、結局1周目と似たようなプレイスタイルになりがち。本作のボリュームで「最初からもう1回」となると、果たして遊びたいかどうか。
-ニケの存在感が薄い。
--序盤こそ前衛のアタッカーとして頼りになってくれるが、ククリが強力なグルグルを習得するにつれて、お株を奪われがちになる。終盤にもなると、もはや''ククリを守るための肉の壁である''。
--原作でも光魔法を習得するまではよくわからない存在だったので、ある意味この時期までの原作再現らしい。
-''防御力が受けるダメージに一切影響しないバグがある。''装備品どころか防御力を上昇させる魔法すら意味がない。なお属性耐性は有効。
--但し敵の攻撃属性に関しては、存在はゲーム中で説明されているものの、実際の属性を知る術が無い。
-その一方で実は壊れ要素もあり、今作には『トロルののみもの』という攻撃力を1.25倍にするアイテムが存在している。このアイテム、1回の戦闘中だけかと思いきや''永続効果のドーピングアイテム''の上に''中盤の聖なる塔で無限に入手可能で何度でも使える''ため、そこで粘ってドーピングするだけしてしまえばワンパンで全ての敵を蹴散らす最強の勇者へと変貌してしまう。これはひどい。
--エニックスの公式ガイドブックには「攻撃力を、1上げる」としか書かれていないので設定ミスと思われる。
-レアアイテムの微妙な存在感。
--今作では敵や宝箱から、極低確率で入手できるアイテムや装備がいくつか存在する。歩くたびにHPが回復する「フェアリーリング」や、消費MPを半減する「ふしぎなくし」はあれば便利といったところだが、「そらとぶくつ」((塔の外に脱出できるアイテム。しばらく物語を進めると、同じ効果のアイテムが市販される。))や「おうさまのこころ」((100R以下のお金を切り上げる。所持金に応じて、0R~900Rのお金が手に入るが、終盤でこの程度のお金が得られたところで…))といった入手手間の割に首をかしげたくなる性能のものも。
--宝箱から手に入る武器に至っては、店売り品が混ざっている一方、非売品の武器がなぜか店売りの武器より性能が低いものがある。
**総評
キャラゲーとしての水準を抑えつつ、ゲームとして消化させるという重大要素を見事にこなしている一本。~
戦闘のバランスやストーリーにはおざなりな部分も多く、ゲーム単体としてみると至らない点も目立つが、グルグルファンなら遊んで損はない。~
魔法使いにスポットを当てた作品は珍しいので、「魔法使いなりきりアクション」としてプレイするのも面白いだろう。
**余談
//-フジテレビ『平成教育委員会』で、本作の戦闘BGMが数種類流れたことがある。それも一度や二度の放送で流れたのではなく、何度も使われている。
//バラエティ番組でゲームBGMが使われる事って珍しいことじゃないよ
-続編の『[[魔法陣グルグル2]]』は、本作とはシステムや原作再現度がまた違ったテイストの作品となっているが、本作をプレイした人を意識したネタが組み込まれている。
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- --塔を攻略するにつれて、住民の会話に変化が生じたり、店の品揃えに変化が起こる。
- --戦闘はシンボルエンカウント方式。基本的にターン制であり、こちらが動かなければ、モンスターも止まったままとなる。
- -町の住民は、原作に登場するキャラクターたちが担当している。
- -ニケとククリにはアニメ版準拠の声が付いていて、要所要所で喋ってくれるが、スタッフロールには掲載されていない。
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- -深刻な金不足。
- --このゲームでは敵と戦闘してもお金が手に入らず、入手できるのはダンジョンの宝箱、もしくは店屋でのアイテム売却のみ。
- --ゲーム終盤になると装備品の値段が跳ね上がるため、順に買い揃えていくとまず金が足りなくなる。場合によってはクリア済みの塔に再挑戦して資金稼ぎをする必要があり、ゲームのテンポを削いでしまっている。
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- --基本的に同じことの繰り返しであり、終わりも見えている。
- --隠しモードとして2周目が存在する。ストーリーに若干の変化がある、全てのグルグルを初めから使える、といった内容ではあるが、レベル・アイテム・お金を1周目から引き継いでこれないため強力な魔法を使うにはMPも足りずアイテムも足りず、結局1周目と似たようなプレイスタイルになりがち。このボリュームでもう1回は果たして遊びたいかどうか。
- -ニケの存在感が薄い。
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- --塔を攻略するにつれて、住民の会話に変化が生じたり、店の品揃えに変化が起こる。
- --戦闘はシンボルエンカウント方式。探索時の移動は基本的にターン制であり、こちらが動かなければ、モンスターのシンボルも止まったままとなる。
- -町の住民は、原作に登場するキャラクターたちが担当している。
- -ニケとククリにはアニメ版準拠の声が付いていて、要所要所で喋ってくれる。
- //スタッフロールには掲載されていない。
- //↑ 「RADIO ACTRESS」表記にて掲載あり
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- -深刻な金不足。
- --このゲームでは敵と戦闘してもお金が手に入らず、入手できるのはダンジョンの宝箱、もしくは装備品の売却のみ。
- --ゲーム終盤になると装備品の値段が跳ね上がるため、順に買い揃えていくとまず金が足りなくなる。場合によってはクリア済みの塔に再挑戦して資金稼ぎをする必要があり、ゲームのテンポを削いでしまっている。
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- --基本的に同じことの繰り返しであり、終わりも見えている。
- --一応、隠しモードとして2周目が存在する。
- ---ストーリーに若干の変化があり、全てのグルグルを初めから使えるのだが、''レベル・アイテム・お金は引き継がれない。''
- ---序盤から強力な魔法を使うにはMP・アイテムともに足りず、結局1周目と似たようなプレイスタイルになりがち。本作のボリュームで「最初からもう1回」となると、果たして遊びたいかどうか。
- -ニケの存在感が薄い。
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