純粋なる混沌の存在、蛇のようなプロティアンはリンボの無秩序な反現実の中をのたうち、気まぐれに現実を作り変える。彼ら自身の歴史によると、最初の神々が生の混沌から他の次元界を引き上げた時には彼らはすでにここにいたという。そして彼らはそれからずっとその侮辱に対して戦い続けている。全てのプロティアンは代々、そしてイデオロギー的にアクシス、ヘヴン、ヘル、そしてとりわけそれらの次元界の住人たちの敵であり、次元界自体の利益のため、そして彼ら自身の神秘的な神――リンボそのものの生ある一面なのかもしれない二面的な神格――の大いなる栄光のために、俗な現実のつまらない、静的なひろがりをリンボの美しい矛盾に戻すことが己の聖なる義務であるとみなしている。彼らはリンボの生きて呼吸をする免疫システムであり、つまらなさの蔓延を根絶し、美しいエントロピーに置き換える。
形態においても哲学においても原初の存在であるプロティアンは、創造と破壊の両面を最も完璧に体現する種族である(あるアイオーンはこの主張に異を唱えるかもしれないが)。彼らの言語さえ変わりやすく、あまりに速く進化するため魔法の助けなくして理解できる外来者はほとんどいない。繁殖は性的結合から分裂によって自発的に発生するまで、幅広く多様な形態をとることができ、生態的な研究はほとんど不可能である。生来の外見の類似も疑わしいにもかかわらず、プロティアンを真に1つの種族としている2つの事実があり、すなわちその奇妙な神に対する隷属的な傾倒と、我々が知る現実を消滅させるという熱狂的な願望である。
プロティアンはそれぞれが独自の能力と役割を持ついくつかの亜種またはカーストに分類される。ここに示された4種以外のプロティアンが存在することは疑いないが、これらの4種ほど他の種族と関わることはない。
ヴォイドワーム:より強力なプロティアンからはその関係を否定され、彼らからはこの小さな存在を恥だと思われているが、それにもかかわらずヴォイドワームは真のプロティアンの特徴を全て保持しており、しばしばリンボを大きな群れで泳いでいたり術者に使い魔として仕えているのが見られる。
ナウネト:文化的な意味ではほとんど何も持っていない強大なるナウネトは真のプロティアンの中では最も獣的であり、認知されている中で最も低いカーストとされる。ナウネトはプロティアン種族の突撃兵であり、リンボと他の次元界との境界を巡察し、秩序の侵入を探し、彼らの敵の領域に野蛮な襲撃を行う。
イメンテッシュ:この狡猾なプロティアンは最もダメージを与えるところで情報とほのめかしを囁き、秩序の勢力をそれ自体のシステムの中から倒そうとする。常に創造的な彼らはリンボの地形をその空想のままに改変することを好むが、他の次元界の風景とクリーチャーを歪めることをさらに楽しむ。
ケケター:リンボそのものの神官王にして声であるケケターはその奇妙な神の名の元に同類たちを支配する。彼らの姿は非常に変わりやすいが、ケケターは琥珀色または菫色に輝く目としばしば彼らの頭部の上に現れる回り続け変わり続けるシンボルの王冠によって、常にそれと知ることができる。合唱団と呼ばれる結社に組織されたケケターたちは、エントロピーの意志を理解しそれに従うことのみを追求する。
プロティアン・ロード
ケケターはプロティアン種族の最高カーストであるが、最強の合唱団すら恥じ入るような稀な個体が数体存在する。デーモン・ロードや至高天の王たちに等しい力を持つ、プロティアン・ロードとして知られる存在は謎めいており、他のプロティアンよりもはるかに古く、恐らくは多次元宇宙のかつての輪廻の際に、あるいはリンボの深みの彼方で生み出された。プロティアン・ロードは直接の指導をすることを嫌い、彼ら自身の望みのままに振る舞い、時としてより弱い同類たちに助言し、あるいは彼ら自身に匹敵する力を持つ存在に不可解な目を注ぐために現れる。
歪曲波
多くのプロティアン、特にイメンテッシュは歪曲波として知られる現実に波紋を作り出し操作する能力を持つ。プロティアンでさえ歪曲波がもたらすであろう効果を予測することはできない。クリーチャーが歪曲波の効果を受けた場合、1d20を振り下の表でエントロピーのエネルギーがどんな効果を持っていたかを確認すること。
d20 |
歪曲波の効果 |
1 |
目標は2ポイントの【筋力】ダメージを受ける |
2 |
目標は2ポイントの【敏捷力】ダメージを受ける |
3 |
目標は2ポイントの【耐久力】ダメージを受ける |
4 |
目標は2ポイントの【知力】ダメージを受ける |
5 |
目標は2ポイントの【判断力】ダメージを受ける |
6 |
目標は2ポイントの【魅力】ダメージを受ける |
7 |
目標は1レベルの負のレベルを受ける |
8 |
目標は1d4ラウンドの間盲目状態または聴覚喪失状態になる |
9 |
目標は1d4ラウンドの間混乱状態になる |
10 |
目標は1d4ラウンドの間エネルギーの線に絡みつかれた状態になる |
11 |
目標は疲労状態になる(すでに疲労状態の場合は過労状態になる) |
12 |
目標は1d4ラウンドの間吐き気がする状態になる |
13 |
目標は1d4ラウンドの間朦朧状態になる |
14 |
目標は1d4ラウンドの間不調状態になる |
15 |
目標は1d4ラウンドの間よろめき状態になる |
16 |
目標は4d6ポイントの一時的ヒット・ポイントを得る |
17 |
目標はヒール 呪文(術者レベル=プロティアンの脅威度)の効果を受ける |
18 |
目標は石化状態になる |
19 |
目標はベイルフル・ポリモーフ (術者レベル=プロティアンの脅威度)の効果を受ける |
20 |
目標の肉体の一部が爆発しランダムなタイプ([酸]、[冷気]、[電気]、[火]から選択)のエネルギーとなり、目標に4d6ポイントのそのタイプのエネルギー・ダメージを与える |
この蛇のようなクリーチャーは蛇の下半身、人型生物の上半身、鳥のような頭部と
爪を持つ。
イメンテッシュ 脅威度10 Imentesh
防御
AC 25、接触12、立ちすくみ22(+13外皮、-1サイズ、+3【敏】)
hp 123(13d10+52);
高速治癒5
頑健 +12、
反応 +7、
意志 +14
防御能力 不定形の構造、フリーダム・オヴ・ムーヴメント;
DR 10/秩序;
完全耐性 [酸]、(ポリモーフ);
抵抗 [音波]10、[電気]10;
SR 21
攻撃
移動速度 30フィート、
飛行30フィート(完璧)、水泳30フィート
近接 噛みつき=+19(2d6+7)、
爪(×2)=+19(1d8+7)、
尾=+17(1d8+3、加えて“
つかみ”)
接敵面 10フィート;
間合い 10フィート
特殊攻撃 急所攻撃+4d6、
締めつけ(1d8+7)、歪曲波攻撃
擬似呪文能力 (術者レベル10;精神集中+15)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(リンボ)
編成 単体、2体、または使節団(3~10)
宝物 標準
特殊能力
歪曲波攻撃(超常)/Inflict Warpwave 標準アクションとして、イメンテッシュは100フィート以内にいる1体の実体のあるクリーチャーに歪曲波攻撃を行うことができる。目標はDC20の頑健セーヴを行えば歪曲波の効果に抵抗することができる。イメンテッシュが望む場合、この能力を即行アクションとして用いることができるが、そうした場合自身の頑健セーヴを使ってこの効果に抵抗しない限り、自分も歪曲波の効果を受ける。歪曲波が引き起こす可能性のある効果の表は
213ページを参照すること。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。
混沌の宣教師にして現実の最後の秘密の先触、イメンテッシュはリンボの外で最も会う可能性が高いプロティアンである。時として多弁で礼儀をわきまえた行いにもかかわらず、イメンテッシュのエントロピーの計画は常にその心の最も上位にあり、その生来の狂気はその柔らかなテレパシーによる囁きに明らかで、意志の弱いものの心を歪めるおそれがある。
イメンテッシュは体長15フィート、体重1,200ポンド。
この蛇のようなクリーチャーの鱗の上を色彩が踊っている。奇妙なエネルギーの冠がこのものの爬虫類の頭部の上で輝いている。
ケケター 脅威度17 Keketar
防御
AC 32、接触14、立ちすくみ27(+18外皮、-1サイズ、+5【敏】)
hp 287(23d10+161);
高速治癒10
頑健 +22、
反応 +14、
意志 +22
防御能力 不定形の構造、フリーダム・オヴ・ムーヴメント;
DR 15/秩序;
完全耐性 [酸]、(ポリモーフ);
抵抗 [音波]10、[電気]10;
SR 28
攻撃
移動速度 40フィート、
飛行40フィート(完璧)、水泳40フィート
近接 噛みつき=+31(4d8+9、加えて“歪曲波”)、
爪(×2)=+31(2d6+9、加えて“歪曲波”)、
尾の打撃=+29(2d8+4、加えて“
つかみ”)
接敵面 10フィート;
間合い 10フィート
特殊攻撃 現実改変、
締めつけ1d8+9
擬似呪文能力 (術者レベル17;精神集中+24)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(リンボ)
編成 単体または一団(2~4)
宝物 標準
特殊能力
現実改変(擬呪)/Reshape Reality この能力は9レベル呪文にレベル上昇した
ミラージュ・アーケイナと同様に機能するが、生み出される変化は
シャドウ・カンジュレーションによって作り出されるものと同様に半現実である。現実改変に干渉を受けたクリーチャーは半現実の幻術を見抜くためにDC26の意志セーヴを行わなければならない。地形は視認困難を提供することができ、幻覚を見抜くための意志セーヴに失敗した敵に対しては改変された現実は遮蔽を提供することができる。信じないものに対しては、半現実の物品と地形は通常の20%の硬度とヒット・ポイントしか持たず、破壊するためのDCは通常よりも10低い。危険な地形は1ラウンドに5d6ポイントを越えるダメージを与えることはできない(信じないものに対しては1ラウンドに1d6ポイント)。この能力は存在する構造物にダメージを与えることはできず、次元間移動が禁じられた範囲内では機能しない。
空間潮衝(超常)/Spatial Riptide このプロティアンのオーラの中にテレポートで進入した、あるいはテレポートでそこから出たプロティアン以外のものはDC28の頑健セーヴを行わなければならず、失敗した場合は1d3ラウンドの間活動停止状態(
テンポラル・ステイシスと同一)になる。成功した場合は単に1ラウンドの間
吐き気がする状態となる。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。
歪曲波(超常)/Warpwave ケケターの
爪または
噛みつきが命中したクリーチャーはDC28の頑健セーヴを行わなければならず、失敗した場合は歪曲波の効果を受ける。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。
神官にして予言者であるケケターはその種族の指導者であり、全ての存在を原初の混沌に戻す聖なる使命にプロティアンを導く。
先端に噛みつく顎がついた触手がこの蛇のようなクリーチャーの背中から生え、爬虫類の顔にある危険な口を補っている。
ナウネト 脅威度7 Naunet
防御
AC 20、接触12、立ちすくみ17(+8外皮、-1サイズ、+3【敏】)
hp 94(9d10+45)
頑健 +11、
反応 +11、
意志 +6
防御能力 不定形の構造、フリーダム・オヴ・ムーヴメント;
DR 5/秩序;
完全耐性 [酸]、(ポリモーフ);
抵抗 [音波]10、[電気]10;
SR 18
攻撃
移動速度 30フィート、
飛行30フィート(完璧)、水泳30フィート
近接 噛みつき=+14(1d8+5)、
尾の打撃=+11(1d6+2、加えて“
つかみ”)、
触手(×2)=+11(1d6+2、加えて
混乱状態)
接敵面 10フィート;
間合い 10フィート
特殊攻撃 混沌結合、
締めつけ(1d6+5)、打撃進化
擬似呪文能力 (術者レベル7;精神集中+9)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(リンボ)
編成 単体、2体、または騒がしい一団(3~12)
宝物 なし
特殊能力
打撃進化(超常)/Adaptive Strike ナウネトの肉体武器は
ダメージ減少を克服する目的では魔法かつ混沌とみなされる。1ラウンドに1回フリー・アクションとしてナウネトはその肉体武器の全てにアダマンティン、銀、または冷たい鉄を注入し、これらのタイプの
ダメージ減少も克服できるようにできる。
混沌結合(超常)/Coalesce Chaos 1日に1回標準アクションとして、3体以上のナウネトが協力して多色の混沌物質ののたくる雲を作り出すことができる。この効果は
ソリッド・フォッグ(術者レベル12)と同一で、2d6ラウンドの間継続する。6対以上のナウネトが存在する場合、混沌結合は
アシッド・フォッグ(術者レベル12)のように機能する。
混乱(超常)/Confusion ナウネトの
触手攻撃が命中したクリーチャーは生の混沌が注入され、DC19の意志セーヴを行わなければならず、失敗した場合は1ラウンドの間
混乱状態になる。この方法で受けた
混乱状態のラウンド数は累積する。その属性に何らかの混沌を含むクリーチャーは、この効果に対するセーヴに+4のボーナスを得、混沌の副種別を持つクリーチャーは
完全耐性を持つ。これは[精神作用]効果である。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。
その同類よりもはるかに獣的なナウネトは真のプロティアンの中で最下層のカーストで、種族の突撃兵、混沌を目的とする放浪の襲撃者である。ナウネトは主としてリンボと他の次元界の移り変わる境界線上で見られ、そのような地域の安定性と固定性に半狂乱になり、しばしば他の次元界の周縁部を蹂躙し、現実そのものの構造を引き裂いて広大な土地を彼らの故郷の美しく形無き可能性へと戻す。
ナウネトは体長12フィート、体重900ポンド。
この小さな虹色の蛇は虚空を滑り進み、その周りの空気は熱によるもののように歪んでいる。
ヴォイドワーム 脅威度2 Voidworm
防御
AC 15、接触15、立ちすくみ12(+2サイズ、+3【敏】)
hp 16(3d10);
高速治癒2
頑健 +1、
反応 +6、
意志 +2
防御能力 不定形の構造、フリーダム・オヴ・ムーヴメント;
完全耐性 [酸];
抵抗 [音波]10、[電気]10
攻撃
移動速度 20フィート、
飛行50フィート(完璧)
近接 噛みつき=+8(1d3-2)、
尾の打撃=+3(1d3-2、加えて“混乱”)
接敵面 2・1/2フィート;
間合い 0フィート
擬似呪文能力 (術者レベル6;精神集中+7)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(リンボ)
編成 単体、2体、または群れ(3~18)
宝物 なし
特殊能力
混乱(超常)/Confusion ヴォイドワームの
尾の打撃が命中したクリーチャーはDC12の意志セーヴを行わなければならず、失敗した場合は1ラウンドの間
混乱状態になる。これは[精神作用]効果である。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。
ヴォイドワームと呼ばれる奇妙で享楽的なクリーチャーが本当にプロティアンなのかどうかという議論は怒りを引き起こす。彼らを使い魔として召喚したウィザードやソーサラーにとって、その答えは明白であるように見える。この小さなリンボの住人はプロティアンの種別特性を全て備え、その蛇のような姿となっている。しかし確立したプロティアンのカーストはそのような主張に法外な侮辱を見出し、その代わりにヴォイドワームをリンボの生の混沌から呼び出そうとする召喚行為が、術者の願望に従ってそれに形と生命を与えるのであり、このちっぽけな存在は自分たちという恐るべき同類たちのなまっちろい影に過ぎないのだという。ヴォイドワーム自身がこの問題に語ることはほとんどない。常に変り続ける“現実”という概念についてほとんど考えることはないヴォイドワームはほとんど因果を把握しておらず、彼らにとって過去など夢ほどの実質も重要性もない。ヴォイドワームを使い魔として得るためには術者は混沌にして中立属性で、術者レベル7と
《上級使い魔》特技がなければならない。
実際の起源に関わらず、ヴォイドワームはリンボの混沌の中で繁栄した生態的地位を占め、突進しひらめく群れを作り出し、ナウネトやそのほかの混沌の捕食者に狩られている。しかし定命のウィザードがもっともよくヴォイドワームに遭遇するのは召喚された使い魔としてである。この小さな蛇のようなクリーチャーは、とりわけ幻術士、力術士、そのほかの現実を歪め、成形しようとする魔法実践者たちにとって特に価値がある。使い魔の奇妙な論理と非常に短い集中力の持続時間のため、時として彼らの価値以上の揉め事の種になる。それでも彼らの混乱攻撃と非常な頑丈さは戦場のウィザードをひとかたならず救ってきたし、彼らの奇妙な思考過程は時として研究に独特の洞察を与える。より日常的な土地を旅する場合は、ウィザードはしばしばヴォイドワームの使い魔に彼らの変身能力を用いて通常のペットや動物の使い魔に変装するように命令するが、この変装はヴォイドワームが好奇心を見せたりふざけたりしてばれる傾向がある。
ヴォイドワームは体長わずか2フィート、体重は2ポンドだけである。色と模様が全く同じヴォイドワームはいない。その2枚の羽毛のような翼は一般的に体の残りの部分よりも明るい色をしており、ヴォイドワームが使い魔として召喚された場合には、この“翼”はその主の目と同じ色をしている。
最終更新:2016年11月20日 04:16