この人の本は恐らく初めて読みます。なんとなく暗い感じのお話でした。オチがある
内田康夫みたいな感じ。
物語は二人の視点から進みます。
片方は麻美子という二十代の女性。父は彼女が中学生の頃家を出て行き、伸吾という弟と母と3人で暮らしています。毎年誕生日に、父から子供へ愛情こもった手紙が届きます。子供達にはあまり父を恨む気持ちはなく、辛い時にその手紙を読み返していました。麻美子はもうすぐ高樹という男性と結婚するのですが、弟はそれに反対しています。理由は高樹が愛人がいたりろくでもない男性だからなのですが、麻美子はそんなことは承知しており、父の親友の工場に融資をしてもらう条件で結婚すると納得していました。ある日高樹の長年の愛人が殺される事件が起こり…。というお話です。
もう片方は圭一という、9年間殺人事件の加害者として服役しており、でてきたばかりの男性です。異父兄弟の兄と兄嫁の間のトラブルから、兄嫁を脅迫しようとした刑事を殺害しました。服役が終わり自分の9年間がいったい何のためにあったのかを納得するため、兄と兄嫁のトラブル、殺人を犯した直接のきっかけとなった刑事が発した言葉を思い出そうと関係者を捜し歩きます。
そしてこの二つのお話は、途中からつながり一つになります。
麻美子は無気力というか、無鉄砲というか、あまり馴染めないキャラでした。ただの花嫁修業中のお嬢さんなので、犯人探ししようとしてもうまく進みません。当たり前なんですけどね。無闇に歩き回っている割に何がしたいのか良く分からなくて、それでもなんとかうまくいったのが理解できませんでした。いろいろ詰め込みすぎのような気がします。
圭一も同じ。過去をはっきりしないと前に進めないというのは分かる気もするのですが、読んでいてイライラしました。叔父さんの気持ちを無にするんじゃねぇ!と思ってしまいます。どっちも共感できないキャラでした。
ただ暗いなりにもネタには凝っていて、登場人物はいけ好かなくてもよくできたお話だと思います。ラストはちょっとホロリ。
ここから先はネタバレです。
・麻美子の父はどこにいるのか。なぜ出て行ったのか。
・高樹とその愛人殺人事件の犯人は?
・圭一の兄嫁の相手は誰だったのか。
・圭一の兄は本当に自殺だったのか。
・山部の息子は立ち直るのか。
・圭一は刑事から何を聞いて殺人に至ったのか。
う~ん、やっぱり詰め込みすぎだと思うなぁ。高樹殺人の犯人探しってそんなに大事かなぁ。山部の息子が自暴自棄になるところもいらんと思うし。歌子もいらんかったように思う。その分登場人物のキャラ作りがおざなりになっているように感じました。特に麻美子は同じ女性ながら、一つも共感できなかった。失礼ながら男性の描く女性って感じがしました。伸吾の彼女も、歌子も。
最後のダンボール一杯の手紙は、泣きそうになってしまいました。ストーリー的にも「やっとここに戻ってきたか」とも思えましたし。やっぱりこのお話は「父からの手紙」を中心に据えて、他のエピソードは削り気味にした方がよかったんちゃうかな、と思います。
(2007/06/30)
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最終更新:2007年07月09日 01:25