宇江佐真理

甘露梅―お針子おとせ吉原春秋


 江戸時代の庶民のお話でした。地味にこの系統のお話好きなのですが、買うほどでもなし、でも読み返すにはこの辺が一番気楽なのです。これは図書館で借りました。平岩弓枝のかわせみシリーズみたいなのが好きな人にはお勧め。
 これは岡引の亭主に先立たれ母一人息子一人になった、所謂おばちゃん世代のお話でした。実写するなら市原悦子一押しです。息子が嫁を貰うことで家が狭くなり、しょうがなく住み込みで働くことになった悦子(仮)。なんだかやりきれない思いをしながら、働く先は吉原でのお針子。市井のお話に加え、吉原独特の空気も感じられて面白かったです。
 なぜ悦子(仮)を思い浮かべたかというと、それこそ「家政婦は見た」ばりに無関係なのにいろんなことに口を出す口を出す。この時代の女性は謙虚で、読んでいてすごーく「なんでやー!」と思うことはあるのですが、それとお節介は両立するんですね。ただの儚げな女性なら「きー!」となって終わってたけど、女性の美徳(とされるもの)とお節介お針子を矛盾無く描いているところが面白かったです。「おいおい」と呆れることもあったけど。
 この時代ならではの理不尽なことがたくさん描かれていますが、多分そっちが本当なんでしょう。それを描かないでお江戸を語るのは難しい(実際私が見てきたわけじゃないけど)ように思います。中身は短編になっていて読みやすいです。
(2009/02/13)

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最終更新:2009年06月07日 17:25
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