赤石路代

暁のARIA(アリア) 1巻


  赤石さんの続き物の第一巻です。大正っぽい時代で、偉いさんの妾腹の娘『ありあ』が、女学校で腹違いの兄妹に出会ってさぁこれからどうなるんだろうというお話。ありあと妹は歌を習ってますが、ありあの方が巧いし片思いの先生はありあに優しいし、妹は気が気じゃありません。
 あらすじがぞんざいになってしまいましたが、まだ一巻だからか特に面白い!というわけではありませんでした。ありあは奔放に育っていてそういうところが魅力的、妹はええとこのお嬢様だけど人間的につまらないし妾腹のありあに嫉妬する、というなんだかどこかで見たことがありそうな話だなぁと思ってしまいます。
 ・妹は「賤しい生まれの癖に!」みたいなベタないじめをするんだろうなぁとか、
 ・ありあがそれで傷ついたりしてると、周りの男がよってたかって慰めるんだろうなぁとか、
 ・快く思っていないはずの兄もなんだかんだでありあに惹かれるんだろうなぁとか、
 ・「温室育ちが私にかなうわけないじゃない」て反撃するんだろうなぁとか、
 ・歌も妹よりありあの方が巧くなって、妹が「キー!」てなるんだろうなぁとか
 ・結局ありあの男女ハーレム話なんでしょとか、
そんな風にひねくれた考えをしてしまう私でありました。
 AMAKUSAは続きましたが、なんだかこれはあまり続きそうにない予感がします。まぁまだまだ一巻なので続きに期待かな。
(2006/12/21)

AMAKUSA1637




 赤石路代さんは「P.A.」や「シネマの帝国」「ワン・モア・ジャンプ」とか書かれている人です。一番有名なのは「アルペンローゼ」でしょうか。コンスタントに作品を発表しておられるベテランさんです。
 昔は「面白い!」と思って読んでたんですが、二十代も半ばになるとあまり面白く感じなくなってきた漫画家さんであります。ただ単に「AMAKUSA1637」が嫌いだっただけかもしれませんが。多分ほとんどの本読んでます。
 この漫画は題名の通り歴史上の人物「天草四郎」を描いた作品です。といっても史実に沿ったお話ではなく、天草の乱を起こしたのは現代からタイムスリップした高校生達だった、というストーリーになっています。表紙の著者からのメッセージの部分には、「ずっとこのお話を書きたいと思っていた」といったことが書かれていました。思い入れのある作品なのでしょうか。12巻で完結しました。
 早弓夏月は剣道の達人で、高校生の女の子。船での修学旅行中に嵐にあい、気付くと江戸時代の天草にいました。一緒にタイムスリップした英理(超頭いい)、聖香(歌が上手く外国語が得意)、少し前にタイムスリップした宮本(宮本武蔵になってた)、八塚(富岡城代となっていた)、栄治(発明王)は、高校の生徒会仲間です。夏月は天草の民の貧しい暮らしを見て、一揆が起こることを懸念します。阪神大震災を経験した夏月は人が死ぬことに敏感で、それをどうしても止めたいと思います。そして一揆を成功させようとするのです。
 面白いか面白くないか、と言われれば微妙。本当にどっちとも言えないのです。読み始めると一気に読んでしまうんですけどね。自分が買う気にはなれませんでした。歴史上の人物を扱うだけに、「史実はどうするのかな~」とか思いながら読んじゃうからでしょうか。斜めに見てしまっていました。歴史物は難しいと思うんです。だって結果は決まっているから。歴史上の事実に沿って、多少の脚色を加えるようなお話はいいんです。例えば「結局信長は裏切られちゃうわけだけど、信長がこんな性格だからこうなっちゃったんだよ」とかそんなお話は。でも今回のお話は、歴史を知っている子達がそれに立ち向かおうとして、ちょっとした便利道具や知識を使って歴史を変えようとするのですから、歴史通りになれば「やっぱりそうなるんか」だし、逆なら「変えるんかい!」ってなるし。でも四郎が起こした奇跡を、現代の知識で再現しちゃうところは割りと面白かったです。
 結局どうしても馴染めなかったのが、主人公の夏月の性格でした。彼女は正義感の強い、人を殺せない、誰からも愛される性格なのです。今まさに自分の命を狙った人を捕まえて周囲の人がそいつを殺そうとすると「やめろ!この人にだった家族がいるんだ」とか言っちゃう。どーしてもそれがだめでした。なんか嘘っぽい。斜めに見ちゃう。私は戦争知らないし、生死の境みたいな極限の状態になったことないけど、本当にそれで通用しちゃうの?人間ってそんなに綺麗か?みたいに思っちゃうんですね。心が汚れてるのかしら。主人公の性格がいいから、それが全て良い方に向かうお話は、もう心の底から楽しめなくなってしまいました。「夏月を守る為ならどんな汚いことだってしちゃうわよ」っていう周りの人間の方に共感を覚えました。

 ネタバレになりますが、結局歴史を変えちゃいましたね。まぁもうここまでくれば変えざるを得ないんだろうなと思っていましたが。これで史実通りになっていたら悲惨すぎる。私が夏月なら狂う。最悪のパターンは現代に戻るという終わり方だと思うので、思い切って歴史変える選択をしたのは、いっそすがすがしくてよかったと思います。英理だけ元の世界に戻る、という終わり方は予想外でした。でも面白いと思います。最終巻が一番意外でした。
 でも思えば英理は夏月に寄せる気持ちがとても強かったので、よく考えれば意外じゃないのかな。ずっとこの終わり方を決めて、描いていたのでしょうかね。最後はちょっとほろっとしました。最初から最後まで英理が一番人間っぽかったなと思います。
 阪神大震災で人が死ぬところを見て、トラウマになったような描き方をされていましたが、これみよがしにそれを出されるとなんだかちょっともやもやしました。夏月が一揆を止めようとした理由をそれに当てられるところがどうしてもイヤなんです。この気持ちがどこから来るのかわかりませんが、上手く言葉で説明できたらまた書きたいと思います。 その他突っ込みたかったところ。
  阪神大震災に遭ったなら関西人とちゃうんかー!
  船の中でたまたま携帯電話のバッテリ持ってたってそんな都合のいいことってあるんかー!
  ていうか江戸時代の素材で電池作れるんかー!
  天草四郎の絵姿を真似たかったんやろうけどその服装はどうなんだー!
  ペットボトルをいくつかつなげたって、池の上を立ったまま移動できるんかー!
以上!!
(2006/04/26)

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最終更新:2009年06月07日 17:36
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