


2011年8月に突如「シティーハンターやっぱり好き好き祭り」が脳内で開催された。突発的と思われた祭りが9月半ばになっても閉幕を迎えない為、気持ちを整理する為に感想でも書こうと思う。感想というより、私が如何にリョウが好きか語っているだけで、果てしなく気持ち悪いですが、それでもよければ続きを読んでください。ちなみに冴羽リョウのリョウはけものへんで常用漢字じゃないらしいのでリョウで表記。
昔からずーっとリョウというキャラが好きだった。理想の男性は上杉達也と冴羽リョウって思ってた。てか言ってた。好きになるタイプは全然違うけど、痛々しいこの主張は今も変わらない。幼い頃の刷り込みって怖いね。
昔好きだった本を読み直すのは、少し怖い。大人になって感想が変わって、がっかりすることがあるから。幼いときはかっこよく見えたのに今読むとどう見ても厨二病だったり、感銘を受けた主張を子供っぽく感じたりして、その本とその本に対して持っていた長年の感動まで色褪せてしまうからだ。最も私は一度好きになったものには強力な「ご贔屓フィルター」が自動稼働するので、それを飛び越えたがっかりってのは、実はそんなに多くはないのだけど。
ともあれ、シティーハンターは大人になっても面白かったので良かった。むしろ、今の方が面白く感じた。というか、リョウの良さは大人になった今の方が分かる。つまり、現在祭りがとどまるところを知らない状態←今ここ。
新宿で、合法/非合法問わず依頼を解決するシティーハンター冴羽リョウ。基本的には依頼を受けてそれを解決する何話かが連なっている形式。当初は槇村秀幸という元刑事が相棒だったが、ユニオンテオーペという組織に殺されてしまい、その後は彼の妹槇村香が相棒を務める。無類の女好きのリョウは「美女からの依頼しか受けない」と言い張っているが、「心が震えたとき」にはその限りでなく、美女以外やお金にならない依頼も受けたりする。
狙撃手としての腕は一貫して一流で、強さのインフレが起こらないところは好ましい。主人公が少年でない(リョウは二十歳だと言い張っているが明らかに20代後半~30代前半)ところとか、人殺ししちゃうとか、少年ジャンプっぽくないなーという印象。リョウはセックスを目的とした女好きなんだけど、少年誌故かその辺は「もっこり」というマイルド(?)な表現に置き換えられていて、その「大人の話を少年誌向けにぼやかした」であろう結果のシティーハンターが私はとても好きだ。少年向けに回避する余りファンタジーなハードボイルドになるのではなく、描いていないだけというスタンスの方が妄想が広がるじゃないですか!!子供の頃は、もっこりが何のことか分からなかったし、ただ女の人が好きなのだなぁ位にしか思っていなかったけど、今読んだら描いてないだけであんなことやこんなこと、あまつさえそんなことまで多分やってるんだろうな、って想像(妄想)つくし。とまぁ、子供だって分からないなりに、大人なら尚更面白いと思えるシティーハンターが今もって大好きなのです(結論)。
とは言うものの、細かい「それはない!」はそれなりにあった。その上で、許せるか許せないはまた別。
・「カツラかぶっただけで別人」はありえない。声で分かるでしょ。 →許せない。
・ハンマーや武器がどこからともなく出てくる。 →漫画なので許せる。
・もっこりの強度、目が見えないのに運転。 →漫画なのでいいや。
・香が男に見える。 →モデルできる位のスタイルという設定なのにありえない。許せん。
・どつかれてもすぐ治る。 →漫画だからね。
・たまにせりふがくさい。 →少しいたたまれない。
あら、許せないのは香絡みだけだった。なんでだろ。あの二人が好きだからだろうか。
私はくどくど述べている通り、リョウが好きで好きでたまらない。なので香が好きか?と聞かれると、ちょっと返答に困る。「リョウと香」が好き、「リョウ」が好き、でも香だけだとちょっと落ちる感じがする。リョウが幸せになる為に香が必要、リョウが幸せならそれでいい、といったところか。むしろ「私の愛するリョウ」が好きな香にはもっと魅力的になってもらいたいとすら思う。故に香が「男みたい」と言われることに納得がいかない。そんなことないよ!美人って設定のはずだよ!
リョウの魅力について考えると息が苦しくなってくる。これが…、恋…?てな程に、魅力的なキャラクターだと思う。北条司は「リョウに出会ってしまった」と表現したとどっかで読んだが、ほんと素晴らしい。私が孤独を背負ったキャラに惹かれるのは、きっと半分位はリョウのせいに違いない。
というわけで、祭りがしばらく終わりそうにありません。15年毎位に開催されそうです。
ここから先はネタバレと、それからエンジェルハートのネタバレがあります。あときもいです。いつもきもいけど、もっときもい。
シティーハンターを読み直して、ネットでの二次創作を多分読み尽くして(まだ人気が衰えていないところが驚き)、読むものがなくなったけど飢えが収まらないので、エンジェルハートに手を出してみた。パラレルワールドと作者は言っているけど、あれのリョウもリョウだからね!もうリョウならなんでもいい。
思いかえせばシティーハンターの続編が始まる、ただし…な内容だと噂を聞き、ドキドキしながら手に取ったエンジェルハート。「香死去からスタート」というのは、当時大ファンではなかった私にもすごくショックだった。ずっとシティーハンターが好きで待ちわびていた人は、もっとショックだっただろう。元々私は感情移入しやすいんだけど、あの時はエンジェルハート読んで泣き、シティーハンター読んで泣き、たまたまやってた深夜アニメ見て泣いた。リョウと想いが通じた香が可哀想で、やっと愛するものを得たリョウが可哀想で。シティーハンターなんて全然泣くとこじゃないのに、泣けて泣けてしょうがなかった。
エンジェルハートは公式掲示板を封鎖するような騒ぎになって、北条司が「パラレルワールドだ」と言い切る事態になって、収束を迎えたらしい。実際、香が看護師だったり美樹がいないのに海坊主は喫茶kyタッツアイのマスターをしていたり、少しずつシティーハンターとは設定が違う。同じキャラを使用しての、パラレルワールドというは間違っていない。
ただ今になって思う。北条司は本当は、シティーハンターの続きを描きたかったのか、それとも本当にキャラを使った別のお話を描きたかったのか。香が死んでしまうのは本当に本当に悲しいことだけれど、そこから始まる続編は「有り」だと思う。シティーハンターは依頼があれば延々と続けられる、サザエさんワールドなお話だった。ただ、前作終了後何年も経って、鳴り物入りで始まる新雑誌で単純に続きが始まったとして、果たしてそれは受け入れられるだろうか。シティーハンターならそれでも私は嬉しかっただろうけど、作品に思い入れがなければ、私は「過去の遺産を食いつぶしている」と判断する気がする。スピンオフならまだいい、番外編でも構わない。でも雑誌連載ともなれば、そう思われてもしょうがないんじゃないか。根強いファンがいる中、安全パイなその方法を採らず主要キャラの死を決めたことはすごいと思っていいんじゃないか。だから私はパラレルワールドでなくても良かったかな、と思う。悲しいけど。悲しいけど。
北条司はリョウに対して並々ならぬ思い入れがあるようだけど、香も充分愛されている。エンジェルハート見ても、どれだけ香を神聖視しているか伝わる。完全に私見だけど、リョウに対しては「かっこいいリョウが描きたい」で、香に対しては「こうあって欲しい女性を描きたい」て感じがする。ついでにこう考えて、私が時々香に感じる、性格が掴めない等の違和感に納得した。
なんだかすっかりエンジェルハートの感想になってしまったけど、やっぱりこれは切っても切り離せない。エンジェルハートで時々出てくるリョウと香の回想シーンを見ると、シティーハンター最終巻の後はやっぱりこんな感じだったのかなーと妄想する。香が死んだことでリョウの孤独は一層増してしまった。エンジェルハートでは香がいないという前提なのでかなり難しいけど、幸せになって欲しいと真剣に願ってしまう。
気持ちを変えて。私がシティーハンターの好きなのは、やっぱり屈折したリョウの香への想いにヤキモキドキドキするところだと思う。いや他にもテンポが良いとか、武器描写がどうこうとか、色々あるんだろうけど、あくまで私の場合。
・浦上パパの職業がマスコミだと聞いた時の「まぁ俺よりはましか、うん」ってとことか。
・ソファで寝ている香に「寝言まで口が悪い」とか自嘲的に言った後、結局遼の部屋に香を運んで自分はソファで寝たところ。それを「おまえが追い出したんだ」とか素直じゃないとこ。
・ミックが香に夜這いをかけに行こうとして、止められなくて銃の手入れする手が震えているとこ。
・銃が暴発したって、夜這いの邪魔するとこ。
・キスしようとしたミックを香が突き飛ばしたとき、ちゃんと起きてたとこ。ここの焦っているような諦めているような自嘲しているような微妙な顔がたまらん。
・ちゃらちゃらすんなって香に言っているのは、攫われたときに女として魅力的だと危ないからでは?
・態度はそっけないのに、香の服に発信器をつけてるのって、めっちゃ心配してるよね。作業中のリョウを思うと微笑ましい。
・父親のように思っていた海原に裏切られたり、相棒のケニーかなんかを心ならずも殺してしまったり、壮絶な過去を背負っているのに、人に優しいところ。そして愛する人は傍に置けないと思っているところ。
・よくよく見たら、二人結構スキンシップが多いとこ。幽霊からの依頼の時は、怖がった香が何度も思いっきりしがみついたり抱きついたりして、太ももで顔を挟み込むように抱きついた時はちょっとだけ照れているように見える。香はその辺が無意識っぽいので、リョウは深刻ではないけれどやきもきしていればいい。ミックに焼き餅焼いたりするような描写もいいけど、一見他の女を追いかけている他の回でそういうところを探すのも楽しい。たーのーしーいー。
・香に起こされたいので、昼まで寝てるんだと思いたい。
・表の世界に返したい、でも傍に置きたい、と葛藤しているといい。
・女好きで女慣れしてるのに、香にはちょっかいかけない。というシチュエーションがそもそもおいしい。
・ハンマー避けられるのに、わざと当たってるとことか。それを指摘されると照れて否定するとことか。
・ちゃんと時々シリアスになるところとか。というかシリアスでは生きてこられなかったんだろうとか。
・さゆりと香が台所でご飯作ってるところに出くわした遼が、楽しそうな二人を見て引き返していくところとか。
・どの段階で香に人殺しをさせないと決めたのかとか。
・さゆりが本当に狙われているなら香を護衛にはつけないのに、とか言うとことか。
・冴子とは一発できないところとか。
・沙羅になって、遼の心の深いところを覗いてみたい!とか。
・(種族維持本能)じゃ、ないと、思う…ってシーンとか!
・銀狐と戦っている香をみて、まぁまぁかな、みたいなことを言っているところとか。
・銀狐は私が倒したのよフフンと香がえばっているときに、「だがな香、俺は…」って言うとこの顔とか。
・遼のお祖父さんかも、て人が現れた時の、最後のシーン。一人しか守れないって言うところとか。
・もうこの仕事以外はできない、と思っているところとか。
・香がミックのところへ出て行った時の、夜這いするミックに複雑な表情とか。
あれ、もう嫌いなところとか見つからないんですけど?みたいな。妄想が捗りますなガハハ!みたいな。
幸せだなぁ私。
(2012/11/30)

長々とエンジェルハート(以下AH)の感想も含めたシティーハンター(以下CH)感想文をしたためた後なんだけど、物足りなくて書いてしまおう。
AHは途中で読むのを止めてしまっていたけど、リョウ成分が足りなくなった為にまた読み出した。思うことは数あれど、やっぱり私は「北条司の描く冴羽リョウ」が好きだ。なので、新しいリョウが読める幸運に感謝したい。悲しみに打ちひしがれているリョウでも、私は読めて嬉しい。へんな言い方だけど、それがリョウならそれでもいい。
AHの主人公は香瑩(シャンイン)という女の子で、両親の顔を知らず物心ついた頃からある組織の殺し屋として育てられた。殺し屋としては優秀な彼女だったが、ある日人を殺すことに耐えられず投身自殺を図る。ところが組織は別の人に移植するため搬送途中だった心臓を強奪し、彼女に移植を行った。目覚めた彼女は、何かに突き動かされるように新宿を目指す。
導入部は香瑩の生い立ちや、リョウの元で暮らすようになる経緯が丁寧に描かれているが、要所要所でリョウや香の回想シーンが入る。主人公は香瑩だけど、リョウとの比重は五分五分に見えるので、私大満足。CHと大きく違うのは、家族愛をテーマにした話が多いところだと思う。
リョウの生い立ちも、香との出会いも、あらためて見るとCHとはだいぶ違う。違うんだけど、人物像は同じなのでやはり私大満足。作者至上主義なので、なるべくしてなった作品のように思えるようになった。受け入れられるのは、作者の登場人物に対する愛情を感じるからかもしれない。特に香は、死んでしまってはいるけれど、どんだけ愛されとんねんと思う。さっき人物像は同じと書いたけど、香は結構変わっている。慈愛に溢れ、素直で、パワーがあり、万人に愛された、そんな香になった。嫌な言い方をするけど、死んだことで一層神格化された。誰も死者には敵わない。リョウは香を忘れない。
書いているうちにAHの香に満足しているのか、だんだん分からなくなってきた。AHの香はハンマーは使うけど、どうもCHの香とは別人のように感じる。CHのときも彼女の人格に一貫しないものを感じていたけど、AHで完成したんだろうか。もしそうなら、CHの香が好きなファンは可哀想だろうな。だけどその扱いの変わりように、私は作者の香に対する思い入れを感じる。
漫画としても面白いと思うんだけど、既にリョウちゃん好き好きフィルターが稼働しているので冷静に判断できているか自信がない。マンネリ化しているようにも見えないし、香瑩も少しずつだけど成長しているし、ほどよく新しいキャラも出ているし。でも「もっとリョウと香のエピソード、プリィィィィイイイズ!」と思っているうちは、冷静な判断は多分無理だろう。CHの頃から「香を愛しているリョウ」の描写でのたうちまわっていたので、AHの香を思うリョウはストレートで嬉しくて切ない。
このままリョウを見ていられたらいいと思う。
(2012/11/30)

言わずとしれたシティーハンターの作者さんです。シティーハンターを書かれた後、1、2作書いて、このお話に着手されたようです。
両親を亡くした大学生雅彦は、音信不通だった母の弟の家に来ないかと誘われます。いざ行ってみるとそこには男女が入れ替わった、いわゆるオナベとオカマの夫婦がおりました。奥様の名前は紫、旦那様の名前は空、二人はごく普通の結婚をして、子供を一人授かりごく普通の家庭を築いていました。ただ、奥様は男、旦那様は女だったのです。というお話。子供の名前は紫苑、こっちは性別不明。
面白かったかどうか、と聞かれると正直微妙だなぁと思いました。性別の垣根が低い人達がたくさん出てくるんですが、なんでそこにこだわるのか理由がわからなかった。そこが釈然としないままに読んじゃうと、喉に小骨が引っかかったような感じであまり楽しめませんでした。結構長いお話になっていたので、割と人気があったのかなぁ。
世の中には女性より綺麗な男性や、逆の人達が沢山いるとは思うんだけど、それでも何の小細工もせずに男性にしか見えない女性ってなかなかいないと先入観があるのかな。紫と空は最初から逆の性別であろうと努力しているらしいのでいいとしても、見た目の性別をころころ変えられるという設定の紫苑にははっきり言って疑問が残りました。女性としてナイスバディで通っている紫苑がズボンはいた位で男に見えるか?さっきまで女だったのに、帽子被って服買えただけで別人に見えるか?紫苑の性別がどっちか最後まで引っ張りたいのはわかるけど、それは無理があると思うのです。それを確かめられない為に、雅彦の性格を優柔不断にしたのではないかと邪推してしまいました。多分雅彦の性格が嫌いなだけだと思いますが。優柔不断な登場人物は話が進まないので嫌いなのです。引っ張るな!って思っちゃう。
少し無理があるなぁと思う土台を無理して飲み込んだら、面白いエピソードはありました。人間ドラマみたいなのを書くのは上手なのになぁと未練が残ります。あーでもシティハンターだってトンデモ設定ですよね。射撃うますぎる。でも今でも大好きなんですよね。別世界だから気にならなかったのか、それとも読む私が変わってしまったのかなぁ。
(2006/05/25)
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最終更新:2012年11月30日 19:40