デルフィニア戦記外伝です。これ単体で読んでも十分面白いです。デルフィニア戦記の長さに読むのを躊躇してしまう人がいたら、まずこれを進めてはどうでしょう。
これはバルロとナシアスが出会った頃のお話で、ウォルはちょっとだけ、リィに至っては陰も形もありません。当たり前ですが。本編でバルロの性格がよくわからなかったのですが、これを読んでちょっとわかった気がしました。というかバルロはあまり好きではなかったのですが、これでちょっとだけ浮上しました。ちょっとだけですが。比べナシアスはかなり上昇(当社比)。いいですよね、生真面目な天然野郎。彼らを支える部下の存在も素敵です。
個人的には主人公より光る脇役が好きな私なので、「外伝」というのは嬉しい存在です。デルフィニアに関してはリィの存在が強烈すぎたため、あまり脇には目がいきませんでしたが、やはりサブエピソード等が読めるのは外伝ならではでしょうね。リアルタイムで読んでいたら、これはきっと嬉しかっただろうなぁ。ただ私ならイヴンの話が読みたかった。
(2007/02/28)
デルフィニア戦記の元となったお話らしいです。デルフィニア戦記後に読みました。元々はこれを描いていたらしいのですが、出版社がつぶれ別のところから再出発となったそうです。最初に延々とその言い訳のようなものが書かれていました。作者さんからすると、これを再発行するのは不本意だったようです。
内容はデルフィニア戦記とそんなに変わりません。デルフィニア戦記がリィが13歳だったところから始まったのに対し、この「王女グリンダ」は17歳から始まります。といっても年齢が違うのではなく、物語の切り口が違うだけで、要はデルフィニア戦記の途中から始まるのです。これを読んで、元々作者はリィとシェラの話を描きたかったんだなぁと思いました。中途半端なところで終わっているので、対象はデルフィニア戦記ファンに限られるのではないかなと思います。デルフィニア戦記を読んで「物足りない!」っていう人にはよいと思います。ただし内容はほとんど変わらないので、それを納得できる人だけどうぞ。
(2007/02/27)



面白かったです。シリーズものは続きがたくさん読めるからいいですよね。母がはまって全18巻大人買いしてきた本がこれです。母よ、あなたの娘でよかった。
珍しいことにファンタジー(ファンタジーってジャンルはあってないのかもしれないけど)です。うちの母はあまりこれ系に手を出さないので、結果的に我が家はあまりファンタジーを読みません。ハリポタや、友達に借りたアルスラーン戦記とか。この本も一巻だけがあって、たまたま読んだら面白かったよ続き読みたいぜーって火がついた模様です。
ある貴族の息子として育てられたウォル・グリークは、実は前国王の庶子でいきなり国王に祭り上げられてしまいます。ところが彼の即位を喜ばない貴族達に、母親の身分が低いということを理由に都を追われてしまいました。彼は国王の座に執着の無い鷹揚な性格なのですが、育ての父親が捕らえられており、王位を奪還しようとします。敵に囲まれ絶体絶命の危機に助けに入ったのは、13歳の子供しかも超絶美形のグリンディエタ・ラーデン。通称リィ。この子供、足は馬と並走できるくらい速いし、力は自分よりも強いし、ありえない高さを飛ぶし、この子がいると負ける気がしません。しかも異世界から来ただとか、前は男だったのにこっちで身体が女になったとか、突拍子も無いことを言います。ウォルは化け物じみた強さの彼女に助けてもらった恩義を感じ、リィは自分を化け物と呼ばずに受け入れる変わった男ウォルを気に入り、二人で王座奪還に向けて戦います。そんでどんどん味方が増えたり、敵を倒したりするお話です。
ファンタジーとしてはありがちな流れかもしれませんけど、なんか面白い。読みやすいし、登場人物が魅力的です。続きが読みたくてしょうがなくなり、一冊二時間くらいで読み進めました。もったいないことしてるなー。あと挿絵もめっちゃ綺麗です。小説のイメージが損なわれるどころか、倍増しました。文庫は絵がなくてさびしー。
なんでこんなに一気にハマったか自分でもよくわからないんですが、そこを無理やりひねり出してみますと、「王道」という言葉に尽きるかな、と。
リィは、強くて賢くて美人で兵士に人望があってっちゅー王道。身なりに無頓着で宮廷の女性に見下されているのに、着飾ったらめっちゃ綺麗で、悔しがっているところを見て溜飲を下げるとか。見た目の可憐さを見くびられても、戦うとそいつをのしちゃうところを見てすっとするとか。無防備に見えるのに暗殺者の気配には敏感で、さらっと返り討ちとか。気難しい人に信頼され「あいつを味方にするなんて、どんな手を使ったんだ!」と悔しがる敵とか。そういう王道的展開が、気持ちいいのじゃないかと思います。そういうベタなのもいいんです。むしろ大好きなんです。他の味方の登場人物もそういう傾向があって、小気味よく相手を悔しがらせるというところを見て、私はストレスを解消してるのじゃないかな。最後に正義は勝つ!みたいに。お約束ではあるんですが、あざとくなくて読んでいて気持ちいいです。
それから良い意味でハラハラしませんでした。私は予想されるピンチが嫌いなんです。明らかに幽霊が出そうなところに向かっていくシーンのように「そのうちひどいことになるんやろうなー」と思いながら見るのが耐えられないんです。同じ理由でドッキリも嫌いですね。トラブルを回避できない状況に追いやられるのがいや。このデルフィニアはほとんどそういう場面がなく、安心して読めました。
ここからはちょっとだけネタバレ。
恋愛ネタ好きの私としては、最後までリィが絡まなかったのは残念ですが心は男子ということでしょうがないですね。どこかでそのうちウォルと恋に落ちるのではと思ってましたが、ラストで「なくてよかった」と思いました。まぁバルロやらシャーミアンとイヴンであったから良しとしよう。
リィやシェラを見てて(読んでて)痛感したのが、見た目の重要さ。すぐに恋愛関係を意識してしまう私は、リィやシェラの見た目が美少女であることに、とても混乱しました。「リィとウォルはお似合いなのに…、あ~でもリィは中身が男なんよね」「シェラとヴァンツァーは似たもの同士で心が通じ合えばいいのに、って両方男やがな」「シェラのリィへの惚れこみようには恋愛感情も混じってるんじゃ?でもリィが男って知ってるんか…。でも身体は男女で問題ないしなぁ」とか。絵がない状態でこれなんだから、漫画になったら頭ぐるぐるですわ。友情と恋情の線引きが、こと見た目に関しては入り組んでました。
(2006/02/22)
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最終更新:2007年04月02日 23:44