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劇団ひとり

陰日向に咲く


 私はお笑い大好きなんですが、生まれが関西なせいか標準語の笑いというものがあまり好きになれません。というか「好きだな」と思える芸人が大抵関西人です。例外があるとすればアンジャッシュやラーメンズのような、練りこまれたもの。くすっと笑えて「やられた」感が好きです。それか勢いのあるもの。
 劇団ひとりのネタを見たことがないので、私の中では彼は芸人ではなく「タレント」です。ちょっとネガティブっぽいところや、受け答えは頭がよさそうですが、芸人としてはどうか?とは思っていました。
 この本は表紙どころか表紙を外しても劇団ひとりの写真で埋め尽くされていて、カバーなしでは読めない本です。明らかにエッセイ風の売り出し方だと思っていたのですが、意外や意外、小説でした。それもよくできた。私は他の感想サイトでこの本の評判が良いのを見てから読んだのでちょっと期待外れでしたが、何も知らずに読んだら「おお、やるやんひとり!」って偉そうに言ってたと思います。ほんと偉そう。
 内容は、短編がいくつか。全然シチュエーションが違うのですが、ちょっとずつリンクしていてそれを発見するのも面白かったです。登場人物がなんだか間抜けで憎めなくて、全員に「劇団ひとり」要素が入っているように感じました。文章は読みやすくて、字も詰まってなくてあっという間に読めます。後味も悪くないです。めちゃめちゃ面白くはないけど、なんだかほっとする感じ。
 秋葉原に生息していそうなアイドルオタクの子のお話があるんですけど、なんていうかリアルで身につまされました。共感できるところがあって、やっぱり私オタクかぁと思ったり。いやオタクなんでしょうけどね、ええ。オチもよかったです。

 こっから先はちょっとネタバレです。
 オレオレ詐欺をしようとする、これまた間抜けな男の話ですが。ちょっと泣いた。泣かされて悔しい気持ちもあるのですが、駄目だ。あれは、母の愛は反則ですよ。嘘って分かってても、お金も用意するから、電話をしてきてなんて、ずるい。ホロリくるっちゅーねん。
 一部だけ抜粋。

  眠れない夜、私は何の絵本を読んであげたのか教えてください。
  遊んでばかりの貴方を私は何と言って怒ったのか教えてください。
  運動会の日。受験の日。卒業の日。結婚の日。
  その日の貴方に、その日の私が言った言葉を聞かせてください。
  私は良い母親でしたか。私は貴方を幸せにできましたか。
  聞かせてください。貴方と私が生きてきた話を聞かせてください。

 切ないなぁおい。
(2007/03/30)

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最終更新:2009年06月07日 17:47
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