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リリー・フランキー

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~


 ベストセラーとなったこの作品。リリー・フランキーってばりばり日本人顔やん、と思いつつ「泣ける」という噂を聞いて、楽しみに寝かせておいた本です。時間ができたので、一息に読みました。
 ハードカバーは後書きやら解説やらがないので推測になりますが、これはリリー・フランキーの自伝なんですよね?途中で「リリーさんのお母さん~」という箇所もありましたし。リリーさんの本名は雅也なんでしょうかね。題名からして「ボク」「オカン」「オトン」で統一されるのかと思いきや、名前はばんばん出てました。一言で言うとこのお話は「リリーさんの人生において、オカンが絡んだ部分を書いた自伝」でしょうか。
 最後の方は泣けました。泣けましたけど「まぁそこは泣いとくところやろ」って感じで泣きました。これ大人の方が泣けますね。「ボク」目線やとあまり泣けなかったのですが、「ボクの友達」目線と「オカン」目線で見ると、どわぁっと涙が出てきました。「オカン」目線っていうとちょっと違うかな、「オカン」が注いだ愛情を思うと自分に投影しても泣けるというか。余談ですがこの本を読んでいる時にたまたまテレビでバレーボールをしていたんですけど、選手を見て「この選手のお母さんが今危篤になっていても、お母さんは『試合に行きなさい』って言うんやろうなぁ」と勝手に想像して勝手に泣いていました。勝手に危篤にしてごめんなさい。お母さんってどこまで子供に尽くせるんだろうと思って泣いてしまったのです。だから「母の愛」は反則なんやって!
 ただ前半はあまり面白くなかったです。前半があったから後半が活きるんだと思いますが、なんだかだらだら書いてる感じでした。ところどころで入る回想というかポエミーな台詞も別に伏線っぽくなく(伏線だとしたら回収できてない)て、邪魔でしたし。ただこの本は、それで良いのかなと思いました。

 こっから先は、すごく主観的な感想なので「違うよ!」と思う人もいるかと思いますが、気にしないでください。
 この本はすごく独りよがりに書かれています。起承転結とかオチとかそういうのをあまり考えずに、あったことをだらだらと。だってこれは自伝なのですから。途中で入るモノローグみたいなのも全部、自分のため。だから泣かせようとか、感動させようとか始めから考えていない。オカンへの想いを浄化させる儀式とか、気持ちを整理する為のけじめとか、そんなつもりで書いたんじゃないのかな。結果的にそれが読者の「泣き」につながったわけですけど。泣けるシーンはあっても、それは「やられた!」的な泣き方ではなく、こういうこと書かれたら泣かざるを得ない、って感じでしたし。
 だから私はこの本がベストセラーになったのはちょっとだけ違和感があるし、作者もびっくりしたんじゃないのかなと思う。共感を呼ぶ作品ではあるけど、そんなに売れなくても…ていうのが正直な感想。はっきり言うと、これを小説として読むと不満が残ります。疑問に思った点もちゃんと回収されていないし、ひねりもないし。でも実際の生活ってそんなもんですよね。親のこと100%知ってるわけでもないし、そんなどんでん返しみたいなもんが、日々起こるわけでもない。エッセイとして読むと、そういうのがあるほど「あざとい」と思ってしまいます。この本の評価ってカテゴリが「小説」であるか「エッセイ」もしくは「自伝」であるかで、大きく変わるのではないかなと思います。
(2006/11/17)

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最終更新:2009年06月07日 17:45
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