この作者さんの新作を久しぶりに読んだ。この人はまぁ過去に色々あって、しばらく漫画を描いていなかった。もう二度とこの人の本は読めないかと思っていた。熱狂的なファンじゃないのでどういう経緯があったものか知らないけど、いつの間にか単行本が出ていた。家族が買ったと聞いて、読むのを楽しみにしていた。熱狂的ではないが、私はこの人が好きだったのである。
このハルコイは短編集で「ハルコイ」「指輪の片想い」「美彩食堂」「ななつの約束」の四つ。どれがメインでもおかしくない、とても良い短編だった。
さて、感想。
私はやはりこの人の描くお話が好きだ。良かった。とても良かった。読み終わるのが勿体無くて、念入りに読んだ。面白かったし、切なかったし、泣けた。四つ共泣いた。やっぱり好きだ。
ある本に(
京極夏彦ですけど)、「創作物と作者は切り離して考えなければならない」という趣旨のことが書いてあった。私もそう思っている。極悪人が描いた本でも、面白ければそれでいい。極論を言えば、パクりでも心に響けば、私にはそれでも良いのだ。この人がしたことは、創作する人にとっては許しがたいことだろう。私にとってその本の価値は少しも損なわれることはないけれど、この人への評価は地に落ちたことと思う。結果的にこの人は漫画を描ける場がなくなる、という罰を受けた。それもしょうがないことだろう。
だけど、私はこの人の漫画が好きだ。新作を読んで、今も変わらず好きであることを知った。だからどうか、もう漫画が描けなくなるようなことはしないで欲しい。貴方のお話が好きで、許されないようなことをしてもそれでも好きだ、と言う読者が少なくともここにも一人いる。「単行本が出たら読みます」と消極的だが、もしもこんなファンでも創作の支えになるなら、どうか頑張って欲しい。
なんか語りかけのようになってしまった。以下、ネタバレです。
「ハルコイ」は中年女性と年頃女性の友情のようなお話。泣いた。
「指輪の片想い」はブライダルプランナーの三十路女性とバツイチ男性の恋のお話。泣いた。
「美彩食堂」は年頃女性と潰れかけた食堂のお話。恋もちょっとあり。泣いた。
「ななつの約束」は小さい女の子のお話。泣いた。
もう泣けて泣けてしょうがなかった。
(2008/12/13)
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最終更新:2008年12月15日 02:16