十八の夏
初めて読む人です。四つ短編が入っていました。
「十八の夏」は高校生の信也が、風変わりな年上の女性紅美子に出会い、好意とも興味ともつかぬ気持ちを抱くお話。さらっと読んでいたせいか、伏線に気付かず面白く読めました。
「ささやかな奇跡」は妻を亡くした子持ちやもめ男が、わけありげなおとなしい女性に出会うお話。関東に住んでいた主人公が関西に引っ越してくるのですが、関西弁って文字にするときっついなぁと思いました。喋る分には平気なんだけど、やっぱり非関西弁の人にはきつく聞こえるのかなぁ。
「兄貴の純情」は、演劇に傾倒しているが才能の片鱗が全く見られないお兄ちゃんの恋を、傍から見ている弟が語ります。ちょっと笑えるお話です。お兄ちゃんの口調が軍人調だからか
浅田次郎を思い出しました。よく考えると切ないお話ですが、悲壮な感じではなく暖かいです。
「イノセント・デイズ」は他の作品に比べて、少し重いテーマでした。でも語っているおっちゃんが立派過ぎず、軽すぎない人で読みやすいです。一番ミステリっぽいかな。
全編通していえるのは、どれも読みやすくさくさく進められるお話でした。「心に響く」とか「人生を変える」とか、そんな本ではないけれど、読んでよかったなぁと思える本です。登場人物がどこにでもいそうな人で、呆れる程善人でもなく、かといって眉をひそめる程の悪人でもない、きっと探せばその辺りに転がっているのだろうというエピソードを切り取って無駄なものをそぎ落として、ちょっとひねったようなお話です。日常に潜むドラマって感じ。こういう風に描ける人を見つけると、嬉しくなってしまいます。他の本も読んでみたいです。
(2006/08/28)
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最終更新:2007年04月02日 23:50