オタクの青春漫画。オタクのための漫画ではなくて、オタクそのものを描いている。初めて読んだ感じのお話。げんしけんとは大学の現代視覚文化研究会の略で、そのサークルの日常を描いている。
テンションの低い漫画だなぁと思いながら読み始めたが、意外と面白かった。読んだ後の感想は「全くときめかないけど切ない」になっていて、我ながらびっくりだ。漫画には割と非現実的な話が多い(それはそれで好きだ)けど、これは地に足ついた「オタクな人達の青春」を切り取っている。誰にでもどこにでも青春時代ってあるのだなぁという甘酸っぱさと、でもこれはちょっと…と思えるところと、あれー割と馴染めそう?という危機感がないまぜになる。自衛のためにお勧めする人を選んでしまいたくなる漫画だった。
全9巻で、主人公が入学~卒業する4年間を描いている。ちゃんと時間が流れており、完結しているところも好印象だ。主人公の笹原は最初割と無個性だけど、終盤は成長する。一人一人の個性がはっきりしていて、その辺もよかった。しかしこんだけ面白いと思ったし、恋模様も多々あったのに「ときめき」を全く感じ無いのも珍しい。
げんしけんの活動自体は割りとぬるいもので、運動部活動しかしたことのない私にとっては未知の世界だ。どっちかというと趣味が同じ人達が集まって喋ってるといった印象が強い。文科系というのはそういうものなのかな。卒研室がこんな感じだったので、溜まり場があっていいなぁと思う。
漫画、同人誌、ゲーム(エロゲー含む)、コスプレ等がふんだんに出てくるので、ちょっとだけ引いた。全く免疫が無い人の方が、実は面白いんじゃないかってちょっと思う。でもちゃんとって言ったら変だけど、オタクの日陰を好む気持ちとか、虐げられる覚悟とか、そういうのに全く興味がない人から見るとこんなんですよとか、客観的に描かれていた。それがないと、ファンタジーみたいだったと思う。
作品中には架空の「くじアン」という漫画が出てるけど、それに対してメンバー(斑目)が書いた記事がオタク臭い口調で、特徴を捉えてるなぁと感心すると共に、「あー私これは無理だ」と思った。
ある意味、グルメとか文化の薀蓄漫画に近いものがあるので、オタクに興味ある方にはお勧め。
ここから先はネタバレです。
男女グループがあったら、そんなかに何らかの恋愛感情が産まれるのは、どんな団体でも変わらないなぁと思った。
笹原と荻上の恋模様もゆっくりゆっくりでよかったし、大野と田中も自然な感じで「あるある」と思った。斑目は切ない…のに全然どきどきしない、私にしては珍しい読み方になった。あからさまな描写はないものの、声の無いコマが逆にじーんとした。成田山で春日部探しに行っちゃうところとか、紅茶を買ってきた思い出を後生大事にしているところとか、告白する気は無い癖に変に悟って自分の気持ちと向き合っているところとか。単行本9巻最後の最後で「春日部気付いてるんじゃね?」という終わり方は、気になってしょーがない。どっちでもいいんだけど。どっちもありえそうだし。なんか酸っぱい成分の多い、甘酸っぱさを感じた。
荻上の過去話はちょっときっついなぁと思ったけど。クラスメートで妄想したらいかんのではないですか。まぁそれを友達にばらされてしまうのが、中学生の中学生っぽいところなんやけど。止められない性みたいな描き方はどうなんだろう。妄想する分には自由だけど、形にするかどうかが分かれ目やなぁ。
いやー、でもどんな形でも青春はいい!
(2008/11/16)
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最終更新:2009年06月07日 17:21