アットウィキロゴ

村山由佳

天使の梯子


 「天使の卵」の約10年後という続編です。これだけ読んでも多分大丈夫だと思いますが、前作読んでいる方が面白いかも。前作の感想は散々だったのですが、今作はちょっとこなれてきたかなと思いました。ページ数も増えてます。
 ただ面白いかと言われると、前作より上ですがまぁまぁってとこでした。やっぱり純愛は私の柄じゃないみたいです。
 今回の主人公は両親は離婚して、おばあちゃんと二人暮しという大学生男子。バイト先のカフェで、高校当時に担任だった夏姫先生を見つけますがなんとなく声を掛けそびれ、また夏姫も彼には気づかず、そのまま見るだけの日々。夏姫には恋人がいるようですが、本当に好きなのは一度だけカフェに現れたペンキだらけの服を着た男ではないかと推測したり、まるで消極的なストーカー状態ですが、とうとう夏姫声をかける日が来ます。ペンキ男と夏姫の事情ありげな過去、主人公の片思いは実るのか?というお話。
 前作で登場する春妃絡みの話が半分、主人公と夏姫のラブストーリー半分ってとこでしょうか。前者のほうが読み応えがあったので、続編でよかったのかもしれません。特に夏姫とペンキ男の春妃への思いが昇華する場面は、少しだけ胸が熱くなりました。泣くほどではありませんが。
 でも読んでる間中「なんだかなぁ」という思いが消えなかったのはなんでだろう。なーんで「年下の男」との恋愛を出さなきゃならないんだ、と思ってしまうからかなぁ。おばあちゃんの死に傷つく主人公を夏姫が慰めるわけですが、夏姫の思いとリンクさせるために、こういう境遇の主人公を出してきました!って感じがするのが嫌なのかもしれません。斜めな見方です、はい。
 夏姫が主人公に軽く説教する場面があるのですが、「あなたは時々急に人が変わったように残酷になる。相手を打ちのめして自分の優位性を誇るのはやめなさい」的な内容で、自分に言われているようで胸に刺さりました。ここ読んだだけでもこの本を手に取った甲斐はあったかな。

 ここから先はネタバレです。
 ペンキ男改め歩太が、春妃への思いをある程度昇華して、逆に夏姫を心配しているところや、夏姫がずっと罪悪感を抱えて生きてきて、桜の下でそれを爆発させるところは、読み応えはあったかなと思います。(でも前作そんなに桜ってクローズアップされてなかったよね?)エピソードもそぎ落とされて、ぎりぎり繋がってるし。
 夏姫が主人公を好きになるところはよく分かりませんでした。そこは弱い気がします。再開した(夏姫が主人公を再認識した)日すぐに結ばれた割には、主人公のいいところは描かれていないような。
 やっぱり文句ばっかりで終わってしまった。
(2007/05/23)

天使の卵


 小奇麗な表紙で小奇麗な作りで、小奇麗な題名の本。友人が「映画面白かった」と言っていたので、期待して読みました。が。が。読み終わっても「はぁここで終わるのでございますか」としか思えませんでした。友人よ、すまん。私はひねくれているので、純愛物は向いていないのかもしれないです。
 主人公は高校卒業したての浪人生歩太(あゆた)。夏姫という彼女らしき同級生もいるのですが、ある日電車で乗り合わせた女性に一目惚れした上なんと、歩太の家族が入院している病院でばったり遭遇。憧れの君はなんとその病院の先生だったのです。舞い上がる浪人生ですが、その春妃(はるひって読むんだって)という病院の先生と、夏姫が姉妹であることが判明。さて浪人生の恋やいかに?というお話です。
 哀しいお話でもあるのですが、残念ながら涙腺は緩まず。本当に「え、結局なんやったん?」って感じ。エピソードが繋がらないというか、何のためにそんな小話が入ってたの?後で関係してこないわけ?と疑問だらけ。そもそも題名の「天使の卵」自体クライマックスでいきなり出てくるし。それなら「アリアス(春妃に似ているとかいう胸像)」とかのんがよかったんとちゃうのかな。結局何を伝えたいのか、よくわかりませんでした。

 ここから先はネタバレです。

 ・父親が精神を患っているので、自分もいつか狂うのではないかと恐れていること。
 ・春妃が歩太より8つ年上であること。妹以外の家族と絶縁状態であること。精神科医であること。
 ・そもそもの夏姫の存在。
 ・はちべえだかろくべえだかの犬。
 ・物語を小洒落ムードに彩る、洋書や海外の訳書。

 これらには意味があるようで、結局無いような気がしてなりません。使えてないようにしか思えない。そんな設定いらんやん、と思ってしまいます。
 あと春妃死ぬ必要ないと思います。死ぬ兆候全く無いし。んでそれを歩太が理解するのが、毛糸の靴下ってベタすぎる。手っ取り早く泣かせようとしたとしか思えない。しかも医療ミスて。
 最後スケッチブックを見て「春妃がいた」って、意外でもなんでもないし。「いた」ってあんたが書いたんやろうが、って突っ込まずにはいられません。そこは「そこでこれが来たかー!やられたー」と思えるような小道具を持って来てよ!
 と文句ばかりの感想になってしまいましたが、まだ小説書き慣れてないのかもしれないので次作も読みます。
(2007/05/22)

  • 私はこの人の本では、「海を抱く」という話が一番好きです! -- 名無しさん (2009-09-30 18:04:40)
  • 結局この二冊を最後にこの人の本は読んでいません。「海を抱く」機会があれば読んでみたいです。 -- May (2009-10-14 01:15:14)
名前:
コメント:



[カウンタ: - ]
最終更新:2009年10月14日 01:16
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。