パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本




 ずるい映画だった。極彩色の目に優しくない映画。御伽噺みたいな病院を舞台に繰り広げられる、ベタなずるいお話。お勧めしてくれた子が、「泣くのを我慢するんじゃなく、しゃくりあげるのを我慢するのが大変だった」と言っていたけど、その通りだった。
 原作が後藤ひろひろの舞台らしく、まとまりのあるお話だった。時間内に綺麗に終わったと思う。
 登場人物は誰かに自分を覚えていられるだけで腹が立ってしょうがない偏屈ジジイの大貫。彼が入院している病院は変な人間ばかり。そこでも嫌われまくっている大貫が、パコという少女に出会って少しずつ変わっていくお話。パコは記憶が一日しかもたない。一晩寝ればリセットされてしまう。毎日毎日母に貰ったという絵本を楽しそうに読むパコを見て、大貫はどのように変わるのか。
 このパコちゃんが可愛くて可愛くて、それだけで反則なんですよ。子役にありがちな棒読みちっくな台詞も、何故かリアルに感じる。他の役は役所広司、上川隆也、妻夫木とか、なんかそれなりに豪華なんだけど、全部がハマリ役でハマリすぎていて普通に感じた。ヤンキッシュな土屋アンナなんて普通すぎる。
 良い映画ではないけど、遠慮なく泣ける映画なので泣きたい人には良いのではないかと思う。ベタな(子供とか動物とかお年寄りとか)展開に分かっていてもやられちゃう人なら一発KOです。「そう来たかー!」という展開もあって、満足。ストレス解消になりました。周りもぐずぐず泣いていた人ばっかだったのが、印象的。(一人で行って鼻をずるずるさせてるのはちょっと寂しかった)
 ここから先はネタバレです。
 最後に逝くのは大貫やと思うやん?ミスリードしまくってたやん?今考えると、そんなどんでん返しではないような気がするのに、見てるときは「そっちかーい!」ともう目から鼻から液体が止まりませんでしたよ。おっさんが最後までわがままだったのもいいでしょうよ。大貫がパコにほだされるの早くね?と思ったのも帳消しですよ。あーもう舞台見たいなぁ!くそー!
(2009/02/24)

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最終更新:2009年02月25日 02:19
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